安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

まり ミエ ゆかり の大作戦

2009-03-29 21:42:37 | ヴォーカル(S~Z他)

ホームページの方にヴラド・ペルルミュテール(ピアニスト)を掲載しようとして、ここ2~3日ラヴェルやショパンのピアノ曲を改めて聴いていました。作曲者本人から直に解釈を教えられたというラヴェル作品の他、この人の弾くショパンが好きです。ジャズと離れた作品の続きで、ジャパニーズ・オールディーズを聴いてみました。

園まり、中尾ミエ、伊東ゆかり
まり ミエ ゆかり の大作戦 (ワーナー・ミュージック 1970年録音)

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阿久悠著「愛すべき名歌たち」に、『この、ザ・ピーナッツが歌うポップスを、当初は日本製だとは思わなかった。輸入品だと信じて疑わなかったのである。これは後からの感想だが、この「恋のバカンス」は、アメリカンポップスと日本の歌謡曲との間に橋を架けた、画期的な歌だと思っている。グループサウンズ(GS)のメロディーのスタイルもこれより発する。』とあります。

「恋のバカンス」を作曲したのは、宮川秦です。2006年にお亡くなりになりましたが、最近では「宇宙戦艦ヤマト」の作曲者としてよく知られています。僕の大好きな彼の曲に「ウナ・セラディ・東京」があります。出だしなどピアノの音がショパンのようだなと思ってきいていました。

このアルバムは、園まり、中尾ミエ、伊東ゆかりが共演した音楽喫茶<ヤングメイツ>におけるライブの模様を収録したものです。「ウナ・セラディ・東京」、「ラストワルツ」、「想い出のグリーン・グラス」などポップス系から「夢は夜ひらく」、「くちづけ」といった演歌まで収録されています。

編曲はすべて宮川秦が担当しています。たいへん楽しい日本のポップス・アルバムで、たまに気分を変えるのに重宝しています。なお、原盤は8トラックテープで、これは1998年に奇跡的にCD復刻されたものです。

ホームページにヴラド・ペルルミュテール(クラシックのピアニスト)を掲載しました。興味のある方はご覧ください。モダンジャズやヴォーカルを聴こう ヴラド・ペルルミュテール


ヴァレリー・カー SONG STYLIST EXTRAORDINAIRE

2009-03-23 20:31:54 | ヴォーカル(S~Z他)

自動車運転免許の更新に行ってきました。手数料に交通安全協会の会費を含めて6000円ほどかかりましたが、これで5年間は大丈夫です。長野の田舎だと運転免許は必需品ですが、東京にいる娘にきくと、若い人は免許を取らず、車に関心のない者が多いとのこと。どうりで車が売れないわけです。綴りは違いますが、カー(Carr)という名前の歌手のアルバムにしてみました。

VALERIE CARR (ヴァレリー・カー)
SONG STYLIST EXTRAORDINAIRE (ROULETTE 1959年録音)

 Songstylistextraordinaire

カー(Carr)という名前の女性歌手は、ヴィッキー・カーをはじめ何人かいますが、今日はヴァレリー・カーの作品を聴いています。このアルバムは、好きな曲「Make The Man Love Me」(ドロシー・フィールズ作詞、アーサー・シュワルツ作曲)が入っているので購入したものです。

ヴァレリー・カーは、1958年に「When The Boys Talk About The Girls」で、ビルボード第19位まで上昇したヒットを飛ばしています。1936年生まれで、どちらかというと、ポップス歌手(初期のR&BないしR&R)という方が近いかもしれません。収録曲中では「You're The Greatest」がそのようなスタイルです。

曲目は、主にスタンダードです。「I'm Glad There is You」、「Make The Man Love Me」、「Try a Little Tenderness」、「Over The Rainbow」、「Time After Time」、「My Funny Valentine」、「When I Fall In Love」、「In The Wee Small Hours of The Morning」、「You're The Greatest」など12曲です。

ストリングスを入れた伴奏で、テンポはスローがほとんどです。彼女は温かい中にも、力強さを感じられる声で歌っています。「My Funny Valentine」の後半部分は力の入れ過ぎかと思いますが、「Make The Man Love Me」、「Tray A Little Tenderness」、「Time After Time」などは丁寧に歌っていて好感が持てます。

ホームページにジョイ・ブライアン(Joy Bryan)を掲載したので、時間があればご覧ください。ブライアンには「Make The Man Love Me」をタイトルにしたアルバムがあります。モダンジャズやヴォーカルを聴こう ジョイ・ブライアン


スティーブ・キューン OCEANS IN THE SKY

2009-03-20 21:28:18 | ピアノ

長野駅前に最近開店した英国パブ風の居酒屋で飲んできました。ビールの種類が豊富で、おつまみもフィッシュアンドチップスなどそれらしいものが多く、僕にはありがたいお店です。上手く注がれて泡が積み重なったビアグラスのビールはいかにも美味しそうで、何杯かいただきました。今夜はやや硬質なピアノトリオを聴いてみます。

STEVE KUHN (スティーブ・キューン)
OCEANS IN THE SKY (OWL 1989年録音)

