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気圧高度計の補正:アルティメタ・セッティング( Altimeter Setting )
一週間ほど前の6月12日、『 国際標準大気 ISA: International Standard Atmosphere 』なる記事を投稿しました。今回はその関連投稿です。
航空機が高度を求める一つの手段として、国際標準大気モデルを用いた“気圧高度”があります。
ただし、日々のお天気が国際標準大気モデルと同一であることは稀で、気圧・気温共に刻々と変化しています。
そのため、飛行の局面・局面において気圧高度計を補正し、気圧高度計が意味ある値を示すようにする必要が出てきます。
気圧高度計の補正方法としては、QNH,QNE,QFEの3種類による高度規正が義務づけられています。
※日本ではQNHとQNEの2種類による高度規正が義務づけられています。
それぞれの規正方法は以下の通りです。
では、福岡FIR内における気圧高度計補正の要領について概要を説明します。
高度の表現の方法ですが、本邦では、QNHを用いているときは、Altitude (feet) で表現され、QNEを用いているときは FL: Flight Level (feet) を用いまています。
【例】
さて、QNHで気圧高度計を補正する場合は、規正するための値を入手する必要があります。
QNHは以下の何れかの方法により入手できます。
本ブログではよく気象通報式を掲載しますが、その中にも高度計規正値(QNH)が報じられています。
随分と昔の投稿で恐縮ですが、『 気象通報式の読み方(その2) 』に極めて簡単ですが述べられています。
ちなみに、先程入手した羽田のMETARは、
RJTT 180518Z 08009KT 3500 -SHRA BR FEW003 BKN007 BKN010 22/21 Q1006 RMK 1ST003 5ST007 7ST010 A2971
RJTT 180504Z 09009KT 3000 SHRA BR FEW003 BKN007 22/21 Q1006 RMK 1ST003 7ST007 A2972
RJTT 180500Z 09008KT 3500 -SHRA BR FEW003 SCT005 BKN010 22/21 Q1006 RMK 1ST003 3ST005 7ST010 A2972
ですから、羽田への到着機・羽田からの出発機はQNHを2972に設定して気圧高度計規正をする訳ですね。
最後に、理解度をチェックするための簡単なテストを…
【問】次の各問いに対し、正解(または最も正解に近いと思われるもの)を選択肢の中から選び、その記号を答えなさい。
航空機が高度を求める一つの手段として、国際標準大気モデルを用いた“気圧高度”があります。
ただし、日々のお天気が国際標準大気モデルと同一であることは稀で、気圧・気温共に刻々と変化しています。
そのため、飛行の局面・局面において気圧高度計を補正し、気圧高度計が意味ある値を示すようにする必要が出てきます。
気圧高度計の補正方法としては、QNH,QNE,QFEの3種類による高度規正が義務づけられています。
※日本ではQNHとQNEの2種類による高度規正が義務づけられています。
それぞれの規正方法は以下の通りです。
規正値 | |
QNH | 平均海面からの高度を表示するよう、高度計を平均海面上10フィート(約3m)に補正した気圧に合わせる。または出発時に出発地点の標高を表示するように気圧高度計を規正する。 |
QNE | 標準大気モデルによる高度を表示するように高度計を 29.29 inch HG または 1013.2 hPa に規正する。 |
QFE | 飛行場の標高または着地地点からの高度を表示するように気圧高度計を現地気圧で規正する。または出発時に気圧高度計が0を示すように規正する。 |
では、福岡FIR内における気圧高度計補正の要領について概要を説明します。
- ● 国内を飛行する場合
- QNH適用区域内の空域では次の値に高度計を補正する。
- 出発時には出発地のQNH。出発地のQNHが入手できない場合には飛行場の標高。
- 平均海面上 14000 フィート未満は、最寄の飛行経路上のQNH。※通常は管制機関からQNH( Area QNH )が提供される。
- 平均海面上 14000 フィート以上はQNE。
- このQNHとQNEとを切り換える高度、(福岡FIRにおける公示では)平均海面上 14000 フィートのことを、transition layer と言います。
- 上述した空域外の洋上では常に気圧高度計をQNEにセットする。
● 洋上を飛行する場合
高度の表現の方法ですが、本邦では、QNHを用いているときは、Altitude (feet) で表現され、QNEを用いているときは FL: Flight Level (feet) を用いまています。
【例】
- [PILOT] All Nippon 104(WUN ZE-RO FOW-we), climbing to flight level 370 (TREE SEV-en ZE-RO), leaving 1500(WUN TOU-SAND FIFE HUN-dred).
