ビター☆チョコ

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キンキーブーツ

2006-08-27 | 洋画【か】行



イギリス、ノーサンプトン。
一生物のしっかりした紳士靴を作り続けるプライス社。
跡取り息子のチャーリー(ジョエル・エドガートン)は婚約者とロンドンで暮らしていたが、父の急死で会社を継ぐことになってしまう。
継いでみてびっくり。
会社は倒産寸前で再建の見通しも立たない。
やけで飲んだ酒場でドラッククイーンのローラ(キウェテル・イジョホー)と出会ったチャーリーは、
思わぬところにビジネスチャンスがあったことに気がつく。

チャーリーが見つけたビジネスチャンスは、ローラのようなドラッグクイーン(このドラッグは麻薬のdrugではなくてオカマのdrag )がはくセクシーなブーツの制作。
キンキーブーツ。
直訳すると変態ブーツ。
あ!でもこの場合はエナメルでピンヒールの女王様ブーツのことをそう呼ぶらしいのだけど。
心は女でも体はたくましいドラッククイーンの体重を支えきれるブーツはなかなかないのだ。
そしてソーホーにはそんな需要が山ほどある。
思いがけないところにニッチ市場はあったのだ。
目標が定まってからのヘナチョコチャーリー坊やはどんどんたくましくなっていく。
ど田舎の、ドラッククイーンなんかみたこともない偏見で凝り固まった従業員と闘い、
婚約者ともめたり、落ち込んだりしながらミラノのショーを目指して驀進する。

「フルモンティ」では失業したおじさんたちがストリップをして成功したり、
「カレンダーガール」ではオバ様たちがヌードカレンダーを作ったり、
イギリス人は危機に陥るととんでもないアイディアをひねり出す傾向があるようだ。
どれもこれも実話に基づく映画なのがすごい。
敗者復活戦映画の宝庫イギリス。
そして私はそんな敗者復活戦映画が大好きなのだ。

すごいヒーローも登場しないし、みんなどこか情けなかったりするんだけどそこが愛しい。
そんなに立派な人間ばかりじゃない。
ちょっと勇気を出して踏み出せば、人生って不意に光が当たったりするかもしれない。
「自分らしく生きる」って難しいことだけど、自分に嘘をついて生きるのは辛いことだよね。
最初に登場した時はちょっとローラの姿に引いてしまったんだけど、
彼女の悩みや生き方を知るうち、不思議なことにマッチョなドラッククイーンのローラが、だんだんすごい美女に見えてきた。

たぶんお金もかかってないし、たぶん大スターも出てないのだけど、こんな映画が一番好き。
東京では今のところシャンテシネだけの上映なのが残念です。
キウェテル・イジョホー。
私のこれまた大好きな「ラブ・アクチュアリー」でキーラのダンナさんの役をやった俳優さんです。
あの役の時は嫌いだったけど(爆)今回は良かった
歌もいいし、踊りも、あの15センチピンヒールで踊れるなんて~~見事でした。




ミラノのショーの場面で、思わず立ち上がって拍手したい気持ちになったのは私だけではなかったはず。
ちょっと自分に自信がなくなってたり、落ち込んでたりする人。
ぜひローラに会いに行ってください。