徒然なるままに、一旅客の戯言(たわごと)
*** reminiscences ***
PAXのひとりごと
since 17 JAN 2005


(since 17 AUG 2005)

印刷した翌日に届いた

 “ FAA-1999-6717 ”とのタイトルで書いた記憶があるなぁ、とおもっていたら、某SNSの日記に書いていたのでした。本年1月27日のこと。2ヶ月後には記憶が曖昧になってしまうとは、歳はとりたくないものです。

“ FAA-1999-6717 ”と聞いて、「あっ、ETOPS 207 の Docket/Document ね」とお解かりの方は相当に通(つう)ですね。

ETOPS 207、所謂 207-Minute Extended Range Operations with Two-Engine Aircraft (ETOPS) のことですが、FAA: Federal Aviation Administration (米国連邦航空局)は、この2月15日から、FAA の ETOPS 規則を変更しました。

変更に関するアナウンスは、(原文で失礼)以下の通りでありました。

This final rule applies to air carrier (part 121), commuter, and on-demand (part 135) turbine powered multi-engine airplanes used in extended-range operations. However, all-cargo operations in airplanes with more than two engines of both part 121 and part 135 are exempted from the majority of this rule. Today's rule establishes regulations governing the design, operation and maintenance of certain airplanes operated on flights that fly long distances from an adequate airport. This final rule codifies current FAA policy, industry best practices and recommendations, as well as international standards designed to ensure long-range flights will continue to operate safely. To ease the transition for current operators, this rule includes delayed compliance dates for certain ETOPS requirements.

DATES: Effective date: These amendments become effective February 15, 2007.

この規則改訂、実は -と言うほどでもないかな- FAA としてはもっと早期に実現したかったのです。

2003年11月には NPRM: Notice of Proposed Rulemaking を出して「これこれ、このように変更しますよ」と通知を出したのです。が、同年12月には「そんなに性急に変更するな、もっと議論を尽くせ」との
 “ Request for Extension of Comment Period ”
が NBAA: National Business Aviation Association, Inc. から出され、その後、数多の意見が各方面から出され(本邦からは日本航空が2004年3月に comment を提出しています)、約3年間の長き期間を経て、改訂規則が発効されたのでした。

この FAA の新たな ETOPS ルール(厳密には、14 CFR parts 1, 21, 25, 33, 121, and 135 の一部が改訂される)、それを説明するドキュメントは約300頁にも及び、中々、手強いので「“中途半端”に投稿はできないな(自分なりに咀嚼しなければ)」と躊躇し、「なにか良い教材は無いかなぁ~」と探していたのでした。

と、ここまでは“枕(まくら)”。
AeroSafety WORLD MARCH 2007
そうこうしているうち、Flight Safety Foundation の月刊誌、AeroSafety WORLD (旧 Aviation Safety World )の3月号に良い解説記事- ETOPS FOR ALL - NEW FAA RULRS EXPAND SCOPE -を発見。

いずれ手元に雑誌が届くのは解ってはいるのですが、辛抱強さに欠落する性格が、紙資源とトナーを無駄遣いして印刷、ゴロリと寝転がりながら眺めたのが昨日のことでした。

で、先程帰宅すると、机の上には FLIGHT SAFETY FOUDATION からの封筒が....。

中身は当然のことのように AeroSafety WORLD 3月号なのでありました。

一日辛抱していれば、紙資源を無駄遣いせずに済んだのに....。

反省。

“枕(まくら)”に使った ETOPS ( Extended Operations (ETOPS) of Multi-engine Airplanes )の件は機会を見て....。

※投稿できる保証はどこにもありません。「予定は未定」と言うことで....。
Comment ( 5 ) | Trackback ( 0 )

微笑み返し?

 “コメントの本文は、5000文字以下にしてください。”と goo ブログ様は宣うのでありました。

昨日の朝に投稿しました前記事
 “ あまり虐めなさるな…
に貴重なコメントを頂戴しまして、その返信を書いている途中で、例のポンコツ瞬間湯沸かし器が点火、ついつい駄文・長文になってしまった結末が
 “コメントの本文は、5000文字以下にしてください。
でありました。

「失敗したなぁ」と思ったのは、瞬間湯沸かし器状態にあったため、オンラインで(コメント本文を)書いていたのです。で、「投稿」をプチッとクリックしたら、5000字以下にしろとのご指示と共に、5000字を超える部分が消えてしまったことであります。

常日頃から駄文・長文を繰り返している小生に天罰が下ったのでありましょう。

と、言うことで、微笑みながら消された部分を書き直して(思い出すのも大変)、ここに投稿させていただきます。

元々がコメントとして記載した文章ですので、通常の投稿スタイル、表現基準とは若干ことなりますが、ご容赦下さい。

※本投稿は、小生が書こうとしたコメントを転記した部分が大半でありますので、勝手ながら、本投稿へのコメントはご遠慮願います(コメント不可の設定とさせていただきます)。コメントがございましたら、“ あまり虐めなさるな… ”の方へお願いいたします。

では、微笑み返しを…。



【返信しようとしたコメント】

 (Speedbirdさんから:ニュースバリュー 2007-03-24 10:06:51)
最近の報道を見てて、昔読んだ本を思い出しました。それは、「ニュースは作られる」ということです。どういうことかというと、いつも起こっている事象なのに、社会情勢の変化でニュース性の価値が変化しているというもの。ちょっと昔でいえば自動車メーカー「○菱」がいい例でしたね。連日トラブルに関する情報が洪水のように押し寄せて、熱が冷めるとパッタリ。中でも「エンジン炎上」がセンセーションに(映像付)で報道されてました。ところが調べてみると走行中のエンジン炎上のトラブル件数は他の自動車メーカーも起こしており、件数ではほとんど差がないのです。全く偏った報道です。事実を報道するのは必要ですが「公平性」に欠く報道はいただけませんね。マスコミ各社の作為を感じてます。ま、しばらく熱の冷めるのを待ちますか。
 そうそう、とある報道番組に元YS11の設計担当者という方が出られてコメントをしておりましたが、内容は、「DHCは基本設計が古いので、いろんなところに無理が来ているのでは」ですと。それは知りませんでしたね~。ということはB737、B747、MDシリーズはどうなるんでしょうね。
※書き出し部分は一部省略させていただきました。

 (Picorinoさんから:基本設計 2007-03-24 16:16:27)
「基本設計が古い」。抽象的な言葉で素人を煙に巻くにはうってつけの言葉かもしれませんね。
何か、故障率の高い工業製品があったとしましょう。原因は、適切な安全係数(強度の余裕)や寿命を十分に考慮していない設計、製造における品質管理が悪い、使用者が製造者の指定(想定)を超えた酷使やメンテナンスの手抜きをしている、といったことが考えられます。しかし、「基本設計が古い」というのは理解困難です。
言葉をどう受け取るかは聞き手それぞれの判断ですが、「詳細な調査をしているわけではないので私にはよくわかりません」と素直な本音が言えない評論家の苦しい立場を想像するのは私だけではないでしょう。
すぐに結果(答)を報道したがるテレビの悪しき習性が言わせる言葉でしょう。

【返信しようとして尻切れになった小生のコメント】

※書き出し部分は省略させていただきます。

お二方のコメントに“瞬間湯沸かし器”のスイッチが入ってしまったようです。
# ガタがきている年寄を虐めないで下され(爆)

素朴な疑問ですが“評論家”という肩書き(職業)は自己申告で宜しいのでしょうね。国家資格とか技能(知識、分析・解析力)審査と資格維持を必要とするとの話は聞いたことがありません。
言うまでもありませんが、“評論家”諸氏が全てそうであるとは毛頭思っておりません。中にはしっかりした方が居られることをしっています(概してマスコミには登場しませんが....)。

『基本設計が古い』???、責任者出て来~い!

