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犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

韓国便り~焼き肉屋のその後

2008-11-12 00:05:41 | 韓国便り(帰任以後)
 本当なら,昔の馴染みのバーも一軒一軒あいさつに行きたいところだけれども,出張の日程は限られている。今回は,ホテルと目と鼻の先にあるバーにだけ寄ることができました。

(まだあるかな? 漢南洞のダーツバーはつぶれたというし…)

 看板は変わっていないけれど,代替わりしているかも…。

 ドアを押してみると,閑散とした店内の一つのテーブルで,ママが書類を広げている。

「まあ,久しぶり」

「やあ。空いてるね」

「まだ時間が早いから」

と言っても,10時を過ぎています。

「メクチュジュセヨ」

「ボトル,残っているわよ」

「えっ。いつのボトル? 嬉しいな」

 見れば,半年以上前のものでした。

「焼き肉屋さんのほうはどうよ?」

 彼女が焼き肉屋をオープンするというので,企画段階でいろいろと協力してあげたいきさつは以前書いたことがある(→リンク)。

「先月,閉めたの」

「えっ!」

「さっきからその整理してたのよ」

「開店のときは繁盛してたのに(→リンク)」

「濠州産だって書いてもね,やっぱり牛肉はダメ」

「そういえば…」

 数カ月前の牛肉デモ狂乱が蘇ります。
「米国産の牛肉が危険だ」というのは根も葉もない噂だったことがあとになって明らかになったのですが,哀れ,ママのお店を直撃したようです。

「ドンセンにまかせたのも失敗だったわ。親戚なら大丈夫だと思ったのに…」(同生とは年下の弟妹を指す言葉で,これだけでは性別不明)

 最初に組んだ板前がお金を持ち出してクビにしたという話は前に聞きました。今度は身内にも裏切られたようです。

「『若い女社長なのに,大したものだ』って一時は評判になったんだけどね。私,あそこが地元でしょ。けっこう顔が通ってるのよ」

「ソウル出身だったっけ?」

「アーニョ,生まれは田舎。小学校のときは自閉症で,学校にはぜんぜん行かなかったの。中学のときに一人であそこに引っ越してきて,ずっと住んでるのよ。最初は,学校についていくのが大変だった。だって,小学校の分がスッポリ抜けてるでしょう」

(しかし,自閉症だった人がこんなに饒舌になれるだろうか)

「これからどうするの?」

「そうね,今考え中。また何か勉強を始めるわ」

(前に来たときは,モンゴルと貿易をするといって,モンゴル語の勉強をしてたなあ)

 とにかく逞しい女性です。彼女なら,この先もなんとか生き抜いていくでしょう。

「オソオセヨ~」

 団体さんが入ってきたのを潮時にホテルに引き上げました。次に来るときは,どんな事業を始めているのか楽しみです。

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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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あの店… (某延世大留学生)
2008-11-12 02:47:55
つぶれちゃたんですか。それにしても韓国女性は本当にたくましいですね。
返信する
牛肉デモで (犬鍋)
2008-11-15 20:29:54
つぶれたお店はけっこう多いのではないでしょうか。
返信する

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