徒然なるままに、一旅客の戯言(たわごと)
*** reminiscences ***
PAXのひとりごと
since 17 JAN 2005


(since 17 AUG 2005)

事故の防止に寄与することを目的として…

 当該報告書を読みました。約2年ちょっとの歳月をかけて報告された訳ですが、う~ん....。

発表されたのが昨日であり、まだ数回しか読み返していませんし、時間をおいて再度読み直すことをしていないので(これが意外と重要)、まだ冷静+客観的判断が出来るには至っていませんが。

時間をかけたにしては、少々多面的な解析に乏しく、今後の“事故の防止に寄与することを目的”とした場合、オン・コンディション整備方式に対する意見を含めた何らかの建議が欲しかった、というのが現時点での率直な感想です。

一方で報告書を読んだことで、当該便のクルーが突然のイレギュラーに対しても冷静で的確な対応をし、またクルーだけでなく、空港関連の各機関が連携し事故後の対応にあたったことを知ることができ、軽症を負われた3名のお客様には大変お気の毒ではありますが、被害を最小限に食い止められたことは賞賛に値すると思います。

当該報告書には、NTSB: National Transportation Safety Board (米国国家運輸安全委員会)が事故機の製造国として報告書の Draft に対する意見書を提出、それが ICAO Annex 13 に基づき添付されています。
その添付された意見書は、報告書をどのようにに Review しているのかを知る観点から大変参考になりました。

ハイテクを駆使した新型機(新造機)についても共通して言えるのですが、この DC9-81 (JA8297) の場合も、ある意味では“実績の無い未知の領域”でオペレーションされている訳で、点検・整備間隔、点検方法が適切であるかどうかは誰も『適切である』と断言は出来ません。

勿論、過去の実績やコンピュータ・シミュレーションを駆使して開発・設計された機体に対して、運航基準や点検整備プログラムが十分な安全係数を考慮して策定されているわけですが、やはりそこに“絶対”はあり得ません。

今回の報告書、主脚のシリンダー破断について徹底的に調べたことは評価できますし、そこで得られたデータは有益だと思うのですが、そこから“事故の再発防止にはどうすれば良いのか”という強いメッセージが伝わらないのです。

確かに、技術の進歩、信頼性向上により“故障”あるいは“メカニカル・トラブルに起因する事故”は確率論の領域に入っているのかもしれません。

ただ、昨年頻発した PW4000 ジェットエンジンの IFSD や、毎月のイレギュラー運航の状況を見ていると、何らかの Breakthrough が必要に思えてなりません。

今回発表された 株式会社日本エアシステム所属 JA8297(株式会社ハーレクィンエア受託運航) の報告書に少し期待していたのですが....。

非常に意地の悪い言い方をすると、今回の事故を受けて出された SB: Service Bulletin とそれに伴った AD: Airworthiness Directive では「450サイクル」という数字が出されている訳ですが、報告書ではその数字の是非については一切触れていません。
これで、450サイクル未満で同様の事故が起こったならば、今回の報告書は「(類似)事故の防止に寄与」したと言えるのでしょうか。

点検整備の効率性・経済性を重視し、最低でも現在の事故率を維持するのか、効率性・経済性は犠牲になるが(=お金も人もかかるが)、整備に相応の額を投資して少しでも事故の危険を減らす努力をするのか(事故率が確実に減少するとは言い切れない訳ですから、ある意味の保険ですよね)。

非常に難しい判断だと思います。

あくまでも私見ですが、少なくとも現状のオン・コンディション方式を一度見直してみる(変える・変えないは別にして)機会を設けるべきだと思っています。


試験の振動から亀裂、破断 徳之島のMD81主脚折れ (共同通信) - goo ニュース
鹿児島県天城町の徳之島空港で2004年1月、日本エアシステム(現日航ジャパン)のMD81の左主脚が折れて翼が滑走路に接触、乗客3人が軽傷を負った事故で、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は28日「製造直後のブレーキ試験の際に起きた振動で亀裂ができ、徐々に広がり破断した」とする報告書をまとめた。

また報告書は「メーカー設定の点検間隔が適切でなかったため、定期点検で亀裂を発見できなかった」とも指摘した。

事故後、日航は国交省の指示で点検間隔を大幅に短縮しており、現在は着陸450回ごとに詳しく検査している。

2006年 7月28日 (金) 10:00

徳之島JAS機事故、主脚折れは納入前試験の衝撃が原因 (朝日新聞) - goo ニュース
鹿児島県の徳之島空港で04年1月、日本エアシステム(JAS、現日本航空ジャパン)のMD81型機(乗客・乗員計169人)が着陸した際に、左主翼側の主脚が折れて機体が傾き、3人が軽傷を負った事故で、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は28日午前、報告書を北側国交相に提出した。事故より15年前のJAS納入前の段階でメーカーが行った飛行試験で脚に生じた微細な亀裂が徐々に大きくなり、破断に至った可能性が高いとしている。

 報告書によると、折れたのは鋼鉄製の主脚のうち、大きな力がかかった時に付け根の翼が壊れるのを避けるために鉄の厚みをやや薄くしている部分。ここの表面に事故以前に出来た長さ1ミリ以上の亀裂が7カ所確認され、最大は長さ約5ミリ、深さ約2ミリだった。

 この脚は元々違う機体に装備され、89年8月、製造したマクドネル・ダグラス社(97年にボーイング社が吸収合併)で行われた離陸中止試験で3回にわたって脚やタイヤに激しい振動が生じ、強い力が加わっていた。

 事故調は、試験の際にわずかな亀裂が出来て徐々に大きくなった可能性が高い、と指摘。事故時の着陸は正常だったが、この時にかかった力で一気に破断したとみている。

 JAS側は95年と00年に、浸透液や磁石と鉄粉を用いて破断した部分の詳細な検査をしていたが、亀裂は見つからなかった。事故調は、この段階では亀裂は詳細検査でも発見できないほど小さかったとみている。

 この事故を受けて、ボーイング社は450回の着陸ごとに詳細に検査するよう航空各社に通知した。報告書は「点検間隔、点検時期が適切に設定されていなかった」と指摘した。

2006年 7月28日 (金) 10:15

徳之島JAS機主脚折れ 試験での亀裂が拡大 事故調報告書 点検不備も指摘 (西日本新聞) - goo ニュース
2004年1月、鹿児島県・徳之島空港で、日本エアシステム(現日本航空ジャパン)のMD81(乗客乗員169人)の左主脚が着陸する際に折れて翼が滑走路に接触し、乗客3人が軽傷を負った事故で、国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会は28日、「製造後の試験飛行の際、激しい振動によって左主脚のシリンダー表面に亀裂が生じ、少しずつ拡大して破断した可能性がある」とする報告書を北側一雄国交相に提出した。

 亀裂を定期点検で発見できなかったことについても「点検間隔や時期がメーカー側によって適切に設定されていなかった可能性がある」と指摘した。

 報告書によると、事故は04年1月1日午後4時20分ごろに発生。徳之島空港は同月3日まで閉鎖された。

 亀裂の原因について、メッキ加工前に部品表面からさびなどの付着物を取り除く処理をする際、作業に不適切な点があったため傷が生じ、その後の振動で少しずつ拡大した可能性を指摘。「傷は強度に大きく影響を与えるので、整備や点検時に傷を生じさせないように十分留意すべきだ」とした。

 さらに、今回の事故以前に同様の主脚破損事故が海外で4件発生し、メーカー側がその都度、点検手法や時期を改定していたのに事故を防げなかったことにも言及、「メーカー側が限られたデータからの仮説に基づいて点検間隔を改定するなどしたため、仮説と現実の相違が生じ、こうした結果を招いた可能性がある」とした。

 事故調は、破断したシリンダーを製造元の米マクドネル・ダグラス社(現ボーイング社)の研究所に送り、米国家運輸安全委員会なども調査に加わった。

 ●確実な航空機整備行う

 ▼日本航空広報部のコメント けがをされた3人のお客さまにあらためて心より深くおわびします。事故後、国土交通省の指示に従い、主脚シリンダーの点検の間隔をそれまでの着陸1200回以内から450回以内に短縮しています。引き続き確実な航空機整備を行い、お客さまに安心して搭乗いただけるフライトを提供します。

=2006/07/28付 西日本新聞夕刊=

2006年 7月28日 (金) 17:09
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【補足】 Mode S Transponder .... TCAS との関係

 昨日の投稿をきっかけとして、追加で調査をしていたら「おお、そうだったのか」ということを発見したので記しておきます。
(※今まで知らなかったことの方がお恥ずかしい限りですが....)

