安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ビル・エヴァンス AT THE MONTREUX JAZZ FESTIVAL

2010-06-27 18:40:51 | ピアノ

昨日は、長野市から所用があった千曲市を経由して安曇野市の自宅へ車で行きました。高速道を使うことが多いのですが、今回は山道主体の一般道です。途中、麻績村(長野県東筑摩郡)の聖高原を通ったので聖湖のほとりで一休みしました。天候はいま一つでしたが、聖湖周辺に漂う清涼な空気が気持ちよく、いい気分転換になりました。湖のジャケットといえば、この名作です。

BILL EVANS (ビル・エヴァンス)
BILL EVANS At The Montreux Jazz Festival (Verve 1968年録音)

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最近、いわゆる名盤を聴き直しています。スイング・ジャーナル誌の休刊は、誌面が面白くないというのがその最大の理由でしょうが、ジャズ自体の訴求力が低下してきている証左の一つかもしれません。でもジャズは面白いものだと、名盤でジャズの良さを再確認したいと聴いています。

本作は史上に名高いものですが、自分のホームページのビル・エヴァンスのページには掲げてありません。理由は、エディ・ゴメス(b)と僕の相性がよくなくて、しかも本作には彼の出番が多いからです。かきむしるようなベース奏法とフヤケ気味の音には、未だ馴れることができません。

エヴァンス(p)、エディ・ゴメス(b)、ジャック・デジョネット(ds)がメンバー。曲目は、スタンダードの「A Sleeping Bee」、「I Love You Porgy」、「The Touch of Your Lips」、「Embraceble You」、「Someday My Prince Will Come」に、エヴァンス作「One For Helen」、「Walkin' Up」、マイルス作「Nardis」、アール・ジンダース作「Mother of Earl」の全9曲。

フレッシュで、みずみずしいピアノの響きに魅了されます。両手をふるに使っているので、左手の動きに耳をそばだてました。そういう面では、ピアノが主体の「I Love You Porgy」、「The Touch of Your Lips」あたりが。トリオがドライブする「One For Helen」、「Someday My Prince will Come」は、切れ味がよく滑らかなピアノがスリリング。特に「Someday My Prince Will Come」における右手下降フレーズの躍動感には興奮を覚えます。

【聖湖】
聖山の裾に水がたまってできた自然湖。面積、81,500㎡、周囲1,532m、鯉、鮒、わかさぎなどがいるので釣りができます。周囲にはキャンプ場やレストランがあり、昔は、天然のスケート・リンクが設けられて僕も何度か滑ったことがあります。きのうは雨模様の天気でもあり、静かなたたずまいでした。

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モーリン・オハラ LOVE LETTERS FROM MAUREEN O'HARA

2010-06-23 22:07:21 | ヴォーカル(L~R)

最近、近所のツタヤのレンタルDVDの棚から西部劇の分類表示が消えました。「シェーン」などが日本でもテレビ放映され、見る機会もありましたが、人気が無いのでしょうか。どこにあるかと探したところ、アクションの棚の中に他のものと一緒にありましたが、西部劇のDVDもたまに借りて見ていたので、少し寂しい気持ちになりました。女優モーリン・オハラの歌を聴いてみます。

MAUREEN O'HARA (モーリン・オハラ)
LOVE LETTERS FROM MAUREEN O'HARA (RCA 1958年録音)

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西部劇は、時代背景やストーリーから、登場人物には男性が多いのですが、そんな中にも印象に残る女優さんはいて、ジョン・フォード監督の作品に多く出演している、モーリン・オハラもその一人です。彼女は、アイルランド出身で、とりわけ赤い髪の毛がスクリーンに映えるので、「テクニカラーの女王」と呼ばれました。

出演作には「わが谷は緑なりき」、「リオ・グランデの砦」、「静かなる男」やヘイリー・ミルズと共演した「罠にかかったパパとママ」があり、90年代まで現役でした。歌もまたよくして、映画の中でも歌っていますし、スタンダードを収録した、このアルバムを残してくれています。

編曲はボブ・トンプソンで、弦も用いた伴奏をつけています。曲目は、「My Romance」、「You'd Be So Nice To Come Home To」、「The Nearness of You」、「I Only Have Eyes For You」、「Whispering」、「Love Letters」、「My Shining Hour」、「My Love is Forever」など12曲。「My Love is Forever」は、スタンダードとは言えませんが、メロディが美しいです。

