徒然なるままに、一旅客の戯言(たわごと)
*** reminiscences ***
PAXのひとりごと
since 17 JAN 2005


(since 17 AUG 2005)

BOMBARDIER CRJ200 に緊急勧告 - NTSBより

 またまた NTSB: National Transportation Safety Board (米国国家運輸安全委員会)からのメールに目が止まってしまいました。

今回も緊急勧告( URGENT RECOMMENDATIONS )で、その対象となった機種は、カナダの BOMBARDIER 社の REGIONAL JETS、CRJ-200 です。

当該機種は、日本でもJALグループの J-AIR および ANA Connection でも知られている IBEXエアラインズ で導入、運航しています。

今回の勧告の背景は、この半年に起きた6件を含む7件の火災です(いずれの火災でも負傷者はゼロ)。幸いにも負傷者が出ることはありませんでしたが、これらの火災のうち4件においては、一時的ではあるにせよ電源が全て失われる事態に陥り、ハイテク機の象徴でもある EFIS: Electronic Flight Information System のディスプレイ表示が真っ暗になり、運航乗務員は飛行に重要な主要計器の情報を得ることが出来ず、緊急時に更なるワークロードの増加をもたらしました。

火災原因を詳細に調査した結果、ジェットエンジンに装備された発電機から供給される三相交流のスイッチ素子「1K4XD contactors」に用いられている絶縁体“ Ultem 2200 ”に問題があることをつきとめました。

※「contactor」が水に濡れると、絶縁体である Ultem 2200 は電圧が印加されている間にその特性が徐々に変化、回路短絡( short circuit )で水が蒸発した後も、特性変化した Ultem 2200 は絶縁性が失われ、回路短絡をさらに促進させることを確認した。ショートによるアークは高さ1フィートにも達し(タイトル画像)、炎は約100秒間続いた。

※ CRJ-200 「1K4XD contactor」は絶縁体が異なる二種類存在し、初期バージョンの絶縁体は、NP509 グラス・ファイバーをメラミン樹脂ラミネートした G-9。
Ultem 2200 は2000年3月、新たに使用を承認されたもの。

また、この「1K4XD contactors」が設置されている場所が、酸素供給配管に近いため、重大事故につながる危険性があることも指摘しています。

Burned area beneath the left forward cabin floor

以下のメール原文の一部からも、NTSB が事を重視していることがうかがわれます。
"The problems identified in the Board's letter must be corrected as soon as possible," NTSB Acting Chairman Mark V. Rosenker said. "The potential consequences of these fires can be catastrophic."


今回の勧告も FAA: Federal Aviation Administration (米国連邦航空局)に対するものです。

下手くそな訳よりも、原文の方が確実ですし、下手なりにも訳す時間の節約にもなるので、勧告した事項は原文で以下に引用します。
ちょっと長いですが、勘弁して下さい。
The texts of the recommendations to the FAA are:
o    Immediately require operators to provide separation of electrical power sources in CRJ-200 airplanes to prevent the potential loss of electronic flight instrument system displays that may result from contractor failures. (A-06-29) Urgent

o    Require Bombardier to develop a means of protecting electrical terminals on Tyco Hartman 1K4XD contractors fitted with Ultem 2200(polyetherimide) terminal bases from moisture-induced short circuits. (A-06-30) Urgent

o    Once Bombardier has developed a means to protect electrical terminas on Tyco Hartman 1K4XD contractors fitted with Ultem 2200 (polyetherimide) terminal bases a recommended in Safety Recommendation (2), require operators to install the protection as soon as possible. (A-06-31) Urgent

o    Require Bombardier to expedite the replacement of 1K4XD contactors on CRJ-200s with contactors that are not susceptible to short circuit. (A-06-32)

o    Require Bombardier to demonstrate the capability of electrical components to safely tolerate exposure to moisture or conductive fluids under full electrical load when such components may be inadvertently exposed to such conditions. (A-06-33)

o    Require all airplane manufactures to determine whether any electrical components on their aircraft are manufactured with Ultem 2200 (polyetherimide) or similar material with arc-tracking characteristics and require removal or protection of these components to prevent potential fires. (A-06-34)

o    Require Bombardier to immediately evaluate existing abnormal and emergency procedures for the CRJ-200 airplane to determine whether they adequately address the fire hazard presented by the failure of the 1K4XD contractor and provide flight crew with additional guidance as needed. (A-06-35) Urgent

今回の勧告内容も立派なものです。
単に問題の発端となった「 CRJ-200 を点検せよ」に止まらず、“ Ultem 2200 ”と類似材料に関する注意喚起を全ての航空機メーカーに行なっていること、現在の CRJ-200 の運航マニュアル中の非常時の手続き( abnormal and emergency procedures )が適切かどうか直ちに評価することまで言及しているのですから....。

この勧告を受けて、FAA ならびにボンバルディア社は何らかのアクションをとることでしょう。
当然、当該機種のオペレータに宛てた通知が日本にも届く筈です。

日本のオペレータの機材に、問題の絶縁体を用いた 1K4XD contactor が搭載されているかはオペレータでないので定かでありませんが、何らかの対応整備のため、機材繰りによる欠航または機種変更があるかもしれません。
ご利用のお客様にはご理解の程を。
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財源は?

 ICAO Annex 13 に違反して民事・刑事訴訟に事故調査報告書を平気で用いている国は、突如として“すっとんきょん”な事をしますね。

この記事を見るに、当該事故で怪我をされたお客様やCAに当該機を運航していた日本航空と日航が加入していたであろう東京海上火災は、額が相応かどうかは不明ですが、治療費などを負担していたようです。

で、『悪者は誰だ』を徹底追求しなければ気が済まない本邦では、日航と東京海上火災は、『悪いのはJCABだ』として国に損害賠償を求めていたのですね。

そもそも(今回の件で)損害保険会社が、国に損害賠償を求める根拠はどこにあるのでしょう。

それも不思議ですが、国土交通省が会計年度末ぎりぎりの31日に8千万強を支払うと決めたことも、なんとも“然もありなん”といった感じが拭えません。

意味も無く道路を掘りかえして予算消化しているのと同じノリですか?

だとしたら、怪我をされたお客様、CAを馬鹿にしてますよ。

何のために事故調査を行ったのか、事故調が国土交通省の内部部局である骨抜き状態では、それに異議を唱える委員もおらんでしょうし....。

現場の血の滲むような努力とは裏腹に、航空後進国街道驀進中ですな。

さらに血圧を上げるのは引用記事の書き方。

「管制官の誤った指示の後、」余計ですよ!!!!
事実だけれど、それをあえて記したのは、それなりの考えあってのことでしょう。

それならば、有名人が来日した際の記事でも、
 「○○氏は、本日夕方、3回にわたる管制官とパイロットとの交信ミスの後、△□空港着の飛行機で来日した。」
とでも書いたら如何でしょうか。


<日航機ニアミス事故>国が賠償金支払いへ (毎日新聞) - Yahoo! ニュース
 静岡県上空で01年、管制官の誤った指示の後、日本航空機同士がニアミスして機内で計100人が重軽傷を負った事故を巡り、国交省は31日、日航と東京海上火災に計約8250万円を支払うと発表した。乗客への賠償費用を負担した両社が国に損害賠償を求めて東京地裁に調停を申し立てており、国が地裁の調停案に応じた。

(毎日新聞) - 3月31日12時50分更新



【追記:15:37】 引用記事を追加しました。

普段は鼻息が荒い某社も、冒頭ではシンプルに“日本航空機2機が異常接近(ニアミス)し”とか“日本航空の2機が異常接近(ニアミス)し”と表現したことは、真摯に受け止めましょう。

言いたいことは多々あれど、そう単純な問題では無いだけに、きょうのところはJCABトップの談話を真摯に受け止めておきましょう。


焼津上空の日航ニアミス、国が和解金8246万円 (読売新聞) - goo ニュース
 静岡県焼津市上空で2001年1月、日本航空機2機が異常接近(ニアミス)し、乗客100人が重軽傷を負った事故で、国土交通省は31日、日航などに対して計約8246万円の和解金を支払う民事調停が東京地裁で成立したと発表した。
 同事故では今月20日、日航機側に誤った指示を出したとして業務上過失傷害罪に問われた管制官2人が無罪判決を受けたが、民事調停では、国側が「当時の管制のシステムなどに不十分な点があった」と過失を認めた。

 日航と、航空保険契約を日航と結んでいる東京海上日動火災保険が04年7月、国に損害賠償を求めて民事調停を申し立て、調停委員会が30日、和解案を提示して双方が合意した。

 国交省は賠償金の内訳は公表できないとしているが、けがをした乗客に対する賠償金の補てんのほか、機体の修理費用なども含まれているという。

 この事故で同地裁は、衝突防止装置(TCAS)の指示に従わなかった日航機の機長の判断ミスも事故原因の一つと指摘。便名言い間違えで誤った指示を出した管制官については、「事故を予見できなかった」と述べ、過失を認めなかった。