それは、航空機搭載の Transponder に関してです。

Mode-S について、SSR: Secondary Surveillance Radar (二次監視レーダ)の観点から、つまり航空管制の地上局側に主眼を置いてシステムを勉強していたため、完全な視野狭窄に陥ってしまっていたようです。

大反省であります。

書いていてもどうも上手く説明できないということは、自分の理解が不足しているということでして、この Mode-S ももっと己の理解を深めなければなりません。

さて、今回の発見とは
 「航空機に搭載されている Transponder はそのほとんどが Mode-S 対応済である」
と言うことです。

きっかけは、TCAS: Traffic alert and Collision Avoidance System ( ICAO 用語では ACAS: Aircraft Collision Avoidance System )[航空機衝突防止装置]の動作を読んでいたときです。

 ※参考資料: JEPPESEN 社 Instrument Procedures Guide

TCAS には、 TCAS-I と TCAS-II の二種類( FAR では TCAS-III も定義されている)ありますが、旅客機には TCAS-II (Version 7.0) が搭載されています。
本邦では、客席数19、または最大離陸重量5700kgを超えるタービンエンジン搭載機には TCAS-II (Version 7.0) の搭載が義務付けられているからです。
(米国でも FAR: Federal Aviation Reguration の§135.180 に規定があります)

TCAS-I は TAs: Traffic Advisories のみを提供しますが、TCAS-II では加えて RAs: Resolution Adivisories も提供します。
この RA を正確に発するためには、Transponder Mode-S が備えている Datalink 機能が不可欠なのです。

TCAS は以下のの三つのシステムのデータを用いています。
 1)Mode-S Transponder の信号を受信する指向性アンテナ
 2)Mode-C Transponder が発信する高度信号
 3)Mode-S の質問/応答プロトコルのタイミング

これらから得られる情報としては、
 1)近接航空機の方角情報。精度は数°単位
 2)近接航空機の高度情報。
 3)近接航空機との距離。
となります。

さらに、TCAS-II においては衝突脅威機があると RA を発しますが、それには "Climb! Climb!" "Descend! Descend!" といった垂直方向への回避操作指示が含まれます。

先ず、脅威機を正しく把握するために、Mode-S の Datalink 機能でやり取りされているパラメータが用いられます。
Domestic RVSM: Reduced Vertical Separation Minimum が運用されている現在、より精度の高い高度情報が必須であり、Mode-S の Datalink パラメータに含まれる 25 feet 単位の高度情報は欠かすことが出来ません。

また、Datalink パラメータには、当該機の飛行方位、速度、上昇率・降下率も含まれますから、自機に対して脅威となり得るか、仮に脅威となり得えた場合、脅威機を回避するには、上昇したほうが良いのか、降下したほうが良いのか、適切な判断をすることが可能になります。

と、このようなことが解りました。

よって、現時点で既に日本で就航している旅客機については、
 「 Mode-S Transponder を搭載されている」(一部例外はありますが....)
と言えます。

昨日の投稿で引用した記事には具体的な機数(それも双方の記事で異なっておりますが)が出ていましたが、それはあくまでも、不具合を起こす可能性がある Rockwell Collins 社の Mode-S Transponder TPR-901、しかも該当ロットのものを搭載した機数であり、日本の空を飛んでいる旅客機の Transponder は Mode-S と考えるのが自然です。



Mode-S に加え、TCAS のついても更に勉強しなければならないようです。

かくして芋づる式に興味の対象が増え、また奥も深くなってゆくのでした。

....ああ、今週は Jeppesen の Packet も来ていたから差替えもあるし....

(非常に間抜ですが、自分の投稿にトラバしてみました)
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Mode S Transponder

 本日は、別投稿へのコメントで質問があったので、次世代の二次監視レーダ( SSR: Secondary Surveillance Radar )について、現在運用中のものとどのように違うのか、簡単に説明します。Mode-S の SSelect の S です。

今日の二次監視レーダは、一次レーダ(これだけでは単にターゲットに反射し機影が映るだけ)のビームと一緒に、1030 MHz の変調パルスで質問信号を送信し、航空機に質問信号に応答するトランスポンダーが搭載されていれば、航空機側からは 1090 MHz の変調パルスで当該トランスポンダーから応答信号をが送信され、その情報を解析処理、一次レーダの機影に加えて便名や機種、飛行高度の情報を表示させる仕組みになっています。

なぜ便名、機種を識別できるかというと、IFR: Instrument Flight Rule (計器飛行方式)で飛行する航空機は、飛行計画(フライトプラン)を提出し、その後管制承認、クリアランスを受領して初めて動き出すことができるのですが、そのクリアランスの中に「二次監視レーダ識別コード」が含まれているのです。

通常 Squawk (スコーク)と呼ばれる4桁の8進数がそれです。
広範な空域で一意に当該フライとプランにより飛行している航空機を識別できるものでなければならないので、管制側は提出されたIFRフライトプラン毎にユニークな4桁の数字を割り当てます。
(※番号割り当てに際しては大まかなルールがあります)

パイロットはクリアランスを受領し復唱すると共に、そこで指示された識別コードを機上のトランスポンダーにセットします。それによって航空機側からの応答信号中に「二次監視レーダ識別コード」が含まれますので、そのコードが割り当てられたフライトプランを検索、検索にヒットしたフライトプランの便名、機種をターゲットと一緒に表示しています。

Mode C と呼ばれるトランスポンダーを搭載している機体は、高度計の値も含めて応答信号を発信するので、航空管制のレーダ・スクリーン上には高度情報も同時に表示されます。

(高度情報も含めた)それらの情報を読み取って、管制官の方々は二次元平面に映し出されている映像から、三次元空間のトラフィック・フローを瞬時にイメージして管制指示を出している訳です。

この現在の二次監視レーダは、レーダ覆域(半径はターゲットとなる航空機の高度により異なります;高高度の方がより覆域が広くなる)内全ての航空機に質問信号を発信します。
レーダ覆域の航空機が数機程度であれば、航空機からの応答信号を処理するのも大した処理量にはなりません。

ところが、近年の航空交通量の増加とレーダ覆域の拡大に伴い、各レーダ・サイトが処理する航空機数は増加の一途です。

さらには各レーダ・サイトので収集された情報は ATFMC: Air Traffic Flow Management Center (航空交通流管理センター)に集められますので、そこのコンピュータの限界処理能力を超えるトラフィックには対応できません。

また、主要空港のターミナル管制においても、この二次監視レーダ( SSR: Secondary Surveillance Radar )が使われており、制限も多くスペースも限られているターミナル空域で、処理システムがダウン、などという事態が起こったら大変です。

つまり、このままのペースで航空交通量が増え続ければ、現在の二次監視レーダ・システムでは早晩限界がくることが見えてきているのです。

Traditional SSR


そこで導入が進んでいる次世代の二次監視レーダ・システムが、Mode-S です。

Mode-S のシステムの特徴としては;
 24-bit のアドレスを用いて、地上局側からターゲットとなる航空機を選択した質問信号を送信できる。
 応答信号は当該アドレスを設定して飛行している航空機のトランスポンダーからのみとなるので、航空機の輻輳状態やゴースト電波による誤認識のリスクが激減する。
 データリンク機能を有しており、アドレッシングされた航空機から、25 feet単位の高度情報や TCAS: Traffic alert and Collision Avoidance System (機載の航空機衝突防止装置)の情報など、多くの飛行情報パラメータがダウンリンクされる。
 1030/1090 MHz と従来と同じ周波数を利用しているので、下位互換性を維持している。
 などなど。
といったものです。

Traditional SSR


本邦でも Mode-S の導入が順次進められておりますが、この Mode-S で一番先行しているのはヨーロッパです。

1990年代後半から導入検討が始まり、現在では欧州の最も混雑する空域では Mode-S が主流になりつつあります。

Extent of European Mode S radar coverage at the end of 2005


ヨーロッパでは、現在評価運用している空域において、二次監視レーダ・システムを Mode-S に完全移行することを目標としており、現時点でのターゲットは2007年3月31日までに完了(IFR機)とのことです。

それまでに新造機のトランスポンダーは勿論のこと、現在飛行している機体で Mode-S トランスポンダー非搭載機も、航空機側のトランスポンダーを Mode-S 対応にする所謂レトロフィットを行わねばなりません。

本邦の国土交通省航空局がどのようなスケジュールを目標としているのかは不勉強で解かりませんが、この Mode-S への移行については ICAO: International Civil Aviation Organization (国際民間航空機関)でも Annex 10 (付随書10)の改定案を策定したりと、積極的に進めていることですから、その流れに追従することは間違いありません。

引用記事が半年近くも前でお恥ずかしいのですが、我が国で Mode-S トランスポンダの不具合を発見するきっかけとなる状況が発生していました。
(※このトランスポンダーの不具合は欧州でも報告されていました)

今後の主流になるであろう Mode-S 、今回は概要のみでしたが、もう1回か2回、機会を設けて;
 -ダウンリンクされるパラメータの詳細
 -レーダ画面にはどのように映るのか
 -24-bitのアドレスはどのように割り当てられるのか
などを紹介できればと思っております。

本日はここまで。毎度のことながら、駄文・長文にお付き合いいただきありがとうございました。



航空機高度など表示されず 通信機器に問題 (共同通信) - goo ニュース
 航空路を監視しているレーダーに航空機から情報を送る通信機器「トランスポンダ」のうち、米国ロックウェルコリンズ社製の一部にごくまれに不具合が生じることが分かり、国土交通省は8日までに、内外の航空会社に改修、交換を指示した。

国内では日航、全日空のボーイング777など約200機が搭載。レーダーに便名、高度などが表示されなくなるが、不具合が生じる可能性があるのは新型レーダー(2003年運用開始)だけのため、同省は当面、新型レーダーで監視している地域の一部を従来型に戻して運用する。

2006年 2月 8日 (水) 20:47


レーダーから機影消える不具合点検へ 国内の約100機 (朝日新聞) - goo ニュース
 民間航空機が搭載する管制用応答装置に不具合があり、地上の管制用レーダー画面から機影や便名などが一瞬消えることが、国土交通省の調べで分かった。応答装置の電波の質が悪いことが原因で、同省は8日、問題の装置を搭載している国内航空各社の100機余について、装置の点検や交換を指示した。

 装置を搭載しているのは日本航空で61機、全日空で48機。5月末までに点検や交換を終える。運航スケジュールに影響はないという。

 この装置は、地上のレーダーアンテナからの質問電波を受信すると、便名や飛行高度を自動で応答する。管制画面は応答電波をもとに機影と高度、便名を組み合わせて表示し、管制官はそれを見て各機に指示を出す。

 しかし、中部国際空港近くの空域で今年1月までの約1年間に、機影や便名などが管制画面から消えるケースが28件(全飛行数の0.026%)あった。同省の調べで、米国製の応答装置の中に、電波の質が劣化し、最新式のレーダー電波に対応できなくなるものがあることが分かった。

 装置は1機に2台搭載しているため、不具合が起きても装置を切り替えれば画面に正常に表示されるため、トラブルは起きていない。

2006年 2月 8日 (水) 23:39
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I'm Safe Checklist

 パイロットが飛行するに適切な状態であるかを自分で評価する助けとなるチェックリストとして、欧米でプロフェッショナル、プライベートを問わず有名なものですが、日本だと“語呂”が合いませんね。

(ジャパニーズ・ビジネスマンは、朝、家を出るときに『 鳩が豆くってパー! 』なるチェックで忘れ物防止ですが....)

I'm Safe チェックリストは次のようなものです。

Illness………Do I have any symptoms ?
Medication………Have I been taking prescription or over-the-counter drugs ?
Stress………Am I under psychological pressure from the job ? Worried about financial matters, health problems, or family discord ?
Alchol………Have I been drinking within 8 hours ? Within 24 hours ?
Fatigue………Am I tired and not adequately rested ?
Eating………Am I adequately nourished ?

素晴らしいチェックリストですね。



ちなみに本日の小生は;

病気の兆候は?いいえ。Illness ○

薬を飲んだか?いいえ。Medication ○

ストレス要因にさらされているか?はい(ここのところ何かとねぇ....)。Stress △

飲酒したか?はい(晩酌無しでは生きられない)。Alchol ×

疲労は?休息が不十分?いいえ。Fatigue ○

十分に栄養摂取しているか?いいえ(土用丑の日に鰻を食べれなかった)。Eating △

であります。


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NOPAC RVSM Airspace の提灯行列

 いまひとつ景気回復感がなく、小生、本日〔夏の土用、丑の日〕の食卓に“鰻”が乗るかは非常に疑問なのですが、そんな不景気感はどこ吹く風、今夜も北太平洋は東へ向かう Traffic で賑わっているようです。

22日のお天気を考慮し日米間に設定した PACOTS 東行きの TRACK は以下の3本。
211751 RJAAYNYX
(2811/06 NOTAMN
Q)RJJJ/QARCH/IV/BO/E/000/999/
A)RJJJ B)0607220700 C)0607222300
E)EASTBOUND PACOTS TRACKS BETWEEN JAPAN AND NORTH AMERICA,
REQUIRED FOR ACFT CROSSING 160E
BETWEEN 07220900UTC AND 07221600UTC,
TRACK 1.
 FLEX ROUTE : CALMA G344 CARTO R336 LYYLE 51N180E 52N170W 52N160W
              52N150W 51N140W ORNAI
JAPAN ROUTE : GUPPY OTR8 KAGIS A590 PABBA OTR5 CALMA
  NAR ROUTE : ACFT LDG KSEA--ORNAI SIMLU KEPKO UDMAP TOU KSEA
              ACFT LDG KPDX--ORNAI SIMLU KEPKO UDMAP TOU BTG KPDX
              ACFT LDG CYVR--ORNAI SIMLU KEPKO FINGS YAZ FOCHE CYVR
        RMK : CROSS CUTEE PRIOR TO 2000
              ACFT LDG OTHER DEST--ORNAI SIMLU KEPKO PLN RTE TO
DEST
TRACK 2.
 FLEX ROUTE : ETRON 44N160E 47N170E 49N180E 50N170W 49N160W 47N150W
              45N140W 42N130W VESPA
JAPAN ROUTE : GUPPY OTR8 KAGIS OTR11 ABETS OTR9 ETRON
  NAR ROUTE : ACFT LDG KSFO--VESPA ENI PYE KSFO
              ACFT LDG KLAX--VESPA ENI AVE FIM KLAX
        RMK : TRK 2 NOT AVAILABLE FOR LDG KLAX IF CROSSING 165E BTN
              1000/1230
TRACK 3.
 FLEX ROUTE : GARRY 42N160E 45N170E 47N180E 48N170W 47N160W 45N150W
              43N140W 40N130W DACEM
JAPAN ROUTE : GUPPY OTR8 KAGIS OTR11 GARRY
  NAR ROUTE : ACFT LDG KLAX--DACEM PAINT PIRAT AVE FIM KLAX
              ACFT LDG KSFO--DACEM PAINT PIRAT OSI KSFO)
RMK/REF AIP ENR3.6-6))
そして下の図は、日本時間の22日午後10時44分に西経160度北緯47度付近を狙ったスクリーン・ショットです。

