安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

クラーク・テリー SERENADE TO A BUS SEAT

2012-02-29 22:11:34 | トランペット・トロンボーン

少し前ですが、黒部ダムの麓の長野県大町市に住んでいる友人のところに遊びに行ってきました。約束の時間より大部早く着いたので、町を散歩していると、自家焙煎の珈琲店「UNITE COFFEE」というお店があったので、入ってみました。珈琲と一緒に頼んだチーズ・ケーキが美味しかったのですが、ふと傍らを見ると看板娘ならぬ看板犬がいて驚きました。元エリントン楽団の看板トランペッターを聴いてみます。

CLARK TERRY (クラーク・テリー)
SERENADE TO A BUS SEAT (RIVERSIDE 1957年録音)

 Srenadetoabusseat2012

クラーク・テリー(tp)は、カウント・ベイシー楽団やデューク・エリントン楽団などビッグ・バンドへの在籍が長く、バンドの一員という印象が強くて、はじめは関心を持ちませんでした。しかし、リヴァーサイド・レーベルへ録音したリーダー作を聴いて以来、熟成されたようなまろやかな音色や明るいフレージングに、「和み系ペット」と勝手に名付けて、たまに聴いていました。

メンバーは、クラーク・テリー(tp)、ジョニー・グリフィン(ts)、ウィントン・ケリー(p)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)。リーダー以外は、バリバリのハード・バッパーが参加しています。曲は、パーカーの「Donna Lee」、H・カーマイケルの「Stardust」(スター・ダスト)、H・アーレンの「That Old Black Magic」、テリーの自作が5曲で、「Boardwalk」、「Boomerang」、「Digits」、「Serenade to A Bus Seat」、「Cruising」で全8曲。

「Serenade To A Bus Seat」というタイトルの意味ですが、ここでいうバスはエリントン楽団の移動用バスを指し、セレナーデは、本来、恋人や女性を称える曲ですが、デューク・エリントンを称える意味が入っているのだろうと想像しています。演奏を聴くと、セレナーデとは全く異なりハードな曲なので、そのギャップにユーモアが感じられます。

楽しく、充実した演奏が聴け、ことにジョニー・グリフィン(ts)、ウィントン・ケリー(p)は、まさに全盛期という感じのプレイぶり。最初の「Donna Lee」では、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)に煽られ全員一丸となったプレイが続き、次の「Boardwalk」は、テリー(tp)、グリフィン、ケリーともに黒っぽいソロをとりブルージー。「Stardust」では、テリーが美しい音色でメロディーをストレートに奏で、グリフィンが細かいフレーズを吹いて、両者の対比が効果を上げています。

【ユナイトコーヒー】
 住所:長野県大町市大町4098-4
 電話:0261-85-0180
 定休:毎週金曜・第3木曜

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           ユナイトコーヒー外観                      

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                 店 内  

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                 看板犬

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            大町市郊外から北アルプス方面の眺望     


チャーリー・ラウズ MOMENT'S NOTICE

2012-02-26 08:04:20 | テナー・サックス

そろそろ長野県でも杉の花粉が飛散しそうなので、花粉症に備えて、きのう長野市内の耳鼻咽喉科医院に行き、薬をもらってきました。今年の飛散量は、例年より少ないという予報ですが、それでも症状が出る可能性があります。例年、そんなにひどくはなりませんが、薬を飲むことが多いです。帰宅後は、花粉症も吹き飛ばしそうな勢いのハード・バップを聴きました。

CHARLIE ROUSE (チャーリー・ラウズ)
MOMENT'S NOTICE (STORYVILLE 1977年録音)

 Momentsnoticecharlierouse

チャーリー・ラウズ(ts)は、セロニアス・モンク・グループに在団した期間が長く、そこでの活動も知られていますが、それとは別に、ラウズ自身がリーダーとなって作ったアルバムには、ハードバップの穴場的な秀作があります。初期の「Takin' Care Of Business」(Jazzland)や「Yeah!」(Epic)、そして本盤などがそれに当たり、それぞれ活きのいい演奏が聴けます。

メンバーは、チャーリー・ラウズ(ts)、ヒュー・ローソン(p)、ボブ・クランショー(b)、ベン・ライリー(ds)。モード的な演奏をするローソン(p)がメンバーに入っているのが意外だったのですが、曲の提供やソロなどとたいへんな活躍をしていて、アルバムの出来にかなりな貢献をしています。

曲は、ヒュー・ローソンの「The Clucker」、「Joobobie」、ラウズの「Let Me」、「Little Sherri」、モンクの「Well You Needn't」、シャーリー・スコットの「Royal Love」そしてサド・ジョーンズの名曲「A Child is Born」の7曲がオリジナル盤収録で、CDは別テイクが4曲収録されていて11曲です。CDで聴いていますが、別テイク入りだと長すぎて、僕は7曲で充分です。

