前回の更新からずいぶん間が空いてしまったので、前回の日本武尊の続きを再開する前に、今年の上半期、大川総裁と幸福の科学の戦略について、備忘録がわりに書かせていただく。
2012年、上半期。
あらかじめ予言されていたように、厳しい半年だった。
この一~二ヶ月だけでも、頭の痛くなる話題の連続だ。
消費税が衆院を通過した。
豪雨で九州が大変なことになった。
原発は一時期、全停止となった。
EUは今や、世界恐慌の引き金そのものだ。
そして、中国の日本侵略準備は着々と進み、ゴーサインを待つのみといった状態……。
にもかかわらず、肝心の日本人の蒙はいまだ開かれず、「新興宗教である」という一点で、幸福の科学と実現党は、いまひとつ、その名がメジャーになることを許されていない。
見ていて実に、もどかしい。
同時に、これは、かなり厄介なことだ。
大川総裁は、暴力ではなく、言論で戦うタイプの思想家。だが、その最大の武器である「言論」が、偏見を持たれて、聞く耳すら持ってもらえない。
おそらく、その偏見は、弟子が努力し続ければ、もう50年ぐらいで消えていくだろうが、危機はいま現在、次から次へと日本を襲っているので、とうてい間に合わない。
これで一体どうやって、日本を救っていくのか。
これに対して、大川総裁が行ったのは、「幸福の科学のフリーメイソン化」とでもいえる戦い方であったように思う。
西洋では、フリーメイソン、あるいは、正確にはフリーメイソンリーという友愛結社が、十六世紀ごろから実在し、歴史の表面に出ないながらも、あちこちで 西洋史に大きな影響を及ぼし、たとえば、ジョージ・ワシントンなどもその有力なメンバーで、自由の女神や米ドル紙幣のデザインなどにもその痕跡が残ってい る、と言われている。
ちょうどそんなふうにして、はっきり表に出ないながら、日本の国論に影響を与えている。
ここしばらくの幸福の科学の動きは、ちょうどそんなふうに感じられた。
もちろん、幸福の科学は、フリーメイソンリーとちがって、決して自ら好んでその身を隠しているわけではない。
しかし、マスコミの遮断によって、一定以上に思想が広がることを許されないため、あたかもフリーメイソンリーのように、「知る人ぞ知る」という感じで、隠されたままで世界を動かしてきた、という印象を受けた、ということなのだ。
では、中世などではない、現代の日本で、いま、どうやって、一歩、隠れたままで、世論を導いているのか。
その具体的な方法はというと……。
まず、大川総裁の強みは、ご自身に対するマスコミの心理を、マスコミ自身よりも正確に掴んでいたことである。
マスコミは、幸福の科学の主張を後追いする半面、その実績を隠蔽し、週刊誌などででたらめな記事によって幸福の科学を攻撃してきた。
彼ら、マスコミ人はこう思っていたはずである。
「……我々は大川総裁自身に対して嫉妬を禁じ得ない。あの人物がやっていることは、全部我々がしたかったことなのだ。
許せん。
絶対に泥まみれにしてやりたい。
だが、半面、大川総裁の予言というのは、無視できない的中率を示している。
しかも、語る言葉はみな、知識に裏付けられた正論だ。
……なんとか大川総裁自身をたたき落としながら、その発信情報だけは、自社の記事に活用したい」
……と。
総裁は、彼らマスコミの、この心理を利用した。
すなわち、複雑な心境で総裁をウォッチし続けるマスコミに対し、惜しむことなく、彼らの方針となりそうな霊言や講演を精力的に行ったのだ。
この半年の霊言を見ると、
「日銀総裁」「日銀もと総裁」「勝栄二郎」「橋下市長」「新潮・文春の編集長」……そうそうたるメンバーが、次々と総裁の霊言に呼び出されている。
日本を騒がせ、動かしていると自負しているそれらの人物たち。
彼らは、霊言に呼ばれるや、目を覆いたくなるような小人物ぶりを披露する。
要するに、総裁は、霊言によって、どの人物のどういう考え方が問題であるかを、わかりやすく浮き彫りにして、一般に示しているのだ。
それらの霊言は、例外なく、尋常ではない速さで出版から緊急発売される。
発売になると同時に、幸福の科学の学生部によって、それらの書籍は、財務相や、大阪市役所や、新潮や文春の真ん前で大量に街頭献本されて知れ渡ってしまう。
(この活動の陣頭には、大川総裁のご長女がおられると思われる。ご長女は、もと夫人が去ってから、いつもお父上である総裁に同伴し、本来、夫人がするはずの仕事を、黙々とこなしておられる印象を強く受ける)