 岩崎貞二・国交省航空局長の話「事故で100人が負傷されたことは事実で、これを真摯(しんし)に受け止めて賠償に応じた」

2006年 3月31日 (金) 13:28
国が日航に8千万円賠償 静岡沖のニアミス事故で (朝日新聞) - goo ニュース
 静岡県焼津市の上空で01年1月、日本航空の2機が異常接近(ニアミス)し、乗客・乗員100人がけがをした事故を巡り、国土交通省は31日、国が日航側に約8246万円を支払う調停が成立したと発表した。業務上過失傷害罪で起訴された管制官は無罪判決を受けたが、判決では管制システムの不備などが指摘されており、国交省は「一定の責任を負うべきだと判断した」という。

 この事故では羽田発那覇行きの日航907便と韓国・釜山発成田行きの日航958便がニアミスし、回避で急降下した907便の乗客らがけがをした。日航は、乗客への補償交渉が終わった04年7月、保険金を支払った東京海上日動火災保険とともに、治療費や慰謝料、機体修理費などの賠償を求めて調停を申し立てており、東京地裁の調停委員会が昨年8月に調停案を提示していた。

 「便名を取り違えて指示をした」などとして起訴された東京航空交通管制部の管制官2人に東京地裁は20日、無罪判決を言い渡した。一方、航空機の空中衝突防止装置の指示が管制官に把握できないなどの問題点も指摘していた。

 国交省の岩崎貞二・航空局長は「本件事故で100人の方々が負傷された事実を真摯(しんし)に受け止め賠償に応じました」との談話を出した。

2006年 3月31日 (金) 14:05
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Q400でもフォッカー50でも駄目

 昨日は小生も「天中殺か」と疑うほど不運な一日だったのですが、Q400にとっても、また大変な日だったようですね。

Q400は相変わらずというか、警告等点灯のトラブルだったようですが、その代替機材として引き出されたフォッカーも Cockpit Window にヒビが入るとは....。

それも、Inner Pane とのことなので、珍しいことですね。
(通常であれば、Outer Pane の方が細かな傷がついたりしているので、ヒビが入る場合のきっかけになるのですが)

Inner Pane が「劣化」でヒビが入るまでには相当の時間が必要だと思うのですが、劣化を促進させる何かがありましたかねぇ。

例えば、Right Seat に着席していた Left Seat Approved のライン操縦教官が、昇格訓練中のコーパイさんに雷を落としまくった、とか....。

当該便の運航にたずさわったクルーの方々と『乗降の繰り返しを強いられた』お客様には、さぞ大変だったことでしょうが、大事に至らなくて何よりでした。

代替機でもATBとは、明後日のニュースなら「冗談でしょ」と受け止める人がいたかも知れませんね。

[駄弁]
先日、ラジオのニュースで聞いたのですが、どこかの病院でエレベータが故障し、ドアが開かなくなったまま、1階と7階との間を約30分間往復し続けたそうです。
エレベータ内には患者さんなどが閉じ込められ、具合が悪くなった方もいたそうです。
そりゃぁ、30分間も1階と7階との間を上下し続けていたのですから、考えただけでも pseudo-airsick ですわな。


新潟行き全日空便、代替機含め2度も引き返す (読売新聞) - goo ニュース
 29日午後1時15分ごろ、中部国際空港発新潟行き全日空1811便(ボンバルディアDHC8―400、乗客38人)が、愛知、岐阜県境の高度約6400メートルを飛行中、昇降舵の不具合を示すランプが点灯した。

 昇降舵自体は作動したため、同機は同2時前に中部空港に引き返した。

 1時間45分後に代替機のフォッカー50で乗客31人を乗せて出発したが、岐阜県上空約5800メートルを航行中、副操縦士席の内側窓ガラス(縦40センチ、横50センチ)全面にクモの巣状のヒビが入ったため再び引き返し、同4時50分に着陸した。乗客は無事で、同6時20分発の定期便で新潟に向かった。

 運航しているエアーセントラルで原因を調べているが、窓ガラスは劣化してヒビが入ったらしい。

2006年 3月29日 (水) 23:23
全日空便、2度引き返し ボンバル機など中部空港に (共同通信) - goo ニュース
 29日午後1時15分ごろ、岐阜県上空を飛行中の中部空港発新潟行き全日空1811便ボンバルディアDHC8(乗客乗員42人)が、水平尾翼の後部にある昇降舵の不具合を示すランプが点灯したため、中部空港に引き返した。

代替機のフォッカー50(乗客乗員35人)は午後3時40分ごろ、乗客を乗せて再離陸したが、約30分後に上空で、操縦席の窓ガラスに縦40センチ、横70センチのクモの巣状のひびが入り、再び中部空港に戻った。

けが人はいなかったが、乗客は乗降の繰り返しを強いられた。乗客のうち一部の人は、さらに後発の新潟行き定期便に乗り換えた。

2006年 3月29日 (水) 18:54
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NTSBよりメール - A300 Rudder についての緊急勧告

 NTSB: National Transportation Safety Board (米国国家運輸安全委員会)からのメールに目が止まりました。3月24日に発行された Airbus A300 シリーズの Rudder (方向舵)に関する緊急点検に関する内容です。

本邦では A300 を運航しているのはJALだけであり、NTSB から FAA: Federal Aviation Administration (米国連邦航空局)に対する緊急勧告には ... of certain Airbus A-300 series airplanes と書かれているので、JAL保有機が当該勧告対象に相当するかは不明です。

が、勧告が出たことは事実ですから念のため記しておきます。

事の発端は2005年11月27日、FedEx が運航する A300-600 (登録記号: N717FE )の定期整備における rudder (方向舵)[Parts Number (P/N) A55471500 (premodification 8827)]の損傷です。

が、その背景には同2005年3月6日に、Air Transat 961便、A310-300 (登録記号: C-GPAT )が、キューバのリゾート地バラデーロ( Varadero )は Juan G. Gomez 国際空港を離陸、巡航高度の 35000feet に達した後、方向舵が振動を伴い垂直尾翼から空中で分離し、ATBした事故(幸いにも乗員・乗客に負傷者は無し)があります。

 ASN Aircraft accident description Airbus A.310-308ET C-GPAT - Varadero

この事故を受け、2005年3月18日、フランスの民間航空総局 DGAC: Direction Générale de l'Aviation Civile は緊急耐空改善命令 Emergency AD: Airworthiness Directive、 UF-2005-048 を発行、FAA も10日後の28日に AD 2005-07 を発行しました。

そのADでは、特定の方向舵(改修前の8827、あるいは 40904 )を備えた全ての Airbus A300 シリーズの当該方向舵を点検するように指示されていました。

[指示は、Airbus 社が3月17日に発行したテレックスによる緊急指示 AOT: All Operators Telex A300-55A6035 に基づいた内容であった。]

米国では、アメリカン航空と FedEx が該当する A-300 を運航していましたが、両社とも当該ADに沿って緊急点検を行ないました。

※点検は継続性を求めるものではなく、ワンタイムのものであった。

そのADに従って点検を行なったにも関わらず、定期整備中に当該方向舵が破損したことを重く見た NTSB は方向舵の分離部分の更なる調査を行い、Airbus 社が発行した AOT A300-55A6035 には指摘されていなかった新たな問題(油圧フルードの汚染が分離を促進させ、方向舵の強度低下を招く)を発見しました。

本年、2006年3月2日、Airbus 社は該当するエアバスを運航している航空会社に対して A300-55A6042, A310-55A2043, A330-55A3036, A340-55A403 と4種の AOT を送付したのですが、NTSB は Airbus 社が当該 AOT において指示してきた「6ヶ月以内または500飛行サイクル以内に目視点検すること(点検に要する時間は約2時間)」「飛行サイクルに応じた最大許容分離幅(分離幅130ミリ未満であれば2500飛行サイクル以内に恒久的措置を講ずること;130ミリ以上200ミリ未満なら1500飛行サイクル以内、など)」等には大筋同意するものの、「500飛行サイクル、という値が解析やテスト、安全リスクによる裏付けがない」「分離を発見したのに未修理の状態で最大2500飛行サイクルを許容しいている」点に懸念を示したのです。

そして、
2006年3月2日付けの Airbus 社 All Operators Telexes (AOT) A300-55A6042, A310-55A2043, A330-55A3036, A340-55A403 に直ちに従うこと。

点検において方向舵表面に何らかの分離が発見された場合は、AOT で示された2500飛行サイクルを待つことなく、早急に恒久的措置(方向舵交換)を実施すること。

という緊急勧告(A-06-28)をFAAに対して行ないました。

独立の米国国家運輸安全委員会が、事故調査のみならず安全対策について目を光らせている体制。しかも、航空機メーカからの改修指示内容を吟味して、安全性に問題があると疑われる場合には、メーカの指示よりも厳しい基準で耐空改善命令を促す勧告を米国連邦航空局に対して行なう。

強いて例えるなら、事故調査委員会または独立した機関が国土交通省や同省航空局に勧告-それも相当に強い勧告-を行なっていることになります。

このようにして、安全を維持し、事故を未然に防ごうとしている体制、学ぶべきところが多いと思います。

誤訳や意訳ばかりでありましょうから、当該安全勧告の原文(こちら→NTSB Safety Recommendation )を参照してください。
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体制の立て直しが急務かも

