
写真:南米ペルーの首都、リマ旧市街アルマス広場の夜景(アルファインテルより)
関東甲信越に「記録的短時間大雨情報」が出された夜は、日本語教室でした。
地域の国際交流協会でやっている日本語教室です。D(娘の夫、フィリピン人)は生徒として、私は先生として。
「お父さん、こんな雨だけど、行きますか?」
習うのはタダ同然、教えるほうもボランティアなので、どちらも気軽に休むのです。
「雨だから行かないっていう発想、なかったなあ。車だし」
「ハイ、じゃ行きます」
行ってみると、生徒も先生も歩きや自転車で来る人が多くて、教室は閑散としています。
この教室、生徒のレベルがまちまちで、「一斉授業」ではない。そのとき来た生徒と先生が即席でマン・ツー・マンのペアを作るのです。ときには1対2とか、1対3になることも。
私は、いつも教えているフィリピン人ではなく、ペルー出身の女性とペアになりました。歳はほぼ同じで、日本生活が長いので、日本語は流暢。しかし、漢字の読み書きの力をつけたくて、教室に来ているそう。
この日は、NHKの「やさしいことばニュース」というサイト(リンク)をスマホで見ながら学習しました。
このサイトは、その日のニュースがやさしい語彙(漢字は総ルビ)で書かれていて、音声も聴けるし、ルビが表示されないようにすることもできる、すぐれもの。
最初に、ルビつきの文章を見ながら、音声を聴きます。
次に、ルビを消して読んでもらいます。
いくつか読んだあと、ちょっと休憩。
「〇〇さんは、ペルー出身ですよね」
「はい、リマです」
「私の会社に同じリマ出身のペルー人がいて、その人から聞いたんですけど、リマは雨が降らないそうですね」
「はい、ぜんぜん降りません」
「家には傘がないとか?」
「ないです。必要ありませんから」
「同僚はお父さんが日系人で、彼のおじいさんがペルーに来た時に日本から持ってきた傘があって、ときどき友だちに見せて自慢したらしいです」
「ハハハ、リマでは傘は珍しいから」
教室が終わって、帰りの車内でDにその話をしました。
「傘がない? ホントですか?」
「雨がまったく降らないんだって」
Dの故郷はたびたび台風の被害を受ける多雨地帯。
「リマって、砂漠ですか?」
(砂漠なんていう日本語、知ってるんだ。感心、感心)
帰ってから調べてみると、実際、リマは砂漠気候に分類されているらしい。
ペルーの首都、リマは南半球の海沿いの街。南緯12度で赤道から近いにもかかわらず、沿岸部を寒流のペルー海流が北へ流れているため、それほど暑くなく、年間平均気温は18℃。降水量は年間30mm程度で、エジプトのカイロよりも少ないんだそうです。
ケッペンの気候区分では砂漠気候(BW)。
雨らしい雨は、ここ600年間、降ってない! それでも都市が維持できているのは、アンデス山脈に発する川のおかげなんでしょう。
この日、関東各地で、リマの数年分の雨が降ったことになります。
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