徒然なるままに、一旅客の戯言(たわごと)
*** reminiscences ***
PAXのひとりごと
since 17 JAN 2005


(since 17 AUG 2005)

顧客番号

今の世の中、番号が氾濫していますね。皆さんの周りでも、郵便番号・電話番号・社員番号・学籍番号にはじまり、銀行の口座番号・クレジットカード番号・インターネットプロバイダのIDなど等、とても覚えきれない程の識別番号があることでしょう。

その中の一つに「顧客番号」があります。航空会社のマイレージ・プログラムに参加している方は、「お客様番号」として何桁かの番号が割り当てられているのではないでしょうか。

その航空会社も、飛行機メーカからすれば“お客様”。ボーイング社は、航空会社毎に2桁の「顧客番号: Customer Code 」を割り当てて、この航空機がどのエアライン(「日本国」政府専用機-航空自衛隊所属-のように必ずしもエアラインとは限りませんが)向けのものであるかを識別しています。

一例をとると、ボーイング777には、-200, -300, -200ER, -300ER のシリーズ(派生型)が存在します。
日本では、ボーイング777-200型を日本航空、全日本空輸、日本エアシステムの三社が導入し運航しています(日本エアシステムは今は日本航空ジャパンとなってしまいましたが)。
つまり、ボーイング社からみると、日本には3社の777カスタマが存在していることになります。このうち、日本航空、全日本空輸は、767、747、737も購入している顧客です。

よってボーイング社や航空会社、一部の航空愛好家の間では、この Customer Code を使って同じ機種でも識別する言い方をします。
 全日本空輸の777は、 Boeing777-281, -381, -281ER, -381ER
 日本航空の777は、 Boeing777-246, -346, -246ER, -346ER
 日本エアシステムの777は、Boeing777-289
 (日本エアシステムは -200 シリーズしか導入していない;いなかった)

つまり、ボーイング社の顧客番号では、
 日本航空:46
 全日本空輸:81
 日本エアシステム:89
が割り当てられている訳です。

全日空の場合、Boeing747-81SR, Boeing747-481, Boeing767-381, などと呼びます。

この Customer Code は、全世界のボーイング機オペレータに割り当てられています。
一部をピックアップすると、
 アメリカン航空:23
 コンチネンタル航空:24
 デルタ航空:32
 ユナイテッド航空:22
 エールフランス:28
 アリタリア航空:43
 ブリティッシュ・エアウェイズ:36
 ルフトハンザ・ドイツ航空:30
 大韓航空(コリアン・エアー):B5
 アシアナ航空:8E
 シンガポール航空:12
 タイ国際航空:D7
 キャセイパシフィック航空:67
 カンタス・オーストラリア航空:38
 中国国際航空:J6
 アエロフロート・ロシア航空(ILFCからリース):Q8
 「日本国」(航空自衛隊):7C

など等、とても全てをあげたらきりがありません。

「もっと詳しく知りたい」という方は、The Airline Codes Web Site の Boeing Customer Codes が参考になるかと思います。
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教材入手にも支障がでます

米国のカード情報流出、結構の頻度で米国より教材(本やビデオ)を取り寄せたり、渡米した際に、買い求めたりしている身としては、少々警戒レベルを上げねばならないようです。

もともと、利用明細書( Monthly Statement )はチェックする習慣がついておりますし、MSマネーとも照合していることもあってか、幸い今まで不正利用の被害には遭っていませんが、これからは今まで以上にチェックすることを忘れないようにいたしましょう。

実は、5年以上前になりますが、米国某州某都市で夕食の際にとあるカードを利用したのですが、そのお店が、スキミングのブラック・リストに載っていたらしく、帰国後、カード会社から電話があり、その(お店での利用)後の米国での利用履歴を電話口で延々と照合したことがあります。勿論、そのカードはその電話で本人確認をした瞬間に利用停止処置がとられ、数週間後、番号が変わった新しいカードが送られてきました。

そんな経験もあってか、こまめなチェックを習慣づけられたのかもしれません。

国内の不正使用額1億1100万円に 米カード情報流出 (朝日新聞) - goo ニュース

Credit_Card_image


不正利用もさることながら、このところの為替レートが堪えますねぇ。

NY市場の円安進み、一時8か月半ぶりの110円台 (読売新聞) - goo ニュース
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よ~く考えよう♪…

未就学児童でもあるまいし、いい大人が何をしているのでしょうか。

よ~く考えよう♪、お金より常識は大事だよ~♪(字あまりで失礼)

JALの沖縄那覇-羽田便でシートに焦げつくった若者も、機内から救命胴衣持出した修学旅行の生徒も、“同じ穴のむじな”ですよ!!

それにしても、ドラゴンに歯向うとは、この御方も凄いですね。相手は、ドラゴンのキャプテンですぞ。

機内で男性客暴れる 香港行きエアバス、福岡に緊急着陸 (朝日新聞) - goo ニュース


 27日午後5時40分ごろ、成田発香港行きの香港ドラゴン航空361便(エアバスA330―300型、乗客乗員256人)の機長から、福岡空港の管制官に「乗客が酔って機内で暴れている」と同空港へ緊急着陸の要請があった。乗客が同日夕、トルコ人のブティック経営、アハメッド・プセノオグル容疑者(40)を取り押さえ、暴行容疑で福岡県警に引き渡した。

 同機は同6時10分、空港に着陸。乗客にけがはなかったが、約3時間にわたって機内から出られなかった。乗客は同夜、空港近くのホテルなどに宿泊した。

 国交省などによると、同機は午後4時、成田空港を離陸。鹿児島空港の南西約160キロの上空を飛行していた同5時半ごろ、酔った男が別の客に注意されて逆上。持っていたライターで枕などに火を付けようとしたという。

 国交省は「機長は飛行中の機内で最大の権限が与えられており、緊急着陸は妥当な判断だ」としている。

   ◇

 このトルコ人の男の隣に座っていた都内の男性(48)によると、男は50歳代ぐらい。ウイスキーのコーラ割りを数杯飲んでいた。近くにいた別の乗客から「ヘッドホンの騒音がうるさい」と注意されたことから逆上し、止めに入った客室乗務員を突き飛ばすなど暴れたという。

 このため、別の客室乗務員が男を機体前方のビジネスクラスの座席に連れていったが、持っていたライターで枕や新聞紙に火をつけようとしたため、周りの乗客が羽交い締めにするなどして取り押さえたという。

 一方、離れた座席に座っていた神奈川県厚木市の男性は、「運航に異常をきたす状態になった」という機内放送で異変に気づいた。まもなく着陸したが、その後、約3時間たっても、具体的な説明がなかったので、「何がおきているのか、全くわからなかった」と航空会社側の対応に不満をもらした。



