来週の6月12日、13日、14日と、指揮者の山田和樹さんがベルリン・フィルを初めて指揮します。活躍を期待していますが、ちょうど、同フィルに関する新書が出されたので、読んでみました。
参考:山田和樹指揮ベルリン・フィルのコンサート案内ページ
表紙
(帯裏に掲載された本書の紹介)
(目次抜粋)
第1章 誕生期―市民のためのオーケストラとして
第2章 拡大期―財政危機から国際化へ
第3章 爛熟期―ナチとベルリン・フィル
第4章 再建期―戦後の「再出発」
第5章 成熟期―冷戦と商業主義の中で
第6章 変革期―「独裁制」から「民主制」へ
第7章 模索樹―新しい時代のオーケストラとは何か
終 章 ベルリン・フィルの歴史から見えてくること
(感想など)
著者の芝崎さんの専門は、「国際関係史、冷戦史、政治と芸術」で、そういう観点から、ことにナチ政権発足(1933年)からベルリンの壁崩壊(1989年)までの間の政治と結びついたベルリン・フィルの様子が明確に描かれています。
団員は、長くベルリン市の公務員という立場で、楽団が財団法人化されたのが2002年と遅くて驚きました。その後も政府からの助成はあるはずなので、現在の運営状況はどうなのでしょうか。
カラヤンの独裁ぶりに言及し、ザビーネ・マイヤー問題が描かれていて興味深い。カラヤン後の常任指揮者選出は、楽団員の投票によって行われていますが、それが可能になった楽団員間の組織とか関係性について言及がほしかった。
(著者略歴)
歴代の首席(常任)指揮者(本書のページから)
チェリビダッケは、1946年に暫定で主席指揮者になっています。
1956年にベルリン市とカラヤンは、常任指揮者契約を交わしています。
初の団員投票で選出されたアバド。在任は1989年10月~2002年2月。
2002年9月から2018年6月。
2019年8月に常任指揮者として初の演奏会。