安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

クリフォード・ジョーダン IN THE WORLD

2013-05-29 21:15:00 | テナー・サックス

先週の日曜日に、長野県下伊那郡喬木村のクリンソウ祭りに行ってきました。地元のクリンソウ愛好会の方が園内を案内してくれました。この一体(九十九谷という地名です。)は、昭和20年代頃は荒廃した山地で、治山事業を行うなどの長い努力により緑の多い美しい山に生まれ変わったということです。当時の写真を見せながらそのようなお話をしてくれて、感動をしました。クリンソウは、7万本もあるそうで、幾重にも重なり色彩豊かに咲いていました。クリムトの絵を連想した作品。

CLIFFORD JORDAN (クリフォード・ジョーダン)
CLIFFORD JORDAN IN THE WORLD (STRATA-EAST 1969年録音)

  Cliffordjordanintheworld

クリフォード・ジョーダン(ts)は、ブルーノートやリヴァーサイド、スティープルチェイスなどに多数のリーダー作があり、幅広く聴かれていると思います。その中で、LP時代には、再発がなくて、なかなか聴くことができなかったのが本作品です。2006年に日本のP-VINEレコードからCDで再発され、手軽に聴けるようになったのは朗報でした。いわゆる「幻の名盤」の一枚といっていいものです。

2つのグループが、ジョーダンのオリジナルを2曲づつ演奏しています。一つめのグループのメンバーは、クリフォード・ジョーダン(ts)、ジュリアン・プリースター(tb)、ドン・チェリー(tp)、ウィントン・ケリー(p)、ウイルバー・ウェア(b)、リチャード・デイヴィス(b)、アルバート・ヒース(ds)。2ベースのこのグループで演奏するのは、「Vienna」と「Doug's Prelude」。

二つめのグループは、ドン・チェリーの代わりにケニー・ドーハム(tp)、アルバート・ヒースの代わりに、エド・ブラックウェル(ds)とロイ・ヘインズ(ds)が加わり、ウィルバー・ウェア(b)が抜けて、他のメンバーは同じです。2ドラムスのこちらのグループでは、「Ouagoudougou」と「872」が演奏されます。

「Vienna」の憂愁を強く帯びたメロディーを聴いていると、タイトルのせいもあり「世紀末ウィーン」という言葉を連想し、欄塾した文化芸術が花を咲かせた時代と、画家のクリムトや作曲家のシェーンベルクらの名に思いを馳せます。「Vienna」のメロディーに被せるように、ドン・チェリー(tp)はフリーキーなフレーズを吹いていきますが、外れているようでいて、調和もあって、聴き終わるとカタルシスを得ます。「Ouagoudougou」をはじめ他の曲でも、ジョーダン(ts)の熱いプレイや各人のソロが楽しめます。

【クリンソウ祭り】

長野県下伊那郡喬木村のご紹介  喬木村ホームページ

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    クリンソウは水があるところに育つので地面には沢からの水が流れています。

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      園内は木道が整備されていて歩きやすいです。

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    祭りの期間中(花の咲いている間)は売店も設けられます。


宮之上貴昭 I REMEMBER WES

2013-05-26 21:10:47 | ギター

一昨日の24日(金)に、長野県飯田市のライブハウス「canvas」であった、宮之上貴昭(g)のライブを聴きに行ってきました。22日間のツァーの初日ということで、ここをスタートに名古屋から関西、九州と回るようです。宮之上貴昭(g)、清水昭好(b)のデュオにゲストとして、滝沢まさ子(vo)が加わるというメンバーで、スタンダードを主体に楽しいステージでした。会場で購入したCDを聴いてみます。

YOSHIAKI MIYANOUE (宮之上貴昭)
I REMEMBER WES (YMP 2010年録音)

  Irememberwesyoshiakimiyanoue

滝沢まさこ(vo)さんの歌は、「You'd Be So Nice to Come Home to」、「So Nice」、「I Can't Get Started 」、「カーニヴァルの朝」、「シェルブールの雨傘」、「ルート66」(宮之上さんとのデュエット)など。ギターとベースだけの演奏は、「April in Paris」(パリの4月)、「Summertime」、「中央フリーウェイ」(松任谷由美作曲)などでした。宮之上さんは、歌にはオーソドックスな伴奏をつけていましたが、インストだと、特徴のある和音や音の強弱、アクセントを用いて迫力のある演奏をしていました。

CDの方のメンバーは、宮之上貴昭(g)、井上祐一(p)、清水昭好(b)、公手徹太郎(ds)。宮之上は、ピックを使いませんし、オクターブ奏法や和音、音色などにウェス・モンゴメリー(g)の影響が色濃いギタリストです。フレーズや響きにもちろん個性はありますが、ハードバップファンには嬉しいミュージシャンです。一昨日のライブで好演していた清水昭好のプレイも注目されます。

タイトルどおりウェスにちなんだ曲が収録されています。ウェス・モンゴメリー作曲の「Doujie」、「Sun Down」、「So Do It!」、「Twisted Blues」、「Far Wes」、「Jingles」、バディ・モンゴメリー作曲「Bock To Bock」、ウェスの曲を宮之上が作り替えた「6 On 4」、唯一のスタンダードは、ウェスのアルバム「Full House」に収録されていた「I've Grown Accustomed To Her Face」(あなたの顔に慣れてきた)で、全9曲。

解説は、宮之上さん本人が書いています。「Twisted Blues」は、演奏するのに大変な難曲だとのことですが、ブルージーです。「6 On 4」では、ウィントン・ケリー(p)名義のハーフノートのライブ「Four on Six」を思い浮かべるのですが、編曲をしてあっても違う曲だという違和感はありません。「I've Grown Accustomed To Her Face」は、バラードでウェスの「フルハウス」セッションを想いおこしました。

【飯田canvas 宮之上貴昭公演】

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ロバータ・ガンバリーニ SO IN LOVE

2013-05-22 20:09:10 | ヴォーカル(L~R)

飯田市の単身赴任宅にある小型スピーカーに合わせてスタンドを作ってもらったので、先週の土曜日、セッティングと試聴をしました。友人が製作してくれたのですが、堅牢な作りでアマチュアとはとても思えない出来栄えです。床からの高さがあるので、低音が締まって出るようになり、高音も綺麗になりました。持参してくれたピンケーブルでCDプレイヤーとアンプをつなぐと、雑音が減少したのか澄んだ音に変わり、これにもびっくりで、友人に感謝しました。ヴォーカルもいい雰囲気です。

ROBERTA GAMBARINI (ロバータ・ガンバリーニ)
SO IN LOVE (55 RECORDS 2008年、2001年録音)

  Soinloverobertagambarini

今年の富士通コンコードジャズフェスティヴァルで来日するロバータ・ガンバリーニ(vo)は、既におなじみの歌手となりつつあります。実は、はじめて聴いた彼女のアルバムは、ハンク・ジョーンズ(P)とのデュオ作品「ラッシュ・ライフ」でした。スローテンポの曲にピアノだけの伴奏ということもあり、いささか単調で途中で飽きもきました。この3作目は、選曲、伴奏ともにバラエティに富んでいます。

メンバーは、ロバータ・ガンバリーニ(vo)、ロイ・ハーグローヴ(tp,flh)、ジェームス・ムーディー(ts)、タミール・ヘンデルマン(p)、チャック・バーゴファー(b)、ジェイク・ハナ(ds)他です。ヘンデルマン(p)のプレイは、切れ味があって小気味良く、バラードも雰囲気がよく出ているので、リーダー作を聴いてみたいピアニストです。ジェフ・ハミルトンと活動をしていて、来日もしているので、僕が知らなかっただけで、聴いている方は多いでしょう。

選曲は、スタンダードが、「So In Love」、「Day In Day Out」、「Get Out Of Town」、「That Old Black Magic」、「I See Your Face Before Me」、「From This Moment On」、「This is Always」、「Over The Rainbow」(虹のかたなに)です。

他に、ウィリー・ネルソン作「Crazy」、イタリアの歌「Estate(夏)」、ビートルズメドレーで「Golden Slumbers」と「here, There, and Everywhere」、ミシェル・ルグランの「You Must Believe In Spring」、ジョニー・グリフィンの曲にガンバリーニが詞をつけた「You Ain't Nothin' But A JAMF」、映画ニューシネマ・パラダイスから「Theme」と「Song For Elena」のメドレーで全14トラック。

スローテンポのバラードから、スキャットも交えて飛ばすファーストテンポのものまで、ガンバリーニは快調です。はじめは、伴奏の好演もあって、テンポの速い「Day In Day Out」や「From This Moment On」あたりがリズムへの乗りがよく、アドリブも面白いという印象でしたが、バラードも歌詞の意味を掘り下げて慈しむように歌っているようで、それらもすぐによくなりました。ことに、思いきったスローテンポの「So In Love」や「Crazy」が素晴らしい。

【スピーカースタンドによるセッティング】

スピーカースタンドは、天地をひっくりかえしても使用できます。とりあえずスピーカーの下に空間があるようにセットしました。また、ピンケーブルを、モンスターケーブル社のものに替えました。友人と二人であれこれとセットしてみたのですが、今の写真にあるようなセットがとりあえずよかったので、当分はこれでいきます。
なお、LPが写っていますが、飾りで置いてあるだけで、プレイヤーがないのでここでは聴けません。次のターゲットは、USB出力のある安いレコードプレイヤーかな(笑)。

(装置)
プリメインアンプ:ROTEL RA-05  
コンパクトディスクプレイヤー:ROTEL RCD-06 
スピーカー:revolver MUSIC Series1 
RCAピンケーブル:モンスターケーブル社製 M1001XLN(本来はカーステレオ用の製品だそうです。) 
なお、ROTEL社は日本のメーカーで、revolver社は英国のメーカーです。


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リチャード・ワイアンズ REUNITED

2013-05-19 18:36:51 | ピアノ

売木村(長野県下伊那郡)の知人から「たかきびまんじゅう」をいただきました。皮はもちもちしていて、中のあんこは甘すぎず、たいへん美味でした。すりおろした長芋と雑穀のタカキビの粉、米粉などを練り合わせて生地にし、あんを包んで蒸し上げて作るそうです。2003年に生産者の高齢化等で生産・販売が取りやめになったものを、地域おこし協力隊の女性が、再興し販売を始めたとのことです。お土産に好適ですので、ブレイクするに違いありません。再結成されたピアノトリオ。