もちろん、全国の会員さんたちの一斉砲火のような献本活動も止むことがない。
それを読んだマスコミはいっせいに、あたかも「待ってました」といわんばかりに、霊言で指摘された点について、あたかも自社見解のように、壮観なまでのバッシング記事を書く。
それらの記事を見て、マスコミを盲信している日本のお茶の間は、じんわりと影響されていく……。
加えて、総裁は、霊言以外の講演会も精力的に行い、霊言で暗に示した、「日本の歩んではならない方向」に関して、明確な言葉を使って、だめ押しのように示している。
このスタイルが一貫して行われているように見えた。
その結果、何が起きたか。
原発は、あれほどヒステリックに文化人たちが叩いているにも関わらず、再稼働を果たした。
日本の中では中国に関する警戒が高まり、朝日新聞にすら、中国の軍備拡張の危機感をにじませた記事が載るようになった。
首相が自信満々でぶちあげた消費税法案が衆議院を通過した途端、もともと低かった野田内閣の支持率ががくっと落ちた。マスコミがあれほど、「増税が必要」と日本人を洗脳していたにも関わらず、だ。
支持率のさらなる下落に、首相は「うそ……」と呟いたそうだが、消費税増税への反感は、もはや何をやっても下がることはないだろう。
そして、民主党の代わりに人気を博し始めた橋下市長の危険度を、暗に示して、2年前の衆院選のような悪夢を再び繰り返させないように日本人の意識を変えた。
大阪維新の会は、民主以上の素人集団であるが、この集団が、上半期に政府を打ち壊し、単独で政権を取り国政を牛耳り、一層の混乱を招く、といった事態の出現を回避させたのだ。
……どれも、大川総裁が言い出さず、幸福の科学と実現党が動かなかったら、日本人全員が正反対の方向に猪突猛進し、日本は修復不可能な状態になってしまった事柄ばかりだ。
それらのすべてを、総裁の言論が発信源となった意見が押し返し、ギリギリで日本を守ることに成功している。
そのさまは、あたかも、羊飼いが鈴を鳴らすが如くである。
総裁が霊言を発するたび、マスコミが動き、そのマスコミを見て、日本全体が漠然と動いていく……。
マスコミ報道陣は、自らが「導かれている羊」であることすら知らず、「さも自分たちが時代を作っているのだ」と思いこみつつ、総裁の意図する方へと動き、知らず、国論を大川総裁の主張に近づけていく。
こうして、宗教アレルギーが未だ治らず、幸福の科学という名前に拒絶反応を起こしている日本の大多数を、緩やかに軌道修正させて、幸福の科学の唱える方向に国論をコントロールしているのである。
このようにして、日本が衰退したり、占領されたりするまでの時間が、稼がれていく。
そして、総裁は待つ。
何を待っているか。
……稼がれた時間の間に、幸福の科学の在家信者の人々の草の根の活動がより浸透し、同時に、会員さんや、学園・大学の若者から成功者が多く出、世間の見方が変わり、宗教というものに対する日本人の偏見がとけるのを、待っている。
最近、現場の会員さんたちは「ノック伝道に行くと、あきらかに反応が違う」と、口にするようになった。
総裁は、「いずれ、幸福の科学の活動に対する評価は、臨界点を越える」と語っていた。
私見ではあるが、日本人の宗教に関する偏見がいまの六割から五割以下になったときが、幸福の科学の大ブレイクの時だろう。
そのとき、政治から芸能に至るまで、この国を制するのはこの団体になり、日本は再度復活を遂げ、黄金時代に突入する。
総裁は、そのための一手を着々と打ち続ける。
そして、その未来は、近づきつつあるのだ。
それが上半期、日本の国内で起きたことである。。
一方で、海外ではどうか。
ウガンダでの講演会は、例によって現地のテレビ局各社で生中継されたのみならず、AP通信で、「HAPPY SCIENCE SUCCEEDED IN UGANDA」……「幸福の科学、ウガンダの成功」と、世界中に大々的に報じられたという。
海外に出た大川総裁は、より直接的な言葉を使う。
行く先々で火がついたようにそれぞれの国の人々を励ましては、
「だいじょうぶだ、あなたがたには、日本がついている」
「あなた方は必ず幸いをつかむ。そのために私は来た」
と、訴える。
