堕ちた天使 さんより転載です。
どこもかしこも「団体さん、いらっしゃい」の落とし穴 JB Press
地方のフラワーパークを訪れたときのことである。幹部職員が「うちも中国人観光客向けのインバウンドビジネスに力を入れていきたい」と真剣な顔で語った。
家電量販店を回るだけの団体観光客
例えば福岡県の博多港には、千人単位の中国人観光客がクルーズ船に乗って日帰り旅行にやって来る。だが、3000 人を超える大型船ともなると、入国審査を済ませて上陸するだけで何時間もかかってしまう。朝8時に船が到着し、夕方には出発ともなれば、ごく限られた買い 物時間しかない。それは地元経済にどれだけの効果をもたらすのだろうか。
また、福岡県在住の旅行業関係者は次のように語る。「団体観光客の上陸後の行動は、最初から旅行会社のオプショナ ルツアーで囲い込まれている。港で下船しても、地元で食事をしたり観光するわけではない。結局は家電量販店を回るだけ。地元の個人商店がメリットを享受す ることは難しい」
「しばらく沖縄に行くのはやめようと思う」
2011年7月、外務省は「沖縄数次ビザ」の発給を開始した。「最初の訪日で沖縄県内に1泊以上すれば、3年間は 何度でも訪日可能」としたものだ。ビザの発行直後、「北京~那覇」便が就航し、「上海~那覇」便も増便。クルーズ船の寄港回数、旅客定員数も増え、中国人 観光客が一気に増加した。
「過度な依存」を懸念する声も
横浜市では従来、行政と民間が協力体制をつくり、中国人観光客をどう呼び寄せるかについて議論を重ねてきた。ところが、ここに来て一部の高級老舗店舗から「我々の求める客層とは異なる。中国人の団体客は本当に必要なのか」という声が上がるようになったという。
中国人観光客を中心としたインバウンドビジネスに詳しい専門家は、次のように指摘する。「中国から団体観光客を受 け入れる際は、他の利用者に迷惑がかからないようにする工夫が必要だ。適正規模なら貸し切りにする、あるいは個室で対応するなど、リスク回避のための智恵 を絞るべきだ」