RICHARD WYANDS (リチャード・ワイアンズ)
REUNITED (Criss Cross Jazz 1995年録音)

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このCDは、最近再聴して気に入り、たまに取り出しています。リチャード・ワイアンズ(p)は、1978年に初めてリーダー作「Then, Here and Now」を録音し、95年のこれは3作目です。その後に4つのリーダー作はありますが、キャリアの割に自己の作品は少ないです。しかし、サイドメンとしての録音も多く、名前はよく知られているのではないでしょうか。

メンバーは、リチャード・ワイアンズ(p)、ピーター・ワシントン(b)、ケニー・ワシントン(ds)。この3人は、クリス・クロス・レーベルにおけるエリック・アレキサンダー(ts)のリーダー作「New York Calling」でリズム・セクションを務めたのですが、その時の演奏がよかったので、プロデューサーのGerry Teelemsがトリオだけの録音を望み実現したアルバム。それで、タイトルがReunited(再結成)とされたものです。

曲は、スタンダードが主で、「Easy Living」、「The Lady's In Love With You」、「Estate」、「How Long Has This Been Going On」(いつの頃からか)、「Moon and Sand」、「Yesterdays」、「Alone Together」にヘンリー・マンシーニ作「Moment to Moment」、ジョン・ルイス作「Afternoon in Paris」、レイ・ブラウン作「Blues For Pepper」、 エリントン作「I'm Just a Lucky So and So」で全11曲。

ワイアンズ(p)を中心としてまとまりがあり、心地よく聴けます。テンポの速い「The Lady's In Love With You」では、3人一体となったスイングぶりがよく、ケニー・ワシントン(ds)とのやりとりもスリルがあります。「Moment to Moment」では、ワイアンズがテーマを際立たせて弾いていて、改めていい曲だと感じました。「Easy Living」の和音だけによるイントロなど、各曲のイントロやテーマに入っていくところの処理も工夫されています。他にも、ブルージーな「I'm Just A Lucky So and So」や熱演が行われている「Moon and Sand」などピアノトリオの好盤。

【たかきびまんじゅう】

  売木村のご紹介  売木村ホームページ

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レ二ー・ニーハウス LENNIE NIEHAUS VOLUME 5 THE SEXTET

2013-05-15 20:37:28 | アルト・サックス

先日、安曇野の実家に帰ってきました。あたりは田植えが真っ盛りで、北アルプスを背景とした田んぼの光景には、ほっとして落ち着けるものがありますし、爽やかでもあります。現在、我が家の田は委託に出して耕作をしてもらっていますが、定年後は、一応自分でやるつもりでいます。明るいアンサンブルが聴ける作品。

LENNIE NIEHAUS (レ二ー・ニーハウス)
LENNIE NIEHAUS, VOL.5 THE SEXTET (CONTEMPORARY 1956年録音)

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レ二ー・ニーハウス(as)は、1960年代以降はほとんど映画音楽の分野で仕事をしていただけに、ジャズファンには50年代のコンテンポラリー・レーベルに録音した5作品が知られています。ニーハウスは、主にクリント・イーストウッド監督の作品の音楽を担当し、「バード」(1988年」、「許されざる者」(1993年)、「マディソン郡の橋」(1995年)などを手がけています。

Sextetなので、6人編成ですが、ピアノレスで、サックスが3本入ります。メンバーは、レ二ー・ニーハウス(as)、ステュ・ウイリアムソン(tp,vtb)、ビル・パーキンス(ts,fl)、ジミー・ジェフリー(bs)、バディー・クラーク(b)、シェリー・マン(ds)。ニーハウス、ウイリアムソン、パーキンスは、スタン・ケントン楽団のメンバー。ピアノレス、ケントンと言葉を並べると、いわゆるウェスト・コースト・サウンドが聴こえてきそうです。

曲は、スタンダードの「Thou Swell」、「I Wished on The Moon」(月に願いを)、「As Long As I Live」、「Ill Wind」に、リロイ・アンダーソン作「Belle of The Ball」、ニーハウス自作の「Knee Deep」、「Fond Memories」、「Take It From Me」、「Three of a Kind」、「Elbow Room」で全10曲。レ二ー・ニーハウスの編曲にもにも興味が湧きます。

最初の「Thou Swell」から、カラフルでスインギーなこれぞウェスト・コーストというアンサンブル、ソロが展開されます。「Fond Memories」では、ニーハウス(as)が綺麗な音色でゆったりとしたソロをとりますが、この曲に限らずリー・コニッツを連想させるところがあります。「Three of a Kind」では、編曲が凝っているためか、サックス同士の絡み合いが面白い。ジミー・ジェフリー(bs)が、短いながら流麗なソロを随所でとっています。

【安曇野の風景2013年春】

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 木立の中に白く見えるのは、わさび畑の覆いです。