徒然なるままに、一旅客の戯言(たわごと)
*** reminiscences ***
PAXのひとりごと
since 17 JAN 2005


(since 17 AUG 2005)

台風9号 MATSA が発生しました。進路に注意。

 本日(7月31日)21時(日本時間)、フィリピンの東の海上(北緯11度40分、東経133度50分)において、熱帯低気圧が台風第9号になりました。

2005年台風第9号のアジア名は MATSA マッツァ [命名:ラオス、意味:魚の名前]です。

7月31日21時(日本時間)現在の、
 中心気圧は998ヘクトパスカル
 中心付近の最大風速は18メートル
とまだ生まれたばかりですが、風速15メートル以上の強風域は、中心の北東側560キロ以内と南西側410キロ以内と、直径約1000キロ近くあります。

今後の進路ですが、太平洋高気圧の張り出しが一時期よりも弱くなっているので、北西進する予報円が描かれています。

進路次第では、8月3日の夜から4日にかけて沖縄の南に達する可能性があります。

中心気圧はさほど発達する気配はありませんが、風速25メートル以上の暴風域が半径400キロ近くになる可能性がありますので、強風と海のしけには注意が必要です。
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グリコ コロン 天津甘栗風味・マンゴープリン味

 グリコのコロンと言えば、スナック菓子ではそこそこ有名だと思います。

そのコロンに「天津甘栗風味」と「マンゴープリン味」の二種類を発見、勿論国外(中国)でのことです。決して安くはないのですが、思わず買ってきてしまいました。

両方ともそこそこ美味しいです。

「使用中国天津甘栗」と箱に書いてありますし、実際に食べると(袋を開けただけでも)例の“天津甘栗”の風味が漂ってきます。

Glico_Collon


「天津甘栗風味」も美味しいですが、個人的には「マンゴープリン味」の方が少しだけお好みです。

Gligo_Collon_Mango


どちらも、江崎グリコ株式会社のライセンスのもと上海江崎グリコ食品有限公司が製造しています。

グリコは“格力高”との当て字、コロンの当て字は“可?”(書けない)となるのですね。
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わしは短命?

 どうやらわしの命はそう長くはないようです。

わし= WASHI 台風8号のアジア名です。

(小生は“憎まれっ子世にはばかる”の典型かもしれません。)

2005年台風第8号は、昨夜29日の21時(日本時間)、南シナ海北部の北緯18度30分、東経111度50分において、熱帯低気圧が台風第8号になりました。
台風第8号のアジア名は、日本が命名国であり、WASHI (「ワシ座」の意味)です。

この台風、本日の18時(日本時間)には海南島付近を西進しており、
 中心気圧は、985ヘクトパスカル
 中心付近の最大風速は、23メートル/秒
です。

明日から明後日にかけて、熱帯低気圧に変わる見込みです。

WASHI_30JUL2005_0900Z



この先、台風が発生したときのアジア名は;

 9号 Matsa マッツァ [命名:ラオス、意味:魚の名前]
 10号 Sanvu サンヴー [命名:マカオ、意味:さんご(珊瑚)]
 11号 Mawar マーワー [命名:マレーシア、意味:ばら]
 12号 Guchol グチョル [命名:ミクロネシア、意味:うこん]
 13号 Talim タリム [命名:フィリピン、意味:鋭い刃先]

と続きます。

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夏の風物詩

 夏の空の風物詩といえば、青空を背景にもくもくとそびえ立つ“入道雲”を思い浮かべる方も多いでしょう。

傍から見ていると表情豊かで雄大な雲ですが、航空機の運航にとっては非常に厄介者です。

「10種雲形」上は、Cb: Cumulonimbus (積乱雲)に分類されますが、この雲に突入するなどは自殺行為、近寄るのもご法度です。
このような下層から発達してきた対流雲の中やその周辺では運航に大きな障害をもたらす、Severe Turbulence(激しい乱気流)や Lightning (雷電)、Hail (ひょう)、Icing (着氷)に遭遇する危険性が極めて高いのです。

タイトルの写真は、7月23日の午後4時過ぎ、RNAV Route Y23 の IGOSO ポイントの約50km手前(四国上空;高知市の北約40km付近)、FL410 (高度約12400m)から、北方に見えた見事な積乱雲です。積乱雲がそびえている場所としては、岡山県北部の中国山地付近上空でしょうか。

この積乱雲は台風などの巨大な悪天域に伴うものではないので、“気団雷”と呼ばれるものです。日本付近で夏場に(雷を伴う)夕立をもたらすのは、ほとんどがこの“気団雷”です。

“気団雷”の特徴は、局所的に発生し悪天域の範囲が比較的狭いことです。

積乱雲のような対流雲が発達するためには強力な上昇気流が必用です。もし、広域にわたって強い上昇気流が発生したら、地上の空気がねこそぎ持っていかれてしまいます。

つまり“気団雷”では「全ての場所に積乱雲が林立することは出来ない」のです。

ここで、タイトルに用いた写真の一部を拡大してみます。

Zoomed CB image over OKAYAMA area

“気団雷”のひとつひとつはさほど大きくないことがわかります。
さらに、その一つ一つの“気団雷”も複数の Cell (雲のかたまり)から成り立っており、それらが不規則に分布しています。不規則に分布しているので、見る人によって、様々な表情に見えるのでしょうね。

“気団雷”を構成する一つの Cell に着目すると、その一生は決して長くありません。
拡大した写真には、積乱雲の一生の幾つかのフェイズが写っていますので、写真も利用して積乱雲(単純化して一つの Cell で構成されているものとする)の一生を簡単に説明します。

【第一段階】
 上昇流が発生し、雲ができかけているのですが、まだ降水粒子は存在しません。
写真でははっきりしてませんが、一番大きなかたまりの手前側にほんの少し盛り上がっている部分がこのフェイズに相当します。

【第二段階】
 第一段階から約10分、雲頂は約7000~8000m( 23,000 ~ 26,000 feet )にまで達し、降水粒子が上部に滞留しはじめます。
写真では左から2番目、3番目がこのフェイズに相当します。

