子どもの頃目にした光景で、今もはっきりと思い出せるものの一つに、嘉手納基地の金網の向こうに並んでいたB52の黒い尾翼がある。親と一緒に那覇に行くとき、バスの窓から黒い尾翼が規則正しく並んでいるのを見ながら、ノコギリの刃や漫画で目にするサメの背びれが思い浮かんだ。
出撃、兵站、訓練、兵士たちのストレス解消の場として、沖縄基地と周辺の歓楽街はベトナム戦争で大きな役割を果たした。沖縄基地なくしてベトナム戦争は戦えなかったし、黒い殺し屋が発進する沖縄は、ベトナムの人々にとって悪魔の島だった。
沖縄の米軍基地は日本の安全を守るためにあるのだと言われる。しかし、それは表向きのきれい事にすぎない。朝鮮戦争、ベトナム戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争で沖縄の米軍基地はどのような役割を果たしたのか。その実態を見れば、アジアにおける共産主義勢力の拡大を阻止し、中東にまで及ぶ米軍の侵略戦争を支えるという、米国の利益のために沖縄に基地が置れてきたことは明らかだ。
沖縄の米軍基地を考えるうえで、ベトナム戦争で米軍が何をしたのか、を問うことは今も大切なことだ。ベトナム戦争の頃は儲かった、と懐かしむ人々もいるが、「基地経済」でもたらされる金は、米軍に殺戮された人々の血で染まっているのだ。
http://www.youtube.com/watch?v=xIoviBZvtEE&feature=related
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