現地の人々から見れば、「あの日露戦争でロシアに勝ち、第二次世界大戦では最初は米英を圧倒し、そして第二次世界大戦後に産業の力で世界を制した、奇跡のような豊かな国から、最高の宗教家が来て、自分たちを励ましてくれる」のだ。
これでアジア・アフリカの国々が奮い立たぬ訳がない。
講演が行われた土地では、例外なく、人々の自由化への意志が強力に促進され、中国の軍事への逆・包囲網が強まっている。
先日の香港での大規模なデモは、明らかに総裁の講演が実を結びかけている、ということの証明でもある。
すでに、国連などゆうに凌駕している活動ぶりではないか。
さらに、海外に関してもう一点。
現地での講演に加えて、だめ押しのように、東京発の総裁の「英語説法」で、極めて話題性のある、かつ、本質的なことが連打で語られていることにも注目したい。
まことに、このところの英語版の説法は、仰天の連続であった。
……ヒッグス粒子が総裁の予言した「霊子」であったこと。
……オバマとロムニーの大統領選挙のゆくえ。
……同性婚と、それによって生まれた子供の是非。
どれも、いちいち「えええっ!」「まじですか!?」と、支部の客席で思わず(日本語で)声をあげてしまうような話ばかりだ。
「英語説法はちょっと……」と敬遠される方がおられるようだが、大変勿体ないですよ、と申し上げたい。
以前、総裁が、ご自身の心臓が停止した事件の一部始終を初めて大々的に語ったのは、英語説法でのことであったことを思い出していただきたい。
決定的に重要な事柄を、日本語の説法で話す前に、英語版でさらりと語る。
その風潮はいまも健在だ。
日本の会員が聞いたことのない、強烈なトピックスを、次々と英語で、海外向けに話す。
……いかに総裁が、海外の人々をも、国内と変わらずに大切にしていることか。
世界の幸福の科学の支部では、日本よりはるかに平均所得の低い人々が、日本よりはるかに篤く、遠い日本の大川総裁のことを慕い、信じている。
そんな彼らを、総裁はどれほど胸熱い思いで見ているかは、想像に難くない。
英語版での重要な論点の開示は、そうした彼らに対する総裁の想いの表れではないか。
さらに言えば、感情的な部分だけではなく、こうして海外の会員さんの士気をあげ、海外での評判をあげることで、オセロのように日本の評価をひっくり返す、という状況にもなるだろう。
先日の香港のデモの後で「これが台湾に飛び火し、そこから沖縄に飛び火する」と、総裁は予言した。
幸福の科学の動きが、海外から逆輸入されることを、明らかに総裁は狙っている。
こうしてみていくと、大川総裁の活動は、相変わらず隙がない。
日本にとって最悪に近い半年であったが、大川総裁にとっては、毎年がそうであるように、ベストの配信をし続けた半年であった。
そして、その厳しい上半期を終えて、今年も七月の御生誕祭がやってくる。
今年の御生誕祭は、埼玉アリーナから、全世界3500箇所に中継、という。(日本人にはありがたいことに、まだ、日本語で話をされるようである)
その数字に、我々のように、潮文社の霊言の新発売を書店で楽しみにしていた頃からの読者にとっては「ああ、ここまで来たんだなァ」と感慨深い。
同時に、それほどまでの規模になっても、大川総裁という人物が、20年間、我々の知っている御仁であり続けている、ということが垣間見える瞬間も、心楽しい。
たとえば、海外的にベストセラーを連発している総裁であるが、現在、総裁の書籍の印税は、旧版の再版、新刊、会内用出版、すべて一円も総裁は受け取らず、海外と教育事業に回しているという。
そんな話を聞く度に、「ああ、大川総裁は、20年近く前、我々の前に現れたあの日のまま、無欲で、情熱のかたまりで、その本質的な部分は変わっておられぬなぁ」、という感慨が胸に来る。
総裁の書籍を読み続けて20年近くが経った。
その書籍を、その講演を追いかけ続けるうち、いつしか、我々の髪には白いものが混じり、体のあちこちもガタが来たのに気づいて、その歳月に驚くことがある。
しかし、壇上の総裁は、永遠に若者のままのようだ。
その総裁の姿を見、書籍のページに没入するとき、我々もまた、歳月や肉体など無関係にすっ飛ばして、ただ法を追いかけつづける存在であるかのように思えてくる。
……どこまで行かれるのか。
……そして、我々はそれを、どこまで見届けることができるだろうか。
さまざまな感慨と共に、ワールド・ティーチャーとなった総裁の法話を、今年も聞くことができる嬉しさを、かみしめている御生誕祭である。