【第三段階】
 さらに発達を続け、雲頂高度も約1万m( 30,000 feet )に達します。もう雲の中は上昇流だらけで、強い上昇流により大粒の過冷却水滴(降水粒子)が上層まで運ばれています。
写真では一番左と左から4番目がこの段階か少し手前のフェイズです。

【第四段階】
 最盛期です。大粒の降水粒子が多量に上層に滞留している状態ですが、このころから、流石に強い上昇気流でもそれらの滞留している大粒の降水粒子を支えることが出来なくなり、落下を始めます。落下する粒子は周囲の空気を引きずりおろすとともに、蒸発による気化潜熱を奪い取るため冷気が発生し、強い下降流となる正帰還となります。
写真ではドンピシャの段階ではありませんが、左から5番目が最も近いフェイズです。

【第五段階】
 雲が出来始めてから約30分程度、上層にあった最も強い部分は中層部よりも低い位置にさがっています。もう雲の中に上昇流は全く存在しません。第四段階で降り出した地上の雨は、この第五段階で激しいしゅう雨となっています。マイクロバースト現象もこの段階で発生します。
この段階も写真ではドンピシャのものが無いのですが、もっとも近いのは左から5番目でしょうか。

【第六段階】
 地上の降水域もだんだんと狭くなり、強度も弱まりつつあります。しかしながら Cell からの下降気流は周辺にある暖かい空気の下にもぐりこみ、隣接した付近にに新しい Cell を発達させます。→第一段階へ。
上層には、氷の結晶や雲粒が取り残されますが、それらは空気の摩擦でそう簡単には落下できないので、しばらくは“かなとこ雲”として高層を漂います。そして、しばらくすると、その雲も雲散霧消してしまいます。
写真では一番大きなかたまり(特にその右側)が、この“かなとこ雲”になりかけている状態です。



以上、機窓からみえた雄大な雲の写真を題材に、積乱雲、気団性雷雨の一生を簡単に説明しました。

この説明からもお解かりのように、気団性雷雨は上昇流と下降流が同一の場所で起こるので、Cell も自然消滅し長続きすることはありません。通常は、30分から1時間程度と、その一生はとても短いものです。
このこともあり、対地速度が時速1000kmの機窓から撮影した写真は同一地点を継続して観察したものではありませんし、さらに、客室からでは気象レーダの映像を見る術も無く、写真との対応付けは必ずしも厳密ではありません。が、おおよその雰囲気は理解していただけたと思います。

今回は“気団雷”を例にしましたが、夏の雷雨が全て“気団雷”とは限らず、 Multicell Type や Supercell Type と他にもあり、それらの場合、構造や規模、持続時間も異なってきますし、当然運航に与える危険度も異なります。

また、今回は日中で積乱雲を目視できる状況(だから写真も撮れた)でしたが、新月の夜などは、星明りだけを頼りに積乱雲を目視発見するのは不可能です。そのようなときに頼りになるのが、飛行機に搭載された WX Radar (気象レーダ)となる訳です。

WX Radar についてはまた別の機会に。
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土用、丑の日

 暑いですね。

きょうは土用の丑の日です。

関東地方の気温も「うなぎのぼり」です。外気温は33度、真夏のギラギラした陽射しが降り注いでいます。

我が家の今夜の食卓には「うなぎ」が登場するかどうか?はなはだ疑問です。

--- 20時47分 追記 ---
やはり「うなぎ」は登場しませんでした。「かつおのたたき」と
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ここまでくると、もう「いじめ」?

 四年前のことを持ち出して、民事訴訟を起こしたようです。

“不祥事や航空機のトラブルが続いていることから「警鐘の意味で提訴した」”とありますが、本当にこれ(提訴すること)が、安全に対する警鐘となるのか、甚だ疑問です。
これが、この国の安全意識、危機管理に対する民意なのか、と思うと情けなくなります。

提訴した方々には大変失礼ですが、マスコミのJAL叩きに便乗した単なる「いじめ」としか私には考えられません。この提訴が、航空界の安全性向上と発展につながるとは思えないからです。

“一度ランディング・ギア(着陸脚)を滑走路に接触させたが、管制塔の許可を得ていなかったた”
との件も非常に理解に苦しみます。


以下、“Yahoo!ニュース - 読売新聞 - 「説明なくタッチ・アンド・ゴー」乗客がJALを提訴” より

「説明なくタッチ・アンド・ゴー」乗客がJALを提訴

 日本航空の旅客機が、着陸態勢から急激に離陸する「タッチ・アンド・ゴー」を行って着陸をやり直したにもかかわらず乗客に説明がなく、精神的ショックを受けたとして、水戸市の弁護士と友人の会社役員2人の計3人が、日本航空を相手取り、計600万円の損害賠償を求めて水戸地裁に提訴した。

 訴状などによると、弁護士らは2001年4月27日、成田発の韓国・釜山行き日本航空957便に搭乗。釜山の金海国際空港に着陸する際、機長は一度ランディング・ギア(着陸脚)を滑走路に接触させたが、管制塔の許可を得ていなかったため、タッチ・アンド・ゴーを行い、上空で転回して着陸したとしている。

 弁護士らは帰国直後、訴状を準備したまま提訴を見合わせていたが、同社で不祥事や航空機のトラブルが続いていることから今月8日、「警鐘の意味で提訴した」という。

 同社広報部は「タッチ・アンド・ゴーの記録が残っているかどうかについては答えられない。その他についても訴状が届いたばかりで、コメントできない」としている。

(読売新聞) - 7月27日14時50分更新
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一路西へ

 ちょうど1週間前(7月20日)は、台風5号( HAITANG :ハイタン)を追いかけ、Boeing767-300ER で東シナ海上空約11800m( FL390 )を西に向かっていました。

タイトルの写真は台風5号の一番外側をとりまく高層の雲に近づかんとしている、ちょっと目的地の天候が案じられるショットであります。

案の定、目的地はしゅう雨で風も GUST が強く、IAF: Initial Approach Fix から Final にかけてずっと rough air 。じゃじゃ馬を乗りこなす感じで何とか某空港の Rwy 07 に降りたのでした。