NOPAC Tracking 22JUL2006

西経160度における TRACK 2 と TRACK 3 はそれぞれ北緯47度と北緯49度であり、その位置をちょうど、TRACK 3 には成田からLAXに向かうJAL62便が FL360 Ground Speed 555 knot で、その北の TRACK 2 には関空からSFOに向かうUAL886便が FL360 Ground Speed 569 knot で飛行中です。

トラッキングしてる範囲の TRACK 3 には(西海岸に近い順で)、
 UAL890便 成田→LAXが FL360
 JAL66便  成田→LAXが FL370
 AAL128便 成田→SJCが FL385
 ANA8便   成田→SFOが FL350
 JAL62便  成田→LAXが FL360
 AAR202便 ICN→LAXが FL350
で飛行中。

TRACK 2 の状況は、
 UAL852便 成田→SFOが FL360
 JAL2便   成田→SFOが FL370
 UAL886便 関空→SFOが FL360
 UAL838便 成田→SFOが FL350
で西海岸に向かっております。

画面上辺にかすかに見える TRACK 1 も繁盛しているようです。

毎夜毎夜、このような光景が繰り返され、その主流は双発機になりつつあるのですから、時代は変わったものですね。

北太平洋のある瞬間を見ただけでもこれだけ飛んでいて、それが当たり前のように安全運航されているのですから凄いと思いませんか。

この先、MTSAT 等の衛星を利用した CNS/ATM が益々普及し、洋上飛行のメインは“ガーガーピーピー”の HF Voice を利用した Position Report base から、SATCOM CPDLC がメインになるのでしょう。

※そんな中、先日 MTSAT-1R を利用したデータ通信が出来なくなる(衛星に問題は無く、地上システム側の問題)障害が発生したようですが....。



衛星使った航空機のデータ通信に障害 19時間気づかず (朝日新聞) - goo ニュース
国土交通省は19日、運輸多目的衛星(気象衛星ひまわり6号)を使った航空機と地上とのデータ通信システムに10日から11日にかけて障害が生じ、運用を停止していると発表した。このシステムは6日から運用が始まったばかりで、衛星とデータを送受信する神戸市と茨城県常陸太田市にある地上無線設備でトラブルが生じた可能性が高いという。国交省の担当者は発生から19時間近くデータ通信が出来ないことに気付かなかった。

 この間、同システムを使って飛ぶ国内航空会社の航空機が3便あったが、いずれも別の人工衛星との通信や、短波での通信に切り替えて運航を続けたという。

 人工衛星を使ったデータ通信システムは主に太平洋上を飛行する航空機と、航空交通管理センター(福岡市)との間で、飛行位置や管制の内容などを詳しく、効率的にやりとりするために順次導入されている。

2006年 7月19日 (水) 19:23

衛星管制、トラブルで停止 地上施設のシステム不具合 (共同通信) - goo ニュース
国土交通省は19日、運輸多目的衛星「ひまわり6号」を利用し6日に運用を開始した太平洋上の航空管制システムでトラブルがあり、11日から運用を停止したことを明らかにした。

データを送受信する地上施設のシステム不具合が原因とみられるが、対策に時間がかかるため再開まで1カ月以上かかる見通し。航空機は従来通り音声通信を利用するため、運航に影響はないという。

国交省によると、11日午後2時ごろ、神戸市と茨城県常陸太田市にある地上施設で、衛星とのデータ通信が約19時間できなくなっていたことが判明。2施設は一方でトラブルが発生した際、自動的に切り替わる仕組みになっているが、ソフトの不具合で切り替わらなかったとみられる。

2006年 7月19日 (水) 21:01


こうして東へ向けて飛んでいった機体が、明日の午後~夕方には日本に戻ってくるのですから、飛行機も休む間がなくご苦労なことです。
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蟻(あり)さんの動きに注意

 発生直後の予報では西に進みフィリピン東部に上陸かな、と思えた2006年台風第5号[アジア名: KAEMI (ケーミー) アジア名通番11,命名国・地域:韓国,意味:あり(蟻)]ですが、ここにきて進路をやや北よりに振ってきています。

夏の太平洋高気圧の張り出しがこの時期としてはまだまだ弱いのでしょうか。

先島諸島・沖縄地方では今後の動きに警戒した方が良さそうです。

この先、意外と2006年台風第4号と似た進路をとるかもしれません(4号は中国大陸を直撃しました;先島諸島付近の進路は「 T0604 BILIS が発生しました 」で参照できます)。

台風第5号、今後の進路は 台風情報 で見ることができます。

T200605 KAMEI
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軽率でしたね

 新体制が発足して間もないのに、このようなことが起こって残念です。当該機長は軽率だったと言われても仕方ありますまい。

当該機長が有する定期運送用操縦士技能証明書(飛行機)の限定事項はダグラス式DC-9型とのことですから、旧エアシステムの機長さんであります。

気になる点は以下の3つ;
1.なぜ嘱託産業医に最初から相談しなかったのか。
2.(1に関連しますが)スケジューラはどこまで把握していたのか。
3.広報の姿勢。

1については、嘱託産業医は統合によって一本化されたのでしょうか。
それとも、旧エアシステム・旧日本航空それぞれ未だに別々なのでしょうか。

今回の場合、当該機長は主治医と相談して手術を受けると決めてからでも、産業医に報告し、術後の経過観察・業務復帰認定は産業医にしてもらうべきだったと思います。
簡単な摘出手術だから、と軽く考えていたのであれば(産業医に相談しなかったのは反省しなければなりませんが)まだ良い方だと思うのです。
危惧されるのは、産業医と乗員間の相互信頼が揺らいではいないか、ということです。

産業医に聞えると(守秘義務が不安で)不利益な情報を会社に流されるかもしれない。得てして大げさに扱われ、乗務停止とか長期の経過観察となる傾向が強く心配である。等の不安から産業医が避けられたのであれば、体勢として問題です。

それにも関係してきますが、2.スケジューラは(当該機長・当該機長が所属する乗員部から)何も聞かされてなかったのでしょうね。
翌月のスケジュール、つまり乗務予定は前月の25日に配布されます。
つまり6月のスケジュールは5月25日に出た訳で、当該機長の6月のスケジュールを作成する段階で、6月の上旬は当人からVAC申請(休暇申請)が出されていたのでそのように組んだけれど、6月10日以降のスケジュールは、[6月10日~7月12日で39レグ52時間とのことですから]術後の経過観察などという意識は全く無く、普通に組まれたスケジュールだと思われます。
※参考までに:30日間の飛行上限時間は80時間で、まず上限ギリギリを飛ぶことはありません。限定事項 ダグラス式DC-9型であれば国内線のみの乗務ですから、月間60時間も飛べば飛んだほう、大体40~60時間でしょう。

3.広報が考えたコメントだと思うのですが、『安全上の問題は起きなかった』とは結果オーライで無責任ですな。
現場を無視して、こういう暢気で無責任なコメントを勝手に出しているようでは駄目だよ。

当該機長が所属する乗員部長なりが責任を持ってコメントしなければ。

当該機長にあっては、OMを遵守しなかった事実を厳粛に受け止め反省しましょう。
そして、(既に完治しているかもしれませんが)治療に専念し、万全の体調で乗務に復帰して下さい。
6 month check ももう指折り数える位しか残っていないのですから、有終の美を飾るためにも、今回の事例を厳粛に受け止め、反省することだと思います。

「慢心は事故のもとだぞ」「ラスト・フライトまで気を抜くことなく、より一層気を引き締めて日々の乗務に臨め」との空の神様からの警告だったのかもしれません。


国交省が日航を厳重注意、機長が使用制限の薬を服用し乗務 (ロイター) - goo ニュース
[東京 20日 ロイター] 国土交通省は20日、日本航空<9205>の機長が航空法で使用制限されている薬を服用しながら乗務していたとして、同社を厳重注意した。

 同省によると、国内線を運行する日航ジャパンの機長が5月29日に右耳下腺腫瘍(しゅよう)の摘出手術を受けた後、航空身体検査基準に適合していることの確認を受けないまま乗務に復帰。6月10日から7月12日までの計39フライトの一部で服薬しながら乗務を続けていた。

 日航によると、服薬しながらの乗務は計3日間の7便、合計9時間50分だったという。同社は「今回の厳重注意を重大に受け止め、7月28日までに国土交通省に対して抜本的な改善策を提出する」としている。

2006年 7月20日 (木) 12:33

使用制限の薬服用し乗務 日航機長、国交省厳重注意 (共同通信) - goo ニュース
日航は20日、国内線を運航している日航ジャパン所属の機長(56)が、5月に耳の手術を受けたことを会社に報告せず、その後、航空法で使用が制限されている薬を服用しながら乗務していたことを明らかにした。

国土交通省は同日、同社の岸田清専務を呼び、文書で厳重注意した。

日航によると、機長は5月29日に右耳下腺腫瘍(しゅよう)の摘出手術を受け、服用後24時間以内の乗務が制限されている消炎剤「ダーゼン」などの処方を受けた。しかし会社に報告はせず、薬の服用を続けながら乗務を続けていたという。

7月13日に服用が判明し、乗務を停止した。同12日までの乗務で、24時間以内に薬を服用したケースが3日間の7便で確認されたが、日航は「安全上の問題は起きなかった」と説明している。

2006年 7月20日 (木) 11:30
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T0605 KAEMI が発生しました

 昨日の午後、携帯電話がブルブルとふるえてメール着信の知らせが。時間から考えてTAFではないし、どこかのAMD(修正予報)かな、と思っていたら、台風5号の発生を知らせるメールでした。

昨日19日15時〔日本時間〕、マリアナ諸島で熱帯低気圧が2006年台風第5号[アジア名: KAEMI (ケーミー) アジア名通番11,命名国・地域:韓国,意味:あり(蟻)]となりました。

T200605 KAMEI

台風第5号はまだまだ日本の遥か南方海上にありますが、今後の進路は 台風情報 で見ることができます。



4号が発生してからちょうど10日後の5号発生です。

この先発生する台風に命名されるアジア名、しつこく掲載しておきます。

2006年通番アジア名意味命名国・地域アジア名通番
〓04Bilis (ビリス)スピードフィリピン10
〓05Kaemi (ケーミー)あり(蟻)韓国11
06Prapiroon (プラピルーン)雨の神タイ12
07Maria (マリア)女性の名前米国13
08Saomai (サオマイ)金星ベトナム14
09Bopha (ボーファ)カンボジア15
10Wukong (ウーコン)(孫)悟空中国16
11Sonamu (ソナムー)北朝鮮17
12Shanshan (サンサン)少女の名前香港18
13Yagi (ヤギ)やぎ座日本19
14Xangsane (シャンセン)ラオス20
15Bebinca (バビンカ)プリンマカオ21
16Rumbia (ルンビア)サゴヤシマレーシア22
17Soulik (ソーリック)伝統の酋長称号ミクロネシア23
18Cimaron (シマロン)野生の牛フィリピン24
19Chebi (チェービー)つばめ(燕)韓国25
20Durian (ドリアン)果物の名前、ドリアンタイ26
21Utor (ウトア)スコールライン米国27
22Trami (チャーミー)花の名前ベトナム28
23Kong-rey (コンレイ)伝説の少女の名前カンボジア29
24Yutu (イートゥー)民話のうさぎ中国30
25Toraji (トラジー)桔梗北朝鮮31
26Man-yi (マンニィ)海峡の名前香港32
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機上気象レーダ( Onboard / Airborn WX Radar )って

 明日は(夏の)土用の入りです。鰻をおねだりできる“丑の日”は、今年は7月23日(日)なのですが、それまでに梅雨は明けるのでしょうか。

きょうも各地で梅雨前線に伴う激しい雨が観測されているようです。

すごく簡単にですが、悪天候回避の強い?見方?である“機上気象レーダ( Onboard / Airborn WX Radar )”についてお話します。

疑問符“?”を付けたのは、折角搭載されている WX Radar も使い方次第では全く意味をなさないからであります。

それ程に WX Radar の使い方は重要であり、パイロットの方々は皆勉強に余念がありません。味方につければ快適性を向上させる強力な武器になるのですから。

WX Radar については一般論は勿論存在しますが、それだけではいささか不十分であり、日頃の運航や資料の研究から独自のノウハウをためこんでいるパイロットさんが多いようです。
「キャプテン(機長)の数だけ WX Radar の活用法がある」と言っても過言ではないでしょう。

今回は“簡単に”ですから、一般論、それも原理が中心です。
(世間一般には、気象レーダというとテレビの天気予報やインターネットのサイトで目にする程度であり、“機上気象レーダ( Onboard / Airborn WX Radar )”には無縁ですからね....)

WX Radar は機首部分に格納されています。

アンテナはパラボラ・アンテナで、Cバンド周波数といわれる4GHz~8GHzのマイクロ波を使っています。

近年開発されている新しいレーダは、Xバンド周波数(8GHz~12.5GHz)を用い、平面アンテナになっています。
Xバンドを用いた新世代レーダには;
  • パルス波のエネルギーがより強力
  • ビーム幅が狭いため、ターゲットの解像度が向上する
  • 反射効率が高く、ターゲットから返ってくるエネルギー総量が増える
  • 擾乱、ウィンド・シェアも検出できる
  • 低消費電力
等のメリットがあるので、今後はこの新世代 WX Radar 搭載機が増えてくることでしょう。



さて、“機上気象レーダ( Onboard / Airborn WX Radar )”の原理です。

機首部分に格納されたアンテナから、マイクロ波のパルスを照射します。

照射されたマイクロ波(波長が極めて短いですから、強い直進性を持っています)は、それを反射するターゲットがあると、それにぶつかり、逆方向に戻ってきます。

Weather Radar Principle


その戻ってきたマイクロ波をアンテナで受信し、アンプで増幅、反射強度に応じて色分けをして(または輝度を変えて)レーダ画面に表示します。
(この表示された画像を、一般的には“(レーダ)エコー”と言います)

エコーをどこに表示するかですが、最近のハイテク機ではパイロットの正面に配置されている CRT / LCD ディスプレーの一つを ND: Navigation Display モード(カーナビの地図表示のようなものです)にして、そこに重ねて表示させることが可能です。

クラシックでビンテージものの機材(非グラス・コックピット機)では、別途レーダー画面があります。

と、原理はたったこれだけです。

「反射強度」は何故変化するのか。

ひとつは、アンテナからターゲットまでの距離の要因があります。
当然のことながら、遠くのターゲットは照射してからその反射波を受信するまでの距離が長くなりますので、その分、照射したマイクロ波のエネルギーは減衰して弱くなります。
が WX Radar の場合、これはあまり重要視されません。

