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犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

迷い犬

2021-04-08 23:08:20 | 犬のいる生活
 わが家の愛犬は、2006年生まれ。

 ちょうど、このブログを開設した年です。

 今年の誕生日で、15歳になりました。

 ウィペットという犬種の寿命は12歳から15歳。両親はすでに死に、5匹の兄弟で生き残っているのは、うちの犬を含めて2匹。人間の年齢に換算すれば、80歳を超えているでしょう。

 わが家では、文句なく最高齢です。

 目は白濁して、ほとんど見えない。不整脈が出て、心臓の薬を処方されています。足腰も弱くなって、昔はあれだけ好きだった散歩も、あまり行きたがりません。

 還暦を迎え、最近、意味もなくつまづくことが多くなってきた私は、この愛犬の姿が自分のことのように思えます。

 ふだんは室内にいて、排せつは、わが家の狭い庭でさせます。

 その日は、4月なのに夜になると冷え込み、犬を庭に出したとき、ガラス扉を閉めました。その後、犬を出していることをうっかり忘れてしまい、30分ほどして、「そういえば、さっき外に出したままだったな」と気づきました。

 以前なら、家に入りたいときは、吠えたものですが、最近は吠える気力もなくなっています。

「いない!」

 庭は、木の柵で囲まれているのですが、それをすり抜けて、外に出てしまったようです。

「手分けして探そう!」

 私と娘たちで、懐中電灯を持って、手分けして散歩コースを探します。なかなか見つかりません。

 しばらく行って、引き返そうとしたとき、年配のご夫婦らしき人が声をかけてきました。

「もしかして、犬を探しているのでは?」

「はい、そうなんです!」


「ああ、やっぱり。さっき、震えながら歩いている犬を見つけて、迷い犬かな、と思ってました」


 少し離れたところで、そのご夫婦の息子さんらしい若い男性が、わが家の犬にタオルを掛けて抱きかかえているのが見えました。

「ありがとうございます! 年寄りで、目も見えなくなっているんですよ。さっき、家から外に出てしまって、今、家族で手分けして探していたところです」

「それはよかった!」


「本当にありがとうございます!」


 ふらふらとうろついて、車にでも轢かれる危険もあったのに、犬好きのご家族に見つけていただいて、幸運でした。

 ご近所に住むご家族らしいのですが面識はなく、名前や住所も聞きそびれてしまったのですが、今度、あらためてお礼に行かなければと思っています。
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