安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ミシェル・サルダビー NIGHT BLOSSOM

2016-08-31 20:39:41 | ピアノ・トリオ

最近、アナログレコードがちょっとしたブームになっているらしくて、中古レコード店で話しを聞くと、ロックやジャズのLP、クラシックの輸入盤LPの売れ行きがまずまずで、それにもまして、歌謡曲が動いているそうです。そういった状況下、ある中古レコード店で、ミシェル・サルダビー(p)の「Night Blossom」(DIW)のレコードを入手しました。1990年の新規録音だとCDが主体で、LPはあまりプレスされていなかっただけに、このレコードの入手はうれしい出来事でした。

MICHEL SARDABY (ミシェル・サルダビー)
NIGHT BLOSSOM (DIW 1990年録音)

   

ミシェル・サルダビーは、フランスのDebsレーベルのアルバム「Night Cap」や「In New York」で知って以来の好きなピアニストですが、これは来日時をとらえたDIWレーベルによる日本録音です。吉祥寺「Meg」の店主の寺島靖国さんの紹介もあって、サルダビーが日本で聴かれるようになった頃でした。以前から聴いているのはCDですが、数年前、ジャケットを代えたCDも発売されました。

メンバーは、ミシェル・サルダビー(p)、ジョイ・レオンハート(b)、アルバート・ヒース(ds)。多分、その時の来日メンバーだろうと思いますが、はっきりしませんでした。サルダビーは、アメリカのミュージシャンとの録音もいくつかありますが、ベテランドラマーのアルバート・ヒースが参加しているのでびっくりしました。どういう経緯なのか不明でしたが、メンバーの人選がよいです。

曲は、サルダビーのオリジナルとスタンダードです。サルダビー作「Madrugada」、「Maelstrom」、「Way Farer」、「Night Blossom」、「Farewell Tokyo」、スタンダードの「For All We Know」と「Falling In Love With Love」(恋に恋して)、デューク・エリントン作「Single Petal of A Rose」の全8曲。サルダビーのオリジナルは、ほの暗く、甘いメロディをもっていて、琴線に触れてくる作品も多く、ここでも聴かれます。

オリジナル曲では、メロディーを重視し、繰り返しも用いながらの演奏は、それだけで癒されます。「Madrugada」や「Night Blossom」におけるサルダビーの演奏が、そんな感じで、しみじとした味わいもあります。意外によかったのが、2曲のスタンダードで、「For All We Know」は、ぎりぎりの遅いテンポでメロディを綴っていて、緊張感も持続しています。明るくて早めの「Falling In Love With Love」は、メンバーの3人が伸び伸びとプレイをしていて、ベースのランニングビートが効いたバウンドする明快な演奏。

【Night Blossomのレコード(帯付き)】

   


NHK交響楽団演奏会 (8月24日 長野市 長野市芸術館)

2016-08-30 20:01:25 | 演奏会・ライブ

長野市芸術館開館記念として、NHK交響楽団長野公演が8月24日に行われたので、出かけてきました。NHK交響楽団が長野で聴け、加えて、森麻季を迎えてオペラの名曲が聴けるということで、たいへん楽しみにしていた公演です。当日は、午後5時から宴会に出席していたのですが、そちらは中座して、会場に向かいました。

    

指揮:ジョン・アクセルロッド
ソプラノ:森麻季*
管弦楽:NHK交響楽団

グノー/歌劇「ファウスト」から ワルツ
グノー/歌劇「ロメオとジュリエット」からジュリエットのワルツ「私は夢に生きたい」*
マスカーニ/歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」から 間奏曲
ベッリーニ/歌劇「カプレーティ家とモンテッキ家」から「おお、いくたびか」*
プッチーニ/菊の花
プッチーニ/歌劇「ジャンニ・スキッキ」から 「私のお父さん」*
プッチーニ/歌劇「ボエーム」から 「私が町を歩くと」(ムゼッタのワルツ)*
チャイコフスキー/交響曲 第4番 ヘ短調 作品36

(アンコール)
レスピーギ/リュートのための古風な舞曲とアリア第3組曲から「シチリアーナ」

NHK交響楽団の弦の音が洗練され、低音から高音までしっとりとし、きれいで、その点だけでも聴いた甲斐がありました。日本のトップオーケストラと言われるだけのことはあります。

