8月28日に安倍首相が健康上の理由で辞任を表明すると、韓国の新聞は翌日もしくは週明けに、こぞって社説で取り上げました。
安倍政権に対する評価は次の通り。
朝鮮日報社説(29日)
・安倍首相は、A級戦犯らが合祀されている靖国神社を参拝し、日帝による侵略戦争を事実上正当化した。
・韓国の大法院による日帝強制徴用賠償判決について「国際法違反」と主張し、貿易報復によって対抗した。
・安倍首相は国内で政治危機が起こるたびに、露骨な「韓国たたき」を行ってきた。
安倍政権に対する評価は次の通り。
朝鮮日報社説(29日)
・安倍首相は、A級戦犯らが合祀されている靖国神社を参拝し、日帝による侵略戦争を事実上正当化した。
・韓国の大法院による日帝強制徴用賠償判決について「国際法違反」と主張し、貿易報復によって対抗した。
・安倍首相は国内で政治危機が起こるたびに、露骨な「韓国たたき」を行ってきた。
中央日報社説(31日)
・安倍首相は、外交的には保守強硬一辺倒路線で周辺国との衝突を自ら招いた。
・韓国大法院の日帝徴用賠償判決を「国際法違反」と猛攻し、貿易報復措置を取るなど、露骨な「韓国たたき外交」をはばからなかった。
・両国関係は1965年の国交正常化以降、最悪レベルに転落した。
東亜日報社説(29日)
・安倍首相は歴史修正主義で、歴史を美化する傾向があった。
・平和憲法を改正し、日本を戦争可能な国にしようとして、近隣諸国と摩擦を引き起こした。
ハンギョレ社説(29日)
・日本は安倍政権下で急激に右傾化した。
・日米同盟を強化し、集団的自衛権の合法化を強行し、平和憲法9条を変える改憲をたゆみなく進めた。
・安倍首相は「嫌韓」を政治的に悪用して韓日関係を大きく悪化させた。
・韓日関係は、修交以来最悪の状況に陥った。
京郷新聞社説(31日)
・韓日関係が修交以来最悪の状況に陥ったのは、安倍首相の責任が少なくない。
・過去の侵略戦争を美化し、集団的自衛権法制化と神社への参拝などを通じて右傾化を主導した。
・危機が起きるたびに「韓国叩き」に出て、韓日関係を悪化させ、韓国政府が推進してきた韓半島の平和プロセスを損ねた。
韓国日報社説(29日)
・国交樹立以来最悪の韓日関係をここまで追い込んだのは、安倍首相の責任だ。
・集団的自衛権法制化や靖国神社参拝など、日本の右傾化を主導した安倍首相は、韓日関係も国内政治に利用してきた側面が少なくない。
ソウル経済新聞社説(29日)
・強硬な右翼路線を歩んできた安倍総理在任期間中に、韓日関係が悪化した。
・「戦争のできる国」にするための改憲まで推進していた安倍式の強硬右派路線
保守系(朝鮮、中央、東亜)も進歩系(ハンギョレ、京郷)も中道(韓国日報、ソウル経済)も、大きな違いはありません。
要約すれば…
・侵略戦争をした過去の歴史を美化している。
・憲法9条の改正を目指し、集団的自衛権の法制化を強行するなど、右傾化を主導した。
・国内で政治危機があると、韓国叩きを行って、「嫌韓」の雰囲気を政治利用した。
・日韓関係が1965年(日韓条約)以降、最悪の状況になった責任は、安倍首相の責任が大きい。
ただ、保守系の新聞は、安倍が「嫌韓政策」だけでなく、文在寅大統領の「反日政策」も槍玉にあげているところに、若干の違いがありますが。
私には、安倍政権が特別に嫌韓で、韓国叩きをしたから日韓関係が悪化した、という印象はないです。
むしろ、原因は韓国にあったと思います。
ここで安倍政権下、日韓間にどんなことがあったか、振り返ってみます。
第二次安倍内閣が成立したのは2012年12月。当時、韓国の大統領は李明博でした。
李明博時代の2011年12月、ウィーン条約に違反して日本大使館の前に慰安婦像が建てられ、李大統領はこれを黙認しました。