INTL の場合、2回に1回は路線の決定権が家族にあり、今回も財務大臣と手なずけられた家臣らの希望により、目的地が決定されました。
何でも“金庸”という作家のとある作品をテレビドラマ化したときのロケ地を訪ねる旅なのだそうで、華流(ファンリュウ)ファンにはたまらないとのこと。
小生にはチンプンカンプンではあるのですが、まあ贖罪の旅であります。

成田から(近場の)西に向かうとなると、目的地は幾つかに絞られますが、今回はお肉?( ONIKU )のルートです。

このルートは、通称「 AKARA-FUKUE CORRIDOR 」と呼ばれる航空路 A593 で、長崎県は五島列島の福江市と、上海の東に位置するウェイポイント AKARA とを結ぶルートです。
航空管制区分上は途中(済州島の南西付近)に韓国の INCHEON (仁川)管制センターの領域があるのですが、この AKARA-FUKUE CORRIDOR を飛行する場合には INCHEON にハンドオフされることなく、福岡航空管制センターと上海航空管制センター間の調整のみで航空管制が行なわれます。

そのかわり、東西に伸びる航空路 A593 には南北に交差する航空路があるため、 AKARA-FUKUE CORRIDOR を飛行する航空機には以下のような高度の制限が付けられます。

Westbound:
 Flight plan FL240, FL280 or FL390 and request ATC clearance to cross Oniku Int at these altitudes.
 If operating at any other flight level, request ATC clearance well before crossing Oniku Int.

Eastbound:
 Flight plan FL250, FL290 or FL410 and request ATC clearance to cross Lamen Int at these altitudes.
 If operating at any other flight level, request ATC clearance well before crossing Lamen Int.

余談になりますが、この AKARA-FUKUE CORRIDOR (A593) 上のウェイポイントの名前が中々ユニークで、日本から上海に向かう方向で記しますと;
 FUKUE VOR/DME (福江)
 POTET
 ONIKU
 NIRAT
 SADLI -- ここまで日本の防空識別圏
 LAMEN
 AKARA (上海浦東空港の東約170km)
となっています。

ポテト、お肉、ニラ、ラーメンなど、AKARA-FUKUE CORRIDOR はさしずめ“中国、食の回廊”と言ったところでしょうか。

成田から AKARA-FUKUE CORRIDOR に向かう場合、福岡の航空無線標識(福岡空港の北に位置しています)上空を通過し、そこで少しばかり左に変進します(つまり、左側に機体が傾く)。

眼下に福岡空港と博多の街、その南には夏場特有の積雲(綿雲)が出ていたので、シャッターをきりました。

Over DGC FL390


「 Rwy 07 」とさり気なく書いておいたのですが、到着地は上海浦東ではありません。
(さて、何処でしょう?)
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現場を無視した経営体質の問題

 経営者の安全に対する責任は、財政上の責任よりはるかに重要である。

それを忘れて、社長自ら口先だけで「安全は最優先に取り組むべき課題」云々を言ったとしても、それはただたた虚しく響くだけです。

今回の事例は経営陣のコストダウン、各部門の子会社化、整備の委託などが生み出した問題であり、経営陣が本気で航空の安全を考えない限り、必死で頑張っている現場の社員が可哀想であり、利用者は航空会社に対する信頼を失ってゆくでしょう。

「安全は万人の務め」という標語の持つ意味は「誰もがミスの重大性を意識して、ミスを防ぐよう努力すべきである」ということです。“誰もが”には経営陣も当然含まれます。

時により、財政上の責任から、経営者は安全向上のための出費を望まないことがある。

たまたた、今回は日本航空で問題が発生し、またマスコミの味方をしてしまいましたが、規制緩和で新規参入する航空会社も少なくありませんので、各航空会社の経営陣の資質が問われるところとなるでしょう。



パイロットや整備士が実施する飛行前点検( exterior inspection )で今回のピンの抜き忘れを発見することはまず不可能です。

また、逆噴射装置は、出発から離陸までの間、地上でその動作を確認することが出来ません。他の操縦系統はプッシュバックされて自力走行を開始した後に Flight Control check を行ない、各舵面が正常に動作すること、スポイラーが extend (展開)すること、flap (高揚力装置)が down すること等をチェックします。よって万一不具合があったとしても、その時点で不具合を発見することができるので、GTB (スポットに戻ること)可能です。

ところが、逆噴射装置は着陸時に実際使用するまで、その動作を事前チェック出来ません。これは、駐機場や誘導路で reverse thrust (逆噴射)の使用が禁止されているからです。
※米国の広大な空港では、MD-81 クラスの小さめのジェット機はプッシュバックではなく、reverse thrust を用いて自力でゲートからバックすることもあります。

現在のオートブレーキ( auto brake system )システムは非常に優秀で、実際に逆噴射を利用しなくても車輪のブレーキだけで十分安全に停止できます(勿論、滑走路の路面状態にも依存します;今回は runway dry だったことも幸いでした;これが冬期で滑走路が雪や氷で slippy の場合はリスクが高くなります)。

ある意味では、逆噴射の左右のバランスが崩れて直進性が損なわれるよりは、オートブレーキだけの方が安全とも言えます。
双発機の場合は危険性が少ないのですが、Boeing747 のようにエンジンを4発搭載している飛行機の場合、4つあるエンジンの逆噴射出力を左右均等に揃えないと、逆噴射出力が弱い方向に機体が曲がって、最悪滑走路逸脱の危険性もあるので、滑走路長、滑走路路面状態が許容する場合には、4つあるエンジンの内側2つだけを逆噴射に入れる、入れても idle reverse と最小限の逆噴射状態にしかしないといった運航も行なわれています。

ちなみに、Boeing777 の Autobrake のスイッチはブレーキの効きの強さを1~4の4段階にマニュアルで設定できる他、MAX AUTO, DISARM, RTO: Reject Take-Off ( RTO は離陸時に用いる;離陸中断のときに最大ブレーキがかかる)のポジションを選択できるようになっています。