「基本設計」が古いのではなくて、そんなこと言う奴の脳味噌が硬直化していて己の「考え方」が古いのである。

そもそも何をもって「基本設計」と言っているのか理解に苦しみます。例えが航空機でなくて申し訳ありませんが、小生、1927年にグスタフとアッサーが基本設計?した自動車の流れを受け継ぐ車に乗っていますが、その“設計思想・理念”は「車は人によって運転され使用される。よってその設計の基本は常に安全でなければならない」と意訳されています(原文は“Cars are driven by people. Therefore the guiding principle behind everything at ホゲホゲ is and must remain safety ”)。この中に“設計の基本”という言葉が出てきますが、それの意味するところは『常に安全でなければならない』であると理解できます。当該メーカは米国のあるメーカ傘下にはいりましたが、今日まで設計され世に送り出されているそのメーカの車、“設計の基本”は創業時からずっと受け継がれています。『基本設計が古い』と仰った御仁のお言葉からすると、小生が乗っている愛車は「基本設計が古いので、いろんなところに無理がきている」と、そういうことですな。何せ1927年ですから。DHC-8より半世紀以上前に基本設計された車に乗っておる。トラブルも無く、良い車ですがねぇ、「いろんなところに無理がきている」車な訳ですか....。

言葉尻を捕まえて騒ぎ立てているようですが、何気なく(きっと偉そうに)言った言葉ひとつとったってこのように根拠も無く無責任な訳ですよ。

「設計スタイル(手法)」が古い、とか「設計思想」が今となっては世代遅れである、とか言うのなら解りますが、『基本設計』が古いとは言いますまい。

その御仁、YS11の設計担当者らしいですが、きっとYS11のことだって“『基本設計』が古い”と思っていることでしょう。その機体が昨年まで本邦の空を飛んでいた訳ですし、その後、売却され、今でも世界のどこかで飛んでいるのですよ。“『基本設計』が古いので、いろんなところに無理が来ている”危ない機種が飛んでいるのですか?それとも己が設計担当したYS11の『基本設計』は古くないと....。勝手なもんですなぁ(怒)。

-------

「DHC-8、所謂Dash 8は、1983年7月に初飛行し 1984年に世に出た飛行機ですから、1号機が設計されてから四半世紀は経ている訳ですね。

工業製品全般に言えることですが、DHC-8にあっても設計段階で各種試験やシミュレーションを行なって設計されている訳でして、1号機が製造されると、その機体を使って実機による試験飛行を重ね、耐空証明を取得してはじめて顧客の手に渡ることになります。

機械・工業製品、とりわけ航空機のように部品点数も多く、システムも複雑な製品においては、設計段階で全てを見切ることは不可能に近いのですよ。いや、お金と時間を費やせば全てを見切ることは可能かもしれません。でもそんなことしたら、開発・設計担当者が生あるうちに顧客に渡ることは無いでしょう。

このことが何を意味するかと言えば、

設計時には想定していなかった顧客サイドでの運用形態であるとか、
シミュレーション段階で与えたパラメータの範囲を超える物理的な力がとある部品にかかり、当該部品の耐用年数が設計段階で想定していた時間より短くなるとか、
当該部品への想定外の状況が、それに関連する他の部位に波及するとか、

たった一つの“想定外”の状況からでさえ、最終的な波及効果と言いますか、目に見える形で現れる末端の結果は天文学的な数に及ぶことになるのです。

繰り返しになりますが、開発・設計段階で考えられうるリスクは考慮し、航空機の設計品質はフェイル・セーフやフール・プルーフなど、今日では最先端の水準にあるのですよ。

勿論、Dash 8だって例外では無い筈です。
製造工程においても最先端の品質管理が行なわれ、高水準の品質保証があって顧客の手に渡っているのです。

が、トラブル,不具合は比率の差こそあれ必ずあります。

これはDash 8に限ったことではありません。
肝心なのは、報告されたトラブルをどのように受け止め、設計・製造にフィードバックさせるか、といったメーカ側の姿勢でしょうね。

単に一斉点検を指示するService Bulletinを出して終わりのメーカもあるでしょうし、メーカというよりは、そのメーカの担当者の危機管理意識レベルと、リスク・マネージメント体勢に依存すると言った方が適切かもしれませんね、1枚のBulletinに留まらず、点検間隔の短縮や点検・整備方法まで指示してくるところもあるでしょう。
あるいは、そのトラブルの本質は何であったかを徹底追及して、設計・製造工程に見直しをかけたり、すでに世に出た製品に対しては、レトロフィットや部品交換指示といった踏み込んだことをするところもあるでしょう。

一口にトラブルと言っても、千差万別ですから、そのトラブルの本質を見極めた上で適切な対応をとれば良い訳ですがね。

Dash 8には、100, 200, 300 そして 400 と4つのシリーズがありますが、最初の 100 シリーズを設計・製造したのは、de Havilland Canada 社であり、ボンバルディア社ではありません。

Dash 8 100 の開発・設計時、de Havilland Canada 社はボーイング社の傘下にあり、その後ボンバルディア社が1992年に de Havilland Canada 社を買収しています。
300 シリーズが世に出たのは1989年、400 シリーズは2000年ですから、ボンバルディア社による買収による会社組織的な要因がトラブル対応や製造品質管理において影響が全く無かったとは言い切れないかもしれませんね。

ところでボーイング747、いわゆるジャンボが初飛行したのはいつだかご存知ですか?
1969年2月です。ボーイング737は1967年4月。
いずれのモデルも、改良・ハイテク化した派生型が現在でも生産されています。
ジャンボの初期型、初飛行から38年を経た今でも現役で活躍しています。勿論、初飛行した機体がではありませんよ。

その陰には、数多のトラブルとそれを受けてのこれまた数多のService Bulletinや、製造国であるFAA(米国連邦航空局)によるAD、また、トラブル,インシデント,事故の原因を徹底解明するNTSB(米国国家運輸安全委員会)の安全勧告を発行し続ける体勢があると思うのです。

ボンバルディア社内に「所詮 de Havilland Canada 社が開発・設計したモデルだから」との“差別”があるとは思えませんが、DHC-8 も CRJ と“区別”することなく、「ボンバルディアの機体と支援体制はしっかりしている」との評価が顧客である航空会社から得られるように、安全なメーカーたるべくより一層努力・研鑽してもらいたいですね」

程度のコメントをして欲しいですな。

“出演料”貰っているのでしょうから....。



と、書くつもりでございました。
Comment ( 0 ) | Trackback ( 0 )

あまり虐めなさるな…

 どうして一部のマスメディアの方々は、競馬馬の覆面よろしく、視野狭窄で悪戯に不安を煽るような報道をしますかねぇ。

報道・言論の自由が保証されている“美しい国”でございますから、“適切に”記事を書いているのだと思いますが、このような記事を読んだ方々の決して少なくない割合で、『ボンバルディア=故障続き=危ない飛行機』とのイメージが植えつけられるでしょう。

“ボン”さんネタを拾い集めてきて、何でもおかまいなしに書きなぐるのは如何なものかと思いますよ。

本邦でも、国土交通省航空局が月単位で集計して、とあるところで“イレギュラー運航”に関する情報開示を行なっていますし、欧米とて同様の(も少し進んだ)システムが確立されています。

それらのデータを眺めるに、本投稿で引用した件より、ある意味で重要視しなければならない事例も少なくありません。

引用記事にある“イレギュラー運航”や“トラブル”があったのは事実であり、それを報じるのはメディアの自由です。

マスメディアがそのような姿勢で臨んでくるからには、その情報の受け手側 - つまり我々 - が冷静にその内容を分析し・重要度を判断しなければなりません。

Gear Up したものの Body Gear Door が Close しなかった運航事例、PICの判断は適切で、ATBせずに目的地までお客様を安全にお送りしていますね。
そもそも、航空機の中には「固定脚」といわれるジェネアビでお馴染みの機種も数多あるわけで、Gear Up せずに目的地まで飛行しても何ら問題はありません。

引っ込めない脚が抵抗となり、巡航速度が制限されることと(無理にスピード出すと、出ている脚に負担がかかる)、記事にもあるように燃費効率が悪くなり、また騒音もでかくなる難点はありますが。

同省(国土交通省〔航空局〕)では、「燃費は落ちるが、規定上も安全上も問題ない」としている。

の通り。ANA1603/13MAR の一件が無ければ記事にもならなかったでしょう。

次、天草のエンジン警告灯が点灯した件。

精密機械部品であるエンジンは、ある一定頻度で故障します。頻繁では無いものの。機械である以上、それは避けようがありません。

故障しても大事に至らぬように、点検・整備を入念に行なっている訳でして。

で、今回の事例は、地上で点検中に警告灯点灯により故障を発見、当然MELを満たす筈もなく、欠航・エンジン交換(又は程度問題によっては修理)するのは航空会社としてみれば至極当然のことであります。

点検もおろそかに、Ship Release されて、離陸時に Engine Failure 起こす,あるいは、IFSD: In-Flight Shut Down (上空でのエンジン停止)で片肺飛行を強いられることを未然に防いだのですから、適切な点検・整備体制が機能していると言えましょう。