重要なのは、ターゲットによる反射率の違いです。

WX Radar (ここでは従来から用いられてきているCバンドのレーダを想定します)が検出できるのは、
  • 雨滴( Rain )
  • 湿った雹( Wet hail )
  • 氷晶( Ice crystal ),乾いた雹( Dry hail ),乾いた雪( Dry snow )
のみであり、
  • 霧( Fog )
  •  は水滴が細かすぎて
  • ウィンド・シェア( Wind shear ),晴天乱気流( Clear Air Turbulence )
  •  は降水粒子が存在しないので検出できません。

さらに、検出できるものの中でも反射率が異なります。

ターゲットによる反射率の違いは以下の図のようになります。

Reflectivity According to Droplet Type


これを見ると、単位体積あたりに含まれる水の総量が多いほど反射率が強いことがわかります。

加えて、降水粒子の大きさが反射率に大きく影響します(反射強度は降水粒子直径の6乗に比例)。

Reflectivity According to Droplet Size


これは、以前の投稿にも記したのですが、雲の粒子は半径が10ミクロン、雨雲の代表的な雨粒は半径が1000ミクロン、雲粒と雨粒の境界は大体半径が100ミクロンと言われています。

雲粒と雨粒との間には、100倍の大きさの差がある訳ですが、これはレーダの反射波では、(10×10)の6乗=10の12乗=1000億倍の反射強度の差となって現れます。

雲であれば、何でもかんでもレーダに映るわけではないのです。

※これは、“機上気象レーダ( Onboard / Airborn WX Radar )”に限ったことではないので、インターネットで提供されているリアルタイム・レーダー・サイトで、エコーが全く映っていないのに、空を見上げると全天雲に覆われている、といったことを経験された方もおられることでしょう。



原理としては単純明快な WX Radar ですが、使いこなすのには Tilt 角の調節,Range の調節,Gain の調節など種々の留意点があります。

小生を含め一般人にとっては箪笥の肥やしにもならないことですが、気が向いたら(且つ書く気力があれば)取り上げるかもしれません。
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RTO: Reject Takeoff - 離陸中断

 RTO: reject takeoff 、“離陸中断”のことです。

「ポーン・ポーン」のチャイム音と共に「 Fasten Seatbelt 座席ベルト着用」のサインが点滅し、飛行機が滑走路に入ります。

CAが「皆様、この飛行機は間もなく離陸いたします。お座席のベルトを腰の低い位置で~」のPAを入れます。

滑走路中心線にアラインした飛行機は、(離陸方式にもよりますが)「ヒューン」とジェットエンジン音が高くなったかと思うと「ゴー~」っと離陸推力にセットされたエンジン音と共に猛ダッシュ、離陸滑走を開始します。

何事も無ければ、80kt, V1, VR (or Rotate), V2 のコールアウトと共に大地を蹴り、大空に舞い上がります。

“何事も無ければ”…。コックピットが極めて緊張するフライト・フェイズの一つです。

“何事かあった”ならば、離陸を継続するか、RTO の何れかとなります。

どちらの対応をとるかの判断材料として最も重要なものが、離陸決心速度 V1 と言われるものです。

この V1 に関しては、誤った理解をされている方も少なくないと思われますので、説明は別の機会に譲ります。

今回は RTO に焦点を当て、RTO はどのくらいの頻度で発生するものなのか、についての話です。

いささか古いデータで恐縮ですが、過去の例として、あるエアラインの1990年までの統計データを紹介します。

離陸回数230,000,000
RTO回数76,000
RTOに起因するオーバーラン件数74

  • 離陸3000回に1回の割合でRTOが発生
  • 離陸300万回に1回の割合でRTOが原因でオーバラン事故またはインシデントが発生

FAA: Federal Aviation Administration (米国連邦航空局)では、1995年には1800万回の離陸があると推定しており、それにこの統計の発生率を当てはめると、1年間に6000回のRTOが発生することになり、これは、一日あたり16便のクルーがRTOに遭遇する計算になります。

計算上は、短距離中心で月間80回程度の離陸を行なうパイロットの場合は3年に1回の割合で、長距離国際線の乗務がメインで月間の離陸回数が8回程度の離陸しか行なわないパイロットの場合、30年間の乗務に1回RTOに遭遇することになります。

ただし、RTOを決断した時点の速度分布を見ると、下の図のように、待ったなしの判断が要求される高速域でのRTOは、RTO全体の2%にしかすぎません。

Distribution of RTO Initiation Speeds


RTOの4分の3は80ノット(時速約150km)未満で開始されており、その速度域で実施されたRTOではオーバーラン事故に至ることはありません。
オーバーランの危険性があるのは、RTO全体の2%にしか過ぎない120ノット(時速約220km)を超える高速域でRTOを開始しなければならない場合です。
※注:エアバス社では100ノット(時速約180km)を超える速度を高速域と考えています。

「この数字をどう考えるか」ですが、当時よりもより技術(航空機システム,エンジン,パイロットなど)が進歩した今日では、“事故やインシデントに結びつくRTOの発生頻度は極めて少ない”と言えるでしょう。

実際、小生も乗客としてはかなりの数の離陸を体験しておりますが、RTOには遭遇していません。
が、ある日の羽田で、小生が搭乗している便の一機前で34Rから離陸を開始した青社の777がRTOしたのを目撃しています。
(RTOした青社の777は C1 から Rwy 34R に入り、Takeoff Roll を開始したかと思ったらスポイラーが立って離陸中断、C3S から滑走路を離脱、その後 E3 ~ I だったようです)

が、いくら技術が進歩したといっても、パイロットの皆さんは万一の場合でも Go / No Go の判断が的確に行なえるように、訓練に加え、日々の研鑽を重ねておりますので、お客様がいたずらに不安に思うことはないでしょう。

でも、この世の中、“絶対”はあり得ないことはしっかりと認識しておく必用があります。

Go / No Go Dicision は極めて重要かつ難しい問題なので、別途機会をもうけて愚論を述べようと思っております。

最後に、高速域からのRTOや、それに必ず伴うことになる高速域での Go / No Go Dicision がいかに事故に結びつく可能性があるのかについて理解の助けとなる統計、および、RTOの原因としてどのようなものがどのくらいの割合を占めているかの統計を示します。

Major Factor in RTO Accidents


Reason for initiating RTO

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夏の高校野球シーズンか…

 6月20日に既に梅雨明けした“沖縄地方”(“奄美地方”も同6月20日に梅雨明け)。第88回全国高等学校野球選手権大会 の出場校決定も一番乗りです。

小生の住処がある神奈川県は参加校数が半端ではなく、まだ黙々と2回戦をこなしている最中。

都道府県によって参加校数に偏りがあることにはいろいろな意見もあるようですが、小生が高校野球を見ていたご幼少の頃は、地域代表で1校(県大会を勝抜き、さらにお隣の県の代表を破ってはじめて甲子園)、なんていう時代でした。

小学生の頃、野球のスコアブックのつけ方を覚えたのも、テレビで中継されている高校野球を観ながらのことでした。

夏の甲子園、全国高等学校野球選手権大会といえば、あの大会歌がとても印象深く、今も“ジーン”ときてしまうのです。

作曲は故古関裕而先生。
歌詞とマッチしたあのメロディー、小生は大好きです。

ずっと昔ですが、某民放局で放映していた「家族歌合戦?」の審査員を古関裕而先生がしていた頃がありまして、当時は毎週、古関裕而先生を拝見するために当該番組を観ていたことが想い出されます。
(古関裕而先生と同郷(同一県内でも離れてはいますが)であることは幸せであります。)
※古関裕而先生のプロフィールは、こちら (福島市古関裕而記念館のページにリンクしています)