2012年8月には、日韓間の係争地である竹島(独島)に、李大統領が上陸。
10月には対馬のお寺から、韓国人窃盗団によって仏像が盗まれました。犯人はまもなく逮捕され仏像も回収されましたが、そのうちの1体は今も返還されていません。
つまり、日韓関係は、安倍氏が二度目の首相になる前から悪化していたのです。
2013年2月には、朴槿恵が大統領に就任。朴大統領は、意図的に安倍政権を無視し(リンク)、諸外国を訪れるたびに、日本の悪口を吹聴、「告げ口外交」といわれました。
2013年9月6日、韓国は突然「福島や宮城など8県からの水産物輸入を9月9日から全面禁止する」と発表しました。これは9月7日のIOC総会の前日で、「日本は原発事故で汚染されているので、オリンピックを開催するのは危ない」ということを世界にアピールするものでした(リンク)。
朴大統領の嫌がらせはその後も続きます。
2015年5月には、ユネスコ事務局長との会談で「明治日本の産業革命遺産」登録に反対を表明(リンク)。「軍艦島」で韓国人徴用工が強制労働をさせられていたというのがその理由です。「軍艦島」に関しては、史実に基づかない映画が作られ、その後の徴用工をめぐる韓国世論に大きな影響を与えました。
2015年5月には、ユネスコ事務局長との会談で「明治日本の産業革命遺産」登録に反対を表明(リンク)。「軍艦島」で韓国人徴用工が強制労働をさせられていたというのがその理由です。「軍艦島」に関しては、史実に基づかない映画が作られ、その後の徴用工をめぐる韓国世論に大きな影響を与えました。
そんな朴大統領も、長年の懸案であった慰安婦問題に終止符を打つために、2015年末、「慰安婦問題の最終的・不可逆的解決と慰安婦像の撤去」を主旨とする「慰安婦合意」を行いました(リンク)。
ところが、慰安婦像は撤去されないばかりではなく、国内・海外を問わず次々に新しい像が建立され、16年12月には、在釜山日本国総領事館の前に像が建てられるなど、合意は反故同然でした。
一方、韓国ではセウォル号の沈没から朴大統領への非難が高まり、2017年3月に朴大統領は罷免されました。
その後に大統領に就任したのが、反日に凝り固まった文在寅でした。
文大統領は、朴政権下で行われた「慰安婦合意」の見直しを行い、2018年11月に、日本から得た10億円をもとに作られた慰安婦財団の解散を一方的に発表。2019年7月には実際に解散しました。
政府間の正式合意を覆すという暴挙でした。
2018年10月~11月、韓国大法院は、いわゆる徴用工裁判で日本企業(日本製鉄、三菱重工)に賠償命令を下します。これは、「日韓併合条約が当初から無効で、植民地支配は不法であり、その期間に受けた韓国人の苦痛に対して慰謝料を支払うべき」という、100年前の条約内容を覆す、前代未聞の判決でした(リンク)。
当然、日本政府はこの判決に激しく抗議。しかし、文政権は「司法判断を尊重する」と繰り返し、今日に至っています。
そのほかにも、韓国の駆逐艦によるレーダー照射事件(2018年12月)、韓国国会議長による天皇謝罪要求(2019年2月)、日本による「対韓国輸出管理厳格化」とそれに対する「日本製品不買運動」(8月)、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄通告(9月、米国の反対で撤回)など、日韓間の対立は先鋭化しました。
このように振り返ると、今日の日韓関係悪化の原因は、安倍政権にあるのではなく、もっぱら韓国に起因するということがわかると思います。
韓国では、日本の首相交代を機に、日韓関係改善に期待する声が出ていますが、韓国に対し安易な妥協はすべきではないと思います。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます