徒然なるままに、一旅客の戯言(たわごと)
*** reminiscences ***
PAXのひとりごと
since 17 JAN 2005


(since 17 AUG 2005)

日はまた昇る

大晦日です。明朝、初日の出は拝めるでしょうか。

さて、「日は東から昇る」は常識に囚われた、やや柔軟性に欠ける発想でして、一度暮れた日が西からまた昇ることもあるのです。

勿論、最近の小生のように、地上に根を生やし、ますます出不精となりつつある輩は、日が東から昇るのを待つだけであります。

西からの日の出を拝むには;

1)日没直後、離陸して高度を稼ぐ(出来れば西に向かいつつ)
  羽田から関西・九州方面への国内線でも、日没時刻と離陸時刻とが絶妙の関係だと、チャンスがあります。

2)太陽を追い越す(その1)
  いささか科学的ではない表現ですが、要は、地球の自転速度よりも速い移動手段を用いるということです。
  コンコルドが退役した今となっては叶わなくなりましたが、倫・巴里からニューヨークへ大西洋を西進したコンコルドは、それぞれの現地時刻で、出発時刻よりも到着時刻のほうが前になり、つまりは日の動きを追い越す速度で移動していた訳です。

3)太陽を追い越す(その2)
  地球は丸い。さらに、自転軸が太陽の周りの公転面に対して約23度傾いている。この事実を利用する。
  現在商用に供されている航空機の速度は絶対的に太陽の移動速度には敵いませんが、地の利?を利用すると追い越すことも可能です。
それは、高緯度を飛行する、ということ。赤道付近での経度1度分の距離と極地近くでの経度1度分の距離とには差がありますので、高緯度を飛行すれば、日の動きを追い越すことが可能になります。

3)の実例をご紹介しましょう。

本邦を正午頃に出発して欧州に向かう便、米国を正午頃に出発して本邦に向かう便、いずれも日を追いかけて西進するので十数時間の飛行にも関わらず、日暮れを迎えることなく目的地に到着します。

それらの便は、所謂「大圏ルート」を飛行しますので、飛行ルートをプロットすると、途中かなりの高緯度まで北上します。

一方で、この季節、冬至は過ぎましたが(北)高緯度の日中は短い。日の出は遅く日の入りは早い。つまり、大圏ルートに沿って、ぐっと北上すると、(そのローカル時刻の)午後でも日が暮れてしまいます。が、目的地に到着したとき目的地は日没前………ということは、一旦沈んだ日が、西からまた昇っている訳ですね。

下のスクリーンショット(クリックで拡大)は、ニューヨーク12月22日発の赤社5便がアラスカ州付近飛行中をトラックしたときのものですが、フェアバンクスよりも北を飛んでいる当該便は、現地時刻が午後3時前にも関わらず、日没後の夕暮れの中を飛行しています。
 ※薄い網掛けは日没後の明かりがある領域、濃い網掛けは夜の領域です

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この後、しばらくすると、夕暮れ領域から脱し、つまりは『日の動きを追い越して』、“日はまた昇り”、夕方の成田へ到着しました(成田着陸時刻は午後3時37分、ブロック・インは午後3時49分でした)。

下のスクリーンショット(クリックで拡大)は、同日に同じくニューヨークから成田に向かっているデルタさんが、まさしく“日がまた昇る”瞬間であろう頃のトラックです。
※この頃、赤社5便は既に西からの日の出を向かえ、西日の中を飛行中です。

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2010年の初日の出は間もなくが、昨今の世の中に陽が射すのはいつになるのでしょうか。一度夕暮れになっても“陽はまた昇る”よろしく、来年は良い年になって欲しいものです。

皆様、本年もお世話になりました。怠惰なボロ愚にも関わらずお立ち寄りいただき感謝・感謝です。

来る2010年が皆様にとりまして佳き年となりますことを! どうぞ良いお年をお迎えください。
Comment ( 2 ) | Trackback ( 0 )
« Magnetic Vari...おかし・い »
 
コメント
 
 
 
よいおとしを (Wich)
2009-12-31 21:50:23
先の話すぎて鬼に大爆笑されてしまいますけれども
2012年の5月には金環日食なる「指輪型の太陽」が観測できるようで(笑)
2012年5月21日の金環帯には、羽田、成田、中部、関空の「日本4大空港」が位置しています!と
熱く語っておられる航空ファンの方がおられました。

いずれにしても、空に向けて人々が笑顔でいられる世の中であってもらいたいものです。

今年もありがとうございます。
良いお年をお迎えください!
 
 
 
今年もよろしくデス! (speedbird)
2010-01-02 19:45:12
PAXさま、おじゃまします。
昨年は本当にお世話になりました。今年もよろしくお願いします。
>日はまた昇り
宇宙飛行士になれれば、確かISS(国際宇宙ステーション)は90分程度で地球を一周、24時間で16回の日の出、日の入りを体感することが出来るはず。で、宇宙飛行士は体内時間を維持するために厳密に1日のスケジュールが決められているとか。奥が深いですな~。
>怠惰なボロ愚
何をおっしゃいますか。"業界No1"の質を維持されていますよ。
さてさて、今年はどんな年になりますやら。
PAX様のご家族にとって良い年になりますように!



 
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