床屋のことをイバルソ(理髪所)といいます。
韓国に理髪所は二種類あります。普通の理髪所と普通じゃない理髪所です。普通じゃないほうはどこが普通じゃないかというと,普通じゃないサービスをしてくれるそうです。どんなサービスかというと頽廃的なサービスで,それゆえこの手の理髪所を「頽廃理髪所」ともいいます。頽廃的なサービスがどんなサービスかというと,よく知りません(すみません)。
ただ,たった一回,頽廃っぽい理髪所に足を踏み入れたことがあります。
ほかでもなく,私が赴任したばかりのとき,わが事務所の入っている雑居ビルの隣で,例の理髪所のシンボルマークのネオンが回転していた。
日本のものより,その回転がいくぶん速いような気がしましたが,ある日,散髪するためにその階段を地下におりていきました。
すると親父がひまそうにしていて,
「今日はアガシはいないよ」
と言うのです。
(別に女性じゃなくても,腕さえよければかまいません)
と言いたかったのですが,赴任早々の私の語学力でそれを望むのは無理。(かまいません)の部分だけ言いました。
「ケンチャナヨ」
「最近,若い子はみんなミョンドンのほうに行っちゃうからね。」
(? なーんか,変だなあ。店内もやけに暗いし。)
ともかく,そのアジョシに頭を刈ってもらっていたわけですが,片言で話しているうちに,どうもここは頽廃理髪所らしいということがわかりました。その特別サービスを担当しているアガシが,もっとペイのよいらしいミョンドンのほうに行っちゃって,まだ補充ができていないとのこと。しかし,どんなサービスが行われているのかは,恥ずかしさと語彙不足で聞けませんでしたが。
そうこうするうちに,頭を刈り終わり,洗髪段階に突入しました。洗髪は仰向け型ではなく,うなだれ型。目の前のシンクのほうに屈みます。
おお,冷たい!!
アジョシ,いきなり私の頭に冷水シャワーを浴びせかけるではありませんか。そりゃ夏ですよ,8月ですよ,でも冷水はないんじゃない?
(もしかして韓国ではこれが普通なのか。おれが知らないだけか)
驚きを心の中におさめて,我慢していました。
しかし,髪を洗い終わるころ,次の衝撃的な事件が起こったのでした。
うぉーっ!
突然,アジョシのいかつい手が,私の顔のほうに回ってきて,顔面をビビンバのようにかき回し始めたのです。
(なんだ,なんだ。何が起こったんだ!? でもって,それシャンプーじゃない?)
手は容赦なく私の顔を攻撃し,指が耳穴の中にも侵入します。
しかし,衝撃はこれで終わりませんでした。なんと,アジョシの指は私の鼻の穴にもつっこまれたのです。私は生命の危険をも感じ,思わず
「グフッ」
と声を上げました。
「シオナジョ?」(気持ちいいでしょ)
「……ネー」(とっさに肯定の返事をしてしまったのが情けない)
もしかしたらここはSM頽廃理髪所だったのかもしれません。
それ以来,私は二度とその理髪所には行っていません。
また,理髪所は「普通」と「頽廃」の区別が素人目に極めて難しいので,その後,散髪をしたいときには美粧院(ミジャンウォン=美容院)のほうに通うようにしています。
韓国に理髪所は二種類あります。普通の理髪所と普通じゃない理髪所です。普通じゃないほうはどこが普通じゃないかというと,普通じゃないサービスをしてくれるそうです。どんなサービスかというと頽廃的なサービスで,それゆえこの手の理髪所を「頽廃理髪所」ともいいます。頽廃的なサービスがどんなサービスかというと,よく知りません(すみません)。
ただ,たった一回,頽廃っぽい理髪所に足を踏み入れたことがあります。
ほかでもなく,私が赴任したばかりのとき,わが事務所の入っている雑居ビルの隣で,例の理髪所のシンボルマークのネオンが回転していた。
日本のものより,その回転がいくぶん速いような気がしましたが,ある日,散髪するためにその階段を地下におりていきました。
すると親父がひまそうにしていて,
「今日はアガシはいないよ」
と言うのです。
(別に女性じゃなくても,腕さえよければかまいません)
と言いたかったのですが,赴任早々の私の語学力でそれを望むのは無理。(かまいません)の部分だけ言いました。
「ケンチャナヨ」
「最近,若い子はみんなミョンドンのほうに行っちゃうからね。」
(? なーんか,変だなあ。店内もやけに暗いし。)
ともかく,そのアジョシに頭を刈ってもらっていたわけですが,片言で話しているうちに,どうもここは頽廃理髪所らしいということがわかりました。その特別サービスを担当しているアガシが,もっとペイのよいらしいミョンドンのほうに行っちゃって,まだ補充ができていないとのこと。しかし,どんなサービスが行われているのかは,恥ずかしさと語彙不足で聞けませんでしたが。
そうこうするうちに,頭を刈り終わり,洗髪段階に突入しました。洗髪は仰向け型ではなく,うなだれ型。目の前のシンクのほうに屈みます。
おお,冷たい!!
アジョシ,いきなり私の頭に冷水シャワーを浴びせかけるではありませんか。そりゃ夏ですよ,8月ですよ,でも冷水はないんじゃない?
(もしかして韓国ではこれが普通なのか。おれが知らないだけか)
驚きを心の中におさめて,我慢していました。
しかし,髪を洗い終わるころ,次の衝撃的な事件が起こったのでした。
うぉーっ!
突然,アジョシのいかつい手が,私の顔のほうに回ってきて,顔面をビビンバのようにかき回し始めたのです。
(なんだ,なんだ。何が起こったんだ!? でもって,それシャンプーじゃない?)
手は容赦なく私の顔を攻撃し,指が耳穴の中にも侵入します。
しかし,衝撃はこれで終わりませんでした。なんと,アジョシの指は私の鼻の穴にもつっこまれたのです。私は生命の危険をも感じ,思わず
「グフッ」
と声を上げました。
「シオナジョ?」(気持ちいいでしょ)
「……ネー」(とっさに肯定の返事をしてしまったのが情けない)
もしかしたらここはSM頽廃理髪所だったのかもしれません。
それ以来,私は二度とその理髪所には行っていません。
また,理髪所は「普通」と「頽廃」の区別が素人目に極めて難しいので,その後,散髪をしたいときには美粧院(ミジャンウォン=美容院)のほうに通うようにしています。
>「日本のものより,その回転がいくぶん速いような気がしましたが,ある日,散髪するためにその階段を地下におりていきました。 すると親父がひまそうにしていて,
「今日はアガシはいないよ」・・
すぐに意味はわかりましたけど・・韓国にもあったとは・・驚きです・・文化の違いを感じさせるエピソードですね。恐らく、韓国や台湾では、日本のように保健所の権限が及ぶような事はないでしょう。床屋さんも国家試験に通らないとなれない・・そのへんのアバウトさがトンデモサービスの原因だと思います。
「鼻の穴まで、指を入れてくる・・・・信じられません。」文化の違いは、感性の違いに顕れるかも。