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GPWS: Ground Proximity Warning System - Mode 5
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/4c/8146a0df3678840a9d6ded185fe16c87.jpg)
勢いだけで続けてきている GPWS: Ground Proximity Warning System 「地上接近警報装置」の説明、今回は Mode 5 にチャレンジです。
これが終わると、残るは Mode 6 のみですから、何となくゴールが見えてきそうです。
さて、 GPWS Mode 5 ですが、これは飛行機が Glide Slope を下回ったときに警告を発するためのものです。
つまり、当該モードが有効なのは、ILS: Instrument Landing System (計器着陸装置)を使って進入・着陸を行う場合に限られます。
GPWS Mode 5 は Landing Gear が Down Locked となり、ILS の周波数が設定され(つまみを回して ILS の周波数を選局し、モールス符号で所望の滑走路の ILS であることを確認する、なんていう操作は過去のものになりつつあるほど、最近のハイテク機は発展が凄い;着陸滑走路を FMC: Flight Management Computer に設定するだけ…)、飛行機の高度が地上925フィート未満、の3つの条件が全て揃うと自動的に動作を開始します。
下に示した図が、 GPWS Mode 5 の警告特性です。
![GPWS Mode 5 Warning Envelope](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/08/dbfc390874043cb967c937e3f7ac06cf.png)
横軸が ILS Glide Slope (計器着陸装置の誘導電波の内、的確な進入角度(通常は3度)を示すビーム)ビーム中心からのズレで、縦軸が電波高度計で計測した地上高です。
図からも明らかなように、警告は2つの領域に分かれています。
飛行機が "Glide Slope (Soft)" 領域に入った場合、人口音声は比較的穏やかに "Glide slope" と警告を発し、"Below Glide Slope" の黄色の警告灯が点滅します。
“比較的穏やか”と記しましたが、どの位かというと、他の警告音よりも6dB(デシベル)小さい音量だそうです。
電波高度計が約300フィート以下になると、ビーム中心からのズレが大きい場合(大きく沈み込んだ場合)、他の警告類と同じ音量で人口音声が "Glide slope" と怒鳴ります。
図を良く見ると解かるかと思いますが、電波高度計が150フィート未満では、 "Glode Slope" の警告音を発する境界が甘くなっています( ILS Glide Slope のビーム中心からのズレの許容範囲が増えている)。
これは、電波高度計が150フィート未満まで降りている=滑走路端が近い= ILS Glide Slope のアンテナが近い、ということを考慮していて、 Glide Slope 電波に過敏反応して発せられる警告が得てして厄介者になることを回避するためです。
ILS の Glide Slope, Localizer の電波は非常に繊細なので、CAT II, CAT III 等で地上が SSP: Special Safeguard and Procedures 体制をとっているときは良いのですが、そうでない場合、 アンテナ付近やそのビーム近傍に車両が一台通っただけでも ILS のビームは影響を受けるのです。
※SSP体勢とは、ILS制限区域内に人ひとり入れずILSが発するビームが擾乱を受けることがないようにする体制です。
※ILS制限区域内を確保するだけでなく、他にも進入灯火類が規程の輝度で点灯していること、非常用バックアップ電源がオンになっており瞬間停電にも影響を受けないことなども含まれています。
これまで見てきた GPWS Mode と同様、GPWS Mode 5 もパイロットが意図的に無効化することが出来ます。
![G/S INHIBIT SW of Boeing747-400](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/be/10ad909caed8ada489c58a9d1da5d3ae.jpg)
無効化するときには、"Below Glide Slope" 警告等(あるいは Glide Slope Inhibit スイッチ)を押します。
これにより、滑走路接地帯よりもやや手前に接地させて、着陸後の滑走路長をかせぐ、といったオペレーションも可能になります。
上述したように、 Glide Slope 電波は非常に繊細であるため、それ故、不安定な Glide Slope ビームが原因で GPWS Mode 5 の警告が厄介者になってしまう可能性も否定できません。
よって、これまで述べてきた他の GPWS Mode の警告類よりも、この GPWS Mode 5 の警告は優先度が低くなっています(唯一、同一優先度扱いになるのが Mode 6 の警告です)。
最後に、 GPWS Mode 5 の警告がどのように作動するかをイメージした図を下に示します。
![GPWS Mode 5 Warning Example](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/e8/114f45ddf30d7a2dad2f841c095944a4.png)
これが終わると、残るは Mode 6 のみですから、何となくゴールが見えてきそうです。
さて、 GPWS Mode 5 ですが、これは飛行機が Glide Slope を下回ったときに警告を発するためのものです。
つまり、当該モードが有効なのは、ILS: Instrument Landing System (計器着陸装置)を使って進入・着陸を行う場合に限られます。