同社(天草アライン)は、エンジンの不具合の表示は車輪トラブルとは関係がないとみている。

とは、天草エアラインも随分とご丁寧なマスコミ対応をしたものだ、と感心しておりますが、関係がないことくらいはは有名小学校をお受験するようなお子ちゃまでも解りそうなものですが....。

天草エアラインのフリートは1999年10月21日にラインアウトして初飛行、同年11月1日にデリバーされた、製造番号:537の
 「 De Havilland Canada DHC-8-103Q Dash 8 」
  (レジ: JA81AM )
一機のみであります。

フリートが一機しかないのですから、

同機は20日、熊本空港で着陸時に車輪すべてが出ないトラブルを起こしたばかり。

は至極当然ですわな。有名私立幼稚園をお受験するお子ちゃまでも解りそうなものです。

要は、“ボンバルディア”とのキーワードに過敏になっている世間の風潮があるから記事になったようなもので、何れの事例も、それは無いに越したことはありませんが、安全防護策がきっちり機能しており、安全上問題はございません。


ボンバルディア機、格納ドア閉まらず車輪下ろし飛行(読売新聞) - goo ニュース
エアーセントラル(全日空系)のボンバルディアDHC8―Q400型機で2月、離陸後に後輪の格納ドアが閉まらなくなるトラブルが起き、三つの車輪を下ろして飛行していたことがわかった。
 国土交通省などによると、2月21日午後4時45分ごろ、新潟空港を中部国際空港に向けて離陸した同機(乗員・乗客42人)が、三つの車輪をすべて格納した後、右後輪の格納ドアが閉まらなくなった。油圧装置の一部の不具合が原因で、機長は着陸時に車輪が出なくなる事態に備えてすべての車輪を下ろして飛行し、無事着陸した。同機は着陸後、不具合のあった部品を交換したという。

 同省では、「燃費は落ちるが、規定上も安全上も問題ない」としている。

2007年3月23日(金)03:01

ボンバルディア機また故障、今度はエンジントラブル(読売新聞) - goo ニュース
22日午前9時25分ごろ、福岡空港発天草空港(熊本県天草市)行きの天草エアライン102便(ボンバルディアDHC8―Q100型機)が天草空港に到着し、整備士が点検中、右翼側エンジンの不具合を知らせるエンジン付近の警告灯が点灯しているのに気づいた。
 エンジンの潤滑油から小さな金属片が見つかり、同社はエンジンを交換するため、この日の欠航を決めた。

 同社はこの1機で運航。同機は20日に油圧装置が作動せず、手動で車輪を出すトラブルがあり、22日に運航を再開したばかりだった。

 同社は、エンジンの不具合の表示は車輪トラブルとは関係がないとみている。

2007年3月22日(木)13:06

ボンバル機でエンジン不具合 車輪トラブルあった機体(共同通信) - goo ニュース
天草エアライン(熊本県)の双発プロペラ旅客機、ボンバルディアDHC8-100型機が22日午前、飛行前点検でエンジンの不具合表示が出たため運航を見合わせた。同機は20日、熊本空港で着陸時に車輪すべてが出ないトラブルを起こしたばかり。同社によると、同機は22日朝の天草-福岡往復便で運航を再開後、天草空港から再び福岡へ向かう前の点検で、右側エンジンの不具合を示す注意灯がついた。

2007年3月22日(木)12:30


一方ではこのような記事も....。

「安全性、失格でない」=ボンバル機批判に反論-使用は継続・全日空社長(時事通信) - Yahoo! ニュース
全日空のボンバルディアDHC8-400型機が胴体着陸した事故で、同社の山元峯生社長は22日の定例会見で「安全性において失格であるとの判断には至っていない」と述べ、利用者を中心としたボンバル機批判に反論した。独自の「特別点検」を対策として打ち出す一方、現時点での機種変更の可能性を否定した。
 山元社長は冒頭、「心よりおわび申し上げます」と謝罪。対策として最長1万6000飛行時間ごとに行う重整備の中から、着陸や操縦系統に関する項目を前倒しで実施するとした。

3月22日20時1分配信 時事通信
最終更新:3月22日20時1分
ボンバル機、前倒しで点検 全日空・日航(朝日新聞) - goo ニュース
高知空港でのボンバルディアDHC8―400型機の胴体着陸事故を受けて全日空は22日、事故機を除く400型12機について、飛行時間4000時間以上で行う点検を前倒しする特別点検を行うと発表した。日本航空もグループ会社で運航している100~400型14機で同様の点検を行う。

 全日空の事故機は、4000時間ごとに受ける詳しい定期点検の時期を迎えておらず、検査は受けていなかった。今回の事故の場合、前輪の格納扉のロック装置のボルトがなくなっていたのが直接の原因だが、同社では操縦系統や電気配線の接続など、安全上特に重要な部分について整備士が確認し、信頼性を高めることが必要と判断した。大阪(伊丹)空港で実施し、4月中に終える方針。

 今月中にボンバル社から引き渡される14機目も、乗客を乗せて飛び始める前に同様の点検を行う。さらに300型でも実施を検討している。

 点検の影響で全日空グループは4~6月、400型が運航している伊丹―高知は1日12往復から9往復に減便。伊丹―福岡では1往復減便する。日本航空はダイヤに影響はない。

2007年3月22日(木)23:42

大沢親分ではないけれど、航空会社のトップとしてある意味そこまで発言した青社の社長さんに“あっぱれ”です。

青も赤も、ボンバルディアという航空機メーカーの「お客様」な訳ですよ。

機種選定云々はあるにせよ、自社が運航する機体で安全運航するのは航空会社の第一の責務。が、その運航に供する機体は、Boeing, Airbus, Bombardier 社などから“顧客”として購入またはリースを受けている機体である訳です。

その安全性を担保するのは、自社のメカニックさん達であり、彼等・彼女等がその拠所としているのは、メーカーから提供される分厚いマニュアルと Technical Service Bulletin それにたまに発効されるTCDなのであります。

勿論、メカニックの方々はシステムに精通し、予防的観点から安全サイドにマージンを持たせた inspection も実施してくれていると思われますが、限られたリソースの範囲内では、自ずとそれにも限界があります。

航空機システムの信頼性向上を根拠に、メーカ各社は On Condition 方式の点検・整備スタイルを打ち出してきています。

が、例えば、メーカが定めた4000時間という数字の根拠はどこにあるのか。

整備に対する考え方、思想を改めて考え直してみる良い機会なのかもしれません。

〔蛇足その1〕
 PW4000 のリ・エンジンは終わったのかな?

〔蛇足その2〕
 燃料タンクからマニュアルが出てくるような、コスト削減にばかり目を向けた外部委託整備の方が個人的には余程問題の根は深いと思いますがねぇ....。
Comment ( 9 ) | Trackback ( 0 )

ご無礼、お許し下さい - ANA1603/13MAR 調査報道に思う

 当該機に搭乗したお客様、ならびに当該便のトラブルを見事に克服されたクルーの皆様には、甚だ無礼で失礼な投稿となってしまうことをお許し下さい。

昔から「不幸中の幸い」との言葉がありますが、ボンバルディア社にとっては正にその状態と言えるでしょう。

事故やインシデントに“たら・れば”は禁物であるのですが、この点でも掟破りをすることにお許しを。

当該便、仮に「コックピット・クルーの手動操作で Nose Gear Door が開き、Nose Gear が自重で Down Lock されたならば…」。

前脚の状態を見るために、最低1回はローパスを実施し、着陸に際しても、万一ロックされていないことを想定した極めて慎重な着陸操作が必要で、お客様にあっても、衝撃防止姿勢をとったであろうと思います。

が、今回、事故調が前脚扉内で発見したボルトは、海上か山中に落下した公算が強く、原因究明は困難を極めたことでしょう。

あるいは、「試みた Touch and Go で、衝撃により前脚扉が開き、同様に Nose Gear が Down Lock されたならば…」。

問題のボルトは滑走路上か滑走路脇の緑地帯に転がり落ち、この場合も発見までに相当の時間を要したと想像されます。

さらに、Touch and Go でボルトが転げ落ちた場合、そのボルトを主脚のタイヤが踏んで、タイヤ・バーストで危険な状況に陥ったかも知れません。

そう考えると、最後まで“前脚扉が開かなかったこと”は、事故調にとっても、ボンバルディア社にとっても、
 『不幸中の幸い』
としか言いようが無いと思ってしまうのです。

重ねまして、当該便のお客様、クルーの皆様、このような考え方は皆様に大変失礼であることをお許し下さい。

が、しかし、これ幸いと思ってはなりません。

Heinrich Pyramid

上の図は、有名なハインリッヒの法則の説明に多用される図です。

ハインリッヒは重大事故 ACCIDENTS とインシデント(いわゆるヒヤリ・ハット) INCIDENTS との比率は「300件のインシデントに1件の重大事故」との統計学上の値を示しましたが、その後、フランク( Frank Byrd )が実施した調査では、「600件のインシデントに1件の重大事故」との比率が示されました。

今回のボルト装着ミスは製造段階で発生した可能性が指摘されていますが、この一本のポルト装着ミスの陰には、どれだけの Safety Management における危機的状況、Quality Management 上の危機的状況が潜んでいるのかを考えなければなりません。

違った観点からの見方をすると、航空機は一体何点のパーツから構成されているのか?
一本のボルトに組み立てミスがあったということは、航空機を構成するパーツにどれだけの割合で組み立てミスが混入する確率があるのか?

