無期懲役の息子の面会

朝、孫と嫁の家にお迎えにいくと「子どもが吐いちゃったの、保育園で胃腸炎が流行っているからもらったのかもしれない」と言われて、本日の無期懲役の息子の面会は中止になった。

私たちもガッカリだけれどそれ以上に息子も残念がるかな～と思いながら家に戻ってきた。
やれやれ「じゃ何をして過ごそうか」とその日の予定を見直していると、二男から電話が。「頼んである物もあるから持ってきてよ」と。

お！なんだ寂しいのかな？

息子は誰でもいいから今日は来て欲しかったらしい。(笑)

私はまた嫁の所に行き荷物を預かり速攻で駅に向かった。
新宿経由は気が進まないので、孫を連れて行く予定だった府中本町経由で、２回乗り換えて１時間半以上かかる。
初めての知らない街に行くのは小さな旅気分でちょっと楽しい。

途中で二男からメールが届く。「順調か～？」

１１時半に向こうの駅に到着した。結構大きな町だった。
さて方向音痴なのでね、どっちに行けばいいのかな？
うろうろしながらスマホで地図を見たりして確認。
それでも不安だから誰かに聞いた方が早いね。
相模原病院に行きたいのですけど・・・

目の前の道をまっすぐ行けば良いと教えてもらった。

松屋があった。洋服屋さん、靴屋さん、鞄屋さん、リサイクルショップ、薬屋さん、飲食店、花屋さん、ほとんど何でもある長ーい商店街の道です。
「商店街を歩いてるけど何か買って行こうか？」
「おー、天丼くいてー」
なんだと？病人が天丼だと？病院の昼食を食べたんじゃないのか？などとつぶやきながら・・・「天丼屋さんは何処かな～」と返信メールを送った。

とうとう天丼をお持ち帰り出来る所は無かったので、コンビニで牛丼を二つ買った。
なんだかんだとお昼を回って、やっと病院に着いた。

親子二人だけで話が続くのだろうか？と心配だったが、談話室で買ってきた弁当を食べながら、色々な話をした。
病気の事や現在の体調の事、スマホのラインの事、同じ病気で入院している患者さんの事、難病の事、家のローンの事など、、、結構しゃべった。
喋ることは気が紛れて時間が経つのを忘れる。

しばらくすると息子が、乾燥機がなかなか乾かなくて結構お金がかかる。それで洗濯物を病室に干そうかと思うんだと言い出した。
それで角ハンガーが手荷物に入っていたのね。
しかしそれは、思惑通りにうまく設置出来なくて断念した。

「これはダメだな。商店街で何か見つけて来てよ」
「え～！そんな無茶なことを突然言い出して、そろそろ帰ろうかなと思っていたのに～」
仕方がない。また長い商店街をうろうろした。
１００円ショップが有ったので、突っ張り棒２本とハンガー８本とソックスを干すちいさな丸い洗濯干しを買って帰った。
とりあえずこれでしのいで。もう４時だから私も帰るね。

今日ほど「人が訪ねて来ることがこんなに有り難いと思った事はない」と感謝された。
辛い事ばかりで楽しみの少ない病院生活は気が滅入るのだろう。私も来て良かったわ。

帰りの電車の中で居眠りをしていると、洗濯物を干して「急に生活感が出た」と笑っている息子からのメールが届いた。

今回の入院は長くなりそうだ。気を紛らわすお手伝いくらいしか私に出来る事はない。
でも応援しているからね。元気になるんだぞ。