図書館で見て、面白そうだったので借りてきた本です。著者は、クラシック音楽の愛好家で、合唱の経験はあるようですが、プロの演奏者とか評論家ではなく、ブラームス愛好家としての立場から書いていて、そこに興味を惹かれました。多くの参考文献を読んでいるほか、コンサートやFM放送での聴取、ドイツへの旅行を通じて、ブラームスの音楽への愛情を語っています。
ブラームスついては、好きな曲が多いので、共感を覚えたり、今後のCD聴取などの参考になりました。愛好家が書く文章は、個人的な色彩が強く出るものだと思いますが、この本は、それが出すぎずに、普通の読者が読んでも違和感のないものでした。
目次は以下のとおり。気になったところは、細かく引用しました。
PARTⅠ ブラームス・・・生涯と作品
1 生 涯
2 作 品
①ブラームスの作品についてのキーワードは?
②ブラームスがオペラを作曲しなかったのはなぜか?
③ブラームスの好きな楽器は?
④ブラームスの音楽史における位置づけ
3 主要作品について
①ピアノ協奏曲第1番ニ短調 作品15
②ピアノ四重奏曲第1番ト短調 作品25
③ハンガリー舞曲集
④ドイツ・レクイエム 作品45
⑤ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品77
⑥交響曲第4番 作品98
⑦クラリネット五重奏曲ロ短調
4 ブラームスと日本
⑥ブラームスを描いた日本人画家がいた
⑨東京・原宿には”ブラームスの小径”、”モーツァルト通り”が
PARTⅡ 北ドイツ音楽紀行(2004・9・27~10・4)
1 ハンブルグ
2 リューベック
3 ライプチヒ
4 ドレスデン
5 ベルリン
ブラームスの生涯については、簡便にまとめられていて、読みやすいです。また、作品の小見出しにあるように、ブラームスファンの立場から、気にかかることを疑問形式で設定し、それを解いていく書き方もしていて親しみやすい。主要作品を挙げていますが、著者の個人的好みが入っていて、その理由を読むとなるほどと思わせるものです。「ドイツ・レクイエム」を入れているところが、愛好家らしいところでしょうか。
ブラームスと日本人の章は、全く知らない事柄ばかりで、興味をそそられました。北ドイツ音楽紀行は、短時間の滞在ながらそれぞれよく取材されていて感心しました。ライプチヒやドレスデンは、著名オーケストラに歌劇場もあるので、大きな街だとかねがね思っていたのですが、この本で人口50万人程度だということを知って驚きました。
著者が書いているように、ブラームスには、低音の魅力や変奏を得意としたといった特徴があり、甘美な旋律も書いています。この本を読んで、なじみのない「ドイツ・レクイエム」や「ピアノ四重奏曲」などをまとめて聴いてみようという気持ちになりました。