羽田発新千歳行き日航機、逆噴射不能のまま飛行 (読売新聞) - goo ニュース
 日本航空の羽田発新千歳行き1001便(ボーイング777―300型機、乗客271人)が今月24日、整備ミスによりエンジンの逆噴射装置が作動しないままの状態で飛行していたことが、26日わかった。
 同便は新千歳空港に到着した際、車輪ブレーキだけで減速したが、路面状態が良かったため無事着陸できた。

 国土交通省では重大なミスとして、同社を厳重注意処分にするとともに、再発防止策の提出を求めた。日航は整備本部長の今井孝雄常務の8月分役員報酬を10%カットする。

 日航によると、問題の飛行機は23日まで、同社の関連会社に委託して機体の再塗装を行っていた。関連会社は作業中、逆噴射装置が作動しないようにしていたが、作業終了後に元に戻すのを忘れていたという。

 日航は機体の引き渡しを受けた後、羽田空港で簡単な点検をしたが、逆噴射装置は通常の点検対象となっていないため、ミスに気づかなかったとしている。

 旅客機は着陸時、車輪ブレーキだけでも停止できるように設計されているが、雨や雪などで滑走路の路面状態が悪い場合には、オーバーランを防ぐため、逆噴射を併用して制動距離を短く抑えている。

2005年 7月26日 (火) 21:22
日航機、着陸時に逆噴射装置作動せず 安全ピン抜き忘れ (朝日新聞) - goo ニュース
 羽田発の日本航空1001便(ボーイング777―300型、乗客計284人)が24日に北海道の新千歳空港に着陸した際、減速のためのエンジンの逆噴射装置が作動しなかったことが26日、分かった。整備時に誤作動を防ぐために挿した安全ロックピンを整備士が抜き忘れたことが原因で、国土交通省は日航と、整備を請け負った子会社のJAL航空機整備東京(JALTAM)を厳重注意処分にした。

 日航は今井孝雄・整備本部長を役員報酬1割減1カ月にし、整備後にピンを抜いたことを目視確認するよう整備規定を改める。委託先任せだったエンジン内部の詳しい点検も改善策を検討する。

 26日に記者会見した笹原修・整備本部副本部長によると、1001便は24日午前8時に着陸。通常は滑走路接地後に、主脚の自動ブレーキと、左右のエンジンに計2つある逆噴射装置を作動させて減速する。しかし、同便は操縦席にある逆噴射装置の作動レバーが動かず、その分、自動ブレーキが強くかかり、通常通り停止したという。

 同便は23日夜まで、JALTAMがエンジンの塗装をしていた。作業時には規定で、整備士が誤作動を防ぐために安全ロックピンを逆噴射装置に挿し、作業終了時に抜くよう定められている。ピンには抜き忘れ防止の赤い吹き流し(幅5センチ、長さ約40センチ)が付いているが、塗装時にエンジンカバー内に吹き流しをしまい込んだため、2つのエンジンともピンの抜き忘れに気づかなかったという。ピンを挿すと操縦席のレバーが動かなくなる。

 笹原副本部長は「自動ブレーキは機体の走行速度をコンピューターで分析して減速度を加減するため、逆噴射装置が作動しない分、自動ブレーキが強くかかる」と説明する。当日は晴れていたが、雨天時でも計算上は自動ブレーキだけで安全に停止できるという。

 JALTAMが請け負ったのは機体塗装だけで、作業終了時にピンを確認することになっていた。JALの整備士は24日の飛行前に点検したが、エンジン内部は対象外だった。

2005年 7月26日 (火) 21:58


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判断の難しさ

 出発前に二系統ある与圧システムの一系統に問題があると判っていて何故出発させたのでしょうか。

勿論、AOM: Aircraft Operation Manual (運航規定)で定める MEL(航空機が故障し予定時間内に修理完了できない場合、出発可否を決定するための準拠が記載されている)に則しての判断だったのでしょうから、規則上は運航上の問題はなかったのでしょう。

ただ、安全運航に全ての責任を持つ機長の(特に危機管理の観点からの)意見に影響を与える外的要因が無かったのか、少々気になる事例ではあります。

与圧システムは高空を飛ぶ現代の旅客機においては非常に重要なシステムです。その一系統が最初から INOP (作動しない状態)であれば、バックアップシステムがない状態で運航を開始する訳で、リスクはそれだけ増加しています。

羽田から徳島までは1時間弱の飛行時間であり、その程度ならば大丈夫との考えもあったのかもしれませんが、当該便は巡航高度 FL280 (約8400メートル)かそれより高い高度を file して出発していたようです。
その要因としては、当日の気象状況も関連していて、当時の FBJP 国内悪天予想図によると、紀伊半島から潮岬沖にかけて雲中悪天域が広がっており、 ISOLATED CB (孤立した積乱雲)、並の乱気流、FL160 ~ FL260 にかけて並の着氷も予想されていました。
よって、ちょうど航路上に存在するその悪天域を避けるため、on top (雲の上を飛行する状態)となる高度選択は妥当ではあるのですが、当該便は「与圧システム」が一系統不作動なのですから、高度を上げれば上げるほど、万一生きている「与圧システム」にトラブルが生じてしまった場合に Emergency Descend (緊急降下)する場合の高度差が大きくなり、より大きな降下率が必要になります。

当該便の機長は、「与圧システム」が一系統しか作動していない点には飛行中ずっと注意を払っていたようです。よって、降下開始した後に残っていた一系統の「与圧システム」に異変の兆しが見られた際に、躊躇することなく Oxygen Mask を Manual Deploy させ、Declare Emergency をかけたのでしょう。
※A300-600R は2名乗務ですが、「与圧システム」に関する情報は Cabin Altitude (客室内高度)値が表示されています。きっと降下を開始したにも関わらず、Cabin Altitude が上昇傾向になったのでしょう。

Cabin Decompression (客室与圧急減圧)が起こったのでは無いようですし、「与圧システム」の異常をいち早く発見し、適切な処置を施した機長の対応は妥当であったと言えるでしょう。