- [ATC] Japan Air 1719 (WUN SEV-en WUN NIN-er), cross ZAMA at flight level 210(TOO WUN ZE-RO), other altitude restrictions are cancelled.
- [ATC] All Nippon 673(SIX SEV-en TREE), decend and maintain 13000(WUN TREE TOU-SAND), area QNH 2996(TOO NIN-er NIN-er SIX).
さて、QNHで気圧高度計を補正する場合は、規正するための値を入手する必要があります。
QNHは以下の何れかの方法により入手できます。
- QNHは通常、管制機関を通じるか、ATIS/AEISが運用されている場合はそこから入手することができる
- 管制機関が提供するQNHには、観測地点名と、それ(観測によるQNH)が1時間以上前の値であれば、その時刻も明示される。
- が、通常は
- ☆ターミナル管制機関からは当該機関の中心となる飛行場のQNHが、
- ☆ACCからは、そのセクタ毎に予め定められた地点のQNHが "area QNH" として提供される。
- 最低利用可能フライトレベルよりも低い高度へ降下するためのクリアランスが発出された場合は、その空域のQNHも併せて提供される。
本ブログではよく気象通報式を掲載しますが、その中にも高度計規正値(QNH)が報じられています。
随分と昔の投稿で恐縮ですが、『 気象通報式の読み方(その2) 』に極めて簡単ですが述べられています。
ちなみに、先程入手した羽田のMETARは、
RJTT 180518Z 08009KT 3500 -SHRA BR FEW003 BKN007 BKN010 22/21 Q1006 RMK 1ST003 5ST007 7ST010 A2971
RJTT 180504Z 09009KT 3000 SHRA BR FEW003 BKN007 22/21 Q1006 RMK 1ST003 7ST007 A2972
RJTT 180500Z 09008KT 3500 -SHRA BR FEW003 SCT005 BKN010 22/21 Q1006 RMK 1ST003 3ST005 7ST010 A2972
ですから、羽田への到着機・羽田からの出発機はQNHを2972に設定して気圧高度計規正をする訳ですね。
最後に、理解度をチェックするための簡単なテストを…
【問】次の各問いに対し、正解(または最も正解に近いと思われるもの)を選択肢の中から選び、その記号を答えなさい。
- 問1:アルティメタ・セッティングの単位で国際基準はありますか?
- a) ある。単位は水銀柱をインチで読み取った値である。
- b) ある。が、単位は全ての国で支持されてはいない。
- c) ある。が、単位は米国のみで支持されている。
- d) ない。
- 問2:ヘクトパスカルで992と補正すべきところを、水銀柱単位で2992インチと設定してしまった場合、飛行機が飛行する高度は、気圧高度計が示す値よりも、
- a) +600フィート
- b) +1000フィート
- c) -600フィート
- d) -1000フィート
- 問3:QNE規正で飛行しなければならないところを、間違えてQNH規正で飛行した場合、飛行機が飛行する地上からの高度は、
- a) 指示された高度より高くなる
- b) 指示された高度より低くなる
- c) 指示された高度より高くなるか低くなるかは設定したQNHによる
- d) その差など些細なものである
えっ?「どれもチョー簡単でツマンナイ!」。
失礼いたしました。
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セクター毎に予め決められた地点は、どこに記載されているのでしょうか。