 運航再開に向けた再検査でこれとは、一瞬目を疑ってしまいました。

当該メカニックさんのモラールの問題もありますが、“コストダウンの矛先”の被害に遭っていた整備部門の抜本的な体制立て直しが急務です。
さもないと、運航に供される(リリース)される機体をどこまで信頼して良いものか。
Cockpit Crew までも「きょうの機体は大丈夫?」と心配になってしまうことでしょう。

当該再検査はそのメカニックさん一人で行なっていたのでしょうか。
もしそうであればマンニングの問題があります。
運航再開への重要な検査なのですから、複数のメカニックさんが立ち会って作業をするとか、仮に検査作業そのものは一人で行なった(行なえるワークロードであった)としても、その後、別のメカニックさんによるクロスチェックを行なう等、検査結果をレビューする体制・人的リソースをかけないと。

当該再検査が複数のメカニックさん立会いのもとに行なわれていたのにこのような結果になったのだとすれば、整備の現場も物言えぬ職場になってしまっているのでしょうか。

メカニックさんの仕事の大変さは多少なりとも理解しているつもりです。

厳寒の吹雪の中や激しい雨の中、照り返しで灼熱地獄のような真夏の日、どんなときでもタイムプレッシャーと戦いながらT整備を実施し、ship を万全な状態でリリースしなければなりません。

人々が寝静まっている深夜、ハンガーで翼を休める機体を徹夜で点検・整備する苦労。

勤務は夜勤も含むシフト体制で、時差と戦う運航乗務員に匹敵、ある意味それ以上に大変な仕事です。

「空が好きで・飛行機が好きで」という方々がほとんどでしょう。でも会社の施策でやれ賃金カットだ、人員削減だ、海外委託整備だ、と自分たち現場の声を解ってくれようともせず、挙句の果てに海外委託整備に出して帰ってきた機体の整備結果がボロボロであったら、モラールを維持するのも大変な苦労でしょう。

会社施策が不適切であれば、モラール維持が困難になり職場を離れる事態になることは、SKY社の事例をみれば明白です。

航空機がハイテク化して、制御系では電子化が進み、その学習も大変であるのに、いくらハイテク化されている航空機であっても、揚力装置・操舵系・着陸装置の本体そのものは想像を絶する部品点数で組み上げられている機械装置であり、それらに対する機械的検査(金属疲労や亀裂・破損の発見)と整備には、昔ながらの地道な作業、それも器用さを求められる作業、が欠かせません。

会社も“聴取”などと、個人の責任を問うことばかり考えていないで、このようなことが発生した背景、再発を防ぐための組織としての対策、それも現場に通達を出す程度の稚拙なものではなく、整備現場の実情を的確に把握し、整備士が持てる力を存分に発揮し、チームとして最高の整備水準を達成できるようにするための、組織全体を見直すくらいの抜本的対策を講じないとなりません。

整備本部長も経営に対してゴマをすって、やれ「未知の領域を飛んでいる」だとか「安全上極めて重要だと認識している」など、中途半端で経営に都合よく解釈されるようなことばかり言ってないで、自分の保身など考えずに現場の代表者としてガツンとトップに食ってかかってもらいたいですね。

そもそも、内閣改造の度に変わるかも知れん大臣様に『反省せよ』なんていわれている事態が異常なのですから、そのことに対して「充分に反省」することです。


日本航空 手抜き検査で運航再開 整備士「早く終えたかった」 (産経新聞) - goo ニュース
 日本航空のMD87型機が主脚の検査期限を十日間過ぎたまま飛行していた問題で、運航を再開する際に同社が行った検査も、所定の作業を省略するなど極めてずさんな内容だったことが分かった。国土交通省は、この機体の運航停止と再検査を求める異例の行政指導に踏み切った。「検査忘れ」に「検査手抜き」が重なり、トラブルが続発する同社の安全管理態勢が改めて問われる事態となった。

 国交省や日航によると、問題の検査個所はこの機体の左側主脚の根元部分。本来は三月十一日までに検査が必要だったが、未実施のまま十日間に国内で四十一回の飛行を続けていたことが二十日に判明した。

 日航は二十日夜から二十一日未明にかけ、この機体が駐機していた新千歳空港(札幌)で検査を実施。羽田空港所属の整備士(44)が出張し、表面のひび割れの有無を確認する「蛍光浸透探傷検査」と、内側を調べる「磁粉探傷検査」を任されて「問題なし」と判断。このため運航が再開され、二十一、二十二日に計十二回飛行していた。

 ところが、国交省が日航側から検査の内容を聴取したところ、「蛍光浸透探傷検査」で手抜きがあったことが判明した。

 同検査には洗浄液と浸透液、現像液の三種類が必要だが、整備士は規定外の洗浄液を使ったうえ、現像液による検査を省いていた。羽田空港との連絡ミスなどで洗浄液と現像液が新千歳に届かなかったためという。

 整備士は平成十四年に検査の資格を取得。日航の聴取に対し「『磁粉探傷検査』は行っており、全体としては問題ないと判断した。早く検査を終えたかったこともある」などと話したという。

≪「反省せよ」 北側国交相≫

 日航の整備士がMD87型機の主脚点検の際にずさんな作業を行っていた問題で、北側一雄国土交通相は二十四日の閣議後の記者会見で「翌日の飛行機を遅らせてはならないという理由でやったのなら問題だ」と指摘した。

 北側国交相は「点検はルール通りにやらなければならないし、完全にできないなら欠航もやむを得ない。単純なミスではなく社内の安全意識の度合いを量ることができる問題で、反省してもらいたい」と述べた。

2006年 3月24日 (金) 15:36
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WBC凱旋帰国 FLT INFO

 テレビでは成田ヒルトン・ホテルでの凱旋帰国会見の模様が報じられています。

チャーター機ですが、19時35分、成田空港第2ターミナルのA62番スポットに Block In しました。

JAL8805/21MAR SAN-LAX-NRT はサンディエゴを出発後、一旦ロサンゼルスに Technical Landing して給油、太平洋を越えて19時26分、成田空港 Runway 34L に着陸しました。

以上、PAXの Flight Information でした。


王ジャパンが凱旋帰国 WBC初代王者の日本代表 (共同通信) - goo ニュース
 米大リーグのトップ選手が初参加した野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で初代王者に輝いた日本代表が22日夜、成田空港着のチャーター機で約2週間ぶりに帰国した。

強豪キューバとの決勝から一夜明けた米国時間21日午後(日本時間22日早朝)に米サンディエゴを出発。アリゾナ州のキャンプ地へ移動したイチロー外野手(マリナーズ)と大塚晶則投手(レンジャーズ)のメジャーリーガー2人を除き、王貞治監督(ソフトバンク)や最優秀選手(MVP)に輝いた松坂大輔投手(西武)ら「王ジャパン」のメンバーが元気な勇姿を見せた。

2006年 3月22日 (水) 20:04
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今後はこのような事が無いように頼みます

 やっとのことで執念深いS町氏が退くのですから、奴等が強行してきた悪しき経営体質に起因する“安全性を切捨ててのコストダウン”に終止符が打たれ、もう二度とこのような事が無いように切に願う次第です。

“整備ミスが判明後、ただちに問題があった機体の使用を中止。点検の結果、主脚部品に亀裂などの不具合は見つからなかったため、安全上の問題はなかった”

では、SKY社の「結果オーライ」と同じではないですか。

着陸装置は言うまでも無く極めて重要な部位。春先の気まぐれな風に影響されて Hard Landing となり、ギアピンもろとも“ボッキリ”といってしまったら大変な事故になりますよ。

それで無くとも、MD87 が投入される路線には滑走路長に比較的短く、気象条件も厳しいところが多いのですから、Station での整備は念入りに行なってもらわないと。

SKYWARD (JALの機内誌)には未だ顔を出していますが実質的には既に新体制になったのですから、現場は上に気兼ねすることなく、また「我々が上層部の考え方を変えてやる」との強い意志をもって、しっかりとした整備体制を取り戻して下さい。

引用記事にもありる、2004年1月1日、徳之島空港で発生したハーレクインエアの JA8297 DC9-81 (日本エアシステムから運航受託)左主脚損傷事故ですが、事故調査委員会からの報告書は未だ出ていません(経過報告のみ)。

何でも、「事故発生以来、鋭意調査を進めて基本的な調査はほぼ終了しているが、最終的に報告書を取りまとめるまでに、なお時間を要すると見込まれる」らしいです。

その(時間を要する)原因の一つとして;

 米国に意見照会を行い、その回答が来るまでに時間を要すること

となっております。


日航、点検期限を超えて41便運航…国交省が厳重注意 (読売新聞) - Yahoo! ニュース
 日本航空が保有するボーイング社の旅客機で、強度不足の欠陥があるとして定期点検の実施が義務付けられている主脚部品について、整備ミスで点検期限を超えた状態で計41便運航していたことが、22日わかった。

 この部品を巡っては、2年前に旧日本エアシステム機で着陸の際に主脚が折れる事故が発生しており、国交省は点検間隔を短縮するよう命じていた。

 国交省は同日、「整備の指示、管理が不適切だったため、事故の再発防止策が行われなかった」として、日航に対し文書で厳重注意した。

 日航によると、整備ミスがあったのは同社が保有するMD―87型機。問題の主脚部品は450回に1回、亀裂などの有無を調べることが義務付けられている。整備ミスがあった機体は今月11日に点検期限を迎えたが、担当者が事前に点検作業の指示をするのを失念したため、別の担当者が20日に気づくまで期限を超えて羽田―山形便や、関空―秋田、伊丹―鹿児島便などで計41回運航していた。

