海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

裁判傍聴

2009-12-02 20:05:42 | 靖国問題
 昨日は午後から那覇地方裁判所へ行き、靖国合祀取消訴訟の第9回口頭弁論を傍聴してきた。1時10分から5時まで5人の原告が法廷に立ち、原告、被告双方の代理人から尋問を受けた。原告一人あたりの時間は40分ほど。最初に原告代理人が30分ほど尋問を行い、続いて被告・靖国神社代理人が10分ほど反対尋問を行った。被告・国の代理人は一度も尋問を行わなかった。
 原告代理人からの尋問は主に、原告の肉親が沖縄戦でどのようにして亡くなったかの具体的事実や、原告の肉親への思い、沖縄での慰霊のあり方、靖国神社に対する考え、合祀に反対する理由などだった。5人の原告のうち4人は、母や姉、妹、弟など軍人・軍属ではない肉親を沖縄戦で失っている。米軍の砲火に追われて逃げる途中に被弾し、犠牲になっていて、日本軍に協力した事実はないのに戦闘協力者として靖国神社に合祀されていること、合祀取り消しを求めても靖国神社が拒否していることの不当性を訴えていた。
 被告・靖国神社の代理人は、戸籍の死亡年月日の確認や援護金の受け取り状況、原告の家族の裁判に対する反応などを訊いていた。最後に行われた金城実氏への尋問で靖国神社の代理人が、原告の父親は志願した軍人として靖国神社に祀られていることを喜んでいるんじゃないですか、と訊いて、どうしてあんたにそういうことが分かるんだ、そうやって勝手に決めつけるから靖国神社は問題なんだ、と金城氏に怒鳴りつけられる場面もあった。
 靖国神社に祀られて喜んでいる…、ふざけた話だ。戦場で兵士達がどのように死んでいったかの実態を見れば、そのような言葉は出てこないだろう。代理人の口から出た言葉ではあるが、そこには原告の意思を無視して合祀を続ける靖国神社の無神経さと傲慢さが端的に現れていた。
 原告の皆さんからは沖縄固有の信仰や死者の弔い方、キリスト教の信仰、6月23日の慰霊の日のとりくみ、反戦・平和への思いなどが出され、戦争を賛美する靖国神社に肉親が合祀されていることへの精神的苦痛、不快感、怒りが相次いで語られた。戦争で肉親を奪われただけでなく、死んで後からも戦争賛美のために利用されたのでは、たまったものではないだろう。
 次回の弁論は来年の1月19日午後1時10分から那覇地裁で行われ、沖縄国際大学の石原昌家教授が証人尋問に立つ。沖縄戦の実態や「戦傷病者戦没者等遺族援護法」の問題を中心に尋問が行われる。引き続き原告の皆さんを支援したい。

 写真は裁判終了後に近くの公園で開かれた原告たちを支援する集会。

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1 コメント

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Unknown (やま)
2010-07-05 21:56:38
はじめまして。靖国神社ってそういうところだったんですね。日本はのっとられているので、学校行ってるだけでは正しい歴史はわかりませんね。自分で調べるのみですね。
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