彼女の声は、柔らかくて美しく、歌唱は折り目正しいところがあります。弦を利かせた伴奏による「My Romance」や比較的ゆったりとした「The Nearness of You」は気分が出ています。ジャジーな「You'd Be So Nice To Come Home To」、旋律を丁寧にたどる「Love Letters」、「My Love Is Forever」と、素敵なヴォーカルが続きます。

【モーリン・オハラの出演作「罠にかかったパパとママ」主題歌の日本盤EP】

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    罠にかかったパパとママ主題歌、ヘイリー・ミルズの歌。  

【ドロレス・グレイが歌う「シェーン」日本盤EP】

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  シェーン(詞は映画公開後つけられたもの)、ドロレス・グレイが歌っています。

ホームページのヴォーカルにモーリン・オハラを掲載しました。時間があればご覧ください。モダンジャズやヴォーカルを聴こう モーリン・オハラ            


テリー・ギブス TAKE IT FROM ME

2010-06-20 10:12:36 | ヴァイブ、オルガン他

5月の連休の初めに転倒して前歯を1本折ってしまい、歯医者へ通っています。連休中は、すごく痛くてどうにもならず憂鬱な日を過ごしていました。なくなってみると、自分の歯のありがたさがよくわかります。先週、型をとったので人工の歯がもうじき入りますが、年齢、体力を考えて行動は慎重にしなければならないと反省しきりです。哀愁メロディーを静かに聴きました。

TERRY GIBBS (テリー・ギブス)
TAKE IT FROM ME (impulse 1964年録音)

 Takeitfromme

テリー・ギブス(ヴァイブ)は、多数のアルバムを出していますが、日本では知ってはいるけれどあまり聴いたことがない、という範疇に入るミュージシャンのような気がします。ウディー・ハーマン楽団で名をあげて、その後も大編成でプレイした作品が多いということもその一因でしょう。

ギブスのアルバムでは、スタンダード曲が取り上げられることが多いですが、自作曲を録音することもあり、中には哀愁メロディーが聴けるものがあります。本作収録の「Oge」(オジ)がそれで、ヴァイブの音色とあわさり味わい深く、今回も繰り返して聴きました。

メンバーは、ギブス(vib)、ケニー・バレル(g)、サム・ジョーンズ(b)、ルイス・ヘイズ(ds)です。カルテット編成で、ジョージ・シアリングのバンドとは異なりピアノが入りませんが、その分、K・バレルがソロやバッキングに活躍しています。

曲目は、ギブスのオリジナルが5曲で「Take It From Me」、「El Fatso」、「Oge」、「Gee, Dad, It's a Deagan」などに「All The Things You Are」、「Honeysuckle Rose」など全8曲。このアルバムは「Oge」がお目当てですが、急速調で興奮ものの「Gee, Dad, It's a Deagan」や、ギターがメロディを奏でヴァイブが装飾に回る「All The Things You Are」など一気に聴き通しました。


フラン・ウォーレン HEY THERE

2010-06-13 19:42:42 | ヴォーカル(E~K)

一昨日、宮崎市在住の友人が出張で長野市にきたので、飲み会をしました。かつて、東京で同僚として仕事をしたのですが、彼は転職して今は大学の先生になっています。会うのは10年ぶりで、近況や地方の政治経済、最近の大学のことなど話が弾みました。信州に来たので、根曲がり竹の料理や戸隠そばを食べてもらいました。「根曲がり竹」は、しなやかでみずみずしく、美味でした。今日は、そんなイメージのアルバムを聴きました

FRAN WARREN (フラン・ウォーレン)
HEY THERE HERE'S FRAN WARREN (TOPS 1957年頃録音)

 Heythere    Comerainorcomeshine  

先週のブログでマイルス・デイビスの作品を取り上げましたが、彼と共同で音楽作りを行ったギル・エバンスが編曲者をしていたのがクロード・ソーンヒル楽団です。そこの歌姫だったフラン・ウォーレンの作品「Hey There」を聴きました。再発の際に「COME RAIN OR COME SHINE」のタイトルで別ジャケットとして出ており、ジャケ違いの例としてたびたび話題に上る作品です。

フランはソーンヒル楽団在団時に「A Sunday Kind of Love」でヒットを放っています。最近CDでようやく彼女のオリジナルを聴くことができました。以前からこの曲は、べヴ・ケリーの歌(THE PAT MORAN QUARTETに収録)で馴染んでいましたが、本家が聴けて喜んでいます。