 日航では整備ミスが判明後、ただちに問題があった機体の使用を中止。点検の結果、主脚部品に亀裂などの不具合は見つからなかったため、安全上の問題はなかったとしている。

 この部品を巡っては、2004年1月に鹿児島県・徳之島空港で、日航と経営統合する前の旧日本エアシステムが運航するMD―81型機で、着陸直後に主脚が破断する事故が発生。国交省は、同じ部品を使用している同81、87型機を対象に、検査間隔の短縮を命じる「耐空性改善通報(TCD)」を出している。日航は同型機を25機保有しており、このうち問題の部品を装着する16機がTCDの対象。

(読売新聞) - 3月22日19時49分更新
日航機が主脚の検査間隔を超過して飛行 国交省厳重注意 (朝日新聞) - goo ニュース
 日本航空が、小型ジェット機の主脚に義務づけられた精密検査を怠ったまま10日間飛行させていたことが22日、分かった。04年1月に旧日本エアシステム(JAS=日航と経営統合)の同型式機の主脚が折れてけが人が出る事故があり、飛行450回ごとの検査が必要になったが、41回超過していた。

 整備部門の点検指示の出し忘れが直接の原因だが、防止策も不十分だった。国土交通省は日航を文書で厳重注意するとともに、再発防止策の提出を求めた。

 検査を怠ったまま飛行していたのはMD87型機(134人乗り)。同機は今月11日までに左主脚の付け根の金属部分に、磁気などを使った精密検査を行い、亀裂の有無を調べなければならなかった。しかし、20日なって実施していないことに気づき、新千歳空港で点検を実施した。亀裂はなかったという。

 日航によると、当初は期限に余裕を持たせるために2月26日に検査を実施する計画だった。しかし、同24日に詳細な整備計画を立てる際、整備部門のコンピューターには「26日に実施」と予定が入力されていたものの、担当者が検査を作業現場に指示するのを忘れた。

 今月20日、コンピューターに予定の検査が終わっていないことを示す表示が出て、担当者が気づいた。指示や作業の漏れを防ぐチェックリストはなかったという。

 04年1月1日に鹿児島県・徳之島空港で、着陸して走行中のJASのMD81型機の左主脚が折れて機体が傾き、左主翼が滑走路に接触。衝撃で乗客3人が軽いけがをした。同様の事故がそれ以前にも海外で4件起きていたため、機体メーカーの米マクドネル・ダグラス社(現ボーイング社)は、450飛行回数ごとの精密検査を各国の航空会社に指示していた。

2006年 3月22日 (水) 20:35
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少し解せた...

 昨日の投稿にコメントしていただき、【判決の要旨】とやらを硬直化した脳味噌(家人に言わせるとスポンジ化した脳味噌らしい)と格闘しながら読んでみました。

【結論】部分の
 「犯罪の証明がないことになるから、無罪を言い渡す」
は相変わらず解せませんしカチンときますよ。

執拗な繰返しになりますが、そもそも当該事故で特定の個人(負傷者を出した便のPIC、当該セクターを担当していた管制官)の刑事責任を問うことは絶対にあってはならなりません。

(例えば殺意を持って)意図的に行なったのであれば話は別ですが、今日のこの複雑で高度にハイテク化された航空機運航システムにあって、ヒューマンエラーを皆無に等しいレベルまで排除するためには、ヒューマンを責めることはベクトルが反対方向です。

どのような人間でも必ずミスはおかします。それを事前に防止するために、あるいは万一ミスをおかしてもバックアップ体制により、それが重大インシデントの一要因として突出しないように、システマティックにヒューマンエラー対策を講じなければなりません。

俗に言う先進国では、安全確保に対する考え方は、航空界だけにとどまらず、そのようなコンセンサスが出来ています。

間もなく見られるであろう“桜吹雪”、遠山の金さんよろしく、何でもかんでも御裁きにかけ、悪者を特定しなければ気がすまない、という時代錯誤の思想を航空事故調査に持ち込んでいるのは、俗に言う先進国の中では日本と韓国だけだと思います。
その意味では全くもって先進国ではないのですが....。

さて、法律用語はなんとも難解で「刑法上の注意義務違反を構成しない」とか「実質的な危険性のある行為」とか言われると、脳味噌が溶け出して鼻水が出てきてしまいます。

何度も読んでは見たものの、この判決文の根本が「業務上過失傷害罪に問われた管制官」に対するものである以上、個人を特定して
 『降下指示が、管制基準を満たさず不適切だったことは明らかだ。』
とか
 『機長の懸念は理由のないものだったが』
とか、解せない文言の羅列が見られるのですが、そもそも、このような裁判を起こした検察の姿勢が間違っているのですから、よくよく考えて見ればそれは仕方ありますまい。

【因果関係の有無】の部分の最後に括弧付けで記されている

 『(これまでみてきた諸事情を考慮すると、異常接近が生じ乗客らが負傷したことの刑事責任を管制官や機長という個人に追及することは相当ではない)』

というところはまさにその通りであり、解せます。
括弧が何故ついたのか、そこは不満ですが....。

今回のこの検察の馬鹿げた起訴は裁判するに値しない、と裁判長が言ってくれたと理解します。

そうであれば、この文面は解せますね。

この判決 - 判決と言わねばならいところからして非常に腹立たしいのですが - を受けて、「裁判所が両被告の過失を否定したのは意外だ」とコメントした東京地検の次席検事、この御方の思考回路は全然解せません。

あなたのような方々の存在が、最大の安全阻害要因なのですよ。

JCABは東京地検を抜き打ちで立ち入り検査できないものですかねぇ、って、結局はお役所同士が争って、本邦は航空後進国の地位を保っている訳ですね。

WBCでは世界一になったのに、航空事故対応はこの様ですか....情けない。


ニアミス事故の判決要旨 東京地裁 (中國新聞)
ニアミス事故の判決要旨 東京地裁

 日航機同士のニアミス事故で、東京地裁が20日、業務上過失傷害罪に問われた管制官2人を無罪とした判決の要旨は次の通り。

 【過失検討の注意点】

 検察側は、907便と958便の管制間隔(安全のため管制官が確保すべき最小の航空機間の空間)を欠如させた蜂谷秀樹、籾井康子両被告に過失があると主張するが、管制間隔維持という管制方式基準上の義務と業務上過失傷害罪の注意義務は必ずしも一致しない。

 また蜂谷被告が便名を言い間違えて907便に降下の管制指示をし、籾井被告が気付かなかった点も、結果的に安全な間隔が保たれていれば、刑法上の注意義務違反を構成しない。言い間違え自体の重視は相当でなく、管制指示の内容の適否で過失を検討すべきだ。

 【実質的危険性の有無】

 両機は2万9000フィート(約8845メートル)を超える高度を航行し、異常接近警報の表示直後に便名を言い間違えずに958便に降下指示をしていれば所定の2000フィート(約610メートル)の垂直間隔を確保できた。907便への降下指示が、管制基準を満たさず不適切だったことは明らかだ。

 しかし両機が指示に従い907便が降下し、958便は巡航を続ければ、最接近の時点でも約1000フィートの垂直間隔は確保された。この点については(1)管制間隔はある程度の許容範囲を見込んで設定、それより接近しても直ちに接触、衝突の危険はない(2)2005年9月からこの空域での垂直間隔は1000フィートに縮小(3)公判で証言した機長らは1000フィートの高度差で他の航空機と交差しても危険は感じないと供述-などを指摘できる。

 以上によれば、1000フィート差が確保されていた場合、両機の間には危険性のない間隔が保たれていたというべきだ。その場合は、急激な上昇、降下を伴う無理な操縦を行う恐れはなく、乗客らが負傷する可能性もない。

 過失行為とされる蜂谷被告の907便への降下指示は、その段階では危険性のある行為とはいえず、907便乗客らの負傷という結果を発生させる実質的な危険性のある行為とも認められない。是正しなかった籾井被告の対応にも実質的危険性は認められない。

 【因果関係の有無】

 しかし降下指示が契機となって両機が異常接近し、907便の乗客らが負傷したことは動かしがたい事実。異常接近の原因を検討し、この面からも両被告に過失がなかったことを明らかにする。

 航空機衝突防止装置(TCAS)によるレゾリューション・アドバイザリー(RA)と呼ばれる上下方向の回避指示が発せられたことが重要だ。そうでなければ約1000フィートの垂直間隔が保たれ、危険性は生じなかった。

 (1)RAは管制指示とは無関係に発せられ、内容が矛盾することもある(2)管制卓の画面にRAの表示はされず、航空機の乗員から報告がないと発せられたことが分からない(3)TCASがどのような時期にどのような内容のRAを出すかという具体的な情報は知らされていなかった-などの事情が管制官に認められる。

 また機長はRAに直ちに従うこととされ、管制指示高度から逸脱しても航空法違反には問われないとされていた(ただし本件当時は管制指示との優劣関係は必ずしも十分に明確ではなかった)。907便機長は上昇RAに従うべきだったが、機長は危険と判断、RAに従わず降下させた。

