ビター☆チョコ

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48時間の約束

2006-08-09 | 日々のこと

埼玉県の児童相談所では、児童虐待の通報を受けてから48時間以内にその子供の置かれている状況を把握し、保護が必要な場合は速やかに保護をする措置がとられているそうだ。
48時間。
限られた職員の数には、あまりにも多すぎる寄せられる問題の数々。
すぐにでも駆けつけたいけれども無理がある。
48時間はどんな困難な状況でも命をつないでいて欲しい。
48時間以内には必ず助けに行くから。
この48時間という時間は、助けを求める子供達と職員との約束であり祈りなのだそうだ。

娘が進学する時に選んだのは「心理学」だった。
私には良く分からないのだけど、漠然と心理といっても様々に分かれているらしい。
高校生の頃から、トリイ・ヘイデンの本などを読んでいたのでそんなに驚きはしなかったけど、
2年生になる頃「福祉関係」の資格を取ることを決めたようだ。
時々はボランティアで施設にも行ったりして、自分が進む方向を模索しはじめたのかもしれない。
昨日はNHKの「にっぽんの現場」という番組で、児童福祉士が取り上げられていたので
娘と二人、見たのだった。

「育児ノイローゼってどんな人がなるんだろう。。。」
番組が始まってすぐに娘がつぶやいた。
「誰だってなるよ。おかあさんもなりそうだったもん。」
娘、絶句する。
「虐待とか・・・したの?」
「しないけど(笑)運が悪かったら虐待の方向に行ったかもしれないよね」
「運なの?。。。」

たぶん運もあるのだと思う。
もちろん育った環境や性格や生活の状態もろもろのものが絡んでの不幸なのだろうけど。

赤ん坊は可愛いという思い込みの元で母親になる。
でも生まれた赤ん坊は可愛いには可愛いけど、なにしろ得体の知れないところがある。
睡眠不足。疲労。自信喪失。孤独感。閉塞感。
そんなものを感じ始めたときに、風穴をあけてくれる誰か。あるいは何か。がないと、
苛立ちの矛先が全て子供に向かってしまうのだろう。

それにしても児童福祉士とはなんというハードな仕事だろう。
子供を保護する施設には限りがあるし、
間違った判断は、家庭を崩壊させたり子供の命を奪ったりすることに直結する。
「10年かけて1人前になって数年で燃え尽きる仕事」。
そんなハードな現場の人たちの口調はおっとりとして、物腰は柔らかい。
けんか腰で頭に血をのぼらせたままで務まるほど単純な仕事ではないのだろう。

少子化で子供の数は減っているというのに、何らかの虐待を受けてる子供の数は年々増加してるのだそうだ。
私の職場にも「虐待が疑われるケース」が文書として回ってきている。
私が普段職場で会う子供、近所の子供。誰にもそんな形跡は見当たらない。
私が目にする子供は、ごく稀な幸運な子供たちなのだろうか?
特別に子供好きというわけでもないけど、見えないところで耐えてる子供がいることを思うと寝付けない夜だった。

大人の苛立ちが子供に向かわないように。
大人も子供も明るい将来を思い描けるような。
児童福祉士という仕事がなくなるような。
そんな社会であってほしい。