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犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

傘のない街

2025-07-12 06:04:23 | 日々の暮らし(2021.2~)

写真:南米ペルーの首都、リマ旧市街アルマス広場の夜景(アルファインテルより)


 関東甲信越に「記録的短時間大雨情報」が出された夜は、日本語教室でした。

 地域の国際交流協会でやっている日本語教室です。D(娘の夫、フィリピン人)は生徒として、私は先生として。

「お父さん、こんな雨だけど、行きますか?」

 習うのはタダ同然、教えるほうもボランティアなので、どちらも気軽に休むのです。

「雨だから行かないっていう発想、なかったなあ。車だし」

「ハイ、じゃ行きます」


 行ってみると、生徒も先生も歩きや自転車で来る人が多くて、教室は閑散としています。

 この教室、生徒のレベルがまちまちで、「一斉授業」ではない。そのとき来た生徒と先生が即席でマン・ツー・マンのペアを作るのです。ときには1対2とか、1対3になることも。

 私は、いつも教えているフィリピン人ではなく、ペルー出身の女性とペアになりました。歳はほぼ同じで、日本生活が長いので、日本語は流暢。しかし、漢字の読み書きの力をつけたくて、教室に来ているそう。

 この日は、NHKの「やさしいことばニュース」というサイト(リンク)をスマホで見ながら学習しました。

 このサイトは、その日のニュースがやさしい語彙(漢字は総ルビ)で書かれていて、音声も聴けるし、ルビが表示されないようにすることもできる、すぐれもの。

 最初に、ルビつきの文章を見ながら、音声を聴きます。

 次に、ルビを消して読んでもらいます。

 いくつか読んだあと、ちょっと休憩。

「〇〇さんは、ペルー出身ですよね」

「はい、リマです」

「私の会社に同じリマ出身のペルー人がいて、その人から聞いたんですけど、リマは雨が降らないそうですね」

「はい、ぜんぜん降りません」

「家には傘がないとか?」


「ないです。必要ありませんから」

「同僚はお父さんが日系人で、彼のおじいさんがペルーに来た時に日本から持ってきた傘があって、ときどき友だちに見せて自慢したらしいです」

「ハハハ、リマでは傘は珍しいから」


 教室が終わって、帰りの車内でDにその話をしました。

「傘がない? ホントですか?」

「雨がまったく降らないんだって」


 Dの故郷はたびたび台風の被害を受ける多雨地帯。

「リマって、砂漠ですか?」

(砂漠なんていう日本語、知ってるんだ。感心、感心)


 帰ってから調べてみると、実際、リマは砂漠気候に分類されているらしい。

 ペルーの首都、リマは南半球の海沿いの街。南緯12度で赤道から近いにもかかわらず、沿岸部を寒流のペルー海流が北へ流れているため、それほど暑くなく、年間平均気温は18℃。降水量は年間30mm程度で、エジプトのカイロよりも少ないんだそうです。

 ケッペンの気候区分では砂漠気候(BW)。

 雨らしい雨は、ここ600年間、降ってない! それでも都市が維持できているのは、アンデス山脈に発する川のおかげなんでしょう。

 この日、関東各地で、リマの数年分の雨が降ったことになります。


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