前半は、オペラからの名曲が多く、親しみやすいプログラムでした。ステージに近い席だったので、森麻李のソプラノもよく聴き取れ、有名アリアを堪能しました。プッチーニの「ジャンニ・スキッキ」から「私のお父さん」が、恋人を思う気持ちが伝わるような歌唱で、曲想の良さもあって最も印象に残りました。前半は、N響の弦楽合奏と森麻李の高音がよく響く歌声で至福の時を過ごしました。

休憩をはさんで後半は、チャイコフスキーの第4番。指揮者のジョン・アクセルロッドは、アメリカ出身の、現在、王立セビリア交響楽団の音楽監督で、パリ管弦楽団やロンドンフィルなど一流オーケストラに客演を続けている方です。サンクトペテルブルク音楽院でも研鑽を積んでいるので、チャイコフスキーは得意なレパートリーに違いありません。

交響曲第4番は、弦ばかりでなく金管楽器もよくそろっていて、音を外すこともなく、NHK交響楽団の優秀さが出ていました。アクセルロッドの指揮は、大げさに強弱を出すのではなくて、穏やか気味の演奏だったように思います。チャイコフスキーはダイナミックな演奏が多いのですが、まとまりのあるいい意味で手堅い演奏に好感が持てました。アンコール曲は、レスピーギらしい弦合奏の名曲で、これも堪能しました。

プログラムもよく考えられ、最初から最後までまとまりのある演奏と歌を楽しめた、かなり充実した音楽会でした。


藤の家 (蕎麦 長野県長野市)

2016-08-29 20:06:20 | グルメ

長野市内には蕎麦屋が多いですが、「藤の家」は長野駅に比較的近く、駐車場も完備しているので、使い勝手がよいです。僕は主にランチに行きますが、値段が安いことに加え、ヴォリューム、味ともに満足しています。こういった蕎麦屋さんらしい蕎麦屋さんは、昨今なかなかなくて、僕の好きなお店の一つです。

   

元は、蔵造りのお店だったのですが、改装しています。長野市内では知られている老舗です。後ろに見えるCOFFEEの看板のお店は喫茶店「ブルーリボン」で、たまに寄ります。

   

   

880円のランチのセット。天麩羅の種類も多く、ご飯、メロンも付きます。

   

蕎麦の量もたっぷりです。細めの切り方です。

   

蕎麦湯。そばつゆにしろ蕎麦湯にしろ、量がたっぷりで、嬉しいです。僕はたくさん使う方なので、それも気に入っています。

【藤の家(ふじのや)】

住所:長野県長野市南千歳2-5-1
電話:026-224-4725
営業:11:30~15:30 17:00~19:00 
定休:日曜日


グラント・グリーン STREET OF DREAMS

2016-08-28 09:22:24 | ギター

最近、お昼休みなどにタリーズやスターバックスといったコーヒー店に出かけています。長野駅近くのタリーズに行くことが多いので、初めてプリベイド・カードを3千円分購入しました。それを使えば、320円のアイスコーヒーが10円引きの310円になるので若干お得感があります。プリペイドは前払いなので敬遠していたのですが、使い始めると便利ですし、タリーズはBGMがジャズなので、いいとしました。昼下がりに似合いそうなギターを。

GRANT GREEN (グラント・グリーン)
STREET OF DREAMS (Blue Note 1964年録音)

   

グラント・グリーン(g)は、多くのリーダー作を残していて、アメリカでも人気があったことをうかがわせます。サイドメンとして参加したアルバムも多く、シングルトーンでブルースに根差したフレーズをたんたんとつづっていくプレイはかっこいいです。このアルバムは、珍しい楽器編成で、初め出てくるサウンドの想像がつかなかったのですが、聴いてみるといつものグリーン節を楽しむことができます。

メンバーは、グラント・グリーン(g)、ボビー・ハッチャーソン(vib)、ラリー・ヤング(org)、エルヴィン・ジョーンズ(ds)。グリーン、ヤング、ジョーンズの組み合わせでは、「Talkin' About」(Blue Note)などがありますが、そこにボビー・ハッチャーソンのヴァイブが加わることによって、サウンドに厚みと色彩感が出ています。ブルーノートレーベルならではの豪華な顔ぶれです。

