徒然なるままに、一旅客の戯言(たわごと)
*** reminiscences ***
PAXのひとりごと
since 17 JAN 2005


(since 17 AUG 2005)

雷神様もご立腹だったようで…

 流石は雷神様、よくぞ広大な空間の中で JA767E を目掛けて雷を落としてくれたものです。“天罰”とはこのようなことを言うのでしょうね。さぞかしご立腹だったのでしょう。

何にご立腹か?

それは、スカイマークエアラインズの航空会社の経営とは思えないプレスリリース(PDF file です)に対してでしょう。

自社で有償飛行に供している機体の管理体制に問題があるのに、そのことは棚に上げて、
“この間にメーカーから恒久的措置の指示がある予定でしたが、この指示が所有者である航空会社の受託整備会社のみに連絡されたため、使用者であるスカイマークは恒久的処置必要性の理解はありましたが、12 ヶ月の期限内での適切な対応が出来ておりませんでした。”
“この時点では運航の安全自体には問題はありませんでしたが、航空機の運航を停止し、恒久的措置の検討に入り、その結果34便の欠航及び運休となりました。事実確認後の判断と処置は適切であり、現在、航空機は修理完了し、安全に運航できる状態となっております。”
とようなことを申しております。
どこぞのお国の国会答弁より難解で言っていることが支離滅裂なのですが....。

つまり、
 -当該航空機を使用しているSKY社に連絡をよこさなかった Boeing 社の対応がそもそも悪い ... 怒れ、Boeing!!
 -SKY社は恒久的処置の必要性は理解していた。
 -適切な対応ができていなかったが、安全性に問題がないのでお客様をお乗せして運航に供した。
 -国交省がなんやかんや言ってきたがその後の判断・処置は適切であった。
 -兎に角、SKY社の飛行機は安全に運航できる状況にある。
と、代表取締役会長兼社長様は主張したいようです。

これでは、優秀な人材(メカニックさん)は飛び出しますよね。

 安全担保=結果オーライで問題なく運航できること、および問題が発生した場合に適切な経営的判断と対マスコミ・対国土交通省への処置をとれること。

 安全担保≠恒久的処置必要性を認識した時点で航空機製造メーカに問い合わせを行い、その回答の妥当性が確認され、それに則した対策が講じられるまでお客様をお乗せして有償飛行には供さないこと。

というのがトップからの指示なのですから。

SKY社の安全に対する考え方が(少なくとも現時点では)このようなものであるとするならば、落雷があったとしても目を皿のようにして点検する必要はありません。

本格的に詳細点検を開始し、その結果もわからないうちから、ラインに復帰させ日付は決まっているのも、(本当に詳しく点検する気があるのか、と)不思議に思えるのですが、それが SKYMARK Style らしいです。

経営陣は、本年3月3日[関連投稿:危ないところでした]、夕暮れの松山空港で同型機種 Boeing767 の主脚のタイヤ4本のうち1本に刺さった「直径約5ミリ、長さ20ミリのボルト」を発見した青社の整備チームの“爪の垢を煎じて”ありがたく頂戴したら如何でしょうか。



最後になってしまいましたが、落雷があった際、Ground さんが落雷の被害に遭わず何よりでした。



【追記:21:45】

別のニュースソースによると、被雷したのは飛行中であり、落雷痕は機体先端部(妥当でしょう)、徳島のT整備の際当該落雷痕は発見されてたが、運航規定には問題がないと判断-この判断が先日の事例発覚以降、妥当であったかどうか疑問が残るようになってしまった-し、羽田帰着後 Night Stay 時に再度点検したところ、多数の損傷が発見され、それらはボーイング社が規定する運航可能基準を超えるレベルであった。また、ライン就航から外す期間は20日までとする。

とのことです。

この新たなニュースソースにより、先に投稿した自説を覆すつもりはありませんし、むしろ、自説を確固たるものとするような新たなフレーズが出てきています。

 “すぐに機体分解などに至るわけではない”..... 結果オーライであったのだから安全は担保されていた。

 “修理をせずに運航すべきではなかった”..... 問題が発覚したので、適切な経営的判断と対マスコミ・対国土交通省への処置を行なった。

ねっ、これが SKYMARK Style と言うことがわかりますね。


落雷で損傷受けた後も運航 スカイ便、目視で分からず (共同通信) - goo ニュース
 徳島空港に到着した直後のスカイマークエアラインズ(SKY)の羽田発807便のボーイング767に16日午後7時半ごろ落雷があった。折り返しの808便を同じ機体で運航し、羽田空港で詳しく点検したところ、機体左前方のドア下にあるリベットが溶けていたことが17日、分かった。