ただし、MELは満たしていたとしても「与圧」が一系統しか動作していない状態で“飛ぶ”判断をしたのは、このような事態が発生するかもしれないことが事前に考えられるだけに、その判断が妥当だったかどうかは意見の分かれるところでしょう。

当該便は徳島行の最終便であり、相応の予約が入っていたので、空港支店側では何とか(そのまま)運航して欲しいと考えていた筈です。

ただ、安全性を最優先するなら、Delay Set (出発時刻の遅延設定)して Ship Change (機材変更)するとか、お客様にはご迷惑をかけることになりますが、FLT Cancel (欠航)する選択肢もあった筈です。

夏休みの繁忙期であり、機材繰りに余裕が少ない事情も理解できますが、ひとたびドアが閉まりスポットを離れたら安全運航を全うすることに全責任を負わねばならない機長の判断(意見)に、安全サイドのマージンが少なくなるようなプレッシャーを与えること無いように配慮してもらいたいものです。



8200メートルから緊急降下 日航機 (共同通信) - goo ニュース
 23日午後8時ごろ、羽田発徳島行き日航1439便エアバスA300(乗客186人、乗員9人)の与圧装置がトラブルを起こし、機内の気圧が保てなくなったため高度約8200メートルから緊急降下、約30分後に徳島空港に緊急着陸した。

到着後に乗客3人が耳の痛みを訴えたが、けが人はなく、全員が空港から目的地に向かった。

日航によると、2系統ある同機の与圧装置のうち1系統に不具合があることを出発前に発見。日航は、もう1系統で運航できると判断して午後7時に羽田空港を出発したが、午後8時ごろにこの1系統もトラブルを起こし、機内の気圧を制御できなくなった。

機長は客室内の酸素マスクを降ろした上で、緊急降下。8時半ごろに徳島空港に緊急着陸した。

2005年 7月23日 (土) 23:21

日航エアバス、客室気圧下がり5000m緊急降下 (読売新聞) - goo ニュース
 23日午後8時ごろ、羽田発徳島行きの日本航空1439便(エアバスA300―600、乗員乗客195人)が和歌山県串本沖を飛行中、与圧装置が故障して機内の気圧が保てなくなった。
 同便は高度8200メートルから3000メートルまで約5000メートル緊急降下し、約30分後、徳島空港に着陸した。乗客はこの間、酸素マスクを着用したが、幼児3人が耳の痛みなどを訴えているという。

 日航によると、同便は羽田空港を出発する際、与圧装置が故障。しかし、機長は、2系統ある与圧装置のうち1系統は正常に作動していたため、離陸を決めたという。日航は「機内で急な減圧は発生しなかった」としており、危険な状態にはなかったとしている。

2005年 7月23日 (土) 23:31

8200mから緊急降下 日航機、3人耳の痛み (共同通信) - goo ニュース
 23日午後8時ごろ、羽田発徳島行き日航1439便エアバスA300(乗客186人、乗員9人)の与圧装置がトラブルを起こし、機内の気圧が保てなくなったため高度約8200メートルから約3000メートルまで緊急降下、約30分後に徳島空港に緊急着陸した。

到着後に乗客の子供3人が耳の痛みを訴えたが、けが人はなく、全員が空港から目的地に向かった。

気圧調整のためエンジンを利用して高圧の空気を機内側に取り込む部分に不具合があったとみられる。国土交通省は24日、職員を派遣し、事故につながる恐れのあるトラブル(重大インシデント)にあたるかを調べる。

日航によると、2系統ある与圧装置のうち1系統に不具合があり作動しないことを離陸直前の点検で発見。日航は「もう1系統で運航は可能」と判断して午後7時に羽田空港を出発した。

2005年 7月24日 (日) 01:00

日航機が和歌山上空で急減圧 乗客3人が耳に痛み (朝日新聞) - goo ニュース
 23日午後8時15分ごろ、和歌山県串本町上空を飛行中の羽田発徳島行き日本航空1439便(エアバスA300―600R型、乗客・乗員計195人)の客室内の気圧が下がった。このため、管制上の優先権を得て緊急降下し、同28分に徳島空港に着陸した。客室内の酸素マスクが下り、乗客の子供3人(7歳~5歳)が耳の痛みを訴えたが症状は軽く、診察を受けずに帰宅したという。

 日航によると、同機は離陸直前、客室内の気圧を地上並みに保つ与圧装置2系統のうち、1系統が故障した。同社の運航規定上は1系統が使えれば飛行可能なため、機長はそのまま離陸した。しかし、高度約8200メートルから降下中に残る1系統が壊れたという。

 エンジンから客室内に空気を取り込む与圧装置のバルブの故障が原因で、客室内の気圧が下がったとみて、日航が調べている。酸素マスクは機長が計器の表示をもとに手動で下ろした。

2005年 7月24日 (日) 01:25

与圧装置が故障 日航機緊急着陸 (産経新聞) - goo ニュース
 二十三日午後八時ごろ、羽田発徳島行き日航1439便エアバスA300(乗客百八十六人、乗員九人)の与圧装置がトラブルを起こし、機内の気圧が保てなくなったため高度約八千二百メートルから約三千メートルまで緊急降下、約三十分後に徳島空港に緊急着陸した。

 到着後に子供三人が耳の痛みを訴えたが、けが人はなく、全員が空港から目的地に向かった。

 日航によると、二系統ある同機の与圧装置のうち一系統に不具合があることを出発前に発見。日航は、もう一系統で運航できると判断して午後七時に羽田空港を出発したが、午後八時ごろにこの一系統もトラブルを起こし、機内の気圧を制御できなくなった。