「The Clucker」は、ラウズ(ts)の吹く、いきなり始まる躍動的なテーマ、熱いアドリブがかっこよく、モードがかったローソン(p)のソロも素晴らしい。この1曲だけでアルバムを買っても損はしないのではないでしょうか。「Well You Needn't 」は、テンポが早く、ローソンのソロも饒舌、「Little Sherri」は、ブルーズらしい雰囲気が漂い、バックのベース、ドラムスともに気持ちよくスイングしています。

ホームページのジャズにチャーリー・ラウズ(Charlie Rouse テナー・サックス)を掲載しました。時間があればご覧ください。モダンジャズやヴォーカルを聴こう チャーリー・ラウズ


カーメン・マクレエ LIVE AT SHUGAR HILL

2012-02-19 18:04:16 | ヴォーカル(A~D)

先週の木曜日に長野県南部の伊那市に出張しました。お楽しみの昼食は、中央自動車道伊那インター近くの「青い塔」に行き、ソースカツ丼をいただきましたが、厚切りのロースカツに特製のソースがからみ、サクサクした食感と甘辛い味が調和して、大変美味しく、満足しました。お店は満席状態で、駐車場には県外ナンバーの車も目に付いたので、広い範囲にファンがいるようです。このあたりのソースカツ丼は、B級ご当地グルメの一つとも言われます。ご当地ソングの収録されたアルバム。

CARMEN McRAE (カーメン・マクレエ)
LIVE AT SHUGAR HILL (MAINSTREAM 1963年録音)

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ポピュラー曲の中にご当地ソングは沢山ありますが、誰もがすぐに思いつくのは、「I Left My Heart In San Francisco」(思い出のサンフランシスコ)ではないでしょうか。1954年に、ダグラス・クロス作詞、ジョージ・コーリー作曲により作られましたが、62年にトニー・ベネットが歌い大ヒットし、69年にはサンフランシスコ市歌になりました。

歌詞の大意は、「私は自分の心をサンフランシスコに忘れてきた。小高い丘から私の心が、帰っておいでと呼びかけている」というもので、望郷の歌です。カーメン・マクレエは、コンボ伴奏によるライブ盤をいくつも作っていますが、このアルバムもその一つで、サンフランシスコのクラブ「シュガー・ヒル」における録音。当地にちなんだ「思い出のサンフランスシスコ」も歌っています。

伴奏は、ノーマン・シモンズ(p)、ヴィクター・スプロールス(b)、スチュアート・マーティン(ds)。曲は、「Sunday」、「What Kind of Fool Am I?」、「A Foggy Day」、「I Left My Heart In San Francisco」、「I Didn't Know What Time It Was」、「Let There Be Love」、「This is All I Ask」、「Thou Swell」、「It Never Entered My MInd」、「Make Someone Happy」の10曲。ライブなので、知られている歌が多いです。

カーメン・マクレエは、スキャットを交えたり、フェイクしていて、それぞれの曲を彼女の個性で聴かせてくれます。ノーマン・シモンズのピアノを中心としたトリオは、ジャジーさを際立てる伴奏をつけています。「What Kind of Fool Am I?」、「This is All I Ask」、「It Never Entered My Mind」といったバラードがことに気に入っていますが、「I Left My Heart In San Francisco」も、嬉しいことにヴァースから歌っていて、この曲の気分をよく表しています。

【青い塔】
ソースかつ丼で有名なお店ですが、メニューにはカレーなどもあります。
住所:伊那市西箕輪大萱7010-1
電話:0265-72-5777
お店のHP:青い塔ホームページ

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エミリー・レムラー EAST TO WES

2012-02-15 22:48:54 | ギター

長野市内のホテルで、食品製造業や流通業、ホテル・飲食業などの企業・団体が集まった勉強会が開催されたので、出席してきました。商品開発の事例発表があったのですが、発表されたグループのリーダーは女性で、商品の「川中島白桃とラ・フランスのジュレ」を参加者に配っていただきました。たいへん美味で、特産品開発の優れた試みに拍手を送りました。女性のギター奏者。

EMILY REMLER (エミリー・レムラー)
EAST TO WES (Concord 1988年録音)

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ギターについては、ケニー・バレルやウェス・モンゴメリーなどブルージーで柔軟性が感じられる音色や演奏が好きで、金属的な音色や尖ったプレイは苦手です。エミリー・レムラー(ギター)のウェス・モンゴメリーから影響を受けたというプレイは、そんなに違和感がなく聴いていたので、1990年に32歳という若さで亡くなってしまったのは、本当に残念なことでした。

