海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

基地の細切れ返還問題

2011-10-23 15:08:08 | 米軍・自衛隊・基地問題

 キャンプ・ハンセンの土地が名護市に細切れ返還されようとしている問題について、10月23日付朝日新聞が記事にしている。米軍基地に反対しているのに、返還しようとすると今度はそれに反対する。沖縄の基地反対派はおかしい……。細切れ返還問題を利用してそのような声が出てくることを防衛省・沖縄防衛局は狙っている。喜瀬・幸喜・許田の三区から不満を煽って稲嶺市政を揺さぶると同時に、沖縄の反基地運動に対して不信感を作り出す。辺野古新基地建設を進めるために、沖縄防衛局が行っている手口の一つである。
 沖縄島内を車で移動すれば、金網の向こうに緑の芝生が広がる基地をいたるところで目にする。嘉手納町では町面積の約83%が基地に奪われている。広大な基地と金網一つを隔てて、住民は狭い土地にひしめくように家を建て、爆音に苦しむ生活を強いられている。こういう異常な状況が66年も続いている。米軍によって強奪された土地は、無条件で返還されるのが当たり前の話だ。
 特に国道や県道に面して土地利用のしやすい優良地は、地主や自治体にとっても第一に返還を望む場所である。そういう場所は返還せずに、山の傾斜地や再利用しにくい場所を細切れに返還する。沖縄県民への嫌がらせに等しいやり方に反発が出るのは当然であり、それが新基地建設問題と絡めて行われるとき、政府・沖縄防衛局の悪質さはさらに増す。
 沖縄防衛局は名護市において、新基地建設誘致派の元・前市長、市議会議員や経済人、地域の有力者らと結託して、稲嶺市長誕生以降の流れに対し、巻き返しを図っている。キャンプ・ハンセンの細切れ返還問題も、稲嶺市政への反発や不信を地域から生み出すために利用されている。
 政府の閣僚や民主党幹部が相次いで沖縄・名護にやってきて、しおらしく「陳謝」をし、日米合意に「理解」を求めている。しかし、その裏ではこのような揺さぶりを仕掛けているのだ。これが政府・沖縄防衛局のやり方である。だが、細切れ返還問題は名護市だけの問題ではない。基地を抱える自治体や軍用地主はもとより、沖縄全体から反発・批判が噴出するのは間違いない。
 


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