2005年 7月24日 (日) 02:42


7月23日 1439便の運航について - 日本航空のホームページより

弊社便運航につきまして、下記の事例が発生いたしましたのでご報告いたします。ご搭乗のお客さまにご心配とご迷惑をお掛けしたことを心より深くお詫び申し上げると共に、今後とも再発防止に努めて参ります。
<事実関係>
1.発生日時    2005年7月23日  20時03分頃 (日本時間)
2.発生場所    和歌山県串本市上空 27,000フィート(約8,200m)
3.便名       JL1439 羽田-徳島
4.使用航空機  A300-600R(JA8559)
5.運航時刻    羽田空港発 19:31  徳島空港着 20:30
6.搭乗者数    乗客 186名(幼児1名含む) 運航乗務員 2名 客室乗務員 7名
          総搭乗者数 195名
7.事例       当該便は、目的地の徳島空港に向け巡航高度から降下を開始した後、和歌山県
          串本沖の高度約8200m付近で外気を機内に送り込む装置が不作動となり、機内
          の気圧が低下傾向を示したため、機長が管制機関に要請し緊急降下を実施しました。
          当該便は20時28分に徳島空港に着陸しました。                                                    2005/7/24                                           


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BANYAN :バンヤン (台風7号)接近中

 大型の台風7号、アジア名 BANYAN :バンヤン(命名:香港、意味:木の名前)、が北進しています。

本日(25日)正午(日本時間)の観測では、
 中心付近の気圧:980ヘクトパスカル
 中心付近の最大風速:毎秒30メートル
 風速25メートル以上の暴風半径:東側190km,西側110km
です。

今後、予報円の通りに進むと、明日の夜半には関東地方を縦断しそうです。

午後1時(日本時間)の MTSAT-1R (ひまわり6号)の可視画像を見ると、だんだんと雲が台風らしくなってきています。

7月25日午後1時(日本時間)の MTSAT-1R (ひまわり6号)による可視画像
MTSAT1R_VIS_25JUL2005_0400Z


台風付近の海水温度が、それ程高くないため、今後急速に発達することは無さそうですが、風・雨には注意が必要です。

私的なことですが、先週は水曜日の午前便で旅行に出掛けたので、一週間ずれてくれて助かりました。
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乗員を降ろし続ける必用はないでしょう

 このインシデントについては、6月15日の投稿で私見を述べております。

極めて危険な部類のインシデントであった訳ですが、人間誰にでもミスはあります。それを如何にして未然に防止するかを考えるべきであって、当該乗員と関連のメカニックさんを業務から外したところで何の解決にもなりません。

飛行経験と操縦経験とは異なります。今日のパイロットは操縦経験(いわゆる操縦の技量)とともに飛行経験(安全なフライトを全うする総合判断力)も積んで研鑽しなければなりません。

本件、操縦技術的に未熟で再訓練を必要とする類のエラーではありません。飛行経験や危機管理能力が主要因のエラーです。そのような場合、長期間地上に降ろしておいたって得るものは殆んど無いと思います。

別の見方をすれば、当該機長は少なくとも6ヶ月以内には審査(所謂、6 month check )を受け合格しているのですから、その合格した機長に責任を押し付けるということは、6 month check による審査で合格させて Boeing 767 型式限定ライセンスを更新させた国土交通省側も審査が不十分だった、との矛盾が生じませんか。

当該便での Cockpit Crew の対応には確かにもう少し考える余地はあったと思いますが、そのことを責めるのではなく、そのような事態に陥らないように対策を考えるのが会社としての対応だと思います。

それでなくとも(当該乗員は)一ヶ月以上降ろされている訳ですから、飛行感覚が次第に遠ざかっていってしまいます。
会社の考えとしては、航空局から的外れなお達しが来て、それの“ほとぼり”が冷めた頃に、乗員を復帰させるつもりなのでしょう。どうせラインに戻るのだったら、間をあけることに何の意味がありますか。
乗員にだって、再訓練が余計必要になる会社にだって、両者にとって失うものばかりではないですか。

会社、労務、運航乗員部の一部の職制がこのような対応しか出来ていない限り、時をおいてまた類似した事例が起こってしまいますよ。



高度誤認で機長ら12人処分 全日空、社長は減給 (共同通信) - goo ニュース
 全日空機の機長らが高度を誤認し、管制官の指示より1600メートル高く飛行したトラブルで、全日空は21日までに機長(39)をけん責、副操縦士(30)や地上から無線で指示をした整備担当者3人を厳重注意処分とした。山元峯生社長も減給30%、1カ月とし、処分は社長ら役員3人、機長や整備士の上司を含め計12人に上った。

国土交通省からの行政処分がまだ決まっていないため、機長や副操縦士、整備担当者は当面の間業務から外される。

トラブルは6月5日、長崎発羽田行き全日空ボーイング767で発生。離陸直後に機長席と副操縦士席の高度計表示が食い違い、本来は機長側の高度計が正しかったのに、実際には数値が誤っていた副操縦士側の高度計データに切り替えた。

表示は管制官の指示通り8800メートルとなったが、実際は1万400メートルを約40分間飛行し続けた。

2005年 7月21日 (木) 16:54
高度誤り飛行、全日空機長をけん責…社長らも報酬減額 (読売新聞) - goo ニュース
 全日空の旅客機が今年6月、高度計が誤表示したまま運航し、管制官の指示より1600メートル高い高度を飛行していた問題で、同社は21日、当該機の機長(39)をけん責とする社内処分を発表した。
 副操縦士(30)らミスにかかわっていた計8人についても、各所属長からの厳重注意とした。全日空では行政処分が決まるまでの間、機長と副操縦士に対する乗務停止措置を続けるとしている。

 この運航ミスを受け、山元峯生社長は7月の役員報酬を30%減額。整備本部長の大前傑副社長と、運航本部長の森本光雄常務も、それぞれ同月の役員報酬を20%カットした。

2005年 7月21日 (木) 20:51
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積乱雲の勉強FLTしながら帰着、地上は地震の影響

3泊4日の近距離INTLパターンから先程帰宅しました。

復路便では FL410 から西日本上空の見事な Cb (積乱雲)を幾つか観察でき、生きた気象の勉強も出来ました。

Enroute はスムーズだった上に、有益な航空気象の勉強をもでき満足していたところ、 FL410 から start descent 直後に Captain よりPAがあり、「関東地方で強い地震があり、NRT が Runway Close (due to runway inspection) され、着陸が15分程度遅れる見込み」とのこと。成田の Runway もさることながら『留守宅は大丈夫か』と心配になりましたが、地上1万mからはどうすることも出来ません。
やや Rader Vector で遠回りはさせられたものの予想された Holding は無く、BLK IN は STA の10分遅れですみました。

が、成田からの地上の交通機関が麻痺状態。鉄道も高速道路も不通で、難儀しましたが、何とか辿り着きました。

やはり「成田は遠くにありて想うもの....」ですね。

たった4日間なのに、隔離された生活をしていたので、浦島太郎状態です。リハビリをしなければなりません。

※きょうは成田からの帰路で苦労したので、食事をしたら休息させていただきます。


東京・足立区で震度5強、関東各地で震度5弱 (朝日新聞) - goo ニュース
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成田は遠くにありて想うもの...

