安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

レイ・ブラウン SOMETHING FOR LESTER

2010-08-29 07:32:57 | ベース・ドラムス

先週、時間がとれたので涼を求め、長野市の隣の須坂市にある米子大瀑布に行ってきました。国道406号から舗装された林道を車で上り駐車場へ。そこから約30分ほど歩くと、不動滝です。滝壺のすぐ近くまでいけ、水飛沫が体にかかりひんやりし小休憩。さらに、権現滝を対岸から見て、少し足を伸ばして奇妙滝にもより、ぐるっとあたりを一周しました。2時間ほど森林の中を歩き、いくらかリフレッシュできたような気がしました。ウォーキング・ベースも、気持ちのよいプレイヤーです。

RAY BROWN (レイ・ブラウン)
SOMETHING FOR LESTER (Contemporary 1977年録音)

 Something_for_lester

レイ・ブラウン(b)、シダー・ウォルトン(p)、ビリー・ヒギンズ(ds)というトリオでやった実演を聞いたことがありますが、はじめに出てきたサウンドに驚愕したことを覚えています。バランスがとれたサウンドがこれ以上ないくらいに美しく響きわたりました。ピアノやドラムスの音はもちろんですが、ベースが支えているのだと、レイ・ブラウンが引っ張りだこなのがよく分かった瞬間でもありました。

80年代、90年代と多数のリーダー・アルバムを録音することになるレイ・ブラウンも、この録音当時までは、その数も決して多くなく、目立ったものがなかったように思います。またこれは、コンテンポラリー・レーベルのレスター・ケーニッヒの最後のプロデュース作品にあたります。

シダー・ウォルトン(p)、レイ・ブラウン(b)、エルヴィン・ジョーンズ(ds)というメンバー。曲目は、シダー作「Ojous De Rojo」(オホス・デ・ロホ)と「Something in Common」、レイ作「Slippery」、ホレス・シルバー作「Sister Sadie」、あとはスタンダードの「Love Walked In」、「Georgia On My Mind」、「Little Girl Blue」。

ソロにしろバッキングにしろ、レイ・ブラウンの弾く旋律は実に自然に心地よく聴こえます。曲のエキゾチックな魅力とウォルトンのピアノ・ソロなら「Ojos De Rojo」、3人が一体化したプレイが聴ける「Sister Sadie」、バラードにおけるレイのプレイが素晴らしい「Little Girl Blue」などと、内容充実作です。でも、あまり話題にならないのが不思議。

【米子大瀑布】

日本の滝百選にも選ばれている、米子大瀑布は、不動滝(落差85m)と権現滝(落差75m)からなります。対岸からは二条の滝が並んで見ることができ、不動滝は滝壺近くまで行けます。少し歩くと奇妙滝もあり、こちらもすぐ近くまでいけます。

(不動滝)

Fudoudaki1_2   

(権現滝)           

 Gongendaki1_2

    

 (奇妙滝)

 Kinyoudaki1_2  


スタンリー・タレンタイン BLUE HOUR

2010-08-22 20:02:20 | テナー・サックス

今年は猛暑で雨が降らない期間が続いたため野菜の出来が悪いとじいちゃん(父です)が嘆いています。高齢な父ですが、趣味と実益を兼ねて畑を作っていて、それが生き甲斐になっているので、嘆きももっともです。今年は、まともなのはキューリくらいで、トマトやカボチャはよくありません。枝豆は、まあまあとれたので、二人で茹でたてをつまみながらビールを飲みました。スタンリー”THE MAN”タレンタインです。

STANLEY TURRENTINE (スタンリー・タレンタイン)
BLUE HOUR (BLUE NOTE 1960年録音)

 Blue_hour

スタンリー・タレンタイン(ts)のプレイは、サウンドといい、フレーズといい、とにかく黒々としています。ブルージーこの上ないのですが、ジャズ喫茶で聴いた覚えがあまりありません。作品にはオルガン入りのものも多く、かつては一般的でなかったかもしれません。サイドメンとしては、ケニー・バレル(g)の「Midnight Blue」を思い浮かべます。

これはタレンタインのワン・ホーン作品ですが、共演者はザ・スリー・サウンズで、ピアノのジーン・ハリスは、ソウルフルなプレイを身上とするだけに、相性のいい組み合わせです。タレンタイン(ts)、ハリス(p)、アンドリュー・シンプキンス(b)、ビル・ドゥディ(ds)というメンバー。