 Oceansinthesky

硬質できらめくようなタッチが印象的なピアニストのスティーブ・キューンですが、しなやかさも備え、ここでは多様な面をみせてくれます。本作品はパリ録音のせいでしょうか、ドビュッシー作曲の「レントより遅く」をとりあげ、ソロで演奏しています。

メンバーは、キューンのピアノに、ミロスラフ・ヴィトウス(ベース)、アルド・ロマーノ(ドラムス)という興味を引く顔ぶれです。最高のベーシストの一人であるヴィトウスのソロやバッキングも注目されるところです。

曲目のバランスがよくて飽きずに聴きとおせます。スタンダードといっていい「The Island」、「Lotus Blossom」、「In Your Own Sweet Way」、「La Plus Que Lente/Passion Flower」、「Theme for Ernie」、キューンの2曲「Oceans in The Sky」、「Ulla」、ロマーノの「Do」そしてA.C.Jobinの「Angela」、J・Styneの「The Music That Makes Me Dance」という10曲です。

「Oceans in The Sky」は、キューンがトリルを多用して華麗な演奏をしています。「Theme for Ernie」は、テンポを遅くとりメロディを際立たせ、ヴィトウスも長いソロをとって、美しい仕上がりです。「Lotus Blossom」ではキューンの息をも継がせぬ急速調のアドリブが聴けます。「The Island」、「In Your Own Sweet Way」というポピュラーな曲が入っており親しみが持てるアルバムです。


ミルト・ジャクソン JUST THE WAY IT HAD TO BE

2009-03-15 22:31:37 | ヴァイブ、オルガン他

最近コンサートに行ってないので、ローランド・バティック(ピアノ、F・グルダの弟子)の演奏会に行こうと、チラシの日付を見たら4月20日(月)開催で、転勤している可能性があるのでチケットを買うのを見合わせました。4月の転勤がなければ行けると思いつつ、東京にもなかなか出かけられないしと、ため息をついています。

MILT JACKSON (ミルト・ジャクソン)
JUST THE WAY IT HAD TO BE (Impulse 1969年録音)

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コンサートに出かけられないときはライブ盤をというわけで、取り出したのはミルト・ジャクソンとレイ・ブラウンのクインテットのシェリーズ・マンホールにおける録音の続編作品です。上記右側は、ジャケ裏記載の写真で、雰囲気が伝わってきます。前作は、THAT'S THE WAY IT IS(Impulse AS-9189)で、CDでも発売されています。

こちらのアルバムは、CDでは出ていないようですが、とても楽しいものでビールなど飲みながら聴くには最適なものなのに、不思議です。メンバーは、M・ジャクソン(ヴァイブ)、R・ブラウン(ベース)、テディ・エドワーズ(テナー・サックス)、モンティ・アレキサンダー(ピアノ)、ディック・バーク(ドラムス)で前作と同じです。

曲目ですが、「Listen, Hear」、「SKJ」、「Who Can I Turn To」、「If I Were A Bell」、「The Very Thought of You」、「Bags' Groove」の6曲。最初の「Listen, Hear」は、いわゆるジャズ・ロックですが、こういうものも全く違和感がありません。

このグループの魅力の一つはテナー・サックス奏者にテディ・エドワーズをいれていることで、メロディアスかつブルージーなテナーが聴きものです。もちろんミルトとレイは和気あいあいとやっています。「SKJ」、「If I Were a Bell」、そしてMJQのムードとは全く異なる「Bag's Groove」が聴ける楽しい作品です。


アイク・アイザクス  AT PIED PIPER 

2009-03-11 23:33:39 | ベース・ドラムス

今年の春は花粉の飛散が多いようですが、私も鼻づまり、目がかゆいなどの症状を覚え、薬を飲んでいます。春はいろいろな面でスタートの季節ですが、このごろは花粉症でちょっと憂鬱な季節でもあります。そんな気分をいささかでも晴らしたいと取り出したアルバムです。

IKE ISAACS (アイク・アイザクス)
AT THE PIED PIPER (R.G.B. 1967年録音)

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アイク・アイザクスはベース奏者で、レイ・ブライアント(ピアノ)・トリオの一員としての録音がありますが、本作品は唯一のリーダー・アルバムです。しかし実際には、ジャック・ウィルソンのピアノ・トリオ作品としてみられることが多いように思います。

メンバーは、アイザクスにウィルソン(ピアノ)、そしてジミー・スミス(ドラムス)です。曲目は、「Impressions」、「Mercy, Mercy, Mercy」、「I'll Drown in My Own Tears」、「Soulin'」、「Walk on By」、「Red "I"」という6曲で、傾向の異なるものを配した興味深い選曲です。

注目はジャック・ウィルソンのピアノです。彼のトレードマークともいうべき、右手のスピードに乗った起伏のあるラインは爽快感があって、たまに聞きたくなります。本盤では、モードで演じまくるコルトレーン作の「Impression」で本領発揮です。それに対して「Soulin'」は、ピチピチとしたタッチで楽しい演奏ではあるものの、新しさはあまり感じられません。

また、「I'll Drown in My Own Tears」はかなりソウルフルで、ジャック・ウィルソンにしては珍しい。彼は優れた個性的なピアニストで、忙しいと感じる時もありますが、たまに聞くとスカッとした気分になります。結果的に、アイク・アイザクスは脇役になってしまいました。