海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

憲法9条と天皇条項、そして沖縄への米軍基地集中

2024-05-03 23:53:02 | 米軍・自衛隊・基地問題

 『ヤンバルの深き森と海より』増補新版に収録した『日刊ゲンダイ』(2015年3月28日)のインタビューで、憲法と日米安保条約についてのやり取りがある。

 〈——安倍政権は改憲にも突き進んでいます。目取真さんは「憲法と日米安保条約はセット」と唱えていますね。

 目取真 憲法学者の古関彰一氏の著作から学んだことですが、日本国憲法1~8条の天皇条項と憲法9条、沖縄の軍事基地集中は三位一体のものとして成りたったということです。

 第2次大戦後、米国は日本の占領統治を円滑に進めるために天皇制の維持を必要とした。しかし、それは日本に侵略されたアジア諸国に不安と反発を引き起こす。そのために憲法9条で日本を非武装化し、再び侵略国家とならない担保をつくった。同時に共産圏の拡大を狙うソ連に対抗するために沖縄に巨大な米軍基地を造ったという構図です。

 日本の戦後は、憲法9条と日米安保条約の間に横たわる矛盾を沖縄に米軍基地を集中させることで大多数の国民の目からそらし、国民の側もまた見ないふりをして米軍基地提供に伴う負担を回避してきたのではないでしょうか〉(『ヤンバルの深き森と海より』増補新版458ページ)。

  憲法記念日には護憲派も改憲派も集会を開くのだが、古関氏が指摘することを念頭に入れている人がどれだけいるのだろうか。

 憲法9条を改定して自衛隊を明記しろ、という日本人の大半は、日米安保条約を肯定し、米軍に守ってもらおうという人たちでもある。国を守れ、と勇ましく叫ぶが、日米安保条約に基づく基地負担を自分たちも担おう、自分たちが住む地域に米軍基地を誘致しよう、という人がどれだけいるか。

 自分が銃を手にして戦うわけでもなければ、米軍基地の負担をになうわけでもない。何とも虫のいい話だ。米軍が日本を守ってくれると本気で信じているなら、自分が住んでいる地域に米軍基地を誘致して守ってもらえばいい。

 少子高齢化が進み、若者がどんどん減っていく中で、自衛隊員の確保もままならなくなる。いったい誰が体を張って戦うのというのか。自分の子や孫を自衛隊に入れて戦場に送り、守ってもらうつもりか。

 


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