「Blue Hour」とは、朝の薄明かりの時を指し、ジャケットもそんな感じです。アイラ・ギトラーが書いたライナーには「that early morning time~」と、また「The Blues in Blue Hour」とあり、ブルーズ色の濃い内容。曲目は、「I Want a Little Girl」、「Gee Baby ain't I Good to You」、「Blue Riff」、「Since I Fell For You」(バディ・ジョンソン作)、「Willow Weep For Me」。

タレンタインはR&Bバンドの出身ではあるものの、ここでは、抑え気味で意外に端正なプレイをしています。スローテンポで、G・ハリス(p)の前奏からブルームード横溢の「I Wan't a Little Girl」、やや早いテンポのハリス作「Blue Riff」はテーマも楽しく、スリー・サウンズとの共演が成果を上げています。「Willow Weep For Me」も含めて、じっくりとタレンタインの吹くテナーの音色や節回しを堪能しました。


ペギー・キング LAZY AFTERNOON

2010-08-18 19:18:18 | ヴォーカル(L~R)

東京で会社勤めをしている娘が、高校時代の同級会があるからと、14日~15日と長野へ帰ってきました。その会社は、お盆休みがなく暦どおりの勤務なので慌ただしかったのですが、同級会で久しぶりに恩師の先生にあえたので帰ってきてよかったと喜んでいました。長野は紫外線が強いからと、帽子、日傘も用意してきましたが、あいにくというか幸いというか、だいたい雨か曇りでした。帽子が写ったジャケットです。

PEGGY KING (ペギー・キング)
LAZY AFTERNOON (IMPERIAL 1960~61年頃録音)

 Lazy_afternoon

ジャケットにみるように、たいへん美人なペギー・キングですが、コメディアンのジョージ・ゴぺル・ショーでレギュラーを務めるなどテレビ出演が多く、そこで「Pretty Perky Peggy King」とニック・ネームで呼ばれるなど親しみやすさも併せもっていたようです。

彼女には、コロンビアレーベルの2作品や80年代にも録音がありますが、国内で発売になったのは本作品だけです。このアルバムについては、ジャケットを重視し、LPで持っている方も多いのではないでしょうか。編曲は、アンリ・ルネ、ピート・キング、ジャック・マーシャルで、弦入りオーケストラにより伴奏がつけられています。

曲目は、A面1曲目が「Rain」、B面1曲目が「Love and The Weather」(I・バーリン作)と天候に関する歌が2つあるのが目をひきます。あとは「You'll Never Know」、「Lazy Afternoon」、「Sure Thing」、「I Remember You」、「Imagination」、「Love Walked In」、「Hi-lili, Hi-Lo」、「Nobody Else But Me」などで全12曲。

少しハスキーな声で、ささやくように、語りかけるように歌い、声を張り上げるところは少なく奥床しい感じを受けます。「Rain」と「Love and The Weather」はややスインギー、他はしっとりしたバラード扱い。「You'll Never Know」、「Lazy Afternoon」そして、好きな曲「Imagination」と聴き入り麗しい時間を過ごしました。贅沢を言えば、ジャジーなものをもう少し聴きたかった。

ホームページに、ぺギー・キングを掲載しました。時間があればご覧ください。モダンジャズやヴォーカルを聴こう ペギー・キング


ジョニー・スミス MOODS

2010-08-14 10:17:30 | ギター

長野市内はまだまだ暑い日が続き、毎日シャワーを浴びています。湯船にお湯をためてゆっくり入ろうという気にはなかなかなれませんが、風に吹かれてならいいだろうと、早い時間に露天風呂があるスーパー銭湯「ぶらっと」に行ってきました。650円と入場料がやや高いのですが、のんびりと楽しみ、休憩室でうとうとしてきました。湯あがりの後は、ゆったりとジョニー・スミス(ギター)を聴きました。

JOHNNY SMITH (ジョニー・スミス)
MOODS (ROOST 1953~55年録音)

 Moodsjohnnysmith

ジョニー・スミスの作品については、スタン・ゲッツ(ts)が加わった「ヴァーモントの月」(ROOST)が知られている程度でしたが、ここ数年の間に、寺島靖国さんの監修で本作品が出され、また、ヴァーヴ・レーベルのものも復刻され、一般的になってきたのではないでしょうか。僕も東芝EMIから出された本CDを買いました。

