永田町であるジンクスが囁かれている。「元号が変わると政権が崩壊する」──過去に、明治・大正・昭和・平成と元号が変わった際も、当時の政権は半年も持たずに崩壊している。安倍政権も例外ではない。盤石に見える政権に、実はこんなにも“落とし穴”があった。
「12年前を少し思い出してしまう」
BSフジの討論番組(4月10日放送)に出演した林芳正・前文科相は、桜田義孝・五輪相更迭の一報を聞いて思わずそう口にした。
12年前の第1次安倍政権は失言や事務所費問題で5人の大臣が辞任し、支持率は急落。国民の批判を浴びて参院選に大敗、総辞職につながった。
今年も夏に参院選を控える中、「忖度発言」の塚田一郎・前国交副大臣に続いて桜田氏と4月だけで2人が失言で辞任。萩生田光一幹事長代行が、10月の消費増税に関し、延期を示唆したことも批判を浴びた。しかも、閣内には“ハイリスク大臣”たちが控えている。
日経新聞政治部OBの政治ジャーナリスト・宮崎信行氏は、現内閣は「失言の火薬庫」だと指摘する。
「失言王の麻生太郎・副総理に“炎上女王”の片山さつき・地方創生相、『教育勅語は道徳に使える』発言で物議を醸した柴山昌彦・文科相、さらに大臣政務官には財務省のセクハラ騒動の際に『(野党の女性たちは)セクハラとは縁遠い方々』とツイートして炎上した長尾敬氏をはじめ注意が必要な“魔の3回生”が並んでいます」
参院選敗北の気配は日に日に濃くなっている。
「自民党は大阪ダブル選挙で大敗し、続く沖縄と大阪の衆院補選でも2敗。自民党選対は参院選で取りこぼす心配がある激戦区を11から16に増えたと判断してテコ入れを図っているが、参院選はただでさえ改選議席が多い自民党の大幅減は避けられない情勢です」(政治ジャーナリストの野上忠興氏)
そうなれば、選挙責任者の二階俊博・幹事長は参院選後の引責辞任が避けられない。
ただし、実力者の二階氏の更迭は首相にとって虎を野に放つようなもの。「二階派が反主流派に回って一気に安倍降ろしに走り出す可能性がある」(同前)からだ。
自民党大乱の始まりになる。
※週刊ポスト2019年5月3・10日号