 機長は上昇させると失速の危険があったことなどを挙げている。機長の懸念は理由のないものだったが、本件当時は機長らにエンジン性能に関する技術情報が十分伝えられておらず、判断はやむを得ない面もあった。

 これらの事情を踏まえると、両被告には異常接近とこれに起因する907便乗客らの負傷という結果の発生に予見可能性や予見義務があったとはいえず、降下指示と結果の間に相当因果関係があったともいえない(これまでみてきた諸事情を考慮すると、異常接近が生じ乗客らが負傷したことの刑事責任を管制官や機長という個人に追及することは相当ではない)。

 【結論】

 両被告に過失は認められず、相当因果関係があったともいえない。犯罪の証明がないことになるから、無罪を言い渡す。

(初版:3月20日19時14分)
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まだまだ解せない…

 一つ前の投稿“解せない”に関する話題が続きます。

このことで“判決が示される”“刑事裁判が行なわれる”こと自体、「解せない」話でして、その点については、約7時間前に“ポンコツ瞬間湯沸かし器”が燃料を大食いしながら吠えたところであります。

判決について言及するのは、裁判が行なわれたことを肯定することと誤解されかねないので、慎みたいところなのですが、一言・二言、言わせてください。

至極当然な判決と言えましょう。所詮、罪に問うこと自体が間違っているのですから。

論点の馬鹿馬鹿しさと、こんな裁判を行なったところで航空の安全には全く寄与するものでないことは、前投稿で駄文を重ねた通りですが、それだけではまだ煮えかえった怒りがおさまらないので、もう一回“ポンコツ瞬間湯沸かし器”が火を噴きます。

判決文を見ていないので何とも言えませんが、『便名を間違えて~』と引用記事には書かれています。(重箱の隅でお恥ずかしいのですが)正確に言うならば『その時点でのコールサイン【無線電話呼出符号】』です。

便名とは、あくまで定期運送に供する航空機に割り当てられたものであり、通常は運航会社に割り当てられた電話略号+数字から構成されています。

当時接近した2機のコールサインは便名を用いた;
 Japan Air NIN-er ZE-RO SEV-en (JAL907)
 Japan Air NIN-er FIFE AIT (JAL958)
と発音され、交信されておりました。

その時点でのと限定したのは、航空機側のコールサインは、クリアランス(飛行承認)を得てから目的地に到着するまでずっと同一(航空機運航会社の電話略号+便名)とは限らないからです。

コールサインについては、「航空機局の無線呼出符号の一時的変更」として、

他の航空機局のコールサインと類似しており混同の恐れがある場合、管制機関は混同の恐れが解消されるまでの間、コールサインを一時的に変更することがある。

と定められています。

今回の事例がそれにふさわしいかどうかは、その空域の輻輳状態などにより一概には決められませんが、その時の関東南セクターにおいて担当者が『あ~っ、Japan Air は紛らわしいコールサインが多いなぁ』と判断した場合には、

Japan Air 907, change your call sign to Japan Air 907 Alfa until further adviced due to similar call sign.

のような措置をとることも許されていた訳です。

そのように、無線交信に依存している航空管制においては、過去の苦い教訓をもとに、出来るだけ不安全要素が入り込まないようにとの考えがなされています。

当該事故では異常接近(ニアミス)が起こり、お客様・CAが負傷されたことは残念なことです。

それ故に、何故、異常接近してしまったのか、その経緯を究明することは極めて大事なことです。

が、それを行なうのは、同様な惨事が二度と起こらないためにはどうすればよいかのためであって、悪者探しをするためではありません。

異常接近に至るまで、現場の視界は良好で、結果的に異常接近した双方のコックピットでは、相手を視認出来ていました。

一方で、計器飛行方式で定期運送に供されていた双方の機にとって、管制指示は「国土交通大臣」の指示であり、原則としてそれに従わなければなりません。

第三者も多数いる中での「無線を介した音声通信」のみで行なわれている管制機関と航空機間とのコミュニケーション、しかも航空機側はPTTであり、送信している間は受信音声は途絶えます。一方、地上側では、同一の周波数を用いて複数の航空機をさばいているわけですから、2機が同時に呼びこみしてきた場合は混信がおこりますし、管制側が送信中に第三者(送信相手ではない航空機)が同一の周波数で呼びこみしてこないとも限りません。

航空管制がパイロットと管制官との間で、無線を用いた会話通信によって行なわれている今日、ICAO でも様々な基準を設け「より安全で確実な航空管制」を目指していますし、本邦でもAIPや管制方式基準などを改定しつつ、安全性の確保に努力しています。

この裁判と判決により、それらの活動を上回る「安全性を向上させる何か」が得られるのでしょうか....。

今回検察(警視庁)は当該事故時の管制官を「業務上過失傷害の罪で在宅起訴する」という暴挙に出たことを受けての裁判でした。

検察は先にパイロット側に対しても「業務上過失傷害の罪で書類送検する」という愚行を行なっているのですが、それは既に「嫌疑不十分で不起訴」となっています。

ICAO Annex 13 より

【3.1 調査の目的】
事故またはインシデント調査の唯一の目的は、将来の事故またはインシデントの防止である。罪や責任を問うのが調査の目的ではない。

【5.4.1 調査実施国の責任】
勧告-罪や責任を科す目的のいかなる司法・行政上の手続きも、本付随書の定める規定に基づく調査とは分離されるべきである。

ICAO Annex 13 Printed Copy (Book)

まだまだ解せない我が国の航空事故対応。

そもそも我が国の ICAO Annex 13 にも反したこの解せない行為の元凶はどこなのか。

当時の運輸省と検察庁が取り交わした以下の「覚書」ではありませんかねぇ。

『事故調査が犯罪捜査に支障を来たさないようにするものとする』
 


日航機ニアミス事故、管制官2人に無罪判決 東京地裁 (朝日新聞) - goo ニュース
 静岡県焼津市の上空で01年1月、日本航空の2機が異常接近(ニアミス)し、乗客・乗員多数に重軽傷者が出た事故で、業務上過失傷害の罪で在宅起訴され、いずれも無罪を主張した管制官・蜂谷(はちたに)秀樹被告(31)、指導役の管制官・籾井(もみい)康子被告(37)の判決が20日、東京地裁であった。裁判では便名を言い間違えた蜂谷管制官の降下指示が問題となったが、安井久治裁判長は「降下指示自体は危険な指示ではなく、過失はなかった」として2人に無罪を言い渡した。

 判決はまた、「両機で空中衝突防止警報装置(TCAS)が作動しなければ危険性は生じなかった」と指摘。そのうえで「TCASが作動することを踏まえて管制官が指示を出すことは予定されていない」と述べ、管制官が事故の発生を予想することはできなかったと認定。降下指示と事故の間に因果関係がないとして無罪と結論づけた。

 検察側は蜂谷管制官に禁固1年、籾井管制官に禁固1年6カ月を求刑していた。

 事故は(1)蜂谷管制官が水平飛行中の958便に出すべき降下指示を、便名を間違えて907便に出し、籾井管制官も気づかなかった(2)この指示の直後、907便でTCASが作動、上昇を指示したが、機長は管制官の指示を優先して降下を継続(3)958便でもTCASが作動し、降下の指示が出たため、機長はTCASに従って降下(4)両機とも降下したため接近し、衝突回避のため907便が急降下――という経過をたどった。

 公判で検察側は「言い間違いがなければ事故は起きなかった」と主張。

 一方の弁護側は、「言い間違った指示に従って907便が降下しても、両機でTCASが作動せず、958便がそのまま水平飛行していれば、両機は十分に安全な間隔を保って交差できた」と反論。事故原因は蜂谷管制官の降下指示の後に両機でTCASが作動し、かつ907便がそれに従わずに降下を続けたことが原因で、そうした事態は管制官には予想できない事態であり過失はなかった――と訴えた。

 さらに、TCASの指示に従わなかった907便機長の判断の背景には、当時、TCASの指示と管制官の指示が食い違った時にどちらを優先すべきかの規定があいまいだったことがあるとし、事故原因は言い間違いではなく制度上の不備だったと訴えた。

 判決は、こうした弁護側の主張をほぼ全面的に認める形となった。

2006年 3月20日 (月) 15:11
便名言い間違えで日航機ニアミス、管制官2人に無罪 (読売新聞) - goo ニュース
 静岡県焼津市上空で2001年、日本航空907便と同958便が異常接近(ニアミス)し、907便の乗客ら57人が重軽傷を負った事故で、業務上過失傷害罪に問われた国土交通省東京航空交通管制部の管制官籾井(もみい)康子(37)、同蜂谷(はちたに)秀樹(31)両被告の判決が20日、東京地裁であった。
 安井久治裁判長は「蜂谷被告が、便名を言い間違えて907便に降下を指示したこと自体は、事故を招く危険性のある行為とは言えない」と述べ、籾井被告(求刑・禁固1年6月)と蜂谷被告(同1年)にいずれも無罪を言い渡した。

 判決によると、01年1月31日午後、焼津市上空で907便と958便が接近した際、蜂谷被告は衝突を避けようと、958便に降下指示を出そうとしたが、便名を言い間違えて907便に降下指示を出した。907便は、管制指示後に作動した衝突防止装置(TCAS)が上昇を指示したにもかかわらず降下し、TCASに従って降下した958便と異常接近。907便は衝突を避けようと、さらに急降下したため、乗客が、けいついねん挫などの重軽傷を負った。

 判決は、「907便がTCASの指示に従わずに降下を続けたのは、機長の判断によるもので、蜂谷被告の指示は一要素にとどまる」と、蜂谷被告の責任を否定した。

 警視庁は、両被告のほか907便の機長(46)も書類送検したが、東京地検は04年3月、機長については嫌疑不十分で不起訴としている。

2006年 3月20日 (月) 15:32
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解せない

 相撲が国技の国だから、どんなことにも何が何でも“白黒”はっきりさせないと気がすまないのでしょうか。

当該事故で負傷された方にはいささか失礼で酷な言い方であることをお許し下さい。

そんなに当事者を特定し、刑罰を定めることが重要ですか?