それから、“航空会社側の対応に不満をもらした”方。航空会社には「危機管理」に対する確固とした取り組み方があって、何でもかんでも状況を逐次説明する訳にも行かないのです。
セキュリティの観点から多くをまた詳細を記することはできませんが、仮に捕らえられた男性がテロリスト集団の一人で、他の仲間が機内に残っていたとしたらどうしますか?
そのような想定される事態の芽を一つ一つ潰して“危機管理”をしているのですから、“不満”をもらさず、お客様として航空会社に協力して下さいな。

マスコミも、どこかで粗を探して、航空会社を叩こう、そのような世論形成に加担しようとしないでほしいですね。

※今回もタイトルの写真はイメージであり、本記事で取り上げている内容と直接の関係はありません。
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気象通報式における略号補足

先日の「JAL1935/21JUN HNDOKA Divert 私見」をはじめとして、本ブログの投稿には“気象通報式”を引用することが少なくありません。

ほとんどの部分は説明済なのですが、たまに未だ説明していない略号(文字列)が現れることがありますので、きょうはこれまでに気が付いたそれらの略号を説明します。

1) NOSIG: NO SIGnificant change
 NOSIG: no significant change -- 顕著な変化なし
 【使用例】
 METAR RJBB 211300Z 21008KT 5000 -SHRA BR FEW010 SCT040 BKN060 22/21 Q1005 NOSIG

 成田、中部、関西の各空港では METAR に付加して「着陸用飛行場予報」が発表されています。
これは、風、卓越視程、現在天気、雲、鉛直視程に重要な変化が予想される場合に示されるのですが、いずれも重要な変化がなく、変化を報ずる必要なしと予想される場合には NOSIG が用いられます。
 ちなみに、この一つ前に発表された現況は
 SPECI RJBB 211245Z 23009KT 5000 SHRA BR FEW015 SCT040 BKN080 22/21 Q1005 RMK 1CU015 3CU040 6AC080 A2971
でしたから、その時点からの「風、卓越視程、現在天気、雲、鉛直視程」は『いずれも重要な変化がなく、変化を報ずる必要なし』と予想されたので NOSIG が報じられたのでしょう。

2)NSW: No Significant Weather
 NSW: no significant weather -- 運航に影響を及ぼす悪天がない
 【使用例】
 METAR RJBB 211230Z 23008KT 6000 SHRA FEW015 SCT040 BKN080 22/21 Q1005 BECMG NSW

 これは「着陸用飛行場予報」と組み合わされている例ですが、他には「飛行場予報:TAF」で用いられます。
 TAFや着陸用飛行場予報では、以下の重要な予報天気については、その現象の予想される開始・終了・強度の変化、が天気略号で示されることになっています。
-着氷性の降水
-着氷性の霧
-並または強の降水(しゅう雨性降水を含む)
-地ふぶき(ふぶきを含む)
-砂じんあらし
-雷電(降水の有無によらない)
-スコール
-ろうと雲(たつ巻)
-(弱い降水現象や霧・煙霧など)視程の重要な変化や原因になると予想される天気現象
 これらの重要な天気現象の終息を予報するために用いられる記号が、NSW(no significant weather)です。
 例の METAR では、変化群を示す BECMG (becoming) と共に用いられていますから、「 BECMG NSW 」で、『いままで、運航に影響を及ぼす重要な天気現象が予報されていたが、その(それらの)運航に影響を及ぼす悪天がない状況に変化している』と読みとります。

3)CAVOK: Ceiling And Visibility OK -- Visibility, cloud and present weather better than prescribed valuess or conditions
 CAVOK -- 視程・雲、天気は指定された値および条件より良好
 【使用例】
 METAR RJTT 200530Z 16009KT CAVOK 28/16 Q1002 RMK A2959

 これは6月20日の羽田空港 METAR で用いられている例です。卓越視程、滑走路視程距離、現在天気、雲及び垂直視程の群がそれぞれ報じられるべき部分が CAVOK となっています。
 CAVOK が示されるのは、以下の状況です。
 視程:10km 以上
 雲:5000 feet または、最大の最低扇形別高度のどちらか高い値、未満に雲がない。
   全ての高度にわたって積乱雲( Cb )、塔状積雲( TCu )がない。
 現在天気:天気略語表に該当する現象がない。

4)NSC: Nil Significant Cloud
 NSC: Nil Significant Cloud -- 特記すべき雲はない。
 【使用例】
 METAR RJAA 070430Z 23026G40KT 3000 -BLDU NSC 22/09 Q1008 NOSIG RMK 1AC100 A2979=

 この例は、4月7日の成田空港 METAR で用いられている例です。雲及び垂直視程の群が報じられる部分が NSC となっています。
 NSC が示されるのは、以下の状況です。
 5000 feet または、最大の最低扇形別高度のどちらか高い値、未満に雲がない。
 全ての高度にわたって積乱雲( Cb )、塔状積雲( TCu )がない。
3)で説明した CAVOK の状態ではない。
 ※卓越視程が 3000m で天気現象として「(弱い)高い風じん」が観測されているので、CAVOK の状態ではない。

5)NIL: None or I have nothing to send to you
 NIL: None or I have nothing to send to you -- 無し

 4)の NSC は、「 Nil Significant Cloud 」の略でしたが、そこで使われている「 Nil 」は、この NIL です。

(気が付いたときに投稿しているために)、気象通報式の読み方が、色々なところに点在してしまっており、ご不便をおかけいたしております。
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二十四節気、雑節

もうすぐ2005年も半分が過ぎようとしています。

月日の経つのははやいですねぇ(多分に歳のせいだと思いますが…)。

半分は過ぎてしまいましたが、まだ半分は残っているので、二十四節気(にじゅうしせっき)と雑節(ざっせつ)について、今年の該当日をまとめてみました。

二十四節気とは、古代中国で作られた暦で、春分を基点に太陽の黄道を15°ずつ24等分し、太陽がそれらの角度を通過する時刻を二十四節気として、その季節にふさわしい名前を付けたものです。
“季節にふさわしい名前”は日本の気候からはちょっとずれた感じがしますが、それは二十四節気が古代中国の黄河流域の季節に基づいて決められたからだと言われています。

夏の二十四節気で残っているのは、小暑(しょーしょ)と大暑(たいしょ)になりました。

 小暑:梅雨明けが近く、本格的な暑さが始まる頃
 大暑:最も暑い頃

です。

四季二十四節気名太陽の黄経2005年の該当日(時刻)
小寒
285°
1月5日(15時03分)
大寒
300°
1月20日(08時22分)
立春
315°
2月4日(02時43分)
雨水
330°
2月18日(22時32分)
啓蟄
345°
3月5日(20時45分)
春分
3月20日(21時33分)
清明
15°
4月5日(01時34分)
穀雨
30°
4月20日(08時37分)
立夏
45°
5月5日(18時53分)
小満
60°
5月21日(07時47分)
芒種
75°
6月5日(23時02分)
夏至
90°
6月21日(15時46分)
小暑
105°
7月7日(09時17分)
大暑
120°
7月23日(02時41分)
立秋
135°
8月7日(19時03分)
処暑
150°
8月23日(09時45分)
白露
165°
9月7日(21時57分)
秋分
180°
9月23日(07時23分)
寒露
195°
10月8日(13時33分)
霜降
210°
10月23日(16時42分)
立冬
225°
11月7日(16時42分)
小雪
240°
11月22日(14時15分)
大雪
255°
12月7日(09時33分)
冬至
270°
12月22日(03時35分)




雑節(ざっせつ)とは、二十四節気以外の季節の変わり目をあらわしたものです。

下の表では、土用・彼岸はそれぞれの「入り」を指しています。

雑節名
太陽の黄経
2005年の該当日(時刻)
冬の土用
297°
1月17日(09時38分)
節分
2月3日
春の彼岸
3月17日
春の土用
27°
4月17日(06時56分)
八十八夜
5月2日
入梅
80°
6月11日(04時26分)
半夏生
100°
7月2日(03時27分)
夏の土用
117°
7月19日(23時13分)
二百十日
9月1日
秋の彼岸
9月20日
秋の土用
207°
10月20日(16時19分)


次に訪れる雑節は、半夏生(はんげしょう)です。

 半夏生:半夏という薬草の生えるころ。夏至から11日目。
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Boeing777のエンジンについて

昨日の投稿を補足する意味で、ボーイング777のエンジンについて簡単に説明します。

まず、最近のジェットエンジンは、「ターボ・ファン・エンジン」と分類されるエンジンを搭載しており、ボーイング777も例外ではありません。

Turbo_Fan_concept

エンジンへの流入空気を2方向に分けているところが構造上のポイントです。

分けられた空気の一方は、低圧力のファンで圧縮された後にファンノズルを通して大気へ噴出されます。
※この噴出空気はエンジン・ケーシングの外側の長い環状ダクトを通して“ターボ・ジェット・エンジン”部タービンの排気ガスに合流します。

もう一方の空気は、ディフーザー・コンプレッサー・燃焼室・タービン・ジェットノズルから構成される“ターボ・ジェット・エンジン”部へと導かれます。
“ターボ・ジェット・エンジン”部では、ディフーザーから取り込まれた空気が、何段にも並んだコンプレッサ・ブレードを通り圧縮されます。大気圧の10倍程度に加圧された圧縮空気は、燃焼室に送り込まれ、そこにジェット燃料(ケロシン:灯油の仲間です)が注入されて連続的に燃焼します。燃焼後膨張した排出ガスは後方へと噴出しますが、その際に排出ガスがタービンを回転させます。
燃焼直後の高温排出ガスが直接あたる部分が、今回破損が報じられている「高圧タービン・ブレード」です。
排出ガスが回転させるタービンは、同一軸上にエンジン空気流入口のファンを回転させるようになっており、一度燃焼が始まると、自発的に空気を取り込み、圧縮・燃焼・排出のループを繰り返すようになっています。

「ターボ・ファン・エンジン」の特徴として、ファンが(空気を掻き入れる)プロペラの役目をするので、飛行機の速度が、低速~中速時に大きな推力が得られる上に、燃費向上のメリットもあります。
前述したようにエンジンに取り込まれた空気の一方は、エンジン外周部を通り後ろに流れるだけ(それだけでも相当の推力になります)なので、その気流が“ターボ・ジェット・エンジン”部からの排出ガスを包み込むので、騒音軽減(=静かなエンジン)という、現代の民間航空機運航では避けて通れない問題にもプラスの効果をもたらしてくれます。

PW4000_112inch_Fan

米国 Pratt & Whitney 社 PW4000 シリーズのエンジンでボーイング777に搭載されているそれは、エンジンの空気取り込み口のファン口径が、112インチ(約2.8メートル)もあり、それをマウントするエンジン・ナセルの大きさは、ボーイング737の胴体とほぼ同じ大きさにもなります。

タイトルに使った画像をよく見ると、ファンが回転していないので、ファンの向こう(エンジンの後ろ)が透けて見えているのが分かるかと思います。

先に「エンジンへの流入空気を2方向に分け~」と説明しましたが、この二つの比(=燃料に使う空気の重量とファンから吹き出す空気重量との比)を“バイパス比”といいます。PW4084 エンジンでは、このバイパス比が、6.4:1にもなり、大推力に貢献しています。

離陸時~上昇時に、鳥の群れをエンジンに吸い込んでしまう、所謂バード・ストライクは、エンジン最前部で高速回転する112インチ・ファンにぶつかります。このバード・ストライクへの遭遇は決して珍しくないのですが、チタニウム合金の38枚のファン・ブレードで粉々にされて、エンジンの内部にまで損傷を与えることは殆どありません。
また、そのようにエンジンが“異物を吸い込む”状況になっても、ファン・ブレードとその後段の低圧圧縮機(5段からなる拡散チタニウム製ブレード)とその先の高圧圧縮機(12段:8段目までは拡散チタニウム製ブレード、9段目以降はニッケル合金製ブレード)を突き抜けることはまずあり得ず、通常は、ファン・ブレードと低圧コンプレッサの何段目かまでを検査すれば十分です。それらの検査・整備性向上のため、エンジン・ケーシングは鳥が翼を広げるように、両側が上に開くようになっています。

PW4000_nacelle_opened

このように、通常の整備はエンジンを主翼から外すことなく検査・整備が行なえるようになっています。
エンジン・ファン・ブレードの目視検査は、飛行の都度行なわれますし、機長の Exteria Inspection (飛行前の外部点検)でも、エンジン周りは入念に点検しています。夜間は、強力なビームライトを使い点検を行ないます。

それとは別に、一定飛行時間ごと、あるいは、自己診断機能が何らかのメッセージを出力したときには、エンジンを装着したままの状態で、外部からボアスコープ( borescope )や、ラジオ・アイソトープ(放射性同位元素)などを用いてエンジン内部を検査します。
他にも、エンジン・オイルを分析することで内部の状況を判定することも可能です。

昨日の記事には、
『日航のエンジン整備専門チームと国交省大阪航空局の航空機検査官が22日、関西空港で実施した内視鏡によるエンジン内部の検査で明らかになった』
とありますが、これは、このボアスコープによる検査をしたことを意味しています。

PW4000 シリーズは勿論ですが、最近のエンジンは「モジュール構造」となっていて、検査の結果、不具合が発見されたモジュールのみを交換する“ modular maintenance (モジュール整備)”方式が主流です。

unmounted_PW4098

この写真のように、エンジンを取り外し、検査・整備することは珍しいこととなりつつあります。

『成田空港に運び解体した上で、さらに詳しく調べるという』ということからも、徹底的に追及する姿勢がうかがえます。



777にとって、外的要因(バード・ストライク等)を除きエンジンを停止するというのは、確率論の領域に入らんとしている位、エンジンの信頼性が向上しています。
しかし、ハイテクを駆使して設計し、各種テストを実施、それらをパスした信頼性が高いエンジンであっても、機械であることには変わりありません。機械である以上、“絶対”はあり得ません。
それに加え、双発機である777にとって一発のエンジンが持つ重みは極めて重要です。

ボーイング社では、「777において、2つのエンジンが停止する確率は極めて0に近い」と言っています。確かに、777のプログラムがローンチされてから今日まで、旅客輸送に供した飛行において、2つのエンジンが上空で停止するという事態は発生していません。
が、「停止することは無い」ではないのです。

PW4084 エンジンを搭載した777の初号機が初飛行したのは、1994年6月12日です。初飛行後12年目に突入した777。これからも世界の空で主力機として活躍することは間違いありません。

ボーイング社、エンジンを供給している三社の研究・開発陣に“慢心や過信”は無いことと思いますが....。ある意味で、安全や危機管理への真価が問われる時期なのかもしれません。
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JAL1935/21JUN HNDOKA KIX Divert 続報

珍しいところがぶっ壊れたようですね。記事にも書かれているように、エンジン内部の高圧タービンブレードは、そう簡単に壊れる部分ではありません。
米国 Pratt & Whitney 社は、可及的速やか且つ徹底的に原因を調査し、FAA: Federal Aviation Administration (米国連邦航空局)に報告。FAAもそれを受けて、必要とあらば、 AD: Airworthiness Directives (耐空改善命令)を発行してもらいたいものです。

我が国で Boeing777 を運航している航空会社は、全日空、日本航空(合併した日本エアシステムを含む)の2社だけですが、世界的に見ると、 Boeing777 は最新鋭の双発機としてどんどん導入が進んでいます。
ただ、今回の事例は、米国 Pratt & Whitney 社の PW4090 エンジン(念のため、PW4077, PW7074 〔これらは最初に型式証明を取得した PW4084 の出力を減じた型〕も検査対象にして欲しいと思うのですが)の問題でありますので、Boeing777 でも当該エンジンを搭載していない機体はまず関係ないと言ってよいでしょう。

日本の航空会社では、Boeing 777-200 型には PW4077, PW4074 が、Boeing 777-300 型には、今回の PW4090 を使用しています。タイトルの写真は、機体番号 JA008D (旧日本エアシステムのレインボー・セブン)の左主翼エンジン( No.1 Engine )で、このエンジンは PW4074 です。

PW4090 エンジンを搭載している機体は、日本航空では、機体番号が JA8941, JA8942, JA8943, JA8944, JA8945, JA751J, JA752J の計7機。全日空では、機体番号が JA707A, JA708A, JA709A, JA710A, JA751A, JA752A, JA753A, JA754A, JA755A, JA765A, JA757A の計11機です。我が国に登録されているこの他の Boeing777 は、PW4074, PW4077 型のエンジンか、米国 General Electric 社の GE90-94B, GE90-115B を搭載しています。
日本航空が国際線に投入している、Boeing777-200ER, -300ER は、この General Electric 社のエンジンです。
一方、全日空では Boeing777-200ER に PW4090 を用いています。それらは機体番号が JA707A, JA708A, JA709A, JA710A の4機です。

Boeing777 の場合、機体番号は垂直尾翼付根のやや下、最後尾ドアの後ろに下の写真のように

Reg_No_at_Tail

ペイントされて(機体の両側にペイントされています)います。(この写真は RJTT 羽田空港での JA8977 )

と同時に、整備さんやグラウンドさんが識別しやすいようにとの意図かと思うのですが、ノーズ・ギア・ドア部分にも、その一部を抜粋してペイントする習慣があります。下の写真は、RJFF 福岡空港に駐機中の全日空の Boeing777-281 機体登録番号 JA701A です。

JA701A_at_RJFF


こちらの方が、ターミナルからや搭乗時には見やすいかと思います。



さて、日本航空の Boeing777-200ER (国際線に使用している機材です)のエンジンは GE90-94B なのに、全日空の Boeing777-200ER (こちらも国際線に使用している機材です)のエンジンが PW4090 と異なるのは何故?、と疑問をもたれた方もおられるでしょう。
Boeing 社では、777の導入時から、エンジンとしては3つの会社から選べる選択性をとっています。その3社及びエンジンとは;
-米国:Pratt & Whitney 社 PW4000 シリーズ
-米国:General Electric 社 GE90 シリーズ
-英国:Rolls-Royce 社 Trent800 シリーズ
です。

日本航空は、国際線用の -200ER の導入に際し、そのエンジンを「米国:General Electric 社 GE90 シリーズ」としてボーイング社に発注しました。一方、一足先に777を国際線投入していた全日空は、多分整備パーツや設備一貫性も考慮してのことでしょうが、-200ER のエンジンを「米国:Pratt & Whitney 社 PW4000 シリーズ」として発注した経緯があります。

その後、Boeing 社は、長距離向け発展型の -300ER ではエンジン選択性を止めて、エンジンは「米国:General Electric 社 GE90 シリーズ」だけにしました。
よって、全日空・日本航空共に所有している、-300ER のエンジンは、米 General Electric 社の GE90-115B となっています。

異音の原因、高圧タービン破損 日航機緊急着陸 (朝日新聞) - goo ニュース
  今月21日に羽田発那覇行きの日本航空機(ボーイング777型機)の左側エンジンから異音がしたとして関西空港に緊急着陸したトラブルで、この左側エンジン内部の高圧タービンが破損していたことが、24日、国土交通省などの調べでわかった。同省は過去、同様の破損事例は確認できないとしており、エンジンメーカーがある米国の連邦航空局(FAA)に原因究明などを要請。また、同じエンジンを搭載したすべてのボーイング777型機を点検するよう、日航と全日空に指示した。

 日航のエンジン整備専門チームと国交省大阪航空局の航空機検査官が22日、関西空港で実施した内視鏡によるエンジン内部の検査で明らかになった。

 国交省によると、破損していたのは、エンジンの燃焼室後部にある二つの高圧タービンのうちの片方のタービン。ニッケル合金製で羽状をしたタービンブレードと呼ばれる部品の一部が破損し、その破片により、さらに後部にある低圧タービンも一部欠けたり、傷がついたりしていた。高圧タービンは、燃焼室から排出された高温高圧のガスのエネルギーをエンジンの回転へと転換する働きをする。

 エンジン内部の破損はあまり例がなく、中でも高圧タービンが破損したような事例は極めて珍しい。国交省の担当者は「バードストライクのように異物が外部から入ったとは考えにくく、耐久性など構造的な問題があると思われる」と指摘。国交省の要請を受け、米国FAAはエンジンメーカー「プラット・アンド・ホイットニー」に原因究明を求める。

