海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

靖国合祀取り消し訴訟不当判決

2010-10-27 13:23:06 | 靖国問題
 26日は那覇地方裁判所で行われた沖縄靖国合祀ガッティンナラン訴訟の判決を傍聴に行った。
 裁判所の斜め向かいの広場で行われた事前集会では、原告の皆さんが挨拶に立った。









 12時45分から傍聴券の配布が行われ、55分に抽選が行われた。26枚の傍聴券を求めて130人余が集まった。
 裁判は1時12分に裁判官3人が入廷し、冒頭テレビ撮影が行われた。その後、裁判長は「判決主文。原告の請求を棄却する。裁判費用は原告が支払う」と告げ、判決理由は文書を読むように告げてすぐに退廷した。撮影時間と発言した時間をあわせても2分に足らなかっただろう。原告や傍聴している市民のことなど、裁判官たちには考慮の必要もないかのようだ。しかし、判決の理由を記した文書は傍聴人には配られない。これではいったい何のために裁判が公開され、傍聴人を入れているのか分からない。判決理由について最低限の要旨は法廷で読み上げるべきだ。傍聴人の存在は端から無視しているような裁判官たちの傲岸不遜な態度を改めなければ、市民の司法に対する信頼が生まれるずもない。



 閉廷後、裁判所門前で原告の金城実氏が記者に囲まれ、判決のでたらめさと判決理由を読み上げなかった裁判官に対する怒りをぶちまけていた。





 八潮荘において原告及び原告弁護団の記者会見が行われた。最初に訴訟団及び弁護団の判決に対する声明が読み上げられ、続いて弁護団長の池宮城紀夫弁護士が見解を述べた。その後、原告の意見が述べられ、記者との質疑応答が行われた。
 以下に弁護団の声明を資料として紹介する。

 沖縄靖国合祀取消訴訟判決に対する声明

 那覇地方裁判所民事第2部は、本日、靖国神社に合祀されている沖縄戦で亡くなった者の遺族らが、合祀は遺族らの承諾を得ずに行われたもので、遺族らの「家族的人格的紐帯の中で本件戦没者を敬愛追慕する情を基軸とする人格権」を侵害するものであるとして、靖国神社に対しては合祀の取消と慰謝料を、また、戦後何年にもわたって靖国神社に対し戦没者の情報を積極的かつ大量に提供し同神社による戦没者の合祀を可能にした国に対しては慰謝料を、それぞれ請求していた事件で、遺族らの請求をいずれも棄却する不当な判決を下した。
 わたしたちは、裁判の中で、靖国神社が、単なる一宗教団体ではなく、天皇のために死んだ戦死者を戦争賛美宗教の「祭神」として祀るという、きわめて特異な政治的な性格をもつ宗教団体であること、また、それゆえ靖国神社は、決して戦争の被害者を追悼しているのではないことを訴えてきた。また、そのような靖国神社に、沖縄戦当時、主婦や、17歳の少女、2歳の男の子等であった家族らの無断合祀を認めることは、戦争被害者である家族らが加害者と同列に置かれ、上記靖国神社のもつ非民主的・反平和的な政治理念と歴史観を広め、強制する手段として利用されることを意味するものであって、遺族にとって許し難い怒りと苦痛を与えるものであることも訴えてきた。
 にもかかわらず、本日の判決は、これらの遺族の真摯な訴えに真正面から答えようとしないものであって、きわめて不当な判決である。
 しかし、わたしたちは、この裁判の中で、また、裁判と並行して広く、沖縄戦の犠牲者たる住民が、加害者と同列の「戦闘参加者」として合祀されるに至った経緯、すなわち、国と靖国神社が共謀して「戦傷病者戦没者遺族等援護法」(援護法)の適用を靖国神社の合祀行為に利用することで、本来は天皇制国家護持のための「捨て石作戦」であった沖縄戦の真実をねつ造し、新たに沖縄の民衆を天皇制国家思想に取り込もうと画策した経緯についても明らかにしてきた。そして、それに対する社会的反響は少なくない。それゆえ、当初掲げていた本訴訟の意義のうち、少なくとも靖国神社合祀にまつわる問題点を広く世に知らしめるということについては、達成できたのではないかと考えている。
 わたしたちは、本日の判決を契機とし、靖国神社の問題点を広く世論に訴えながら、一日も早く靖国神社による合祀取消がなされるよう力を尽くす所存であることを表明する。
 2010年10月26日
沖縄靖国合祀ガッティンナラン訴訟団
沖縄靖国合祀取消訴訟弁護団


以下に新聞記事

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-169284-storytopic-1.html

http://www.okinawatimes.co.jp/article/2010-10-27_11490/



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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2010-10-28 02:34:07
靖国問題は基地問題、教科書問題など沖縄戦をはじめ、根っこは一つだということを私たちは認識しなければならないと思います。

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