寺島さん(ジャズ喫茶メグ店主)が日本語ライナーを書いていますが、メンバーや録音日の記載がないので、データについては自分で調べざるを得ませんでした。データの記載はほしいところですが、寺島さんが、これを入手しやすくした功績は大なので、そう大きな不満はありません。本作は収録曲に特徴があります。

ベンチャーズでおなじみの「Walk, Don't Run」(ウォーク・ドント・ラン)は、ジョニー・スミスの作曲で、ここでは自作自演です。エロール・ガーナー作のマイナー調の「Blues For Birdland」は珍しい。その他、「What's New」、「I'll Remember April」(四月の思い出)、「Sophisticated Lady」、「Autumn In New York」(ニューヨークの秋)、「Lover Man」、「Dancing On The Ceiling」など全12曲。

スミスは、よくスイングしていますが、ブルージーさはそれほど感じられません。しかし、美しく響く和音を用いて進行し、非常に繊細な表現をしています。注目は、「Walk Don't Run」と「Blues For Birdland」ですが、彼のソフトな特徴がよく出ているスローな「What's New」や「Sophisticated Lady」など、夏の暑い盛りに爽やかさも感じとることができました。

【ベンチャーズの急がば廻れ(日本盤EP)】

 Walkdontrunep

ベンチャーズの「Walk Don't Run」は、1960年8月29日付ビルボードチャートで2位に達するヒットを記録しました。日本盤シングルは、その4年後に出ていますが、解説には、「急がば廻れ」の作者ジョニー・スミスは、アラバマ出身のモダン・ジャズ・ギタリストで、他に「My Dear Little Sweetheart」の名作を書いている人です、とスミスが紹介されています。彼の名前が出てきてよかった。


ジェリー・マリガン NIGHT LIGHTS

2010-08-08 17:54:36 | その他木管楽器

今年は、ショパン生誕200年の記念の年なので、関連のコンサート、CDの発売、書籍の発刊などが相次いでいます。一昨日のNHK教育テレビ芸術劇場でも、エル・バシャ、アンナ・ケフェレック、小山実稚恵がショパンのピアノ曲を弾いたコンサートの模様(録画)が放映されました。小山さんの演奏は、実演を是非聴いてみたいものでした。ジェリー・マリガンが、ショパンの前奏曲を編曲して演奏しています。

GERRY MULLIGAN (ジェリー・マリガン)
NIGHT LIGHTS (PHILIPS 1963年録音)

 Nightlightsgerrymulligan

ショパンの曲は、編曲されてポピュラー・ソングにもなっています。例えば、「幻想即興曲」が「虹を追って」(I'm Always Chasing Rainbows)に、「ポロネーズ第6番「英雄」」が「時の終わりまで」(Till The End of Time)になっています。マリガンも前奏曲(プレリュード)第4番ホ短調に魅せられたのでしょう。これを編曲して演奏をしています。

ジェリー・マリガンは、バリトン・サックスをソフトに吹くことのできる稀有なミュージシャンですが、作編曲能力にも優れています。本作品は、彼の作曲になるものが3曲、他の3曲もマリガンの編曲です。基本的にピアノ抜きの柔かいアンサンブルで、寛いで聴けるものです。

メンバーは、マリガン(bs,p)、アート・ファーマー(tp)、ボブ・ブルックマイヤー(vtb)、ジム・ホール(g)、ビル・クロウ(g)、デイヴ・ベイリー(ds)。曲は、「Night Lights」、「Morning of The Carnival」(カーニヴァルの朝)、「In The Wee Small Hours」、「Prelude in E Minor」(プレリュードホ短調)、「Festival Minor」、「Tell Me When 」の6曲。(CDは1曲追加)

静かな夜更けに最適な作品で、「Morning of The Carnival」、「In The Wee Small Hours」と旋律がソフトに奏されます。「Prelude in E Minor」は、まずマリガンが付点2分音符と4分音符による動機を再現します。途中半音(フラット)を使う進行になるので、彼はこれに興味をひかれたのかもしれません。続いて、ブルックマイヤー、ファーマー、マリガンの順でソロをとりますが、曲のムードをとらえ、憂愁とか哀惜といった感情が出ているかのようです。リズムはボサノヴァ。

【ペルルミュテールコンサートホールレコーディング集】
ヴラド・ペルルミュテールによる演奏。ラヴェルの直弟子として有名ですが、ショパンも得意としていました。ショパンのワルツ、前奏曲などを収録してあり、楽譜をみながら前奏曲第4番ホ短調も聴きました。コンサートホール原盤のCD2枚組。

 Theconcerthallrecordingsperlemuter1