 明日から久々のINTLです(短期間ですが)。

神奈川から成田は何とも遠いです。本来なら、前泊したいところですが、認可が下りずに明日の早朝移動です。

チャートも用意して予習したし、後は明朝、気象FAXをプリントアウトすれば準備OKです。

PCは持参しないつもりなので、暫し癒しのモードに突入します。

では、
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夏休み期間中に国内線をご利用される方に

 各地で梅雨明けが進み、学校ももうすぐ夏休み。この夏休み期間中、飛行機を利用して帰省や家族旅行を計画されている方も多いと思います。

そこで、利用者の観点から思いついた快適な旅のコツについて書いてみます。


1)すべからく時間に余裕を持って行動する。

これは、出発地の空港へ向かう段階から始まります。主たる要因は、
 -空港の混雑
 -空港へ向かう交通機関の混雑
です。

出張などで通年、同じ時間帯の同じ区間を利用することが多い小生ですが、季節ともにお客様の層が明らかに変わります。普段、何でもないときは約30~40分前のチェックインを目指して、それプラス5分程度、つまり約40分前を目処の空港着を目指していますが、夏季繁忙期はそれに+30分から状況によっては1時間程度余裕を持たせています。

RJTT_Early_morning

時間的余裕がなくなると、精神的にもイライラしてきますし、つまらない忘れ物(物を落とすことに限らず、電話一本入れるの忘れたとか)が多くなります。
時間と心に余裕を持って行動しましょう。


2)チェックイン後は速やかにセキュリティ・チェックを済ませる

この時期、混雑が予想されるのは、チェックインとセキュリティ・チェックです。
チェックインに関しては、自動チェックイン機が主流になっておりますが、不慣れなお客様が増えるためか、普段以上に時間を要します。
また、セキュリティ・チェックは、高速道路の料金所と同じで、時間当たりの最大処理頭数に上限がありますので、お客様が増えれば自ずとボトルネックになります。
長蛇の列をなすことも少なくないと思いますが、折りしも英国でテロが発生し、セキュリティも厳しくなっているので、ここは我慢して並ぶしかありません。

RJTT_Morning_Security_Briefing

チェックインを早く済ませると、ある隠れたメリットを享受できる場合があります。
航空会社はある程度の予約キャンセルを見越して、オーバーブッキング(実際の供給座席数よりも多めに予約を受け付ける)をしている場合があります。このような場合、原則として早めにチェックインしておけば、「お客様、実は....」とか「カウンターまでおこし下さい」とかを避けられます。オーバーブッキング枠で予約が入っていたとしても、チェックインが早ければ予約を入れた希望する便に搭乗できます。

【注意】オーバーブッキングなどの際のオフロード・プライオリティ(搭乗をご辞退願って、別便への切替をお願いする優先順位)には航空会社社内の独自の規定があります。
早めのチェックインが搭乗を100%確約するものではありません。例外も起こり得ますのでその際には航空会社の指示に従って下さい。

早めにセキュリティ・チェックを済ませて搭乗エリア内に入ってしまっても、カフェやお土産店、空弁を売っているお店など色々ありますので、時間はつぶせます。

RJTT_Terminal_1_inside_security


3)搭乗口変更に気を付けて定刻20分前までにはゲート近くへ

チェックインした段階で、搭乗券に搭乗ゲートと出発時刻が印字されますが、この時期、便の遅れや機材繰りの関係で急遽搭乗ゲートが変更になる場合があります。
案内板で、再度搭乗便名とゲートを確認して、定刻の20分前を目処に搭乗ゲートに到着するようにしましょう。

RJBB_domestic_gate_area

お子様連れで、ベビーカーをお持込になっているお客様は、少し早めに搭乗ゲートへ向かい、ゲートの係員に一声かけましょう。
優先搭乗を取り扱ってくれる場合には、遠慮なく申し出ることです。
ベビーカーは機内持ち込みは出来ませんので、ゲートで預けてバルクカーゴと言われる荷物室に搭載されます。この搭載作業が出発時刻間際だと、航空機の出発遅延につながります。
炎天下、荷物を運んで積載してくれる地上係員のご苦労にも配慮したいものです。

MD81_at_RJGG


4)出発・到着は遅れて当たり前

JAL1719_02JUL2005_delay_set

3)と矛盾するかもしれませんが、早朝の始発便と、ごく一部の便を除き、この時期は遅延が蓄積されてきます。しかも、どの便も満席に近いお客様ですから、遅れて到着した便を、折り返し時間(その間に機内清掃や機体の点検を行なう)を短縮して定刻に出発させるのはかなり難しいと言わざるを得ません。
これは、航空会社のダイヤの組み方にも一因があるのですが、飛行機は、出発空港・到着空港の混雑や途中の天候などに影響されて、必ずしも一律の時間で目的地まで到着できるとは限らないのです。
運悪く、出発空港混雑の影響を受け、離陸が20分~30分予定より遅れてしまえば、国内線のような短距離では、到着までにその遅れを挽回することはほぼ不可能です。つまり、到着も予定よりその分遅くなります。で、その折り返し便も少々挽回はしても遅れることになりますから、一日が進むにつれ、遅れが蓄積されてくるのが普通です。
※遅れの調整用に、地上での折り返し時間を長めに設定している機材繰りのパターンもあるので全てがそうとはいえませんが、総じて遅れることは覚悟した方が良いでしょう。


