犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

しばしば

2023-06-09 22:41:52 | 言葉

写真:二匹のしばいぬ(本文と関係ありません)


「今日、新しい日本語を覚えました」

 D(三女の夫、フィリピン人)が言います。

「何を覚えたの?」

しばしば、です」

「しばしば? あまり使わないけどね」

「そうなんですか?」

「話すときは、「よく」を使うよ」


 Dは中学校でALT(英語補助教師)をしています。英語の授業は、自分にとっての日本語の勉強にもなっているようです。

 今日、中学生が授業で習ったのが、英語の「頻度の副詞」。

always、often、sometimes…

 oftenの日本語の訳が、「しばしば」だったというのです。

しばしば〔文〕:たびたび。何度も。(三省堂国語辞典)

 三省堂国語辞典には、〔文〕という表示があり、これは「文章語」を表します。

 岩波書店の『日本語語感の辞典』では、

しばしば【屢(屢々)】:あまり間隔を空けずに何度も繰り返す場合に、改まった会話や文章に用いられる和語。

 「改まった会話や文章に用いられる」となっているので、やはり、日常会話に使うのは不適ということでしょう。

 日常会話にはどんな言葉がいいのか。

 『語感…』には、類義語に「たびたび」、「ちょくちょく」、「ちょいちょい」、「よく」が挙がっています。

 たびたび、よくは「会話にも文章にも使われる日常の和語」となっているけれども、「たびたび」は会話ではあまり使わないのではないでしょうか。

 ちょくちょくは「くだけた会話に用いられる俗っぽい表現」、ちょいちょいは「ちょくちょくの崩れた形でさらに俗っぽい表現」。

 そのほかに、しょっちゅうは、「「いつも」に近いほど頻度が高い」とあります。しばしば、たびたび、よくよりももっと頻繁ということらしいですが、ほとんど同じ気がします。

 Dのような初級レベルの日本語学習者が使うには、やはり「よく」が無難でしょう。

 なお、ベーシックジーニアス英和辞典は、頻度の副詞をまとめていて、頻度をパーセンテージで示しています。

always  :100%
usually、generally  :80%
often、frequently :60%
sometimes :50%
occasionally :40%
seldom、rarely :20%
never  :0%


日本語だと、

always:いつも、つねに
usually、generally:たいてい
often、frequently:よく
sometimes:ときどき
occasionally:たまに
seldom、rarely :めったに~ない
never:けっして~ない


となるでしょうか。

 で、韓国語だと

いつも:언제나(オンジェナ)
たいてい대개(テゲ)
よく:자주(チャジュ)、종종(ジョンジョン)
ときどき:가끔(カックム)
たまに: 때로(テロ)
めったに~ない:거의 ~않다(コウィ~アンタ)
けっして~ない:결코~않다(キョルコ~アンタ)、전혀~않다(チョニョ~アンタ)


という感じになると思います。

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