曲は、シャルル・トレネ作「I Wish You Love」、ジェローム・モリス作「Lazy Afternoon」、ヴィクター・ヤング作「 Street Of Dreams」、Josef Myrow作「 Somewhere In The Night」の4曲。原曲がシャンソンの「I Wish You Love」は、最近もジャズヴォーカルで取り上げられます。また、他の3曲も曲想が穏やかな佳曲が選ばれています。

全体にミディアムテンポで緩やかなグルーブ感が漂っているアルバム。最初の「I Wish You Love」では、ヤング(org)のオルガンサウンドをベースに、グリーン(g)がイントロを経て、イン・テンポでテーマのメロディを弾き始めると同時にハッチャーソン(vib)のヴァイブが被さってきますが、この冒頭の部分は楽器編成を生かしていて思わず微笑が浮かびます。その気分のまま最後のトラックまで聴きとおせ、ヤング(org)やハッチャーソン(vib)も寛いだプレイをしています。加えて、エルヴィン・ジョーンズ(ds)の細やかなプレイも光っています。

【タリーズプリペイドカードと長野アイビースクエア店】

   

   

   


セイジ・オザワ松本フェスティバル オーケストラ コンサート (8月22日 松本市 長野県松本文化会館)

2016-08-26 22:07:55 | 演奏会・ライブ

8月22日(月)に開催された、セイジ・オザワ松本フェスティヴァルのオーケストラコンサートに行ってきました。チケットはソールドアウトになっていて、フェスティヴァルの中でも、このコンサートの人気は高いようです。

   

指揮:ファビオ・ルイージ(オネゲル)
    小澤 征爾(ベートーヴェン)
演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ

オネゲル:交響曲 第3番「典礼風」 H.186
ベートーヴェン:交響曲 第7番イ長調 Op.92

(オネゲル:交響曲 第3番「典礼風」 H.186)

ファビオ・ルイージ指揮によるオネゲルの交響曲第3番「典礼風」は、素晴らしい名演だったに違いありません。参考のためにジャン・フルネ指揮オランダ放送フィルハーモニーのCDを買って聴いてみたのですが、それほど面白い曲だとは思えませんでした。しかし、当夜の演奏は、全く異なりました。弦の美しいアンサンブル、木管楽器の柔らかで羽の上を歩いているような響き、余分なためを作るといったことのないスポーティーな運びの指揮と、これぞ管弦楽といった演奏を聴くことができました。

前にもサイトウ・キネン・オーケストラは聴いたことがありますが、これほど精緻で弦のアンサンブルや音色がきれいにそろうオーケストラはそんなにはないのかもしれません。そういった意味でファビオ・ルイージの選択する曲目が、オネゲルとかマーラーといった和音やリズムが複雑な近現代の曲だというのは、高い技量をもった人の集まりであるサイトウ・キネン・オーケストラに合っている気がしました。

第2楽章は文字通り天国的な響きが聴こえ、第3楽章は、ダイナミックさも加わり、チェロの見事なソロも聴かれ、曲の良さが表れていました。ファビオ・ルイージとサイトウ・キネンの組み合わせは、是非とも来年もお願いしたいものです。仄聞するところによると、招く指揮者の選択には、かなりオーケストラの団員の意向が反映されているようで、ルイージは各奏者から高い支持を得ているようです。

(ベートーヴェン:交響曲 第7番イ長調 Op.92)

小澤征爾さんの指揮によるベートーヴェンの第7番は、第4楽章あたりは、力感にあふれ躍動していて、最終的にはなかなかよかった演奏でした。第2楽章あたりでは、テンポも遅く、緊張感がそれほど感じられず、僕自身退屈してしまった部分がありました。もともと、ベートーヴェンの第7番は、好きな曲ではないので、そんな感じ方をしたのかもしれません。

小澤さんは椅子に腰かけて指揮することが多かったのですが、重要な箇所では立ち上がって、指示を出していました。オーケストラは一体となって、小澤さんに応えようとしていたと思います。無理をあまりせずに来年も是非、松本に戻ってこの素晴らしいオーケストラを指揮していただきたいものです。