大阪のブラックデー

　先週後半は大阪出張でした。

　例によって，知り合いのやっている飲み屋に行きました。事前にメールで連絡をすると，特別なつまみを用意するという。これまでも，鮒鮨だとかマッカランのスモークサーモンだとか，珍品を食べさせてくれたので，期待に胸をふくらませていました。

　今回もまた，韓国在住者にはうれしい珍味揃い。

　一つはホタルイカ。
　４～５月にしか獲れないという旬の魚です。日本海（韓国名トンヘ，東海）のものだから韓国にもたぶんあるのでしょうが，私はお目にかかったことがない。

　もう一つはカツオの刺身。
　これは韓国で入手不可能。「もともと太平洋の魚で韓国人になじみがない」とか，「鮮度が命で魚の保存技術に難がある韓国ではおいしく食べられない」などの理由もありますが，いちばん大きいのは「韓国人の嗜好に合わない」からだと思います。

　以前，日本で留学生を家に招待したときにカツオの刺身を出したところ，「ピリンネガナンダ（生臭い）」と言って，いたく不評でした。概して韓国人は，生臭系の赤身魚は苦手のようです（マグロを除く）。

　この二品，韓国帰りの私にとって，どちらもありがたい逸品。

　それだけではない。

「なんか魚がらみの記念日だといって，デパートでイベントをやっていた。これは予定外だったんだけど…」と出てきたのが赤身マグロの刺身。なんでも，お客さんの目の前でマグロの解体実演をやっていたそうです。

　ということで，新鮮な海の幸がずらりと並びました。

　で，酒をどうするか。

　実はこのお店の「売り」はスコッチモルトなんですね。でも，ホタルイカ，カツオ，マグロにマッカランでもないか，ということで，私がおみやげにもってきたチョウムチョロムで一杯やりました。

「何の日か」というのが気になって，韓国に戻ってから調べてみると，４月１３日は「水産デー」だそうです。「漁業法」という法律が制定されたという，いたって地味な記念日ですが，そこはデパート，利用できるものはなんでも利用しようということでしょう。

　ついでにいうと，翌４月１４日は韓国の「ブラックデー」。

　バレンタインデー，ホワイトデーに縁のなかったさびしい男女が，やけくそで真っ黒のチャジャンミョンを食う日です。

　われわれ二人は妻帯者だから関係ありませんが，ホタルイカの墨も黒いから，ブラックデーにそぐわないこともない。