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犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

野坂昭如の思い出

2015-12-31 23:44:53 | 思い出

 今年も、いろいろな人が亡くなりました。野坂昭如さんもその一人。

 野坂昭如といえば、アニメ化もされた「火垂るの墓」と、「朝まで生テレビ」での激論を思い出します。

 「火垂るの墓」は、戦争で良心を亡くした兄と妹が、助け合いながら生きようとするも、戦後の食料難の中、妹が栄養失調で死んでしまうという悲しい物語です。

 これは、野坂昭如自身の実話に基づいているとのことですが、本当の実話は、兄である昭如氏が、赤ん坊のための食事を奪って食ったために、妹が死んでしまったのだ、ということを、追悼番組の一つで知りました。

 「物語」のほうでは「妹思いの兄」というふうに美化されていましたが、後になって野坂氏は真実を告白しました。

 真実を告白することは、本当に難しいのだと思います。

 慰安婦証言にも、そうした面があるんだろうなあと想像します。

 野坂昭如氏の「生テレビ」では、「コメ」をテーマにした議論が印象に残っています。

 歴史的な米不足に見舞われた頃、米の輸入の是非を論じていたのですが、野坂氏は絶対反対。理由は、いつかまた戦後の食料難のようなことが起こって、そのときに外国の米に頼っていては、日本国民はまた飢餓に見舞われるから、というもの。

 日本の米は徹底的に保護して、その結果、米価が上がっても国民は甘受すべきだ、いずれ足りなくなるよりは、多少高くても我慢すべきだ。

 終戦後の食料難での辛い思い出がトラウマになっていたのでしょう。

 そういえば、聖域とされていたコメが、TPPでついに開放されることになりましたね。聞くところでは、日本のブランド米が海外の一部の金持ちたちの間で人気が出ているとか。

 野坂昭如氏が想像していなかった展開になるかもしれません。


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