11月に入った。沖縄県知事選挙で自らが支援した佐喜真淳氏が、8万票もの大差をつけられて玉城デニー氏に惨敗を喫したにもかかわらず、安倍晋三政権は一片の反省もなく、むしろ居直って辺野古新基地建設工事を再開した。沖縄の民意はもとより、民主主義も地方自治も踏みにじる無法国家の姿が露わになった。
朝、カヌー16艇で松田ぬ浜を出発し、抗議船3隻と合流して大浦湾に出た。海上作業で最初に行なわれるのは作業和船や海保のゴムボートが停泊する浮桟橋の設置だ。午前中、クレーンで浮桟橋を釣り上げて海に下ろし、作業和船で沖に伸ばしていこうとするのに、カヌーメンバーは桟橋を引っ張るロープや作業和船にしがみついて阻止・抗議行動を行った。最後は14人が海保に拘束され、瀬嵩の浜に運ばれた。
昼食後、午後はタグボートが大浦湾に姿を現し、フロートを曳航して汀間方向に向かって行くのを、カヌーと船で行く手を阻みながら抗議した。再び拘束されて瀬嵩の浜に運ばれたが、カヌーメンバーの腕をつかんで海に引きずり込む海保の暴力行為に対し、船から抗議の声が飛んだ。
フロートやオイルフェンスはキャンプ・シュワブ内の保管場所からトレーラーで米軍のリゾートビーチに運ばれ、作業員が連結して和船やタグボートで海に引き出し、沖に運んでいく。2本目にオイルフェンスが運ばれていくのを途中まで追ったが、浜の方に移動して3本目を阻止することに集中した。
昨年1月にフロートが再設置された時、沖縄防衛局は金属の棒を取り付けてカヌーや船がフロートを越えるのを妨害しようとしていた。結局、何の役にも立たずに大失敗したため、今回は何もつけずにフロートを設置している。フロートに取り付けていた金具は廃棄されたのだろうか。いったい、どれだけ予算(血税)を浪費したのか。
フロートが並べられた浜の前でカヌーと船が阻止線を張り、待ち構えていたために作業和船とタグボートは近づいてこなかった。3本目を張ることをあきらめたらしく、まだ3時過ぎだったが船を陸に上げ始めた。カヌーチームと船団は3時45分まで状況を確認し、海の作業員全員が陸に上がったのを確認して瀬嵩の浜に戻った。なお、辺野古岬付近の陸上での作業は、フロートの搬送以外は海から見えている範囲でなかった。
埋め立て用土砂を海上搬送するためには、まず大浦湾全体にフロートとオイルフェンスを張りめぐらさなければならない。これまでカヌーや船で阻止・抗議行動を続けてきたからこそ、沖縄防衛局はこのような手間と時間を費やさなければならない。その積み重ねが工事の遅れを生み出していく。
県知事選挙を見ても分かるように、工事の進行があと一カ月や早ければ、一週間早ければ、という状況が生じるのだ。いずれ工事は行き詰まる、あるいは県民投票で意思表示すればいい、などと考えてゲート前や海上での阻止・抗議行動を怠れば、工事はどんどん進んでいく。それは、辺野古の海、大浦湾が日々破壊され、海の生き物が殺されていくということだ。まず工事を止めましょう。
大浦湾で抗議するためには、カヌーもよりいっそうの練習と経験が必要となる。ぜひ積極的に海上行動に参加してほしい。