編曲はマーティー・ぺイチ。曲目は、ジャジー系が「I Can't Believe That You're In Love With Me」、「I Can't Get Started With You」、「Exactly Like You」、「Come Rain Or Come Shine」、弦なども使ったバラード系が「Hey There」、「Imagination」、「Don't Blame Me」、「Lucky New People in Love」、「I'm in The Mood For Love」、「You Don't Know What Love is」、「Bewitched」など全12曲。

フランについては、「品の良い令嬢タイプの歌」だと別の作品の日本盤帯に書かれたこともありますが、上品さに加えて、ダイナミックさや軽快な乗りも備えています。そんな特徴は「I Can't Get Started With You」や「Exactly Like You」にもみられますが、本領発揮はバラードで「Bewitched」を筆頭に「Lucky New People in Love」などなかなか訴えてきます。

ホームページのヴォーカルにフラン・ウォーレンを掲載しました。時間があればご覧ください。モダンジャズやヴォーカルを聴こう フラン・ウォーレン

【根曲がり竹と蕎麦】

山菜のネマガリダケは今が旬です。長野市近辺では味噌汁に缶詰の鯖を一緒にいれます。

①ごとく亭(長野市権堂町2223-1、℡026-235-5300)の料理

Nemagariyakimonogotokutei_2    Nemagarimisosirugotokutei

         ネマガリダケの焼き物              ネマガリダケの味噌汁

②ぼっち(長野市南石堂1326、℡026-223-5630)のそば

  Bocchimorisoba

戸隠そばの特徴のひとつが「ボッチ盛り」です。ぼっち盛りとは、そばの水を十分に切らずに小分けにまとめ、馬蹄形に盛り分けた盛り方で、もともとは神に奉納する時の盛り方だったそうです。


マイルス・デイビス  AT THE BLACKHAWK, SAN FRANCISCO

2010-06-09 23:14:00 | トランペット・トロンボーン

「男の隠れ家増刊 音楽の空間」(2010年6月号)という雑誌を衝動買いしました。個人のリスニングルームやジャズ喫茶、名曲喫茶などの写真とインタヴュー記事が載っています。本書の中で、中平穂積さん(写真家、DUG店主)が、「ジャズってその場の臨場感、お客さんの雰囲気込の音楽だと思いますね。だから家で聴く場合はライブ盤がほとんど。」と言っているのが目を惹きました。有名なライブ盤です。

MILES DAVIS (マイルス・デイビス)
FRIDAY AND SATURDAY NIGHTS AT THE BLACKHAWK, SAN FRANCISCO (COLUMBIA 1961年4月録音) 

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マイルス・デイビス(tp)のライブというと反射的に1964年の「FOUR & MORE」を思い浮かべますが、大ホールではなくて、ジャズ・クラブならではの親密な感じが漂う気がするこのアルバムも忘れられません。ブラックホークは、マイルスが気に入っていたクラブのようです。持っているのは2枚組の再発盤LPなので、2夜分を聴きました。

いまさらですが、メンバーは、マイルス・デイビス(tp)、ハンク・モブレー(ts)、ウィントン・ケリー(p)、ポール・チェンバース(b)、ジミー・コブ(ds)というおなじみの面々。モブレーの参加が注目されるところで、コルトレーンとは異なった伸びやかでいくらか明るめの演奏がジャズ・クラブに似合っているのではないでしょうか。

曲目ですが、金曜が「Walkin'」、「Bye Bye Blackbird」、「All of You」、「No Blues」など。土曜が「Well You Needn't」、「Fran Dance」、「So What」、「Oleo」、「If I Were A Bell」、「Neo」といったところで、バップ、歌ものナンバーにアルバム「Kind of Blue」からの曲(「So What」)も加えています。

マイルスのプレイは、アグレッシブな面も出していて、激しさが垣間見られます。モブレーとケリーは、マイペースという乗りもみられて、マイルスとの対比が面白いです。すべてよいですが、「So What」、「Oleo」、「If I Were A Bell」、「Neo」と続く土曜日の方を一段と気に入っています。ケリーの絡みには陶然として耳を傾けてしまいました。また、「So What」をスタジオ録音と比較するのも一興。

【男の隠れ家増刊 音楽の空間】

増刊号を買ったので、日曜毎に更新しているこのブログも増刊してみました・・・。

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掲載されている喫茶店:
ジニアス、ジャズオリンパス、JBS、キャンディ、レジーナ、ジャミン、ブルーライツ、ヴィオロン、アマンダ、柳月堂