イエメン南部独立派が大統領宮殿占拠、「内戦の中の内戦」で人道状況悪化の懸念 (AFPnews 2019/08/11)
日本は、平和そのもの。
内戦がない。
テロがない。
民族紛争がない。
宗教紛争がない。
【8月11日 AFP】イエメン南部の独立を目指している「南部暫定評議会(STC)」系の武装勢力が10日、同国第2の都市アデン(Aden)で激しい戦闘の末、アブドラボ・マンスール・ハディ(Abedrabbo Mansour Hadi)暫定大統領の宮殿などを占拠した。イエメンが「内戦の中の内戦」に陥り、世界最悪水準の人道状況が一層悪化する懸念も出ている。
親イランのイスラム教シーア派(Shiite)系反政府組織フーシ派(Huthi)と戦ってきた南部暫定評議会と暫定政権だが、死者が出る激しい戦闘となったことで、両者の深い対立が改めて示された。
イエメン北部で生まれたフーシ派と戦っているサウジアラビア主導の連合軍は、現在サウジにいるハディ暫定大統領を支援している。
サウジの同盟国であるUAEによって訓練を受けた武装勢力、セキュリティーベルト隊(Security Belt Force)もフーシ派と戦ってきたが、セキュリティーベルト隊は7日からアデンで暫定政権側と戦闘を繰り広げていた。
セキュリティーベルト隊は主に、イエメン南部の独立を目指す南部暫定評議会を支持する戦闘員から構成されている。イエメン南部は、英国から独立した1967年から南北イエメンが統合して現在の形になった1990年まで、北部とは別の独立国だった。
今回の戦闘は7日、セキュリティーベルト隊の指揮官の葬儀の最中に始まった。この指揮官は、フーシ派が今月1日にアデンの西にある訓練キャンプをドローンとミサイルで攻撃した際に死亡した36人の中の一人だった。
医療関係者によると7日からの戦闘で少なくとも18人が死亡した。国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」は9日、8日の夜以降、75人の負傷者を治療したと発表した。
セキュリティーベルト隊の幹部は10日夜、大統領宮殿にいた約200人の兵士を安全に退去させ、宮殿を占拠したと明らかにした。その際に戦闘はなかったという。ある目撃者も、大統領宮殿がセキュリティーベルト隊に引き渡されたと語った。
暫定政権とセキュリティーベルト隊の関係は数年前からこじれており、2018年1月にも暫定政権が南部独立派の集会を妨げたことをきっかけに戦闘となり、3日間で38人が死亡、222人が負傷していた。
独立系シンクタンク「国際危機グループ(ICG)」は、反フーシ派同士の争いでイエメン南部が「内戦の中の内戦」に陥り、世界最悪の水準にある同国の人道状況が更に悪化して政治的解決を一層難しくする恐れがあると警告した。
暫定政権は、アラブ首長国連邦(UAE)の支援を受けた「クーデター」だとして激しく非難した。
UAEの国営首長国通信(WAM)によると、同国のアブドラ・ビン・ザイド・ナハヤン(Abdullah bin Zayed Al-Nahyan)外務・国際協力相は、UAEは状況の沈静化に向けて最大限の努力をしていると述べるとともに、イエメンの暫定政権と南部独立派は互いに戦うのではなくフーシ派との戦いに集中すべきだとの考えを示した。