菱洋エレクトロ(小川賢八郎社長)は、半導体・電子部品ビジネス、ネットワーク・IT機器ビジネスの双方でソリューション型提案を強化し、両ビジネスを融合させた「エンベデッド」(組込みシステム)ビジネスの立ち上げを図る。
同社は、09年1月期通期連結業績として売上高1350億円、経常利益21億円を計画。また、中期目標として12年1月期売上高2000億円の目標を掲げる。
●成長への先行投資
4月に就任した小川社長は、「米国のサププライムローン問題や原油高などにより、経済環境は厳しい状態にある。今期はある程度長期視野に立って、今後の成長に向けた先行投資を行いたい」と語る。
「商社に求められていることは、『モノ』を届けることではなく、『コト』を届けることが重要」とし、部品単体からボード、システムレベルまで提案できるソリューション力の向上を目指した取り組みを実施している。
7月には、組織体制を「顧客重視型」に再編し、顧客対応営業担当者を増員。顧客ニーズをくみ取り、仕入れ先にフィードバックし、最適なソリューションを提供できる体制を目指した。
主力の半導体・電子部品ビジネスは、近年取り扱いを砿大してきた海外メーカー製半導体が順調に拡大し、全社売上げの42%を輸入半導体が占めるまでに成長した。
「システムレベルでの提案には、もう少し商材を拡充する必要がある」とし引き続き、新商材開拓を実施していく。
また、ルネサステクノロジ・三菱電機、セイコーインスツルメンツ、エプソンといった国内半導体製品については、「原点に戻って再強化を図ることが必要。輸入半導体以上に特に新規顧客開拓に注力を実施していく」としている。
ヒューレットパッカードやマイクロソフトなどの製品を扱う情報システム・ネットワークビジネスでもソリューション型提案を強化。デジタルサイネージ技術を用いた映像配信システムやフェリカ対応のPOSシステム構築などを提案している。
●3成長市場向け
「当社は半導体販売部門と情報システム・ネットワーク部門も併せ持つ点が強み。両ビジネスを組み合わせることで、組込みシステムなどのソリューションを提供できる」として、7月に組込みシステム市場をターゲットにしたプロジェクトを開始。
当面、「医療」、「ITS」(高度道路交通システム)、「セキュリティ」と、3つの成長市場向けのソリューション開発を実施する。
ITSについては既に06年から「インターネットITS協議会」に正会員として参加し、ほかの加入企業とともに車載電子決済システムや車載情報機器向けアプリを開発し、事業化を目前に控えている。
海外ビジネスは、昨年の大連事務所の設置により、中華圏5拠点(上海・深川・大通・香港・台湾)、ASEAN2拠点(シンガポール・タイ)の7拠点体制に蝶備。国内廠客のアジアへの生産シフト対応に加え、設計の現地化への対応を強化している。
「海外拠点での新商材開拓も積極的に行い、国内の顧客にも紹介していく。現状20%弱の海外売上げ比率を早期に30%程度にまで引き上げたい」としている
● ユニダックスと提携
同社は2年前に同じエレクトロニクス商社のユニダックスの株式33%以上を取得し提携関係を締結した。ユニダックスとの業務提携を強化するため、人事交流を開始し、これまで以上にシナジーを発揮していきたい」とする。
具体的には、ユニダックス社と海外倉庫や物流ネットワークの統合、相互利用を進め効率化を図るほか、「互いの商材で不足している部分を相互に補うような取り組みを実施したい」としている。
【記事引用】 「電波新聞/2008年7月31日(木)17面」