栄冠は君に輝く

(作詞:加賀大介 作曲:古関裕而)

1.雲は湧き 光溢れて 天高く 純白の球 今日ぞ飛ぶ
  若人よ いざ まなじりは 歓呼にこたえ
  いさぎよし 微笑む希望 ああ栄冠は君に輝く

2.風をうち 大地を蹴りて 悔ゆるなき 白熱の 力ぞ技ぞ
  若人よ いざ 一球に 一打にかけて
  青春の 賛歌をつづれ ああ栄冠は君に輝く

3.空を切る 球の命に かようもの 美しくにおえる健康
  若人よ いざ 緑濃き しゅろの葉かざす
  感激を 目蓋にえがけ ああ栄冠は君に輝く

昭和24年から歌い継がれている名曲です。

この歌詞の一語一句が何を謳っているのか、自分の言葉で表現できるようにまでなり、この詩の素晴らしさに心底“感動”できるような“若人”が増えてほしいなぁ。

大会の主催者の一つである「朝日新聞社」のサイトでは、沖縄は石垣島出身の“夏川りみ(なつかわ りみ)”さんが歌う「栄冠は君に輝く」を聴くことができます。

   朝日新聞高校野球 夏川りみが歌う大会歌「栄冠は君に輝く」- 第88回全国高校野球選手権大会


八重山商工が一番乗り 夏の高校野球地方大会 (共同通信) - goo ニュース
第88回全国高校野球選手権大会の地方大会は16日、全国49大会のトップを切って沖縄で決勝が行われ、今春の選抜大会に出場した日本最南端の高校、八重山商工が中部商を7-3で下し、沖縄の離島勢としては初めて夏の甲子園切符を手にした。

八重山商工は1回に2点を先制すると3、5回にも1点を加えた。7回に1点差とされたが、その裏すぐに加点。8回には金城長の2点本塁打で突き放した。

2006年 7月16日 (日) 16:52
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山下公園、花火大会

 横浜は山下公園の花火大会(横浜開港記念みなと祭 国際花火大会)が先程から開始、花火の打ち上げが始まりました。

071138 RJTTZPZX
(2677/06 NOTAMN
Q)RJJJ/QXXXX//M/EW/000/016/
A)RJTT B)0607161030 C)0607171200
D)1030/1200
E)FIREWORKS WILL BE CONDUCTED AS FLW
1.PLACE : 352702N1393908E (QTE 226DEG/16KM FM RJTT ARP)
(YAMASHITA PARK IN YOKOHAMA CITY)
2.TOTAL SHOT : 7276 SHOTS
F)GND G)1550FT/AGL)

7276発も打ち上げるのですね。

山下公園に程近い球場で行なわれている某球団対某球団のナイトゲームでは、花火はおろか得点も入っておりません。

※機上から花火の撮影する技術など持ち合わせていないので、HAYAMA THREE で上がったときの昼間の空撮写真でお茶を濁す。
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繁忙期の味方?

 【お盆時期のご旅行】人気路線は満席便も出ています!今すぐご確認を。

とのダイレクト・メール( E-mail )が青社さんから届きました。

確かに旧盆時期の民族大移動まであと1ヶ月。各社とも集客に懸命といったところでしょうか。

混雑が予想されるのは....、


なんだ、結局お盆時期はずっと混雑する訳ですね。

この時期、航空会社も各種割引運賃は“ Embargo ”となり、所謂、事前購入割引運賃「特便割引とか特割とか」が設定されてなかったり、路線によっては往復割引も設定されません。

流石、「儲ける仕組み」が出来上がっております。


“ Embargo ”期間外でも、「同じ飛ぶなら少しでも安く」との発想から、安い運賃から予約が埋まってくるのは至極当然な現象でありましょう。

しかし、これらの割引運賃、提供される席数に限りがあり(当該便の全座席数に占める割合はあまり多くない;きっと比率は企業秘密)、特定便割引では利便性が良い便では割引率が然程良くなかったりと、航空会社側もそう簡単には「安く飛ばせて」はくれません。

しかも、割引運賃、普通運賃に関係なく航空券に関しては、2005年12月1日から予約~購入に関する制限も厳しくなり、予約日を含め3日以内に支払いを済ませないと折角獲得した予約が自動的に取り消されてしまうようになりました。
[参考: ANA国内線 - 航空券のお支払期限について

「ねぇ、○○、今月末に□□と△△へ行かない?宿もOKだし、飛行機も安いチケット取れそうなんだ」

「う~ん、今月末、微妙だな。今の仕事が順調に終われば大丈夫だけど…」

「平気だよ。□□も一緒だし、この時期の△△は最高~らしいよ。予約しちゃうね」

って、予約したら3日以内にはチケット代金を支払わねばなりません。

月末になって、「ごめん、やっぱり行けそうに無いや」なんて言おうものなら大顰蹙で、キャンセルするにしても相応ののキャンセル料がかかります。

普通運賃は言うに及ばず、特定便割引運賃でも、少し前までは“支払い期限”が便出発前日(普通運賃は便出発20分前)だったので、○○ちゃんも「予約だけ入れておいて」が通用したのですが…。

この状況、同僚との旅に限った話でなく、お子様連れて田舎に親子・家族で帰省するような場合にもプレッシャーが。

1ヶ月・2ヶ月前から特定便割引で予約・購入していても、お子様が(別にお子様に限った訳ではありませんが)出発日前日に風邪をひいて熱を出してしまう可能性もあります。
「折角、割引運賃で取ったチケット、無駄に出来ぬ」との強行軍では、お子様が航空性中耳炎になってしまうかも知れません。無理は禁物です。
が、キャンセル料も痛いし、田舎の爺ちゃん婆ちゃんもガッカリです。

どんなに早く予約(予約は2ヶ月前から)したとしても、支払期限は便出発20分前(悪くても前日)までOKで、予約便の変更も可能なチケットは無くなってしまったのでしょうか....。


実はあります。美味しいチケットが....。
SH Coupon
株主優待割引運賃 であります。
※これとて雲行は怪しく、いつまで通用するかは疑問ですが....。

これは、株主優待券・株主特別優待券と引き換えに空港で発券してもらう必要がありますが(インターネットでのチケットレスやWEBチェックインは不可)、
 予約:予約は搭乗日当日まで可能
 購入期限:当面の間搭乗便の定刻20分前まで
 予約変更:可。ただし航空券に記載された区間変更は不可
の条件は魅力的です。しかも、“優待”と名の付くように普通運賃の50%割引です。

株主優待券・株主特別優待券について、詳細を記すと、飛行機を利用するお客様および航空会社の双方にご迷惑がかかるかもしれませんので、この先は以下の URL を参照にご自分でご研究下さい。

[全日本空輸株式会社]
 ☆ スーパーシートプレミアム株主優待割引運賃
 ☆ 株主優待割引運賃
 ☆ 株主優待のご案内:ANA国内線ご搭乗優待

[株式会社日本航空]
 ☆ 株主優待割引
 ☆ 株主優待割引券のご案内 (株主優待制度)
 ☆ 株主優待割引券の登録 操作説明
 ☆ 自動チェックイン・発券機TCM 株主優待割引購入操作手順

※このブログをご覧いただいている方はEPをご利用かな?
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連鎖とは考えたくないが…。

 またもや痛ましい事故が起きてしまいました。よく「航空機事故は連鎖する」と言われますが、シベリア航空778便の事故から間もないために、どうしてもそのような考えが頭を過ってしまいます。

パキスタンのムルタンからラホールを経由しイスラマバードへ向かっていたパキスタン航空( PIA: Pakistan International Airlines )688便(フォッカーの双発プロペラ機のようです)が、ムルタンを離陸、2分後に管制塔との連絡が途絶え、約10分後に墜落炎上、乗員乗客45人全員が亡くなったとのことです。

