韓国日本食事情～刺し身

　韓国人の好きな刺し身は白身の魚。

　赤身で食べるのはまぐろぐらいで，ぶり，はまち，あじはほとんどない。さばも煮魚か焼き魚で，刺し身では食べません。

　一番人気はひらめ。

　そのほか，鯛，めばる，すずき，かれいなどでしょうか。

　うれしいのは，メインの刺し身を注文すると，それ以外につきだし（というか立派なおかず）がたくさん出てくるところ。

　さんまの塩焼き，うずらのゆで卵，いかとわかめの酢味噌和え，冷や奴，サラダ，コーンのバター焼きといったところが基本でしょうか。
　量と種類はお店によって違いがありますが。私が韓国に赴任して初めて「日式」（日本料理店）で刺し身を食べたとき，本当に衝撃を受けました。「ひらめ」しか注文してないのに，出て来る，出て来る，

「食卓の脚が曲がるほど」

という表現がありますが，食卓に隙間なくというより，皿と皿が重なるぐらいに，料理が並びます。

　特に，明洞のその店は，サービス料理の種類が群を抜いていた。

　私の赴任前に，日本から来た重役を同じ店に連れて行ったそうです。

　料理が次から次へ，ひっきりなしに出てくるのを見て，出張者は驚くとともにだんだん不安な表情になってきた。

「○○君，そろそろストップかけたほうがいいんじゃない？」

　どうやらこの出張者，日本の串カツの店の「おまかせコース」のように，すべて有料で，ストップをかけるまで出続けると思ったようです。

「大丈夫ですよ。すべてタダなんですから」


「えーっ！？」


　そう思うのも無理はありません。

　前記の基本に加え，茶碗蒸し，てんぷら，生ウニ（！），高麗ニンジン（蜂蜜につけて食べる），生栗・生サツマイモ，手巻き寿司…。

　とにかく際限なく出て来るのです。

　で，お勘定をしてみると，（四人なら）割り勘で酒も含めて３０００円を上回ることはない。大感激です。

　でも，この店，いくらなんでも出しすぎたんでしょう。その後まもなくつぶれました。残念なことです。