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エルピーダ、最悪期脱出 DRAM価格反騰 TMCとの提携が成長のカギ

2009-05-13 |  DRAM再編


 エルピーダメモリの業績が、最悪期を脱する。

 09年3月期は当期損益が1788億円の赤字になったが、2010年3月期は在庫調整の一巡によるDRAM価格の反騰や微細化でのコスト効果で収益が改善。営業損益が黒字化する可能性もある。

 目減りした純資産は増資や子会社の連結化で、1000億円規模で増強され、財務制限条項を回避。今後は台湾メモリー(TMC)との提携の行方が鍵を握る。


●DRAM価格反騰

 DRAM価格は底を打った。経営破綻した独キマンダの生産休止に加え、DRAM各社の減産や在庫調整の進展で需給バランスが改善。

 スボット市場では記憶容量1Gビット品が1ドル30セント台を伺う展開となり、1ドルを割り込んだ2、3月から上昇した。

 パソコン向けは米国需要が強く、デジタル家電向けプレミアDRAMも下振れ懸念が少ないという。価格の引き上げについても顧客も納得しはじめ、1ドル50セントに近づいている状況。

 坂本社長は、「1ドル50セント-2ドルになれば黒字化は可能。5、6月にはブレークイーブンに持って行きたい」と強調する。

 広島工場は回路線幅65nm世代へのシフトが加速、同50nmプロセス採用の2Gビット増モバイル機器向け製品も量産。2-3カ月で微細化によるコスト効果も表れ始める。


●財務基盤回復

 一方、財務面では実施済みの458億円の第三者割当増資や台湾の力晶半導体との合弁会社、レックスチップ・エレクトロニクスなどの連結子会社化で、純資産は回復。

 改正産業活力再生法に基づく公的資金注入制度の申請については、「検討中」と述べるに留めたが、仮に500億円規模の資本増強が実施されれば、財務リスクは大きく後退する。

 ただ、2010年3月期の社債償還と借入金返済額が合計1200億-1300億円に上り、何らかの資金調達は必要になる。

 焦点は成長戦略。台湾政府が出資するTMCとの提携スキームは固まっておらず、研究開発の手法を模索している段階。台湾側6社の統合が先行しないと、話し合いも進展しない。

 TMCとの関係は「結びつきが強くなった方が良い」と経済産業書関係者は語っており、産活法による公的資金を得る前提には、実質の経営統合が必要になる様子。

 先端技術の流出を防ぎつつ、資金を引き出せるかがポイントだ。


●最後のせめぎ合う

 DRAM市場はパソコン1台当たりの搭載容量の増加や家電、携帯電話向けなど需要が広がる。11月ころの米マイクロソフト製「ウインドウズ7」発売で、盛り上がる公算も大きい。

 ただ、長期ではクラウドコンピューティング化で需要が伸び悩む恐れはあり、過剰供給が繰り返されればDRAM各社は共倒れる。業界再編は、最後のせめぎ合いに入った。





【記事引用】 「日刊工業新聞/2009年5月13日(水)


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