ボンバルディア社は、ラインはもとより、構造設計も含めて早急にレビューすべきだと思います。

その姿勢こそが、副社長が来日して謝罪するよりも一刻も早く求められることであり、当該便のお客様とクルーに対する真摯な態度と言えるでしょう。

最後に、航空機はその開発・設計段階~製造工程~試験飛行~耐空証明~受領検査~受領後のオペレータにより日々の運航・整備に至るまで、数多ある乗り物の中でも高度に管理され比類無きまでに安全性が確保されている機械です。

(人間が作り出した)機械である(しかもその操作は人間により行なわれる)以上、“絶対”はあり得ません。

このことは残念ながら避けようがありません。

が、限りなく“絶対”に近づけるため、日々、現場の方々が尽力されていることも忘れてはなりません。

この一本のボルト装着ミス、ボンバルディア社に限らず、全ての航空機メーカが、そして航空会社の整備部門がどのように受け止めるか、重要なポイントだと思います。


全日空機胴体着陸 ボルト付け間違いか 長さ異なる同規格品(産経新聞) - goo ニュース
全日空のボンバルディアDHC8-Q400が高知空港に胴体着陸した事故で、前輪格納扉の内部から発見されたボルトと、脱落したとみられるボルトは長さの違う同じ規格品だったことが16日、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会の調べで分かった。このほかに脱落したボルトは見つかっておらず、製造時に誤って長さの違うボルトをつけた疑いが浮上した。

 これまでの調査で、脱落したボルトは前輪格納扉を開閉させるアームの支点部分のものと判明。このボルトが外れたことから、摩耗を防ぐためボルトを覆っている「ブッシング」と呼ばれる部品が約1センチ飛び出し、扉の開閉操作を妨げたことが判明している。

 一方、扉の内部で見つかったボルトは、脱落したボルトとは長さが一致せず、別の部位から抜けたものとみられていたが、長さがわずかに違うものの同じ規格品であることが事故調の調べで新たに判明した。格納扉の内部からほかにボルトは見つかっていない。

 全日空によると、格納扉の内部は整備、点検の対象になっていないため、一度も整備した記録はない。事故調は、製造段階で長さがわずかに違うボルトをアームの支点にはめたため、長時間かかってボルトが抜けた可能性があるとして、ボンバルディア社からも聴き取り調査を進める方針だ。

 ■ボンバル社の副社長が謝罪

 ボンバルディア社のトッド・ヤング副社長が16日、国交省を訪れ、谷寧久・航空局技術部長と面会、「ご迷惑をかけて申し訳ない」と謝罪した。谷部長は「飛行機の安全性に強い懸念を持っている」と話した。

 ヤング副社長はこの日午後に高知県に向かい、事故機を視察した後、高知県庁を訪問、橋本大二郎知事に謝罪する予定。

2007年3月16日(金)16:21
Comment ( 4 ) | Trackback ( 0 )

Good Job!! ANA1603/13MAR Cockpit Crew

 こういうときこそ、航空機のクルー - 殊に“定期運送用操縦士”の国家資格と有効な技能証明を維持している機長、同様に“事業用操縦士”の国家資格と有効な技能証明を維持している副操縦士 - の方々がオペレータが定める訓練に加え、半年(“事業用操縦士”にあっては一年)毎の国家資格の技能審査を受け技量維持をしていること。更には、毎フライト毎フライト、ブリーフィングを行い、不測の事態に備えた手順を再確認し、リリースされた機体で安全なフライトを遂行することに日頃から研鑽している、そのプロフェッショナル精神,エアマンシップを再認識し、それらを最大限に賞賛すべきではないでしょうか。

当該便のクルーにしてみれば、
 『日頃から訓練している当たり前のことをやって、(快適性・定時性は守れなかったものの)お客様の安全を守り降りただけのこと』
と言いたいことでしょうし、そのように言っても何ら不思議ではありません。

また、クルー仲間には、
 『いやー、日頃から厳しい訓練を受けていて本当に良かったよ。まさか(この“まさか”は一生かけても登れない)自分が[このような状況に]遭遇するとは思ってなかったけれど…』
と胸の内を明かしたかもしれません。

いずれにせよ、56名のお客様に負傷者一人出さなかった当該便の運航乗務員のエアマンシップと、機内を幾度となく回り、お客様が冷静であるように、恐怖心が和らぐようにと努力したであろう、そして、着陸後、状況を的確に判断し、機内がパニックに陥るのを防いだ客室乗務員のプロフェッショナリズム(客室乗務員は保安要員である)は見事でありました。

会社は、このようなクルー(及び現場の方々)が日々の安全を支えてくれていることを再認識し、“人”こそが最も大切な経営資産であることを十二分に肝に銘じることですね。

さて、今回のように“胴体着陸”の可能性がある場合、火災を誘発する要因となる燃料は極力空[カラ]にして降りるのが大原則です。

Q400も多くの他のプロペラ機と同様、Fuel Dump 燃料投棄の仕組みを有していませんので、燃料を燃やして、つまり飛んで燃料を消費するしかありません。

このため、事態の第一報が入ってから“不時着”に至るまで時間を要することになり、マスコミの皆さんにとっては、空港に直行し生中継できる時間的余裕が与えられる訳です。

一定のお年をめした方ならご記憶にあるかもしれませんが、1979年7月21日、羽田発南紀白浜行の東亜国内航空381便、YS11「あかし」が羽田を離陸後、左主脚にトラブルが発生、機体に格納されたままとなってしまい、房総半島の御宿上空で3時間ほど旋回(実際はその間に当該便クルーは脚を出すべく,脚の状態を確認すべく様々な試みをおこなった)、燃料を消費して、午前11時半過ぎ、泡消化剤が散布された羽田の Rwy 15L に片脚着陸をやってのけたことがあります。

あの時もテレビで着陸の様子が生中継されていました。

当該便を担当されていたのは、T機長(確か当時30歳?)。T機長にあっても、幼児3名を含む64+3=67名のお客様に負傷者を出すことも無く、無事に片脚着陸を行なった卓越した技量もさることながら、副操縦士との連携や客室乗務員との意思疎通など、今で言うCRMを見事に行い、沈着・冷静に事に対処したのでした。

《蛇足ですがT機長、鶴社のK機長、青社のM機長と共に“危機管理”には一家言をお持ちのお方。K機長のフライトには何度かご一緒したことがあります。皆さん立派なお方で、ヒューマン・ファクター,ヒューマン・エラーの分野では師と仰ぐべき面々です》



ところで、ボンバルディアの DHC-8-400 Series には、引用記事にもあるようにこれまでも機材トラブルが絶えませんでした。

この拙いブログでも何回か採り上げています。

 “ Quiet でありませんなぁ (2005年09月16日)”
 “ なぜに全日空のQ400だけが… (2005年10月26日)”
 “ ついにJACのQ400でもトラブル (2005年11月13日)”
 “ またもQ400トラブル、今回は与圧系? (2005年11月23日)”
 “ ボンバルディアさん、しっかり頼みますよ (2006年01月06日)”
 “ 今回は欠航ではなくATB(空中引返し)になってしまいました (2006年01月09日)”
 “ どうした DHC-8 Q400 (2006年01月22日)”
 “ やっぱりね、でも時間がかかりすぎ (2006年01月28日)”

