手術の後、妻は日に日に回復していきました。
麻痺が心配された左半身の運動機能も戻ってきているようでした。左手はほとんど正常で、左足も、ベッド上で足を上げたり下ろしたりすることができました。
「よかったね!」
妻もうれしそうにうなずきます。
しかし、口には酸素ボンベが当てられ、手には何種類もの点滴の針が刺さったままです。
一週間が経ったとき、主治医から病状の説明がありました。
「回復は順調です。左足も動いていますね。でも、しばらくは絶対安静です。脳梗塞のあと、4日目ぐらいから血管攣縮の可能性があるからです」
血管攣縮(れんしゅく)というのは、血管が細くなる症状で、これが新たな脳梗塞を引き起こすことがあるというのです。
「まだ何が起こるかわかりません」
「たとえばどんなことですか?」
「脳の手術は体全体に大きな負担をかけますから、心不全を起こすこともありますし、胃潰瘍ができて出血することもあります。2週間たつと、そういう危険はなくなりますから、あと一週間の辛抱です」
妻と二人になった時、
「来週、人間ドックを予約してあるんだけど…」
「キャンセルしとくよ」
「受けられないかなあ」
「受けられるはずないだろ、こんな状態で」
「でも、いちおう先生に聞いてみて」
「…」
点滴だらけで、歩けもしないのに人間ドックを受けようと思うなんて…。
会話は普通にできているのですが、判断力に何か問題が生じているのかもしれません。
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