どうやら事故機は老齢機だったようで、パキスタン航空は当該機種を置き換えるために昨年新たな機材を発注していましたが、その多くはまだ置き換えが済んでいないとも言われています。

あらなた連鎖が起こらないことを願うばかりです。


【追記:1210I】

機体は1964年製造のフォッカー・フレンドシップ200、とのこと。

フォッカー・フレンドシップ( Fokker F-27 Friendship ) は初飛行が1955年、量産開始が3年後の58年で、我が国の全日空も1961年から25機を運航していました(1973年の3月まで全てが退役、その間無事故運航でした)。

いくら整備をしっかり行なっていれば機齢がいった機体でも飛行できるとは言え、当該機は成人男性で言えば“厄年”ですよ。このような機体が有償飛行に供されていたとは....、正直驚きです。

パキスタン航空では過去に16回 Fokker F-27 で事故をおこしており、そのうち8回は犠牲者を出しています(1994年以降のここ3回の事故では死傷者0でした)。17回目の今回の事故は、1989年8月25日の54名に次ぐ犠牲者となってしまいました。

ASN Aircraft accident description Fokker F-27 Friendship 200 AP-BAL - Multan Airport (MUX)

Status:Preliminary
Date:10 JUL 2006
Time:12:00
Type:Fokker F-27 Friendship 200
Operator:Pakistan International Airlines - PIA
Registration: AP-BAL
C/n / msn: 10243
First flight: 1964
Engines: 2 Rolls Royce 532-7 Dart
Crew:Fatalities: 4 / Occupants: 4
Passengers:Fatalities: 41 / Occupants: 41
Total:Fatalities: 45 / Occupants: 45
Airplane damage: Written off
Location:near Multan Airport (MUX) (Pakistan)
Phase: Initial climb
Nature:Domestic Scheduled Passenger
Departure airport:Multan Airport (MUX / OPMT), Pakistan
Destination airport:Lahore Airport (LHE / OPLA)
Flightnumber:688
Narrative:
Shortly after takeoff the airplane reportedly suffered engine problems. It struck an electric power line before crashing in a field. The F-27 broke up and caught fire.


パキスタンで旅客機が墜落、搭乗の45人全員が死亡=警察 (ロイター) - goo ニュース
[ムルターン(パキスタン) 10日 ロイター] パキスタン航空の旅客機が10日、同国中部のムルターンで墜落、乗っていた45人全員が死亡した。地元警察の責任者が明らかにした。

 同責任者はロイターに対し「全員が死亡した。私は現在事故現場にいる」と語った。

 この飛行機はムルターン発、ラホールおよび首都イスラマバード行きのPK688便で、乗客41人と乗員4人が乗っていた。

 空港関係者によると、ムルターンの空港から離陸した10分後に墜落したという。

2006年 7月10日 (月) 17:23
小型旅客機墜落、45人死亡 パキスタン (共同通信) - goo ニュース
【イスラマバード10日共同】パキスタン東部ムルタンで10日正午(日本時間午後4時)すぎ、乗客乗員45人を乗せたパキスタン航空の国内線小型旅客機が空港を離陸直後に墜落、地元当局者は全員が死亡したと述べた。民放ジオ・テレビは、目撃証言として同機が離陸直後にエンジンから出火、電線に接触しながら墜落したと伝えたが、詳しい原因は不明。

同機には軍高官や判事などが搭乗していたが、治安当局はテロなどの可能性は否定した。パキスタン航空によると、乗客名簿に外国人は含まれていない。在パキスタン日本大使館は、日本人が乗っていなかったことを確認した。

地元当局者によると、離陸してから約10分後に墜落したという。

2006年 7月10日 (月) 20:55


BBC NEWS | South Asia | 'No survivors' in Pakistan crash
The crashed planeA Pakistan International Airlines (PIA) passenger plane has crashed on a domestic flight, killing all 45 people on board, officials say.

The twin-engine Fokker aircraft crashed soon after take-off from the central city of Multan and burst into flames.

Rescuers could not save those inside. Officials said senior members of the military and judiciary were on board.

It is not clear what caused the crash, but eyewitness reports suggest it may have been a technical fault.

Flight PK 688 to Lahore is believed to have been carrying 41 passengers and four crew when it went down.

"All passengers and crew are dead in the air crash," district co-ordination officer Iftikhar Babar told Pakistan's private Geo TV channel.

"Fire erupted after the crash and all bodies were charred beyond recognition."

He told the BBC the dead included two high court judges, two senior army officers, one senior PIA official and a senior police officer.

Technical malfunction is one line of inquiry crash investigators are pursuing. Mr Babar said some witnesses had seen flames coming from the aircraft after take-off.

'Huge explosion'

Eyewitnesses say the aircraft hit an electric power line before crashing in a field.

"The plane lost contact with the control tower about two minutes after take-off. We don't know what happened to it," PIA engineer Mansoor A Rahi told the Associated Press news agency.

"There was a huge explosion after the plane hit the ground," one eyewitness, Mohammed Nadeem, told AP.

"The plane began to come down abruptly," another eyewitness, Arshad Gujjar, said. "Then there were flames and dust."

Witnesses at the scene of the crash say they saw a number of bodies which had been badly burnt.

The BBC's Barbara Plett in Islamabad says the issue of Pakistan's ageing fleet of Fokker aircraft was raised in parliament last year.

Some politicians said the planes should be grounded because they had flown far more than the recommended flight hours.

At the time, defence ministry officials said they were fit for flying.

Our correspondent says Pakistan International Airlines did order new planes to replace them last year - but most have yet to arrive.

Last Updated: Monday, 10 July 2006, 11:25 GMT 12:25 UK
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T0604 BILIS が発生しました

 昨日9日15時〔日本時間〕、フィリピンの東海上で熱帯低気圧が2006年台風第4号[アジア名: BILIS (ビリス) アジア名通番10,命名国・地域:フィリピン,意味:スピード]となりました。

現時点の予報円では台湾方面へ進んでいるようですが、先島諸島・沖縄地方では警戒が必要です。

T200604 BILIS

台風4号はこれから発達することが予想されます。

依然として梅雨前線も台風に刺激され活動が活発なので要注意です。

2006年台風第4号の「スピード]、今後の進路は 台風情報 で注意を払いましょう。



3号4号と発生し、出足が鈍かった今年の台風もここにきてペースアップしているようです。

この先発生する台風に命名されるアジア名、再度掲載しておきます。

2006年通番アジア名意味命名国・地域アジア名通番
〓04Bilis (ビリス)スピードフィリピン10
05Kaemi (ケーミー)あり(蟻)韓国11
06Prapiroon (プラピルーン)雨の神タイ12
07Maria (マリア)女性の名前米国13
08Saomai (サオマイ)金星ベトナム14
09Bopha (ボーファ)カンボジア15
10Wukong (ウーコン)(孫)悟空中国16
11Sonamu (ソナムー)北朝鮮17
12Shanshan (サンサン)少女の名前香港18
13Yagi (ヤギ)やぎ座日本19
14Xangsane (シャンセン)ラオス20
15Bebinca (バビンカ)プリンマカオ21
16Rumbia (ルンビア)サゴヤシマレーシア22
17Soulik (ソーリック)伝統の酋長称号ミクロネシア23
18Cimaron (シマロン)野生の牛フィリピン24
19Chebi (チェービー)つばめ(燕)韓国25
20Durian (ドリアン)果物の名前、ドリアンタイ26
21Utor (ウトア)スコールライン米国27
22Trami (チャーミー)花の名前ベトナム28
23Kong-rey (コンレイ)伝説の少女の名前カンボジア29
24Yutu (イートゥー)民話のうさぎ中国30
25Toraji (トラジー)桔梗北朝鮮31
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