メンバーは、エミリー・レムラー(g)、ハンク・ジョーンズ(p)、バスター・ウィリアムス(b)、マーヴィン・スミッティ・スミス(ds)。マーヴィン・スミッティ・スミスの繊細で軽快なドラミングは、さすがに引く手数多というだけのことはあります。ハンク・ジョーンズもソロをとっていますが、残念ながらあまり面白くありません。

曲は、ジャズ・ミュージシャンのオリジナルと自作が主で、クリフォード・ブラウン作「Daahoud」、クロード・ソーンヒル作「Snowfall」、タッド・ダメロン作「Hot House」、ブロッサム・ディアリー作「Sweet Georgie Fame」、スタンダードの「Softly As In A Mornig Sunrise」(朝日のようにさわやかに)、彼女の自作が3曲で「Ballad For A Music Box」、「Blues for Herb」、「East To Wes」と全8曲。

レムラー(g)のグルーヴィーなプレイが聴けるハーブ・エリス(g)に捧げた「Blues For Herb」と、出だしからウェス・モンゴメリーのプレイを髣髴とさせる「East to Wes」が、彼女のソロもよく歌っていて、なんといっても聴きもの。「Hot House」は急速調で、彼女の早弾きにテクニックの確かさがでていますし、「Sweet Georgie Fame」では、優しく丁寧に弾いて美しい曲想を浮かび上がらせています。

【川中島白桃ジュレ】

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長野市にある信州・川中島平ファクトリーが、川中島産の桃を使って製造・販売しています。川中島は、「川中島白桃」の発祥の地であり現在も原木が存在します。ジュレの他、ジャムも製造しています。関心のある方は、HPをご覧ください:川中島平ファクトリーホームページ


デューク・ジョーダン FLIGHT TO DENMARK

2012-02-12 09:14:40 | ピアノ

先日、安曇野市有明にある大熊美術館にはじめて行きました。ロイヤル・コペンハーゲン(デンマーク)の陶磁器を展示してある魅力的な美術館です。鑑賞後は、「安曇野文庫」と名付けられた併設の喫茶店で、ひと時を過ごしました。リヒャルト・シュトラウスの「4つの最後の歌」が、小音量でさりげなく流れており、再生には、マッキントッシュやタンノイなどの機器が用いられいて、高品質な音でした。棚には、ジャズのCDもあって、読書、音楽、美味しい珈琲を楽しむことのできる居心地のよい喫茶店です。デンマーク録音のアルバム。

DUKE JORDAN (デューク・ジョーダン)
FLIGHT TO DENMARK (Steeple Chase 1973年録音)

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安曇野市の家から車で20分ほどですが、こちらの美術館と喫茶店は今まで知りませんでした。あたりには雪が残り、ちょうどデンマークの冬の景色を想像させるようでした。雪、デンマーク、ジャズとくれば、浮かんでくるのはデューク・ジョーダンのピアノ・トリオ作品「Flight To Denmark」しかありません。

デンマークのSteeple Chaseレーベルは、コペンハーゲンで米国のミュージシャンを多数録音していますが、その中でも、これは親しまれているアルバムです。学生時代に、ジャズ喫茶でたまにリクエストしていましたが、メロディアスでセンチメンタルな音楽は、当時の僕の気持によくフィットしていました。

メンバーは、デューク・ジョーダン(p)、マッズ・ビンディング(b)、エド・シグペン(ds)。ビンディングは、デンマーク出身で、同国からは他にもベースの名手が出ています。曲は、「No Problem」(危険な関係のブルース)、「Here's That Rainy Day」、「Everything Happens To Me」、「Glad I Met Pat」、「How Deep is The Ocean」(愛は海よりも)、「Green Dolphin Street」、「If I Did-Would You?」、「Flight To Denmark」の8曲で、ジョーダン作曲のものが「No Problem」など4曲です。

静かにじっくりとジョーダンが紡ぎだすメロディに耳を傾けたい作品。ミディアム乃至はスロー・テンポで、琴線に触れる演奏が続きます。ことにレコードでいうとA面の「No Problem」(危険な関係のブルース)、「Here's That Rainy Day」、「Everything Happens To Me」そして「Glad I Met Pat」と続く4曲は、一つの組曲といっていいようなまとまりがあります。冬のいまの時季にぴったりの一枚。

【大熊美術館と安曇野文庫】

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       左が大熊美術館、右が喫茶店の安曇野文庫

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      美術館の展示品。クリスマス・プレートが揃っています。

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         コバルト・ブルーの色が鮮やかです。

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               安曇野文庫室内

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   オーディオ装置。スピーカーは、タンノイ・カンタベリーとAR3。

   住所:長野県安曇野市穂高有明7403-10
     営業:午前9時~午後5時
   定休:毎週火曜日・水曜日
   電話:0263-83-6993
     HP:大熊美術館ホームページ

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