事故調が発表した骨抜きの事故調査報告書を、ICAO Annex 13 に違反してまで資料として用い、裁判を行い無意味な判例をそんなに引き出したいものですか?

業務上過失傷害罪???

便名の言い間違いと事故との因果関係や予見可能性が争点???

管制官の刑事責任が???

「事故原因は、管制指示後に出た航空機衝突防止装置(TCAS)の上昇指示に反して降下した機長の判断。因果関係はなく、予見もできない」???

「誤った管制指示さえなければ、何事もなく両機は交差しており、言い間違いがまさに事故原因。機長の判断も当時の規定からは妥当と言え、予見できた」???

便名を言い間違えると過失ですか...

TCASという人間がプログラミングして機械的に判断を下す機械。その指示に反して、その場の状況に即した最適と思われる判断をプロフェッショナルが行なうことは悪ですか...


司法の場でこのような言い争いをしたところで

航空事故防止には何の役にも立たず、再発を防止することは出来ない!


管制官2人に20日判決 日航機ニアミス事故 (共同通信) - goo ニュース
 2001年に静岡県沖上空で起きた日航機同士のニアミス事故で、便名を言い間違え乗客57人にけがをさせたとして、業務上過失傷害罪に問われた管制官の蜂谷秀樹(31)、籾井康子(37)両被告の判決公判が20日、東京地裁(安井久治裁判長)で開かれる。

便名の言い間違いと事故との因果関係や予見可能性が争点。ニアミスで管制官の刑事責任が初めて問われた裁判で、地裁の判断が注目される。

弁護側は公判で、蜂谷被告の便名間違いを認めた上で「事故原因は、管制指示後に出た航空機衝突防止装置(TCAS)の上昇指示に反して降下した機長の判断。因果関係はなく、予見もできない」として無罪を主張。

一方、検察側は「誤った管制指示さえなければ、何事もなく両機は交差しており、言い間違いがまさに事故原因。機長の判断も当時の規定からは妥当と言え、予見できた」などとして、管制業務の訓練中だった蜂谷被告に禁固1年、監督者の籾井被告に禁固1年6月を求刑した。

2006年 3月18日 (土) 17:05
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第9回冬季パラリンピック、トリノ大会が閉幕

 3月10日から開催されていた第9回パラリンピック、トリノ大会が閉幕します。

パラレンピック( Paralympic )の語源をご存知でしょうか?

4年に一度、オリンピックの開催と同時期に同一開催地で行なわれていることから、『(事柄など)相等しい, 相似する, 並行する』の意味で Parallel Olympic から来ています。

その由来の通り、今回もイタリアのトリノで冬季大会が開催されました。

その第9回冬季パラレンピックも現地時間の19日午後8時(日本時間では明日未明4時)からの Piazza Castello で行なわれる閉会式で閉幕です。

今回のパラレンピック、日本は2個の金メダルを含む 計9個のメダルを獲得 しました。

次回のパラレンピック冬季大会は、2010年3月12日~21日、カナダのバンクーバーで開催されます。

Vancouver 2010
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またしてもQ400か

 メディアも表現を色々工夫して単調さを回避しようとしていますが、こう頻繁にあると、そろそろ語彙も尽きてしまうのではないか....、と逆にメディア側に気を遣ってしまうほど、ボンバルディアQ400は高頻度で何か起こしますねぇ。

エレベータ(昇降舵)の警告灯点灯。舵が効いているかどうかは、飛行中にちょっと管制に許可もらって上り下りしてみれば解ることで、多分、顕著な違和感を感じるほどではなかったのでしょう。

そのまま新潟まで飛ぶことも可能だったでしょう。お天気も新潟も伊丹もどっちもどっち。

RJSN 190400Z 31020KT 9999 FEW020 BKN035 05/M04 Q1004
RJSN 190300Z 31020KT 9999 FEW020 BKN040 05/M03 Q1004
RJSN 190200Z 32020KT 9999 FEW020 BKN035 05/M03 Q1004

RJOO 190400Z 35018G31KT 310V020 9999 -SHRASN FEW015 SCT025 BKN040 06/M00 Q1009 RMK 1CU015 3CU025 6CU040 A2981
RJOO 190335Z 32017G29KT 260V350 9999 FEW015 SCT035 08/M02 Q1008 RMK 1CU015 4CU035 A2979
RJOO 190330Z 33017KT 9999 VCSH FEW015 SCT035 07/M02 Q1009 RMK 1CU015 3CU035 A2980
RJOO 190300Z 32017G27KT 280V360 9999 VCSH FEW015 SCT030 BKN040 08/M01 Q1008 RMK 1CU015 3CU030 5CU040 A2979
RJOO 190230Z 34018KT 9999 -SHRA FEW015 SCT030 BKN040 08/M01 Q1008 RMK 1CU015 3CU030 5CU040 A2978
RJOO 190200Z 35020G31KT 9999 -SHRA FEW015 SCT030 BKN040 09/M00 Q1008 RMK 1CU015 3CU030 5CU040 A2977

ただ、新潟にそのまま向かい降りてしまった場合の整備体制と伊丹に戻った場合の整備体制とを天秤にかけると、Return Back to ITAMI となりますわな。

警告等点灯した機体は、例のトラブル続きの機体なのでしょうか。それとも別の ship ?

もし、例の機体だったのなら、全日空さん、いっそのこと当該機材を“トラブル・サンプル”としてボンバルディア社に引き取ってもらって、新造機を受領したらどうですか。勿論、無償で....。

でなければ、当面、当該機材をラインから外すとか。

現場が当該機材にかけている Extra Resource を考えると、相当な金額になるのではないでしょうか。

ところで、“別の機体に乗り換え”とありますが、機種は相変わらずQ400だったのでしょうか。
(乗員の手配等を考えるとQ400だった可能性大ですが、お客様としては、また同型機に乗るのも複雑な心境かと)


大阪発新潟行き全日空機、異常感知で引き返す (読売新聞) - goo ニュース
 19日午前11時40分ごろ、大阪(伊丹)発新潟行き全日空1657便(ボンバルディアDHC8―402型機、乗客・乗員75人)が名古屋市上空を飛行中、右尾翼の昇降舵の誤作動を示す警告灯が点灯したため、大阪・伊丹空港に引き返した。

 約40分後に着陸。

 乗客、乗員にけがはなく、同1時ごろ、別の機体に乗り換え、新潟に向かった。

2006年 3月19日 (日) 13:42
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お彼岸です

 寒い・寒いとぼやいていた今年の冬ですが、お日様は例年と変わらずちゃんと赤道付近まで戻ってきました。

きょう17日は彼岸の入りです(春分の日・秋分の日を中日とした前後三日間の計七日間が彼岸)。

彼岸とは、仏教では「煩悩を脱して悟りの境地に達すること。また、その境地。」との意味があるそうです。

今年は“彼岸”から客人がやって来ますので、その接待のために本日は Surface Transport の予定です。

お墓参りのあとは、客人が好物だった焼酎をちびり、ちびり、かな....。

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雷神様もご立腹だったようで…

 流石は雷神様、よくぞ広大な空間の中で JA767E を目掛けて雷を落としてくれたものです。“天罰”とはこのようなことを言うのでしょうね。さぞかしご立腹だったのでしょう。

何にご立腹か?