 同エンジンを搭載するボーイング777型機は、日本航空で7機、全日空では11機使用している。国交省は、エンジンの高圧タービン部分の点検の徹底を指示。トラブルを起こしたエンジンは、成田空港に運び解体した上で、さらに詳しく調べるという。
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野村謙二郎選手、2000本安打達成

昨夜は我が家の広島ファン△名が、テレビの前で喜びに浸っておりました。

広島の野村謙二郎選手(38)が、プロ野球33人目の偉業達成です。おめでとうございます。

「全試合観るんだ」と鳴り物入りでCATVをディジタルコースに変更した我が家の財務大臣様、このところのチーム成績不振にお仲間の熱狂的広島ファンとともに嘆きの日々が続いておりましたが、昨夜は「この瞬間を観るためにディジタルコースに変更して高いお金払ってきたのだから」と自分で自分を納得させる重みのあるご発言。試合終了後のセレモニー(インタビュー)まで食い入るように見入っておりました。

野村選手のプロ初安打は1989年5月4日の広島市民球場での対ヤクルト戦。それから17年間、辛い時期にも耐え頑張って成し遂げた偉業を讃えたいと思います。2000本安打を放ったのも初ヒットと同じヤクルト戦、一足先に2000本安打を達成したヤクルトの古田選手が1塁キャンバス上の野村選手に花束を渡していました。今年、古田選手が松山坊ちゃんスタジアムで2000本安打を達成したのも対広島戦で、そのときは野村選手が花束を渡し祝福したのでした。
野村選手と古田選手とはノンプロ時代、1988年ソウル五輪の「日本代表」として同じ釜の飯を食った仲間。二人ともお互いの健闘を讃えあっていることでしょう。
試合後のセレモニーで「是非とも地元で決めたかった」と話す野村選手。望みどおり地元ファンの前で実現できたことで、清々しく満面の笑みを浮かべておりました。
それにしても戦友古田選手とお互い2000本達成の瞬間に立ち会えるとは、運命的なものを感じますね。

※空撮写真はどうしても空港を中心に撮影するものですから、市民球場が端に寄ってしまっており申し訳ございません。



プロ野球・喜ぶ野村


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広島―ヤクルト戦の4回、左前打を放ち、2000本安打を達成。花束を手に喜ぶ広島の野村。試合は、5―2で広島の勝利(23日、広島)(時事通信社)22時03分更新
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何かありますか?

「ありません」。はい、おしまい。

少し前のトラックバック練習板に「大人になったなーと思う瞬間は?」というお題がありましたが、この場合、それを通り越して「意地の悪い、厭味なオジサンになってしまったなーと思う瞬間」です。

どうやら『最近の若い者は…』とは、世紀を超えて受け継がれる言葉のようです。

最近の若者は、どうも二極化が極端に進んでいるように思えます。骨のある“鍛え甲斐のある奴”と、その場さえ良ければ(乗り切れれば)いいやという“向上心の無い奴”です。
先輩諸氏に言わせると、“向上心の無い”劣等性の張本人がここにいるのですが、そいつをして『最近の若い奴は…』と業を煮やしているのですから困ったものです。

良くある situation としては、レビュー・ミーティングや人に教えを請う席です。

レビューの席上、自分の作った資料や成果物をただ漠然と一方的に(往々にして単調に)説明するだけ説明して、
「何かありますか?」
ときたもんです。

レビューなのですから、
「自分はここの部分をこのように工夫してみたのですが、そのようなやり方はどうなのでしょうか?」
「これこれこの部分が自分としては納得できていません。もっとエレガントな方法はないのでしょうか?」
「自分は当該部分をこのように理解したので、こういう作戦で攻めています。その理解は正しいでしょうか?それで抜けは無いのでしょうか?」
等など、疑問や意見をぶつけて自己主張してくれれば、こちらも刺激にもなるし、僅かばかり先人としての意見を述べ、議論しようという気になるというものです。

一通り、スライド説明して、上述したような自主性・積極性が無いまま、プロジェクタの電源をそそくさと切って(本人はさも完璧に説明したつもりで満足気)、
「何かありますか?」

「ありません」、ハイ、おしまい、ご苦労様。



これが、航空機運航の世界だと、副操縦士があるレグの PF: Pilot Flying を任されて、ピシャリと着地をきめて
(なまじ Flight の最終フェーズである「着陸」が上手く決まると、自分でも惚れ惚れしてしまって「離陸」でバタついたことや、離陸後 SID をトレースする際のバンクがあまかったことなど、すっかり忘れてしまう;が、客席でメモメモしているPAXの記録にはちゃんと残っていますから~っ、残念!)、
ブロック・イン。エンジンをシャットダウンして、お隣の機長に「デブリお願いします。何かありますか?」とくると、

「ありません」、となります。

【注】タイトルの画像はイメージであり、上述した運航内容とは一切関係が“ありません”。
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JAL1935/21JUN HNDOKA Divert 私見

JAL1935 便、羽田発沖縄那覇行の Boeing777-300 (現時点で機番は不明だが、JA8941~JA8945, JA751J, JA752J の何れかでしょう)が、FL280 で航空路 G851 の DEMPA ~ GUGAR 間(または平行している RNAV Route Y52 )を飛行中、No.1 Engine (左主翼に付いている方) が Engine Failure となったので、Procedure に従って当該エンジンを Shutdown 、状況判断のうえ、Declare Emergency で KIX (関西国際空港)に降りた、というだけのこと。マスコミが「またJALだ」とネタにして騒いでいるだけで、当該便の Crew は当たり前のことをただ粛々とこなしただけです。

そもそも、 Boeing777 や 767, 737、Airbus A300, A320 といった双発機は、エンジンを2機しか搭載していないのだから、その1発がダウンすれば推力が半減し、ダウンした側のエンジンが空気抵抗を生むので、厳密には推力は半分より少し下がります。
もともと Boeing777 のエンジンの推力は大きく、当該機は PW4090 という米国 Pratt & Whitney 社の最大推力約9万ポンドの巨大推力エンジンを搭載しています。しかも Boeing 社は最初から ETOPS: Extended range Twin-Engine OPerationS (双発機の運用距離拡張)仕様でエアラインに deliver しているので、エンジン1発でも十分飛行できる性能を有しています。

JA8945_Photo


ただし、沖縄那覇線はその路線性格上、そのほとんどが洋上飛行となること、また昨夜は梅雨前線に伴う雲が飛行ルート上をべったりと被っていたことから、このまま飛行を続けるより(雲中飛行であることから、残りの No.2 Engine の火を消さないように、Engine Ignition を Coutinuous ON でかつ、Engine Anti-Ice も ON )、しかも Wind Factor がマイナス(向い風のため速度が出ない)であろうなかを1基のエンジンでさらに1時間以上飛行するよりも、安全を考慮し、Land at Nearest Suitable Airport を選択したということでしょう。