5)到着後の他交通機関への乗り継ぎへも余裕を持たせる

4)にも関係しますが、定刻に着くと思ってベストケースで旅程を組まないことです。
出迎えをお願いする場合にも、一言、「定刻は**だけど、遅れる可能性もある」ことを伝えておくと良いでしょう。

RJFF_No3_Arrival_gate



以上、思いつくことを書いてみました。

一方で、旅客側が定時出発に協力する姿勢も怠ってはなりません。

空港混雑の他に遅延を引き起こす要因としては、搭乗予定のお客様が行方不明(のんびりラウンジでビールを飲んでいたとか)や、機内に収納に困るような大きな手荷物の持ち込み(通路の途中に立ち止まって、オーバーヘッド・ビンにえっこらやっこらデカイ荷物を詰め込もうとしているだけで、搭乗の流れが乱れ、出発遅延の原因になります)などです。

繁忙期には、帰省のお土産や旅行の手荷物など、どうしても規定の大きさ・個数を上回る機内持ち込み手荷物が目に付くようになります。早めに空港に着いて、大きめの荷物は受託手荷物(チェックイン・バゲッジ)として、チェックインカウンターで預けるようにしましょう。そのためにも、いつもより余計に時間にゆとりを持つことが肝要です。

日本のグランド・ハンドリングの皆さんは優秀ですので、到着地でもそんなに待たされることなく受託手荷物が出てきます。かつ、受託手荷物半券との照合もしっかり行なっておりますので、紛失の心配も極めて少ないと言えましょう。

ルールを守って、快適な空の旅を楽しみましょう。
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お子様(幼児)とご一緒にご旅行される方へ

 あるブログのコメントに質問が投げかけられておりましたので、出過ぎたお節介かとは思いますが、関連の投稿をさせていただきます。

ご質問では『1歳半のお子様を連れて海外旅行へ出かける;簡易ベッド(?)を貸してもらえるか?;シートベルトは?』との内容でした。

結論から申しますと、航空会社に申し込めば、簡易ベッド(ベビーバシネットまたは単にバシネットと言います)を手配してくれます。それから、バシネットのシートベルトですが、普通の座席に装着されているベルトとは形状が異なりますが、お子様(幼児)の身体を安全に固定できるようになっております。

バシネットがどのようなもので、客室にどのように取り付けられるかはこちらをご覧下さい(リンク先は日本航空インターナショナルのページですが、小生と日本航空インターナショナルの間には利害関係は一切ございません)。

バシネットの写真が小さくて見難いかもしれませんが、横に渡してある2本の紐が、ベルトに相当します。頼りなげに思われるかもしれませんが、耐空審査上問題ありませんのでご安心下さい。バシネットに横たわる赤ちゃんの快適性〔大人と同じベルトで括りつけたら可愛そうですよね〕、横臥状態で用いられること、赤ちゃんの体重〔体重制限があるのはこのためでもあります〕を考慮してのことです。

リンク先のページには“バシネットは数に限りがあり、ご予約がお取りできないことがあります”とありますが、厳密には写真を見てもお解かりのように、バシネットを装着できる座席が限られてしまう、ということです。
バシネットは、前が壁になっている“バルクヘッド”と呼ばれる場所にしか装着できません。そのような座席は、航空機の客室内構造から自ずと限られてしまいます。

一例として、日本航空インターナショナルの座席配置はこちらでご覧いただけます。機種と座席配置(コンフィギュレーションと言います)によっては、バシネットを装着できる場所が思いのほか少ないことがお解かりいただけるでしょう。

【注】Boeing747 ジャンボ・ジェットの2階席は、(緊急脱出時に関わる)保安上の理由から、幼児を同伴しての利用は出来ませんのでご注意下さい。

ご旅行の旅程が決まったら、予約時点でご利用される航空会社に「ベビーバシネットを利用したい」旨を申し出て、予約の可否(機材によってはコンフィギュレーション上、予約出来ない場合があります)を尋ねると同時に、予約可の場合は当該座席位置を確保して下さい。
良心的な航空会社や旅行代理店なら希望を聞いてくれる筈です。

勿論、バシネット無しでも、お母様のひざの上に赤ちゃんを抱きかかえての飛行機利用もできますが、中・長距離国際線(飛行時間が概ね4時間を超える場合)や夜間のフライトとなる場合(例えば、グァムの夜這い夜行便)などは、赤ちゃんとお母様お父様の快適性のためにも、できるだけベビーバシネットの利用をお勧めします。



ちなみに IATA: International Air Transport Association (国際航空運送協会)の定義では、旅行開始日当日の年齢が2歳未満の旅客を「幼児」(インファント: Infant )と言います。

「小児」(チャイルド: Child )は旅行開始日当日の年齢が2歳以上12歳未満。

運賃ですが、同伴( Accompanied )幼児は大人運賃の10%。ただし、ツアー等に適用される特別運賃で別の定めがあるときはそれに従います。一部の特別運賃には幼児割引を不可とするものもありますが、航空会社が個人向けに設定している特別運賃(なんとか悟空とか)の場合はまず大丈夫でしょう。
同伴については、大人1名につき幼児1名のみで、大人1名が幼児2名を同伴するときは、二人目は小児扱いになります。
また、幼児運賃では座席は使用できません=必然的に大人が同伴することとなります。

なお、日本発では、非同伴幼児は認められておりません。

※「大人が同伴」における大人の定義:大人運賃適用の12歳以上で、旅行を通じて小児・幼児の世話が出来る旅客、と IATA では定めています。ご自分のお子さんが泣き叫んでいるのに、隣で踏ん反り返って無視&映画に夢中になっているおやじお父様は、幼児同伴していた場合、IATA が定義する「大人」では無いと言うことです。



--- 7月24日 追記 ---
全日空さんのバシネットはこちらからご覧いただけます
こちらは、横に渡してある太目のバンドがベルトに相当します。

【注記】2006年11月15日:リンク先を訂正しました。
 コメントで指摘して下さった「こおり」さんに感謝いたします。
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