海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

日食と靖国訴訟

2009-07-22 17:07:56 | 靖国問題
 今日の名護市は薄曇りの一日になっているのだが、日食で太陽が欠けていく様子は、はっきりと見ることができた。何か観測するのでなければ、目の負担が減ってかえってよかったかもしれない。午前10時54分に90パーセント以上が欠けて、部分日食のピークを迎えた。あたりが少し暗くなり、数羽のカラスが鳴きながら飛び回る一方で、朝から騒がしく鳴いていた熊蝉の鳴き声が聞こえなくなった。11時5分頃には元の通り熊蝉が鳴いていたので、日食に対する反応だったのだろう。近所の子供たちの大きな声もあちこちから聞こえていた。
 テレビを見ると悪石島は大雨だったようで、島の人たちや来島者には気の毒だった。悪石島と聞くとどうしても対馬丸のことを思い出してしまう。島の人たちが今日のためにいろいろと準備をし、来島者を歓迎している様子を見て、何とか晴れてほしかったのだが1、残念だった。

 話は変わって、昨日は午後から那覇地方裁判所に行き、彫刻家の金城実氏ら沖縄戦の遺族五名が、靖国合祀取消と損害賠償を求めている訴訟を傍聴してきた。
 裁判は午後4時に始まり、被告・靖國神社の訴訟代理人が、「準備書面1」の概要を述べた。〈靖國神社は、設立以来、遺族の意向とは別に、合祀基準に該当する戦没者を合祀してきたのであって、それが設立の趣旨であり、かつ、宗教上の教義としても確定している〉とし、山口県護国神社への殉職自衛官合祀事件に対する「昭和63年大法廷判決」を持ち出して、合祀取り消し拒否は当然と主張した。沖縄の援護法の問題は、靖國神社とは関わりがないとした。
 昨日の裁判はそれだけで4時12分に終了。その後、近くの公園で開かれた原告支援の集会に参加した。
 次回の口頭弁論は10月6日。そして、12月1日には5人の原告の本人尋問が行われ、最大の山場を迎える。沖縄戦の犠牲者が援護金との関係で靖國神社に祀られている。そのことが持つ意味は極めて大きい。市民の関心の大きさは裁判の動向にも影響する。ぜひ多くの人がこの裁判を注目し、傍聴や支援を行ってほしい。

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