と、性格の悪さ丸出しで執念深く書いてますねぇ、この偏屈オヤジ。

国土交通省では、 耐空性改善通報(TCD) を早速出して、本邦全ての Q400 に対して、on ground 飛行禁止の措置をとるようです。

海を越えて米国の FAA: Federal Aviation Administration (米国連邦航空局)でも、
 Bombardier Model DHC-8-400 Series
を対象にした AD: Airworthiness Directive 耐空改善命令が少なからず発行されています。

Effective Date が迫り来るものの中にも何件かありますが、つい先日、3月1日に発効になった、AD 2007-02-03 は、折りしも主脚 MLG: Main Landing Gear に関するものでした。

主脚を格納しロックするアセンブリ(パーツ番号:46500-3 および -5)を装着した Q400 を対象とした改善命令でした。

今回の事故、~そう言えば事故調がお出ましになるようですな~、では、Nose Gear でしたが、FAA の AD 2007-02-03 は主脚に関するもので、要旨は以下のような内容です(原文のまま引用します)

SUMMARY: The FAA is superseding an existing airworthiness directive (AD), which applies to certain Bombardier Model DHC-8-400 series airplanes. That AD currently requires revising the airplane flight manual (AFM) to advise the flightcrew of appropriate procedures to follow in the event that a main landing gear (MLG) fails to extend following a gear-down selection. That AD also currently requires repetitive replacement of the left and right MLG uplock assemblies with new assemblies; and an inspection of the left and right MLG uplock rollers for the presence of an inner low friction liner, and corrective actions if necessary. This new AD revises the requirement for replacing the left and right MLG uplock assemblies by allowing replacement with alternative parts.
For a certain MLG uplock assembly, this new AD requires repetitive inspections of the uplock hatch lower jaw for the presence of a wear groove and replacement with an improved part if necessary. For a certain MLG uplock assembly, this new AD requires repetitive inspections of the uplock roller to ensure that it rotates freely and replacement with a new part if necessary. This new AD allows optional replacement of the left and right MLG uplock assemblies with improved parts, which ends the requirements of the AFM revision and repetitive replacement and inspections. This new AD removes airplanes from the applicability. This AD results from development of a terminating action.
We are issuing this AD to ensure that the flightcrew has the procedures necessary to address failure of an MLG to extend following a gear-down selection; and to detect and correct such failure, which could result in a gear-up landing and possible injury to passengers and crew.
海の外でも、このような状況であります。

ご参考までに。

※本邦で耐空証明を取得している機体については、国土交通省航空局が発行する耐空性改善通報(TCD)が拘束力を有します。


全日空機、前輪下りぬまま胴体着陸 高知空港(朝日新聞) - goo ニュース
13日午前8時49分ごろ、大阪(伊丹)空港発高知空港行きの全日空1603便(ボンバルディアDHC8―400型機、乗客56人、乗員4人)から着陸の際に前輪が下りないと、高知空港の管制官に連絡があった。同機は上空で旋回を繰り返して燃料を消費した上で、同10時54分、着陸を試み、機首を滑走路にこすりながらも無事に着陸した。国土交通省によると、乗員乗客にけが人はないという。機体に大きな損傷はない模様だ。

 国交省は、同型機について「耐空性改善通報(TCD)」を13日中にも発令。同日午後から国内で運航されている計22機について、運航を順次停止し、前輪が正常に下りるか緊急点検する。緊急点検に伴い、同型機を使用する路線では欠航なども予想される。

 同省の航空・鉄道事故調査委員会は、航空事故として事故調査官を派遣した。

 同機は、午前8時20分に大阪空港を離陸し、8時55分に高知空港に着陸予定だった。操縦室には機長(36)と副操縦士(34)の2人が乗務。同機は一度着陸を試みたが、前輪が出ずにやり直し、上空待機を続けていた。

 機体前方が滑走路に接地すると、火花が上がったが、機体は徐々に速度を落とし、滑走路上に停止した。消防車が機体に消火剤をまいたが、火災などは発生しなかった。

 記者会見した全日空の中村克己・オペレーション統括本部副本部長によると、本社への連絡は9時10分ごろ。燃料の残量から飛行可能なのは1時間半だったため、大阪に引き返すより、高知空港に着陸したほうがいいと判断した。

 今回トラブルを起こした機体は74人乗り。05年7月に納入され、総飛行時間は約2967時間という。今回のトラブルについて、全日空は、はっきりした原因はつかめていないとしている。過去のトラブルについては、「この機体については大きなトラブルは聞いていない。しかし、過去に同機種ではトラブルは何度か経験しており、同種の400型の13機については緊急点検を実施する」と答えた。

 今回と同型機ではこれまで2件、前脚や主脚が出ないトラブルが発生。1件は06年2月、中部空港から松山空港に向かっていたエアーセントラル機、同5月6日も大阪から新潟に向かっていた同社便で、すべての脚が出なくなった。いずれも手動操作で脚を出して着陸していた。

2007年3月13日(火)13:31
Comment ( 14 ) | Trackback ( 0 )

クルーの疲労 - 【特番】出来るか、香港日帰り

 アジアの魅力が凝縮された街、香港。日々進化し続けるエネルギッシュな街並みは、様々な魅力で溢れています。グルメ良し、電脳良し、空港・飛行機良し....手近でお気に入りの観光スポットの一つです。

お客様としては、お仕事、観光が目的で出向かれる訳ですから、日帰りをする“酔狂”な方は居りますまい。

が、本邦と香港、時差は1時間、飛行時間は季節によって差はあるものの往復で8~9時間(成田-香港)と、クルーとしては非常に微妙なロケーションです。

航空機(機体)は“飛ぶ”ことが使命ですから、青社も鶴社も、午前中に成田を出た機は当日夜には成田に戻ってきます。近距離国際線としては当たり前のように“日帰り”の機材運用をしています。
(鶴社の場合、香港日帰りを終え、夜8時過ぎに成田に戻った機材は、夜10時頃には南国ホノルルに向けて出発する機材繰りをしています)

点検・整備を適切に実施されている航空機にとっては、このくらいの飛行は苦も無くこなせます。

さて、その航空機を飛ばす現場のクルー,機内でお客様の安全を守り、サービスを提供するクルー、そのクルーの方々は航空機と行動を共にし、香港日帰りをしているのでありましょうか....?

本邦の会社のダイヤを例にしても良いのですが、諸般の事情?(波風が立つから?)により、香港がベース(基地)である、キャセイ・パシフィック航空を題材に、これまでネタのお手本にしてきた「 UK CAA: Civil Aviation Authority, The Avoidance of Fatigue In Aircrews, Guide to Requirements 」に照らし合わせて調べてみましょう。

先ず、題材にするダイヤです。

※国際線のダイヤは季節ごとに所要時間や空港のスロット、夏時間の実施有無などで、年に数回の見直しが入ります。キャセイ・パシフィックは割合と“マメ”に変更している会社の仲間に入ると思います。

【香港 - 成田】
CPA504 HKG 09:05 NRT 13:55 0 03:50 744
CPA450 HKG 10:10 NRT 16:45 1 05:35 744
CPA520 HKG 10:15 NRT 15:20 0 04:05 330
CPA500 HKG 15:15 NRT 20:05 0 03:50 773
CPA508 HKG 16:25 NRT 21:15 0 03:50 330

【成田 - 香港】
CPA509 NRT 09:20 HKG 13:30 0 05:10 773
CPA501 NRT 10:50 HKG 15:05 0 05:15 330
CPA451 NRT 15:40 HKG 21:45 1 07:05 744
CPA521 NRT 16:20 HKG 20:45 0 05:25 330
CPA505 NRT 18:30 HKG 22:35 0 05:05 744

-ダイヤに関する補足-
 *時刻は全て Local Time (現地時刻)です。香港と本邦の時差は1時間。本邦の方が1時間進んでいます。

 *450, 451 は台北経由の 1-Stop 便、その他はノンストップ直行便です。

 *(CPAの立場では)往路となる香港-成田は追風になるので所要時間が短く、復路の成田-香港は向い風で所要時間が長くなります。

 *同じ成田-香港の直行便なのに、所要時間が5時間5分~5時間25分とバラツキがあります。これは、機種による巡航速度の差、ならびに離発着時間帯の当該空港の混雑状況などを加味してのものです。(利用者からすると、より実態に近い所要時間が提示されていると考えて良いでしょう)

