先日、Daysで聴き、入手した2枚組CD。
つい最近、リリースされた58年の時を経て日の目を見たVILLAGE・ GATEでのライブもの。マスターの言葉を借りれば「絶好調!」と。
いやぁ~、全15曲、130分を超すこれぞ正真正銘、「驚愕の発掘もの」ですね。カヴァもなかなかいい感じです。
この年の1月、ユーロッパから帰国したゲッツは7月に問題・異色作「フォーカス」を、そして9月にB・ブルックマイヤーを加えたクインテットで”FALL 1961”を録音しており、”FALL 1961”と同じリズム・セクションのカルテット版が本作。もしS・ラファロが交通事故に遭わなければ、このバンドのbは彼だった可能性も有り、真に残念ですね。
1961年と言えば、コルトレーンがインパルスに話題作を吹き込み快進撃を始め、雲隠れしていたロリンズが11月13日にB・リトルの追悼演奏会に忽然と現われ再起を、とts界は新たな時代の幕開けを迎え、今から思えばゾクゾクしますね。
本作の収録曲を見るとなかなか興味深く、コルトレーンの”Impressions”とロリンズの”Airegin”が目を引き、やはり二人を意識していることがよく解ります。さすがに”Impressions”はGETZ抜きのトリオ演奏ですが、ライバル達の作品を積極的に取り込もうとする柔軟な姿勢はなかなか出来るものではありません。
コルトレーンがVILLAGE・VANGUARDで”Impressions”を吹き込んだのは僅か3週間前の11月3日です。恐らくゲッツはこの日に限らずコルトレーンのステージに何度も足を運んでいたのだろう。そして予期せぬ?ロリンズのカンバックから2週間後のステージ、いやはや、凄い展開に(笑)。
翌年、ロリンズが本格的に活動し始めると、コルトレーンとロリンズにガチで勝負しても分はない?と考えたのか、ゲッツはボサノバを取り入れ空前の大ヒットをもたらしたことは周知の通りです。プレイも天才だが、時の流れ、空気を読む感性も天才ですね。
時には情緒纏綿に、時にはスインギーに、時にはブローと、コルトレーン、ロリンズに一歩も退かないこのステージのゲッツは圧倒的!です。
なお、音はこの手の作品では極上です。
他にL・アルメイダとのアルバムやColumbiaの隠れ名盤”THE MASTER”等々を聴きながら、マスターとのGETZ談議に花を咲かせ、有意義な時間を過ごしました。