GOES9_IR1_2100I


KIX (関西国際空港)を着陸地として選んだことは、飛行していたルートから、DEMPA-OTR28-EVERT-EDDIE-KIX ILS Rwy06 と最短のルートを選べることと、KIX が24時間対応空港であること、それに KIX 到着後にお客様を代替機(きっと手配できることも Company で確認したのでしょう)で最終目的地の那覇までお送りできること、さらには KIX は整備基地として充分の設備をもっていることから到着後の原因究明・修理に問題なく対応できること、等などを考慮してのことでしょう。
20時50分頃に Engine Failure が発生し、KIX に着いたのが21時38分ですから、Engine Shutdown 後40分ちょっとで Landing 出来ていますので、ETOPS の観点からも問題はなし。

着陸した頃の関西国際空港の気象状況は以下の通りでした。

RJBB 211305Z 21007KT 4500 SHRA BR FEW010 SCT030 BKN060 22/21 Q1006 RMK 1ST010 3CU030 5SC060 A2971
RJBB 211300Z 21008KT 5000 -SHRA BR FEW010 SCT040 BKN060 22/21 Q1005 NOSIG
RJBB 211245Z 23009KT 5000 SHRA BR FEW015 SCT040 BKN080 22/21 Q1005 RMK 1CU015 3CU040 6AC080 A2971
RJBB 211230Z 23008KT 6000 SHRA FEW015 SCT040 BKN080 22/21 Q1005 BECMG NSW
RJBB 211217Z 22009KT 7000 SHRA FEW015 SCT045 BKN080 22/21 Q1005 RMK 1CU015 4CU045 6AC080 A2969 MOD TURB BTN 19000 AND 17000FT KOBOK B763
RJBB 211200Z 23012KT 9999 -SHRA FEW020 SCT045 BKN080 22/21 Q1005 NOSIG

視程が 6000 ~ 5000 mでしゅう雨、風は 230 度から 08 kt、多分 Landing Runway は ILS Rwy 24 in use だったと思われますが、当該機が Rwy 24 に降りたか、最短距離となる ILS Rwy 06 に降りたかは不明です。追い風成分としては、規定値以内ですから、着陸には問題ありません。 Emergency をかけてますから、管制側も配慮してくれたことでしょう。

日航機エンジン異常、停止 主翼の1基 緊急着陸、けが人なし (産経新聞) - goo ニュース



毎日新聞サイトの記事に乗客のコメントとして、

“乗客の大学教授(65)は「またかと思った。命を託しているのだから、しっかりしてほしい」と話していた。”

「またか」って、この教授先生はそんなにエンジントラブルに遭遇しているのでしょうか〔真意は「また(トラブル)か」なのでしょうが....〕。もし、「またか」と思うほどエンジントラブルに遭遇しているのでしたら、 Boeing 社が好待遇で迎え入れてくれるかもしれません。
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夏至

きょうは夏至です。太陽の南中高度が一年で最も高くなる日であり、それにふさわしく日中は強い陽射しが降り注いで気温も上がりました。

こんなときには、冷えた生ビールで「夏至祭?」ですが、湿気が多いためか、暫らくするとジョッキのまわりに水滴がついてしまいました。

さて、これから太陽は、赤道に向け遠ざかって(南中時の高度が徐々に低くなって)ゆきますが、まだまだ、紫外線は強いですから、紫外線対策もお忘れなく。

UV_Image1

紫外線情報は、気象庁の紫外線情報で見ることができますから、外出の際には参考にすると良いでしょう。

UV_Image2




それと、まだ気が早いかもしれませんが、夏場は「熱中症」にも注意しなければなりません。殊に、小さいお子さんや、お年寄りの方は要注意です。

Heat_Prevent_Image


「熱中症」に関しては、日本気象協会の熱中症予防情報が参考になるでしょう。

まだまだ無縁かと思いきや、本日16時発表の予報では、山形県・岡山県・山口県・熊本県・石垣島地方が、明日・明後日共に“注意”になっています。

予報のレベルは4段階で、上から“厳重警戒”-“警戒”-“注意”-“ほぼ安全”です。
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衛星写真も色々

きょうの関東地方南部は、梅雨の中休みで上空に雲はあったものの、日中の陽射しは強く、汗ばむ陽気でした。

横浜の最高気温は28度でしたが、お昼過ぎの街中の気温はアスファルトの照り返しもあり、30度を超えていたのではないでしょうか。

羽田の定時気象通報(日本時間午前9時~午後5時)も平穏そのものですね。

RJTT 200800Z 21011KT CAVOK 27/18 Q1003 RMK A2963
RJTT 200730Z 19010KT 150V220 CAVOK 27/17 Q1002 RMK A2961
RJTT 200700Z 20010KT 9999 FEW030 BKN/// 27/16 Q1002
RJTT 200630Z 17007KT 140V200 CAVOK 28/16 Q1002 RMK A2960
RJTT 200600Z 18008KT 150V210 CAVOK 28/17 Q1002 RMK A2960
RJTT 200530Z 16009KT CAVOK 28/16 Q1002 RMK A2959
RJTT 200500Z 16009KT 9999 FEW030 27/17 Q1002 RMK 1CU030 A2959
RJTT 200430Z 13010KT 9000 FEW030 26/19 Q1002 RMK 1CU030 A2959
RJTT 200400Z 14009KT 9000 FEW030 SCT/// 26/19 Q1002
RJTT 200330Z 13008KT 9000 FEW020 BKN/// 25/19 Q1002 RMK 1CU020 A2961
RJTT 200300Z 13007KT 8000 FEW015 BKN/// 25/19 Q1002
RJTT 200230Z 12007KT 8000 FEW015 BKN/// 24/19 Q1003
RJTT 200200Z 12007KT 8000 FEW015 BKN/// 25/20 Q1003 RMK 1CU015 A2962
RJTT 200130Z 12008KT 8000 FEW015 BKN/// 24/19 Q1003 RMK 1CU015 A2963
RJTT 200100Z 10004KT 9000 FEW015 BKN/// 23/19 Q1003 RMK 1CU015 A2963
RJTT 200030Z 10005KT 8000 FEW015 BKN/// 23/19 Q1003 RMK 1CU015 A2963
RJTT 200000Z 09003KT 8000 FEW010 BKN/// 22/20 Q1003

南よりの風で視程,雲低ともに良好だったので、VORDME-C Landing Runway 16L (JONANポイントを経てKOHTOH無線標識へ磁方位300度で進入、お台場を右手に見ながら左旋回をしてC滑走路に北側から目視進入・着陸する方式)で運用していたのではないでしょうか。
気温と露点温度とをみると、午前中はややじめじめですが、昼過ぎからは気温の割には快適に感じられたのではないでしょうか。午後2時半には気温が28度まで上がっていますが、露点温度は16度とカラッとしています。