さて、日帰りするシップ・パターン - 所謂、機材繰り -を読んでみましょう。

[パターン1]機材:Boeing747-400
  香港 09:05 - CPA504 - 13:55 成田 15:40 - CPA451 (via TPE) - 21:45 香港
[パターン2]機材:Boeing747-400
  香港 10:10 - CPA450 (via TPE) - 16:45 成田 18:30 - CPA505 - 22:35 香港
[パターン3]機材:Airbus A330
  香港 10:15 - CPA520 - 15:20 成田 16:20 - CPA521 - 20:45 香港
[パターン4]機材:Boeing777-300
  香港 15:15 - CPA500 - 20:05 成田 (成田泊) 成田 09:20 - CPA509 - 13:30 香港
[パターン5]機材:Airbus A330
  香港 16:25 - CPA508 - 21:15 成田 (成田泊) 成田 10:15 - CPA501 - 15:20 香港

この中で、パターン1,2,3が機体は日帰り、パターン4,5は成田でお泊りです。

日帰り可否を考える題材として、パターン3の Airbus A330 による CPA520 - CPA521 を考えてみましょう。

当該パターンの 1 Sector 目 CPA520 は 04+05 の乗務予定、到着後は、less than a minimum rest period に該当する1時間のインターバルの後、2 Sector 目の CPA521 05+25 の乗務予定です。

乗務予定時間の合計は、9時間30分、1 Sector 目の出発から 2 Sector 目が到着するまでの所要時間は10時間30分です。

FDP: Flying Duty Period を予想してみましょう。

仮に、出頭時刻が520便出発時刻定刻1時間前の午前9時15分だったとしましす。

Airbus A330 は2名乗務機、シングル編成での FDP 上限を見ると、

 “ クルーの疲労 - その1:FDP

で「シングル編成で Acclimatised における FDP の上限時間の表」をご紹介しました。
それによると 、出頭時刻が9時15分であった場合、UK CAA が定める FDP の上限値は
  11時間
です。

想定した reporting 出頭時刻である午前9時15分から、521便の到着予定時刻午後8時45分までは、
  11時間30分
ですから、FDP の上限値を超えており、UK CAA のルール上はシングル編成での乗務は不可となります。

ひとつの仮定として、Boeing747-400 で同一パターンを飛んだとしましょう(747の場合、1時間でのターン・アラウンドはキツイと思いますが…)。ブロック・タイムは 03+50 + 05+05 = 8時間55分となり、巡航速度が速い分、飛行時間で35分短縮できるので、FDP は
  10時間55分
となり、シングル編成での乗務が可能です。

この仮定からもご想像できるかと思いますが、成田~香港(香港~成田)というのは、シングル編成で日帰りできるかどうかの“際どい”路線なのです。

UK CAA のルールでは、Extension of Flying Duty Period by Split Duty という、minimum rest period 未満の休息で分割された複数のセクターにおける FDP の延長特例も定めているのですが、どれだけ延長できるかは、

連続休息時間
(Consecutive Hours Rest)
FDP の最大延長時間
(Maximum Extension of the FDP)
3時間未満
(Less than 3)
延長無し
(NIL)
3~10時間連続休息した時間数の
半分まで
(A period equal to half the consecutive
hours rest taken.)


と定められています。

1時間で折り返す520便521便には当然ながら適用されません。

つまり、英国 UK CAA CAP371 のガイドラインに従うと、Airbus A330 で運航される HKG (CPA520) NRT (CPA521) HKG をシングル編成で運航するのは、安全性の観点において、クルーの疲労に伴うパフォーマンス低下が及ぼす影響あり、と考えられることになります。

では、どのようにすればガイドラインを満たすようになるのでしょうか。

考えられる解決策は二つ。1)クルーは成田でお泊りする or 2)シングル編成でなくマルチプル編成で運航する、の何れかです。

ここで、UK CAA CAP371 では、マルチプル以上の編成で Acclimatised の場合の FDP の上限時間がどのようになっているか見てみましょう。

Sectors
Local time
of start
12345678 or more
0600~075913+0012+1511+3010+4510+0009+3009+0009+00
0800~125914+0013+1512+3011+4511+0010+3010+0009+30
1300~175913+0012+1511+3010+4510+0009+3009+0009+00
1800~215912+0011+1510+3009+4509+0009+0009+0009+00
2200~055911+0010+1509+3009+0009+0009+0009+0009+00

出展:UK Civil Aviation Authority
    CAP 371
    The Avoidance of Fatigue In Aircrews
    Guide to Requirements
    Fourth edition


この表を眺めると、当該パターンをマルチプル編成 - つまり、PIC + SIC + F/O による乗務で、離着陸時を除き、だれか1名は休息する(※離着陸時は Crew Rest Bunk の使用が禁止されるので、Jump Seat に着席していることが多い) - で運航した場合には、FDP の上限値は 0800~1259 の sector 数 2 の欄、13時間15分となりますので、ルール上、何ら問題はありません。

実際にキャセイ・パシフィック航空がどのようなクルー運用をしているのかは解りません。

キャセイ・パシフィック航空や香港の航空当局には、独自の考え方、それに基づいたルールがありますので、それに則って運用している筈です。その規則は知りませんし、それの妥当性云々については言及するつもりはありません。

あくまで、英国の CAA が発行している「 The Avoidance of Fatigue In Aircrews, Guide to Requirements 」に照らし合わせてのケース・スタディでありますので、その旨をご理解下さい。

本邦の慣例ではですね…、
いかん・いかん、“チャック・チャック”。
今日から大相撲春場所、“荒れる春場所”の名の通り、3大関1横綱が敗れるという波乱の初日でありましたので、これ以上の波乱は止めましょう。


【おまけ】

折角、キャセイのダイヤとシップパターンを出したので、“成田お泊りパターン”のクルーが、UK CAA 371 に定める minimum rest period (いずれのお泊りパターンも最低休息時間は12時間が適用され、前回説明したように、最低でも10時間は宿泊施設の部屋を利用できなければならない旨のルールが適用になります)を満たしているか、復習?がてら考えてみては如何でしょうか。

定刻午後8時5分成田着予定の CPA500 便( Boeing777-300 )を運んできたクルーは、(多分、成田近くの)適切な宿泊施設で休息をとった後、翌日、定刻午前9時20分発予定の CPA509 便に乗務して基地に戻る筈です。

休息時間(成田空港ちかくのお宿に“缶詰”とも言える)を考慮した絶妙のダイヤ設定ですね。

Comment ( 0 ) | Trackback ( 0 )

GIA200/07MAR CGKJOG オーバーラン炎上

 痛ましい事故の報が入りました。ガルーダ,オーバーランと聞くと、1996年6月13日の JFF での DC-10 RTO に起因する事故を連想してしまいます。

が、今回は Landing 後のオーバーランのようです。

JFF の事故では3名の尊い命が失われ、107名のお客様がお怪我をされ、消火活動にあたった消防でも火傷を負われた団員の方々が50数名おられました。

今回も残念なことに、火災発生、生存された方もおられますが、尊い命が失われています。
亡くなられた方々のご冥福をお祈りすると共に、お怪我をされた方々にお見舞い申しあげます。

YOGYAKARTA Adisutjipto (WARI) も、割合に近い SOLO Adi Sumarmo (WARQ), SEMARANG Achmad Yani (WARS) 共に事故発生当時の METAR が入手できないので、 SURABAYA Juanda (WARR) と JAKARTA Soekarno-Hatta Intl (WIII) の METAR を載せておきます。

WARR 070200Z 29012G18KT 9999 SCT017 FEW019CB 28/25 Q1005

WIII 070100Z 26007KT 25/23 Q1007
WIII 070030Z 27009KT 7000 RAIN (60) SCT020 OVC100 25/23 Q1007 NOSIG
WIII 070000Z 26010KT 7000 RAIN (60) SCT020 OVC100 24/23 Q1006 NOSIG
WIII 062330Z 25017KT 7000 RAIN (60) SCT020 OVC100 25/23 Q1006 NOSIG
WIII 062300Z 25007KT 7000 RAIN (60) SCT020 OVC100 25/24 Q1006 NOSIG

雨が降っていた可能性がありますが、marginal までは悪くなかったと思われます。

ジョクジャカルタ空港にはILSが設置されています。ILS DME Rwy 09 に加え、VOR DME Rwy 09, NDB Rwy 09 と3つの進入方式が公示されています。

YOGYAKARTA, INDONESIA ILS DNE Rwy 09
© Copyright JEPPESEN SANDERSON, INC.

