犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

危険な2週間

2018-09-29 00:05:55 | 介護生活

 手術の後、妻は日に日に回復していきました。

 麻痺が心配された左半身の運動機能も戻ってきているようでした。左手はほとんど正常で、左足も、ベッド上で足を上げたり下ろしたりすることができました。

「よかったね!」

 妻もうれしそうにうなずきます。

 しかし、口には酸素ボンベが当てられ、手には何種類もの点滴の針が刺さったままです。

 一週間が経ったとき、主治医から病状の説明がありました。

「回復は順調です。左足も動いていますね。でも、しばらくは絶対安静です。脳梗塞のあと、4日目ぐらいから血管攣縮の可能性があるからです」


 血管攣縮(れんしゅく)というのは、血管が細くなる症状で、これが新たな脳梗塞を引き起こすことがあるというのです。

「まだ何が起こるかわかりません」

「たとえばどんなことですか?」


「脳の手術は体全体に大きな負担をかけますから、心不全を起こすこともありますし、胃潰瘍ができて出血することもあります。2週間たつと、そういう危険はなくなりますから、あと一週間の辛抱です」


 妻と二人になった時、

「来週、人間ドックを予約してあるんだけど…」

「キャンセルしとくよ」


「受けられないかなあ」


「受けられるはずないだろ、こんな状態で」


「でも、いちおう先生に聞いてみて」


「…」


 点滴だらけで、歩けもしないのに人間ドックを受けようと思うなんて…。

 会話は普通にできているのですが、判断力に何か問題が生じているのかもしれません。


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