普段、テレビや新聞で見る気象衛星の写真は、赤外線(IR1:赤外線チャネル1:波長11μm)の映像です。赤外線ですから夜でも雲の様子を捉えることができ、24時間活躍しております。
気象衛星はその他にも幾つかの映像を送ってきており、その一つが水蒸気を捕らえることを目的とした、赤外線(IR3=WV:Water Vapor:赤外線チャネル3:波長6.5~7μm)映像です。
タイトルの写真は、日本時間午後5時の当該映像です。このチャネルによる映像(水蒸気画像)では湿った部分が白く、乾いた部分が黒く表現されます。これだと、大気がカラッとしているのか、湿気を帯びているのか一目瞭然です。

このような普段とは異なる衛星画像は、例えば気象庁のサイトで見ることが出来ますし、各画像の特性は同じく気象庁の解説が参考になるでしょう。



明日の15時46分(日本時間)は夏至(太陽の黄経が90°になる)です。つまり、明日は夏至。
下は本日の午後5時(日本時間)の衛星可視画像ですが、東経150度でもまだまだ明るいことが見てとれます。

GOES9_VIS
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お声かけ

なまじ〔=中途半端に〕有償搭乗回数が多いので、搭乗回数や搭乗マイル数を基準としたマイレージのステータスもそれに応じて、分不相応なものとなっております。

で、CS: Customer Satisfaction (顧客満足)向上の一環なのでしょうが、上級クラス(例えば、スーパーシート・プレミアムとかクラスJとか)に搭乗したお客様や、翼のチョイ後ろの一般席窓際で舵さばきを観察していたとしても、それがマイレージクラブの基準を満たすステータスに達していると、“お声かけ”、すなわち、苗字をそえて、「PAX様、本日はご搭乗ありがとうございます」「PAX様、お飲み物は何か如何ですか?」と呼びかけられます。

余程の有名人でもない限り、日に2本3本と飛ぶクルーにとっては、お客様の顔から名前がすぐ浮かぶ筈もあり得ず、それなりのからくりがある訳ですが、それをばらすのは止めておきましょう。
※ヒント:ドリンク・サービス・カートを押してサービスしておりますが、次の列のお客様のところに差し掛かる際に、だてにカートの上で探し物している素振りしたり、引き出しあけて覗いたりはしていない。ドリンク・トレイを巧妙に使う場合もあり、おぬしできるな。

毎度の事ながら前置きが長くなりました。

お声かけで「気分は上々」となるお客様もいらっしゃいますが、ひとつ気になるのは、この4月から実施されている「個人情報保護」であります。

飛行機の客室内は、風切り音やエンジンの音などで、一定のノイズレベルにさらされていますので、声が響き渡ることはないのですが、少なくとも隣に座っているお客様にはその会話内容は十分聞き取ることができます。「○×様、~」ときたら、おお、隣に座っておられる方は○×さんなのか、とそのお客様の苗字、ある意味個人情報ですね、が分かってしまうのです。

まあ、好きで飛行機に乗っている小生としては特に気にしたことはありませんが、神経質なお客様は気になるかも知れません。かと言って、83のC様と座席番号で呼びかけでもしたら、ステータス命の輩のおじ様達はプライドを傷つけられ、CS推進室にクレームが来そうですし…。

Hashed_Paper_image




この「個人情報保護」の取り扱いに頭を悩ませているのが、医療機関です。病院に来ている・入院しているということは、どこかを患っている訳で、患者さんの名前を呼ぶことは、付随情報(疾患がある、etc.)も知れてしまうからです。
が、名前を使わないことで、患者さんの取り違え等のミスをしてしまったのでは本末転倒ですし、本当に苦労しているようです。
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三日坊主

飛行機のことを除くと、何をやっても三日坊主で歳を重ねてきてしまった私ですが、このブログは5ヶ月も続けており、自分でも吃驚です。

これが150投稿目です。

PAXとは、航空業界の用語で「乗客:お客様」のことです。

一人の飛行機好きな「お客」が、たいして体系だったカテゴリーがある訳でも無く、脈絡のない話題を、タイトルの通り「徒然なるままに」駄文を重ねてきました。

Airliner_image


たった5ヶ月で、『これで三日坊主とも縁が切れて継続できる』、とは毛頭思っていないのですが、これからも、たとえ一人でも訪問してくださる方がある限り、否、たとえ Zero Page Views の日があっても、続けたいと思います。

トラックバックしてくださる方々、コメントを残してくださる方々。そのようにブログで出会えた方々と交流の輪が広がる有意義なこの世界を大切に育ててゆきたいです。

Airliner_image
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着陸と風

飛行機は風に真正面に向かって飛ぶときが一番安定しています。そして、その風も一定で揺らぎが無ければ安定性+快適性が増します。大抵の場合、飛行機が揺れるのは、自機に対する風向・風速が変化するときです。



ごく稀にお上手ではない PF が FD をトレースしようと不必要なまでにエルロンをバタバタさせるときも揺れますが....。それについてはまた別の機会に。



着陸とは、3次元空間で飛行していた機体を着陸帯(今後、滑走路と記します)のある限られた地点(滑走路の接地帯)に接地させ2次元運動に変えてさらに減速して有限長の滑走路内で停止(または誘導路へ適切な速度で滑走進入)させる操作です。
滑走路は物理的に有限長・有限幅の矩形領域ですから、固定された滑走路に対してどのような風が吹いているか、が「着陸と風」の重要なファクターとなります。

着陸にとって好ましいのは、完全な無風、あるいは、滑走路方位延長上からの一定速で乱れの無い風です。

無風=風穏やかな状態は出現することもありますが、一定速で乱れの無い風、風の息が皆無の状態は先ず出現しません。風の吹いている日に屋外を歩いていても、頬に当たる風には必ず“ゆらぎ”が感じられる筈です。この“ゆらぎ”があるから、人は心地良さを感じるとも言われています。

航空気象においては、無風=静穏=風速 0.4 ノット(秒速約 0.2 メーター)以下の状態、と定義されています。この状態のときのみ、気象通報式の風の項で 00000 ( wind calm )と報じられ、滑走路脇に設置されている「吹流し;WDI: Wind Director Indicator (米国などでは Wind Sock と言います)」は完全にだらんと垂れ下がります。

下の写真が、WDI ですが、この状態だと 20 ~ 25 ノット(秒速約 10 メーター強)程度の風が吹いています。

wind_sock


前置きが長くなりましたが、日常の運航において、理想的な風の中を着陸することはまずあり得ません。シミュレータなら容易に作り出せますが、自然はそれ程甘くはないということです。