それは、スカイマークエアラインズの航空会社の経営とは思えないプレスリリース(PDF file です)に対してでしょう。

自社で有償飛行に供している機体の管理体制に問題があるのに、そのことは棚に上げて、
“この間にメーカーから恒久的措置の指示がある予定でしたが、この指示が所有者である航空会社の受託整備会社のみに連絡されたため、使用者であるスカイマークは恒久的処置必要性の理解はありましたが、12 ヶ月の期限内での適切な対応が出来ておりませんでした。”
“この時点では運航の安全自体には問題はありませんでしたが、航空機の運航を停止し、恒久的措置の検討に入り、その結果34便の欠航及び運休となりました。事実確認後の判断と処置は適切であり、現在、航空機は修理完了し、安全に運航できる状態となっております。”
とようなことを申しております。
どこぞのお国の国会答弁より難解で言っていることが支離滅裂なのですが....。

つまり、
 -当該航空機を使用しているSKY社に連絡をよこさなかった Boeing 社の対応がそもそも悪い ... 怒れ、Boeing!!
 -SKY社は恒久的処置の必要性は理解していた。
 -適切な対応ができていなかったが、安全性に問題がないのでお客様をお乗せして運航に供した。
 -国交省がなんやかんや言ってきたがその後の判断・処置は適切であった。
 -兎に角、SKY社の飛行機は安全に運航できる状況にある。
と、代表取締役会長兼社長様は主張したいようです。

これでは、優秀な人材(メカニックさん)は飛び出しますよね。

 安全担保=結果オーライで問題なく運航できること、および問題が発生した場合に適切な経営的判断と対マスコミ・対国土交通省への処置をとれること。

 安全担保≠恒久的処置必要性を認識した時点で航空機製造メーカに問い合わせを行い、その回答の妥当性が確認され、それに則した対策が講じられるまでお客様をお乗せして有償飛行には供さないこと。

というのがトップからの指示なのですから。

SKY社の安全に対する考え方が(少なくとも現時点では)このようなものであるとするならば、落雷があったとしても目を皿のようにして点検する必要はありません。

本格的に詳細点検を開始し、その結果もわからないうちから、ラインに復帰させ日付は決まっているのも、(本当に詳しく点検する気があるのか、と)不思議に思えるのですが、それが SKYMARK Style らしいです。

経営陣は、本年3月3日[関連投稿:危ないところでした]、夕暮れの松山空港で同型機種 Boeing767 の主脚のタイヤ4本のうち1本に刺さった「直径約5ミリ、長さ20ミリのボルト」を発見した青社の整備チームの“爪の垢を煎じて”ありがたく頂戴したら如何でしょうか。



最後になってしまいましたが、落雷があった際、Ground さんが落雷の被害に遭わず何よりでした。



【追記:21:45】

別のニュースソースによると、被雷したのは飛行中であり、落雷痕は機体先端部(妥当でしょう)、徳島のT整備の際当該落雷痕は発見されてたが、運航規定には問題がないと判断-この判断が先日の事例発覚以降、妥当であったかどうか疑問が残るようになってしまった-し、羽田帰着後 Night Stay 時に再度点検したところ、多数の損傷が発見され、それらはボーイング社が規定する運航可能基準を超えるレベルであった。また、ライン就航から外す期間は20日までとする。

とのことです。

この新たなニュースソースにより、先に投稿した自説を覆すつもりはありませんし、むしろ、自説を確固たるものとするような新たなフレーズが出てきています。

 “すぐに機体分解などに至るわけではない”..... 結果オーライであったのだから安全は担保されていた。

 “修理をせずに運航すべきではなかった”..... 問題が発覚したので、適切な経営的判断と対マスコミ・対国土交通省への処置を行なった。

ねっ、これが SKYMARK Style と言うことがわかりますね。


落雷で損傷受けた後も運航 スカイ便、目視で分からず (共同通信) - goo ニュース
 徳島空港に到着した直後のスカイマークエアラインズ(SKY)の羽田発807便のボーイング767に16日午後7時半ごろ落雷があった。折り返しの808便を同じ機体で運航し、羽田空港で詳しく点検したところ、機体左前方のドア下にあるリベットが溶けていたことが17日、分かった。

落雷があったのは、修理期限を9カ月間超過したまま運航していたことが判明した同じ機体だった。徳島空港での目視の点検では見つからず、そのまま運航させたという。

SKYは「本来は徳島空港で運航をやめて修理するべき損傷で、折り返し便は問題だった」と話し、18日までこの機体を運航から外して修理した上、ほかにも損傷がないか詳しく点検する。

2006年 3月17日 (金) 13:06

SKY便、落雷損傷放置し飛行 抜本修理指示と同機体 (朝日新聞) - goo ニュース
 16日に徳島空港に向かった羽田発のスカイマークエアラインズ(SKY)807便が、落雷で修理が必要な損傷が発生したのに、放置されたまま折り返し便として使われていたことが分かった。この機体については、ボーイング社から抜本的な修理を指示されていたのに、応急措置をしただけで修理期限を超えて9カ月間飛行させた問題が発覚したばかり。国土交通省は、整備現場を徹底的に調べる方針だ。

 機体はボーイング767―300ER型。SKYや国交省によると、807便(乗客乗員計140人)は16日午後7時半ごろ、飛行中に落雷に遭い、徳島空港での点検で、機体先端部に落雷の跡が見つかった。しかし、同社は「そのままで飛行可能」と判断し、808便(同114人)として運航された。

 羽田空港で詳細に調べたところ、機体にあった損傷は計8カ所。このうち、左前方のドア下にあったリベット1本の頭頂部が欠損していた。ほかの7カ所はいずれも焦げた跡などだった。ボーイング社の規定では、損傷は修理が必要なレベルだった。17日になってSKYから報告を受けた国交省は「すぐに機体分解などに至るわけではないが、修理をせずに運航すべきではなかった」とみている。

 抜本的な修理が必要な機体を9カ月間運航させ、機体に小さな亀裂ができていた問題が発覚したため、国交省はSKYの安全管理体制に問題があるとして、17日から整備現場などへの立ち入り検査を始めていた。そのさなかに発覚した整備部門のミスに「整備士の大量退職などで現場が機能しなくなっている恐れがあり、徹底的に調べる」としている。

 このミスにより、機体が使われる予定だった羽田―関西便では、17日から、修理が終わる20日まで計32便が欠航する。

2006年 3月17日 (金) 21:11
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北九州、種子島で新空港が供用開始

 予定通り、北九州と種子島で新しい空港が供用を開始しました。

このうち、北九州にはスターフライヤーがエアバスA320で羽田-北九州間に新規参入です。
SFJ 71/16MAR HNDKKJ 320 06:05 06:15 出発済み 07:30 07:55 到着済み -
SFJ 75/16MAR HNDKKJ 320 09:25 09:30 出発済み 11:00 11:34 到着済み -
SFJ 77/16MAR HNDKKJ 320 10:45 11:07 出発済み 12:20 13:06 到着済み -
SFJ 81/16MAR HNDKKJ 320 14:30 14:35 出発済み 16:05 16:35 到着済み -
SFJ 83/16MAR HNDKKJ 320 16:30 16:29 出発済み 18:05 18:11 到着済み -
SFJ 85/16MAR HNDKKJ 320 17:40 17:55 出発済み 19:15 19:37 到着済み -
SFJ 89/16MAR HNDKKJ 320 21:00 21:48 出発済み 22:35 23:29 到着済み -
SFJ 91/16MAR HNDKKJ 320 22:45 22:45 ---- 24:20 24:20 ---- 欠航
SFJ 93/16MAR HNDKKJ 320 23:50 24:05 出発済み 25:15 25:49 到着済み -

SFJ 72/16MAR KKJHND 320 07:00 07:09 出発済み 08:35 08:39 到着済み -
SFJ 74/16MAR KKJHND 320 08:30 08:54 出発済み 10:05 10:24 到着済み -
SFJ 76/16MAR KKJHND 320 09:45 09:55 出発済み 11:20 11:20 到着済み -
SFJ 78/16MAR KKJHND 320 11:45 12:13 出発済み 13:20 13:48 到着済み -
SFJ 80/16MAR KKJHND 320 14:15 14:23 出発済み 15:50 15:47 到着済み -
SFJ 84/16MAR KKJHND 320 17:10 17:25 出発済み 18:45 19:18 到着済み -
SFJ 86/16MAR KKJHND 320 18:45 19:01 出発済み 20:20 20:53 到着済み -
SFJ 88/16MAR KKJHND 320 20:30 20:42 出発済み 22:05 22:45 到着済み -
SFJ 92/16MAR KKJHND 320 23:30 23:30 ---- 24:55 24:55 ---- 欠航

JAL1821/16MAR HNDKKJ AB6 09:10 09:17 出発済み 10:55 11:26 到着済み
JAL1823/16MAR HNDKKJ M90 12:15 12:13 出発済み 14:00 14:07 到着済み    
JAL1825/16MAR HNDKKJ M90 13:55 13:59 出発済み 15:40 15:49 到着済み    
JAL1827/16MAR HNDKKJ AB6 17:25 17:25 出発済み 19:10 19:13 到着済み      
JAL1829/16MAR HNDKKJ AB6 20:05 20:13 出発済み 21:50 21:59 到着済み

JAL1820/16MAR KKJHND AB6 08:30 08:33 出発済み 09:55 09:53 到着済み  
JAL1822/16MAR KKJHND AB6 11:40 12:24 出発済み 13:05 14:00 到着済み  
                         遅延 使用する飛行機の到着遅れのため 
JAL1826/16MAR KKJHND M90 15:00 14:57 出発済み 16:25 16:33 到着済み  
JAL1828/16MAR KKJHND M90 16:15 16:42 出発済み 17:40 18:09 到着済み  
JAL1830/16MAR KKJHND AB6 19:55 20:07 出発済み 21:20 21:46 到着済み