GPWS Mode 5 は Landing Gear が Down Locked となり、ILS の周波数が設定され(つまみを回して ILS の周波数を選局し、モールス符号で所望の滑走路の ILS であることを確認する、なんていう操作は過去のものになりつつあるほど、最近のハイテク機は発展が凄い;着陸滑走路を FMC: Flight Management Computer に設定するだけ…)、飛行機の高度が地上925フィート未満、の3つの条件が全て揃うと自動的に動作を開始します。
下に示した図が、 GPWS Mode 5 の警告特性です。
![GPWS Mode 5 Warning Envelope](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/08/dbfc390874043cb967c937e3f7ac06cf.png)
横軸が ILS Glide Slope (計器着陸装置の誘導電波の内、的確な進入角度(通常は3度)を示すビーム)ビーム中心からのズレで、縦軸が電波高度計で計測した地上高です。
図からも明らかなように、警告は2つの領域に分かれています。
飛行機が "Glide Slope (Soft)" 領域に入った場合、人口音声は比較的穏やかに "Glide slope" と警告を発し、"Below Glide Slope" の黄色の警告灯が点滅します。
“比較的穏やか”と記しましたが、どの位かというと、他の警告音よりも6dB(デシベル)小さい音量だそうです。
電波高度計が約300フィート以下になると、ビーム中心からのズレが大きい場合(大きく沈み込んだ場合)、他の警告類と同じ音量で人口音声が "Glide slope" と怒鳴ります。
図を良く見ると解かるかと思いますが、電波高度計が150フィート未満では、 "Glode Slope" の警告音を発する境界が甘くなっています( ILS Glide Slope のビーム中心からのズレの許容範囲が増えている)。
これは、電波高度計が150フィート未満まで降りている=滑走路端が近い= ILS Glide Slope のアンテナが近い、ということを考慮していて、 Glide Slope 電波に過敏反応して発せられる警告が得てして厄介者になることを回避するためです。
ILS の Glide Slope, Localizer の電波は非常に繊細なので、CAT II, CAT III 等で地上が SSP: Special Safeguard and Procedures 体制をとっているときは良いのですが、そうでない場合、 アンテナ付近やそのビーム近傍に車両が一台通っただけでも ILS のビームは影響を受けるのです。
※SSP体勢とは、ILS制限区域内に人ひとり入れずILSが発するビームが擾乱を受けることがないようにする体制です。
※ILS制限区域内を確保するだけでなく、他にも進入灯火類が規程の輝度で点灯していること、非常用バックアップ電源がオンになっており瞬間停電にも影響を受けないことなども含まれています。
これまで見てきた GPWS Mode と同様、GPWS Mode 5 もパイロットが意図的に無効化することが出来ます。
![G/S INHIBIT SW of Boeing747-400](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/be/10ad909caed8ada489c58a9d1da5d3ae.jpg)
無効化するときには、"Below Glide Slope" 警告等(あるいは Glide Slope Inhibit スイッチ)を押します。
これにより、滑走路接地帯よりもやや手前に接地させて、着陸後の滑走路長をかせぐ、といったオペレーションも可能になります。
上述したように、 Glide Slope 電波は非常に繊細であるため、それ故、不安定な Glide Slope ビームが原因で GPWS Mode 5 の警告が厄介者になってしまう可能性も否定できません。
よって、これまで述べてきた他の GPWS Mode の警告類よりも、この GPWS Mode 5 の警告は優先度が低くなっています(唯一、同一優先度扱いになるのが Mode 6 の警告です)。
最後に、 GPWS Mode 5 の警告がどのように作動するかをイメージした図を下に示します。
![GPWS Mode 5 Warning Example](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/e8/114f45ddf30d7a2dad2f841c095944a4.png)
Comment ( 3 ) | Trackback ( 0 )
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毎回、丁寧な解説をしていただきあるがとうございます。本当に勉強になります。
それにしても、航空機の人工オーラルトーンって会社によって違いがあるようですね。私はエアバスしか知りませんが、着陸前の高度のコール、あんまし好きになれません。やっぱかわいい女性の声でしょう!(核爆)。
GPWS、更に進化していくのでしょうね。今はGPSと連動してたやつもあると聞いてます。ま、いくら便利な装置があっても、それを使いこなすパイロットがいないとだめですが(爆)
コメントありがとうございます。
ご指摘のように人工音声は各社各様ですね。さながら、カーナビのルート案内のようです(あれは人工ではなくてナレーターのお嬢様がフレーズや単語・地名を録音したのを組み合わせているようですが)。
機内、しかもコックピットという環境下で明瞭に聞き取れるためには、どうしても周波数帯やホルマント(formant)が限られるのかもしれませんね。
小生、逆にエアバスは知らないのですが、ボーイングのそれを聞き慣れていたので、MD11のそれに新鮮さを覚えた記憶があります。
MD11は何となく冷たく言い放つような感じでした。"Approaching Minimum", "Minimum"など。
> GPWS、更に進化していく
EGPWSですね。奴さんは地形のデータベース持ってます。
> いくら便利な装置があっても、それを使いこなすパイロットがいないとだめ
重要なポイントですね。GPWSは回避操作は行ってくれません。
中国のエアラインでGPWSがけたたましく警告を発しているのに、その意味が解からず回避できずに事故になってしまった事例があります。
やはり、最後に頼りになるのは厳しい訓練を重ねたパイロットの方々なのであります。