俺もお前も人生の敗北者

とりあえず否定から入るネガティブ思考で常にB級嗜好なATOPのブログ

天使の梯子

2008-02-15 04:05:28 | レビュー
村山由佳『天使の梯子』読みました。これは解説に納得してしまったよ。あまり本の解説って読まないのだけれども、たまたま読んだらまさに思った通りのことが書いてあってびっくりしました。

『天使の卵』を読んだのが、中学三年のときだったように思います。解説に書いてあるとおり、『天使の卵』は青春小説として我々の世代から絶大な支持を得ている。まー今では割とありふれた話ですけど、10年前発刊としては珍しい作品だったように思う。なんですかね、村山由佳という作家の丁寧な文章、情景の説明が若者の繊細さと荒々しさ、残酷な現実を上手に描いている。私も中学生ながら感動したのを覚えている…感動といっても涙が出る類と言うより心ふるえる感動だった。切ないということではなくて、残酷な現実の重々しさによって。これがデビュー作なんだからすごいわ。

でもその後の作品である『野生の風』とかにはそれほどの重々しさは感じなかった…次に村山由佳の重々しさに巡り会ったのは直木賞を受賞した『星々の舟』でした。厳しい現実、救いようのない世界、報われない・やり場のない想い。読んでるこっちが死にたくなるような作品。

そして今回の『天使の梯子』。救われないです。ハッピーエンドとかバッドエンドとかの問題ではなく。相も変わらず村山由佳らしい作品だった。本当に人の気持ちを描くのがうまいなぁ。読み終わったら、絶対ため息ついてしまうわ。

人を好きなるということは簡単なことじゃないね。