滑走路は、2200m × 45m で、09 で降りた場合には 60m の Stopway、 27 で降りた場合には 25m の Stopway があります。grooving は施されていないようです。

当該機がどちらから進入してきたかは定かでありませんが、ILS DME Rwy 09 Circle to Rwy 27 の MNM は 1300'(950') - 4400m ですから、WIII, WARR の気象状況から察するに、Circle to Land Rwy 27 をとっても不思議ではありません。

BBC News の引用記事によると、Approach Speed が相当に速かった、との証言が載っていますので、機体に何らかのトラブル発生等の止むを得ない状況で、追風の中、Rwy 09 との可能性もあると思います。

調査が進むにつれ、状況が明らかになることでしょう。

インドネシアでは、このところ事故率がやや高いと感じるのは気のせいでしょうか....。

【変更】
08-MAR-2007 1255I
 Aviation Satefy Network からの情報を最新のそれに変更しました。


ASN Aircraft accident description Boeing 737-497 PK-GZC ? - Yogyakarta-Adisutjipto Airport (JOG)
Status:Preliminary
Date:07 MAR 2007
Time:07:14
Type:Boeing 737-497
Operator:Garuda Indonesia Airways
Registration: PK-GZC
C/n / msn: 25664/2393
First flight: 1992
Crew:Fatalities: / Occupants: 7
Passengers:Fatalities: / Occupants: 133
Total:Fatalities: 21 / Occupants: 140
Airplane damage: Written off
Location:Yogyakarta-Adisutjipto Airport (JOG) (Indonesia)
Phase: Landing
Nature:Domestic Scheduled Passenger
Departure airport:Jakarta-Soekarno-Hatta International Airport (CGK/WIII), Indonesia
Destination airport:Yogyakarta-Adisutjipto Airport (JOG/WARJ), Indonesia
Flightnumber:200
Narrative:
 Garuda flight 200 was an early morning service from Jakarta (CGK) to Yogyakarta (JOG). The airplane overran runway 09/27 (an asphalt runway, 7215 x 148 feet), skidded through the perimeter fence and ended up in a rice paddy. The airplane caught fire and burned out.


死亡・不明は44人に インドネシア機炎上事故(共同通信) - goo ニュース
【ジャカルタ7日共同】インドネシアのスディ内閣官房長官は7日、ジャワ島中部ジョクジャカルタの空港で同日起きた国営ガルーダ航空のボーイング737(乗客乗員140人)炎上事故による死亡・行方不明者は44人と発表した。残る96人は生存が確認されたという。計97人が脱出したが、うち1人が病院で死亡。消火後の機内で21人の遺体を確認したという。機内には、さらに多数の遺体があり、行方不明の22人とみて調べている。

2007年3月7日(水)19:09

BBC NEWS | World | Asia-Pacific | Indonesia jet explodes on landing
Rescue workers try to put out the flames of a Boeing 737-400 in IndonesiaAn Indonesian jet has crashed and burst into flames on landing at Yogyakarta airport in Java, killing 22 people.

The state-owned Garuda airline, which operated the Boeing 737-400, confirmed that 118 people had survived.

Indonesia's president immediately announced an investigation into the crash in Yogyakarta, 440km (270 miles) south-east of Jakarta.

Indonesia's safety record has been in the spotlight recently after a series of accidents, correspondents say.

'Too fast'

The crash happened at about 0700 local time (0000 GMT).

Survivors say a large number of passengers escaped through emergency doors before the plane burst into flames.

The jet reportedly started shaking violently before landing.
Rescue workers try to put out the flames of a Boeing 737-400 in Indonesia
The operations chief at Yogyakarta airport said the front wheel of the plane was on fire as it landed, causing it to veer off the runway and hit a boundary fence.

He said an engine had then broken away from the plane and the fuselage burst into flames. The aircraft came to rest in the middle of a rice field.

First Air Marshal Benyamin Dandel, air force commander at Yogyakarta, said: "The plane was too fast or over-speeding, so it ran about 300 metres off the runway."

Some survivors said the fire started near the front the plane and spread quickly down the fuselage.

One survivor, Din Syamsudin, who is the chairman of Indonesia's second-largest Muslim organisation, Muhammadiyah, told Reuters: "Some passengers wanted to get their hand luggage. I cried to them, 'get out, get out'.

"The plane was full of smoke. I just jumped from two metres and landed in a rice field."

A number of survivors are being treated in hospital for severe injuries or burns.

The blaze took two hours to put out and gutted the jet.

Conference

Australian Foreign Minister Alexander Downer said there were nine Australians on board, four of whom were missing.
Map of Indonesia

They included officials and journalists covering his planned visit to Java for a counter-terrorism conference.

Prime Minister John Howard said the country should be "prepared for bad news" as there could well be Australian fatalities.

But he said he had not received any information suggesting either sabotage or terrorism.

A spokesman for Susilo Bambang Yudhoyono said the Indonesian president was launching an investigation to examine all possible causes, including technical failure, human error and sabotage.

There have been a number of terrorist attacks in Indonesia in recent years, many of them targeting Westerners.

The BBC's Lucy Williamson in Jakarta says the incident also comes at a time when Indonesia's poor transport safety record is under the spotlight following a recent string of disasters.

In January an Adam Air plane, also a Boeing 737-400, disappeared with 102 passengers and crew on board, and in December hundreds died when a ferry sank in the Java Sea.

Last Updated: Wednesday, 7 March 2007, 08:09 GMT
Comment ( 6 ) | Trackback ( 0 )

桃の節句ですから - 調整経路

 昨日は“桃の節句”、お雛祭りでした。早いもので、今年も、もう3月ですね。

概ね良好なお天気で“訓練日和”とも思えるのですが、国民の祝日では無いものの、女の子のお祭りですから。

何気なく NOTAM を眺めていたら、お雛祭りには自衛隊の訓練もお休みだったようで....。

NOTAM の有効期間は、

 B)0703022200 C)0703032200

ですから、日本時間に直すと2007年03月03日07:00~2007年03月04日07:00です。

以下の NOTAM が発行され、調整経路(CDR: Conditional Route)が利用できるようになっていました。

021049 RJAAYNYX
(1115/07 NOTAMN
Q)RJJJ/QANCH/I/NBO/E/000/999/
A)RJJJ B)0703022200 C)0703032200
E)REF AIP ENR3.2-20/21 AND 3.6-32
CDR ARE ESTABLISHED AS FLW,
 RTE   PERIOD                  MNM APPLICABLE ALT
1)Z10  0703022200/0703030100   FL150
       0703030310/0703032200   FL150
2)Z12  0703022200/0703030100   FL260
       0703030310/0703032200   FL260
3)Z13  0703022200/0703032200   MEA
4)Z14  0703022200/0703032200   MEA
FOR Z10 AND Z12
ACFT SHALL PLAN TO X YAIZU AT LEAST 40 MIN PRIOR TO THE END TIME
UNLESS THE CDR IS ESTABLISHED CONTINUOUSLY
FOR Z13
ACFT SHALL PLAN TO X MIYAKO AT LEAST 45 MIN PRIOR TO THE END TIME
UNLESS THE CDR IS ESTABLISHED CONTINUOUSLY
FOR Z14
ACFT SHALL PLAN TO X YUDOH/RACKO(RACKO:RJCB DEP ONLY) AT LEAST
45 MIN PRIOR TO THE END TIME UNLESS THE CDR IS ESTABLISHED
CONTINUOUSLY)
公示済の調整経路(Z10, Z12, Z13, Z14)4本全てが利用可能です。

RNAV Route の Yペケペケ は聞いたことがあるけど、Zホニャララ なんて言うのもあるんだぁ....。

ございます。出来て(公示されて)随分と日が経っております。

こんなことができるようになったのも、福岡さまさま。

FUKUOKA ATFMC: Air Traffic Flow Management Center (航空交通流管理センター)に自衛隊の担当職の方が詰めておられるので、迅速な調整により、柔軟な空域利用が可能になったのです。

この“調整経路”、自衛隊の訓練空域のど真ん中を突っ切っているのです。

「訓練がお休みなのだから、空いている空域を民間機に“安全に”活用してもらって、輻輳する航空交通の円滑化に役立てて下さいね」

との趣旨で、主として、ショートカット(近道)できるようなルートが設定され、当該航空路が利用できるときには、このような NOTAM が発行され、IFR の旅客機が飛行経路としてファイルできるのです。