落雷があったのは、修理期限を9カ月間超過したまま運航していたことが判明した同じ機体だった。徳島空港での目視の点検では見つからず、そのまま運航させたという。

SKYは「本来は徳島空港で運航をやめて修理するべき損傷で、折り返し便は問題だった」と話し、18日までこの機体を運航から外して修理した上、ほかにも損傷がないか詳しく点検する。

2006年 3月17日 (金) 13:06

SKY便、落雷損傷放置し飛行 抜本修理指示と同機体 (朝日新聞) - goo ニュース
 16日に徳島空港に向かった羽田発のスカイマークエアラインズ(SKY)807便が、落雷で修理が必要な損傷が発生したのに、放置されたまま折り返し便として使われていたことが分かった。この機体については、ボーイング社から抜本的な修理を指示されていたのに、応急措置をしただけで修理期限を超えて9カ月間飛行させた問題が発覚したばかり。国土交通省は、整備現場を徹底的に調べる方針だ。

 機体はボーイング767―300ER型。SKYや国交省によると、807便(乗客乗員計140人)は16日午後7時半ごろ、飛行中に落雷に遭い、徳島空港での点検で、機体先端部に落雷の跡が見つかった。しかし、同社は「そのままで飛行可能」と判断し、808便(同114人)として運航された。

 羽田空港で詳細に調べたところ、機体にあった損傷は計8カ所。このうち、左前方のドア下にあったリベット1本の頭頂部が欠損していた。ほかの7カ所はいずれも焦げた跡などだった。ボーイング社の規定では、損傷は修理が必要なレベルだった。17日になってSKYから報告を受けた国交省は「すぐに機体分解などに至るわけではないが、修理をせずに運航すべきではなかった」とみている。

 抜本的な修理が必要な機体を9カ月間運航させ、機体に小さな亀裂ができていた問題が発覚したため、国交省はSKYの安全管理体制に問題があるとして、17日から整備現場などへの立ち入り検査を始めていた。そのさなかに発覚した整備部門のミスに「整備士の大量退職などで現場が機能しなくなっている恐れがあり、徹底的に調べる」としている。

 このミスにより、機体が使われる予定だった羽田―関西便では、17日から、修理が終わる20日まで計32便が欠航する。

2006年 3月17日 (金) 21:11
Comment ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
最近の飛行機は・・・ (はみだし添乗員)
2006-03-18 00:15:29
おはつです。



JALだけでなくSKYもとうとうって感じですね(笑)

定時運行も重要ですが整備で打ち切りにする決断も必要と思いますね。
 
 
 
安全あっての定時性・快適性 (PAX)
2006-03-18 07:06:55
「はみだし添乗員」さん、はじめまして。



> 整備で打ち切りにする決断も必要と思いますね

おっしゃる通り、大事なことです。



FLT Cancel の決断は最後の安全防護柵です。MEL を満たしているから Carry Over はやむを得ぬ措置で、出来ることならば、全ての Station が万全の検査整備体制(装置面、人的リソース面)とパーツ・ストックを有しているのが理想でしょう。今回の場合は MEL を満たさないばかりかOM違反で運航したと思われますので、安全軽視と言わざるを得ません。



時代が進歩しても、航空の現場(パイロット、メカニック、CAなど)では、マニュアル依存の訓練・人材育成や単なるOJTではカバー出来ない領域が多く、ある意味“徒弟制度”により若い人達が優秀な人材へと育ってゆきます。

SKY社では「ベテラン整備士が大量に辞めた」との話も聞こえてきます。会社は現場の人材こそ安全を最前線で支える欠かすことのできぬ資産であることを認識し、コストダウンをお題目にその貴重な資産とそこから上がってくる現場の声を無視したコスト削減が航空会社の土台を崩すということをきちんと理解すべきでしょう。

表現こそちがいますが、この趣旨のことはICAOの事故防止マニュアルに指摘されています。
 
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