考えられる障害は、風向・風速の変化、風の息( Wind Shear )です。

変化量の程度差がありますが、風速が大きく変化する場合、例えば突風( GUST )、は安全な着陸の妨げとなります。
これは、突風により自機に対する揚力が急変するからで、急に対気速度を失い高度を落としたり(機首が下がったり)、逆に急に大気速度が増加し、進入降下が上昇に転じてしまったり(機首が上がったり)といった状況をもたらします。
通常、このような風速の変化には、舵(昇降陀)+エンジン出力調整のコンビネーションで対応します。が、ジェット機のエンジンはスロットルの操作に対して実際の出力が変化するまでにタイム・ラグがあるため、状況に応じた的確な操作が求められます。

(ファイナルでのエンジンパワーの出し入れをエンジン音から聞いていると、PF: Pilot Flying の上手い下手がある程度は判ります)

風の変化( Wind Shear )に関してですが、一定量を超える変化が観測された場合は、地上からも通報式や管制塔の管制官により通報されます。逆に、パイロットがそのような状況に遭遇したならば、すみやかに管制に通報することが求められています(後続機に注意喚起を促す目的でもあります)。

例)Tokyo Tower, All Nippon 22, encounterd wind shear on final, loss of 20 knots at 600 feet.
  「東京タワー、こちら全日空22便。最終進入時600フィートで風の変化に遭遇。風速が20ノット減りました。」

風速の変化と共に障害となるのは風向、およびその変化です。

風向がほとんど変化すせず、ほぼ一定方向からの風であっても、それが滑走路方位とどのくらい差異があり(ずれていて)、どのくらいの風速で吹いているのかが重要なのです。

最初にも述べたように、飛行機は風上に正対して飛ぶときが最も安定します。ところが、着陸に用いる滑走路の方位は空港・滑走路により決まっていますから、その方位に対する横風成分がどのくらいになるかによって、着陸の難易度が変わってきます。

横風のときは、クラビング crabing (カニの横歩きが語源)と言って、風上に機首を向け、斜に構えるような感じで進入降下してきます。斜に構えていても、横風で機体は流されるので、機体の航跡としては、滑走路方位の延長上を進入してくることになります。

ところが斜に構えて、滑走路方位と一定のオフセット角を保ったまま滑走路に接地してしまうと、着いた後、滑走路方位とは異なる方角へそのまま走って滑走路逸脱してしまうので、接地寸前にデ・クラブ de crab と言って横歩きを止め、機首を滑走路方位に合わせ込む操作が必要になるのです。そのまま機首を滑走路方位に合わせただけでは、横風成分の分だけ機体が流されますので、それを打ち消すため、スリップ slip と呼ばれる方法で風上側にバンクをとり(風上側に機体を傾ける)、風上側の主翼を下げた状態で風上側に機体を横滑りさせます(=横風により流される量とバンクをとったことで横滑りする量で相殺させ、滑走路方位に機首を維持させる)。

タイトルに使った画像は、AIR DO の Boeing 767 が新千歳空港でデ・クラブして接地する直前のものです。上手な横風着陸でした。
このときは、右前からの横風でしたので、右側の翼を若干下にして横風にあおられるのを防ぎながら右側に横滑りさせており(このバンクの加減が難しい;傾けすぎるとエンジン・ポッドを滑走路に擦ってしまう)、右主脚から接地と同時に機首が滑走路方位に合って滑走することを確認し左主脚も接地させるという、神業的な操作を両手両足を駆使して行ないます(バンクで横滑りすると滑る方向への回転モーメントが生じるのでラダー(方向舵)でそれを打ち消す;ラダーは足で操作するため両手両足がフル稼働となる訳です;Airbus 320 のようにサイド・スティックを採用している機種では片手両足ですが....)。
左右の主脚がしっかり接地し滑走の中心線に沿って走りはじめてから、前輪(ノーズギア)を優しく接地させます。
この主脚の接地と神業的合わせ込みは、アッと言う間に行なわれるのですが、その瞬間に飛行機の中心軸の角度は空中での大まかな滑走路方位から主脚が接地滑走する方位へと変わります。
飛行機の重心位置を中心に正確にアラインした分だけ僅かですが軸が回転するので、飛行機の最後部付近にお座りのお客様は、(僅かな角速度変化でも線速度は回転中心から離れるほど大きくなるので)一瞬体が横に揺さぶられる感覚がします。

横風着陸は、横風の風向が安定しており、風速も安定している場合には、易しくはありませんが然程厄介ではありません。
ただし厄介ではないと言っても、滑走路方位に対する横風成分が基準値(機種、パイロットの経験、滑走路路面状態により決められます)を超えると着陸は許されません。

成田空港には横風用の滑走路が無いので、よく春先の強い南西風に悩まされ、着陸復航(着陸のやり直し)や他空港(例えば羽田)へのダイバート(目的地外着陸)が発生します。
今年も、4月7日に投稿した「春風との戦い」にそのことを書いていました。

さて、この風の揺らぎと横風が重なると一番厄介です。

風の揺らぎや突風ですが、自然に生ずるだけでなく、人工的に作り出されるものもあるのです。
良い例が、高層ビルの間のビル風でしょう。

だだっ広い平面上(大体空港と言うのはそのようなところに作る)に、建造物があるだけでも、その建造物の風下側では、乱流が発生します。人工的に作り出された乱流です。

ここで下の写真をご覧下さい。羽田空港を上空から撮影し、Runway 34L への進入+北北東からの横風のイメージを重ねたものです。

RJTT_RWY34L_APPROACH


Runway 34L への進入(A滑走路への南[木更津]側からの進入)経路で、滑走路手前の東側には整備地区の格納庫が並んで建っています。飛行機を何機もすっぽり入れて整備できるだけの大きさがある建造物です。これが、北北東からの風の場合には、障害物となり、 Runway 34L 進入最終段階の領域(写真で“ラフエア領域”としてグラデーションかけたあたりです)に乱流を発生させるのです。※ラフエア: rough air =荒れた空気のことです、laugh air ではありません。

一般的に、建造物による乱流は、風速20~25ノットを超えると顕著になると言われていますが、10ノットを超えるような風でも程度の差こそあれ影響を与えることには変わりありません。

写真を見て、「北北東からの風ならB滑走路を川崎方面から使えば良いではないか」と思われた方もいらっしゃることでしょう。
残念ながら、そのような運用は、京浜工業地帯のコンビナート上空を飛行しなければならないことや、騒音問題のために実施されておりません。



直接の関係はありませんが、6月15日投稿の「 えっ? 」の冒頭に記した、

『Final で格納庫の影響をもろに受ける風ですから』って何の事?の理解の一助となれば幸いです。

長々と下手くそな文章をお読みいただき、ありがとうございました。

明日の午後、飛ぶかもしれませんので....。

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