Z13, Z14 は三陸沖の訓練空域 JDA B-1, B-2 を突っ切るルート。

Z13 が北海道道東へ、Z14 が北海道道東から、です。

釧路、女満別、中標津など、道東の空港との往復で、宮古・花巻 ~ 釧路を「ほぼ」直行できるので、片道あたり数分を越える時間短縮が可能です。

時間が短縮になるということは、それだけ CO2 の排出が抑えられ、環境にも優しいと言うこと。

Z10, Z12 は東海沖の訓練空域 JDA K-1, K-2 を突っ切るルート。

焼津からそれぞれ Y21 、Y52 へ合流します。ショートカット効果は僅かですが、ルート選択の幅が広がる、ということは、それだけ1単位あたりに捌ける交通量も増える訳ですから。
Comment ( 6 ) | Trackback ( 0 )

クルーの疲労 - その4:休息期間 (続き)

 前回、Rest Periods 休息期間について、とりとめもなく拙い説明をいたしましたが、今回も“懲りずに”その補足説明をいたします。

はじめに、minimum rest period 最低限の休息期間について前回のおさらいです。英国の UK CAA: Civil Aviation Authority では

The minimum rest period which must be provided before undertaking a flying duty period shall be:

 a) at least as long as the preceding duty period, or

 b) 12 hours

whichever is the greater.
と定めていることをご紹介しました。

Rest Periods 休息期間については、他にも規定があるので、(あまりにも細かい規定は除いて)その幾つかをご紹介します。


《 前の Duty が18時間以上の場合 》

この場合、最低休息期間の規定に照らし合わせると、a)が適用となります。

例えば、前の Duty が18時間 -この時間には便乗( DH: Dead Head ) positioning による duty も含まれます- であった場合、最低18時間の休息期間が必要です。

ただし、この「最低18時間」の中には、“ local night ”が含まれねばなりません。

Local Night
A period of 8 hours falling between 2200 and 0800 hours local time.
今回、ネタ本としている UK CAA の The Avoidance of Fatigue In Aircrews, Guide to Requirements は実に良く考えられているため、これの( local night を含ませるルール)反例を作るのは現実問題として非常に難しいです。

そのため、架空のダイヤと乗務パターンを例に、どのような状況が規定を満たさないことになるのか、についてお話します。

クルーは、基地のオペセンに午前6時30分に出頭、すなわち FDP: Flying Duty Period が6時30分に開始された「 Acclimatised かつ シングル編成」であると想定します。

本邦との時差1時間の、とある都市Aに飛んで、そこから本邦の都市Bへ戻ってくる“ Split Duty ”に就いたとします。セクター数は2。基地を8時に出発し、都市Aに到着、1時間半程のインターバルの後、本邦の都市Bへ向けて出発、都市Bには16時20分に到着( Block IN )しました。この乗務の FDP は9時間50分で、FDP 開始時刻とセクター数により定められた10時間の FDP 上限値にはおさまっており問題なしです。

本邦の都市B、当該クルーが到着後には生憎と、基地へ便乗できる直行便がありません(他社便も含めて)。そのため当該クルーは、FDP 終了後、便乗 positioning で先ず都市Cへ移動し、そこからまたまた便乗で基地に戻るパターンが組まれていました。

2回の便乗、さらには便乗対象便のダイヤの関係により、基地への到着するのは午前様、0時30分です。

長い一日を終えた当該クルーの Duty Period は18時間ちょうどになります。

次のフライトまでは、最低18時間の休息期間をとらなければなりません。
(某部門の立場に立って、都合よく解釈すると、18時間休んでもらえば、次の乗務に就いてもらえる or 就かせられる)

0時30分から18時間30分経過した -すなわち、minimum rest period を満足した - その日の19時にオペセンに出頭、FDP が開始する次なる乗務パターンに就けるのか?

If the preceding duty period, which includes any time spent on positioning, exceeded 18 hours, then the ensuing rest period must include a local night.

答えは No!、「 rest period must include a local night 」の文言に抵触して、そのような乗務は出来ません。

0時30分に18時間に及ぶ Duty を終えたクルーが19時に次の乗務に就くということは、次の乗務に先立つ(最低18時間の)休息期間は満たしているのですが、その休息期間中には Local Night が含まれていないからです。

その理由はお解かりだと思いますが、0時30分から8時までは7時間30分。 Local Night の定義は午後10時から翌朝8時までの間の8時間です。7時間30分では僅か30分ではありますが Local Night 条件を満たしません。

見事な抜け道防止の文言と言えましょう。


《 用意されたお宿でポッキリ12時間のご休息 》

先ず、この規定は休息期間が12時間を超える場合には適用されません。

minimum rest period が12時間でOKな Duty を終え、離基地(基地から離れた場所)で会社が適切な宿泊施設を提供し、そこでの休息時間が12時間の場合には、 その休息は11時間まで短縮しても良いことになっています。
The room allocated to crew member must be available for occupation for a minimum of 10 hours
お泊りですから、空港と宿泊施設間の移動に要する時間も考慮されなければなりません。

UK CAA の規定では、片道30分以下の移動は休息時間の延長を要求していません。

例えば、右の図のように、夜9時に Duty が終了し、minimum rest period が12時間、suitable accommodation が提供されている場合、Rest Period は1時間まで短縮して最短11時間で良いことになります。

空港-宿泊施設間の片道所要時間が30分の場合、往復で1時間、宿泊施設での滞在時間(休息時間)は10時間まで短縮が許され、翌朝7時30分に宿を出発、8時に空港に出頭、Duty 開始が許されます。

空港-宿泊施設間の所要時間が片道30分を超える場合は、空港と宿泊施設間の移動に要する合計時間で1時間を超える部分は、休息時間を延長しなければなりません。

仮に空港-宿泊施設間の片道所要時間が45分の場合、往復1時間半で1時間を超えた30分は休息時間が延長されます。
最大1時間までは短縮できるところですが、(空港-宿の往復所要時間で超過した)30分の休息延長を加味しなければならないので、最大許容短縮は30分になります[-1時間+30分=-30分]。

上で例とした「夜9時に Duty が終了~云々」の場合、Duty 開始時刻は最大30分しか前倒しできなくなります。

翌朝の Duty 開始は、8時は不可で、8時30分以降である必要があります。

8時30分とすると、お宿から空港まで45分かかりますから、お宿の出発時刻は7時45分。

前夜の9時45分~翌朝7時45分。

つまり、どのような場合でも、クルーは宿泊施設の部屋を最低10時間は占有できる訳です。

the rest period must be increased by the amount the total time spent travelling exceeds one hour

繰り返しになりますが、このルールは、Rest Period が「12時間ポッキリ」で「お泊りの」場合にしか適用になりません。


《 スタンバイからお呼びがかかって乗務した後の休息期間 》

これについては、先ず「スタンバイ」とは何ぞや、を理解しなければなりません。

Standby Duty
A period during which an operator places restraints on a crew member who would otherwise be off duty. However, it shall not include any time during which an operator requires a crew member to be contactable for the purpose of giving notification of a duty which is due to start 10 hours or more ahead.
と、スタンバイの定義そのものがチト複雑であることに加え、呼び出しがかかって乗務することになった場合の FDP との絡みなど、ここで説明するのはかなり荷が重いので、「スタンバイ」を説明する機会を別に設け、そこで、この「スタンバイ起用後の休息期間」について紹介することにします。



と、今回のトピックは結果的に2個だけになってしまいました。

これも、連続投稿 -と言っても、適当に間が空いていますから、“分割投稿”? - により、オツムの働きが鈍っているからかもしれません。

「もう飽き飽きだ」との声が聞えてきますし、心の中の悪魔が『こんなつまらぬテーマは辞めてしまえ』と誘惑してくるのですが、懲りずにまだまだ続けるつもりであります。

だって、まだ時差を伴った長大路線や、一般的な乗務時間上限(月単位の上限時間など)について何ら触れていませんし、そもそも、「クルーの疲労」とタイトルで言っておきながら、直接的にそれを説明する内容に触れていませんからねぇ。

今回もお付き合い、ありがとうございました。
 

〔ご注意〕

ここで紹介した規則は、本邦で適用されているものではありません。

また、例として想定した、出頭時刻、乗務パターンも特定の会社を意識したものではありません。
あくまでも補足説明のために作り出した架空の乗務パターンであることをご了解願います。
Comment ( 2 ) | Trackback ( 0 )