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エルピーダメモリ、台湾・南亜科技と提携交渉 劣勢打開へ日台連合

2011-12-23 | 半導体業界



 DRAM世界3位のエルピーダメモリが、同5位の台湾・南亜科技と資本・業務提携交渉に入る。

 DRAMの市況悪化や超円高など経営環境が一段と厳しさを増し、業績を不安視する金融機関は事業計画の抜本的な再構築を迫っている。

 南亜との提携による日台連合の強化で先行する韓国勢に挑む体制を整え、難局を乗り切る考え。


●事業再構築を要求

 「納得できる事業再建策を提示してほしい」。

 12月上旬、住友信託銀行、みずほコーポレート銀行、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行の主力取引4行が共同で、エルピーダに事業再構築の要求を突きつけた。

 同社は2009年8-9月に改正産業活力再生法に基づいて日本政策投資銀行を通じた公的資金300億円、主力取引4行から約1千億円の協調融資を受けた。

 12年4月2日にこの融資の満期日が近づき、銀行団は業績不振に苦しむエルピーダに、借り換えに応じる条件として再建策を厳しい態度で求めた。

 エルピーダは複数の再建計画を策定したが、なかでも台湾DRAM最大手の南亜科技との提携を最優先に位置付ける。坂本幸雄社長が生き残りをかけ、リーマン・ショック前後から進める日台連合強化の最終到達地点となるからだ。

 南亜は台湾を代表する企業、台湾プラスチックグループを親会社に持ち、韓国勢に対抗できる資本力を持つ。提携すれば台湾当局の強力なサポートも期待できる。

 南亜と経営統合を視野に強固な関係を築ければ、国際的に高い信用力を確保できる可能性がある。エルピーダはこの計画を金融機関に説明し、理解を求めているもよう。


●疑問視する向きも

 ただ、業績不振企業どうしの提携効果を疑問視する向きは少なくない。南亜は米マイクロン・テクノロジーと技術提携契約を結んでおり、解消への道筋をどう付けるのかという課題も横たわる。

 これまでの前例から、台湾企業や当局との交渉は複雑で、必ずしも思惑通りに進まない可能性がある。親会社の台湾プラスチック、台湾当局との交渉も長期化懸念が残る。

 台湾以外の再編策も議論されているものの、実現性は低い。銀行側には国内半導体業界内での再編を期待する声もある。候補に拳がるのが東芝。

 だが、東芝はかつて行き詰まったDRAM事業から撤退し、成長が見込めるNAND型フラッシュメモリー事業に経営資源を集中した経緯がある。さらに東芝も多額の有利子負債を抱え、エルピーダを支援する資金的な余裕はない。

 DRAM4位の米マイクロン・テクノロジーとの提携案も選択肢となる。

 ただ、提携の形態によってはエルピーダが飲み込まれる構図にもなりかねず、日本の半導体業界が1970年代からメモリー分野で争ってきた米国企業に技術が全面的に流出する懸念もある。





【記事引用】 「日刊工業新聞/2010年12月16日(金)/11面」


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