北九州のお天気は、開港初日から雨、日中はしゅう雨が続き、風は午後から結構強い横風がふいているようです。

横風制限ギリギリでしょうに、SFJもJALもよく頑張って運航してますね。

RJFR 161500Z 29014KT 9999 FEW030 BKN050 10/03 Q1009
RJFR 161400Z 29016KT 9999 FEW025 BKN030 BKN040 10/04 Q1008
RJFR 161300Z 29019KT 9999 -SHRA FEW025 SCT030 BKN050 09/03 Q1007
RJFR 161200Z 30019KT 9999 FEW025 SCT030 BKN035 09/04 Q1006
RJFR 161100Z 30020KT 9999 FEW020 SCT025 BKN040 10/04 Q1005
RJFR 161000Z 30020G30KT 8000 FEW025 SCT030 BKN045 09/05 Q1003
RJFR 160900Z 28021KT 8000 FEW030 BKN040 10/03 Q1002
RJFR 160800Z 28022G32KT 9999 SCT025 BKN040 10/04 Q1002
RJFR 160700Z 28021KT 9999 -SHRA FEW010 SCT020 BKN050 09/05 Q1002
RJFR 160600Z 28026G36KT 9999 -SHRA FEW010 BKN020 BKN050 09/06 Q1001
RJFR 160500Z 28020G31KT 9999 -SHRA FEW010 SCT020 BKN040 10/07 Q1001
RJFR 160400Z 28018KT 9999 -SHRA FEW015 SCT020 BKN050 11/08 Q1001
RJFR 160300Z 25020KT 9999 -SHRA FEW010 SCT020 BKN050 12/09 Q1001
RJFR 160235Z 21004KT 160V260 9000 SHRA FEW010 SCT025 BKN060 11/08 Q1001 RMK 1CU010 3CU025 6SC060 A2957
RJFR 160200Z VRB01KT 9999 -RA FEW015 BKN040 BKN080 11/09 Q1001
RJFR 160100Z 11007KT 9999 FEW015 SCT040 BKN050 10/08 Q1001
RJFR 160000Z 11015KT 9999 FEW010 BKN045 BKN080 10/07 Q1002
RJFR 152300Z 10014KT 9999 -RA FEW015 SCT040 BKN080 09/08 Q1005
RJFR 152200Z 10012KT 9999 FEW015 SCT030 BKN080 09/07 Q1006
RJFR 152100Z 11015KT 9999 FEW030 BKN040 OVC080 09/07 Q1008
RJFR 152000Z 09013KT 9999 -RA FEW030 BKN045 OVC080 09/07 Q1009

引用記事によると、北九州市長さんが初便で羽田から到着したらしいですね。
“「市民が熱望していた開港。今後、市の発展の基礎になる」と喜んだ”とのことですが、喜びを表現するにはからには、片道搭乗したくらいでは不十分でしょう。

HND 0605I (SFJ71) 0755I KKJ 0830I (JAL1820) 0955I HND 1045I (SFJ77) 1220 KKJ 1415I (SFJ80) 1550I HND 1630I (SFJ83) 1805I KKJ 1845I (SFJ86) 2020I HND 2100I (SFJ89) 2235I KKJ 2330I (SFJ92) 2455I HND

と8レグ(内1レグはJALに敬意を表し)くらい飛ばないと。

勿論、公費ではなくポケット・マネーでね....。

朝6時5分から夜中0時55分まで18時間50分で8ランディング、こんな乗務をしたらNASAに大目玉食らうだろうなぁ。

それを考えると、Boeing777-200LR はこれよりも長い22時間42分も飛び続けた(昨年関連投稿をしました)のですから、仰天です。二発のエンジンは回りっぱなし....。



【追記(19:26)】
午後7時、風がだんだん北に回ってきたようです。
でも未だ左50度ちょいから20ノット・ガスト30ノットはA320には厳しいかな。



【追記(23:26)(01:09)】
外は激しい雨になりました。

羽田のお天気(午後9時〔日本時間〕以降)は;
RJTT 161549Z 20020G30KT 8000 FEW030 BKN120 BKN/// 14/11 Q0989 RMK 2CU030 5AC120 A2922 P/FR
RJTT 161530Z 19018KT 9000 FEW030 BKN090 14/11 Q0990 RMK 1CU030 7AC090 A2925
RJTT 161500Z 23025G35KT 8000 -SHRA FEW015 SCT035 BKN060 14/11 Q0991 RMK 1CU015 3CU035 7AC060 A2928
RJTT 161442Z 23033G45KT 8000 -SHRA FEW011 BKN016 BKN050 14/12 Q0991 RMK 1CU011 5CU016 7SC050 A2929
RJTT 161436Z 18035G45KT 5000 -SHRA BR FEW011 BKN016 15/14 Q0991 RMK 2CU011 7CU016 A2928 P/FR
RJTT 161433Z 17036KT 4000 -SHRA BR FEW011 BKN016 15/14 Q0991 RMK 1CU011 7CU016 A2927 P/FR
RJTT 161430Z 17026G41KT 4000 -SHRA BR FEW011 BKN016 14/14 Q0991 RMK 1CU011 7CU016 A2928 P/FR
RJTT 161422Z 17028KT 4300 SHRA BR FEW011 BKN015 14/14 Q0991 RMK 1CU011 7CU015 A2929 P/FR
RJTT 161414Z 17027KT 4800 -SHRA BR FEW007 BKN015 BKN035 14/14 Q0992 RMK 1ST007 5CU015 7CU035 A2930 P/FR
RJTT 161406Z 17024G34KT 4000 SHRA BR FEW007 BKN016 BKN025 14/14 Q0992 RMK 1ST007 5CU016 7CU025 A2932 P/FR
RJTT 161400Z 17025KT 4300 -SHRA BR FEW005 SCT016 BKN025 14/13 Q0993 RMK 1ST005 3CU016 7CU025 A2933 P/FR
RJTT 161334Z 17029G39KT 3500 SHRA BR FEW007 SCT010 BKN030 14/13 Q0994 RMK 1CU007 3CU010 7CU030 A2938 P/FR
RJTT 161330Z 17030KT 4000 SHRA BR FEW007 SCT015 BKN035 14/13 Q0994 RMK 1CU007 3CU015 7CU035 A2938 P/FR
RJTT 161317Z 17025KT 3500 SHRA BR FEW007 SCT015 BKN030 14/13 Q0995 RMK 2CU007 3CU015 7CU030 A2939 P/FR
RJTT 161300Z 17025G35KT 4300 -SHRA BR FEW007 BKN020 BKN030 14/13 Q0996 RMK 1CU007 5CU020 7CU030 A2943 P/FR
RJTT 161230Z 18026KT 4300 SHRA BR FEW011 SCT020 BKN030 14/13 Q0998 RMK 1CU011 3CU020 7CU030 A2948
RJTT 161207Z 18023KT 4500 SHRA BR FEW011 SCT030 BKN040 14/13 Q0998 RMK 1CU011 3CU030 7CU040 A2949
RJTT 161200Z 18023KT 6000 SHRA SCT018 BKN050 14/13 Q0998 RMK 3CU018 7SC050 A2950 P/FR
と荒れてきました。
P/FR (Pressure Falling Rapidly) も報じられ、低気圧の接近がうかがわれます。
WOJP RJTT AERODROME L.L.WS INFO NO.078 も出ているようです。

スターフライヤーには運航開始初日から遅延・欠航と厳しい離陸になりましたね。


華やかに就航セレモニー 新北九州空港 (共同通信) - goo ニュース
 北部九州の新たな玄関口として新北九州空港が16日午前5時、開港した。早朝からターミナルビルの開館式や航空各社の就航セレモニーなどが相次いで開かれ、新空港は華やかな雰囲気に包まれた。

午前6時前にあった開館式では、麻生渡福岡県知事が「最も重要なインフラとして地域の発展の力になる」と期待を込めてあいさつ。テープカットが行われた後、行列して待っていた乗客らが続々と出発ロビーに入場した。

1番機となった新規航空会社スターフライヤーのエアバスA320は、ほぼ満席の約130人を乗せて午前7時20分ごろ、小雨が降る中を羽田に向けて離陸。午前8時前には羽田から末吉興一北九州市長らを乗せた同社機が到着した。

末吉市長は「市民が熱望していた開港。今後、市の発展の基礎になる」と喜んだ。

2006年 3月16日 (木) 12:06
新北九州空港、新種子島空港が開港 (読売新聞) - goo ニュース
 新北九州空港が16日、北九州市沖の周防(すおう)灘の人工島に開港し、新規航空会社スターフライヤー(北九州市)の第1便が午前7時過ぎ、羽田に向けて離陸した。
 全長2500メートルの滑走路を持ち、午前5時から翌日午前2時まで21時間運用できる。市は年間100万人以上の利用客を見込んでいる。

 定期便は、羽田1日17往復(当初14往復)、名古屋(小牧)3往復、那覇1往復。国際線は中国・上海線が26日から就航する。

 新空港は、15日閉港した旧北九州空港の代替として1994年に着工。総工費約1024億円。人工島と陸側は、無料通行の橋としては国内最長の連絡橋(2・1キロ)で結ばれている。

 一方、新「種子島空港」=鹿児島県中種子(なかたね)町=も16日、開港した。小型ジェット機が離着陸できる2000メートル滑走路を備え、鹿児島に1日4往復、大阪(伊丹)に1往復が就航する。

2006年 3月16日 (木) 07:29
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