あすきなまこブログ

七宝焼を焼いています。

悲しみよこんにちは

2008-04-12 08:44:38 | Weblog
先週の日曜日に時間をつぶすために入った、フランスのアンティーク雑貨を扱っているその店の二階は喫茶になっていて、古いミシンとその椅子が置いてあったり、ほっそらしたカウンターがあったり。カウンターの椅子はわたしのしりにはちょっと小さいんだけども。そのカウンターの前に暮らしの手帳や、絵本やらにまじって、フランソワーズ・サガンの「悲しみよこんにちは」が置いてあった。おくづけを見ると、昭和三十年第一刷、平成六年第百十何刷…す、すごい、うらやましい…。

読み始めて、ハマる。主人公のおとうちゃん(やもめ)が、生活力に満ちていて、気前が良くて、いつも好奇心に満ちていて、女にモテて、そして飽きやすく…6ヶ月ごとに女を替える…って言うあたりが、ひと年食ったせいか大丈夫になってる。少女の頃だと、ここでひっかかっていたと思うんだ。だって、昔ならこんなあほうな男、赦せなかったもん…。だから、いまだに読んでいなかったのだと思う。 主人公の少女の名前はセシル。気ままな父親との放埓な生活に慣らされているけれど…うーん、そりゃもうかしこくて(試験はすべりまくったみたいだけどさ)デリケートな感じがした。

約束の時間が来たので、さわりの辺だけ読んで棚に返して、カフェオレ代を払って出る。あ、カフェオレは小さなボウルに入っていて、シナモンパウダーもふりかけてありましたよ。

…で、続きが無性に読みたくなったので、近くの古本屋さんに行ったり、自転車で行けるところではいちばん大きな新刊書店に行ったりするが、見つからなかった…。ほんとはその夜のうちに読みたかったのだが、結局、ネットで注文することに。送料無料のセブンアンドワイで頼んだので、届くまでにちょっと時間かかる…。レビューであらすじが目に入っちゃって、しまったと思ったり。

で、新刊で頼んじゃったわけだから、しばらくがまんしたんだけど、月曜日の夜のさんぽ中に飛び込んだブックオフに、そろっているじゃないですか、サガン。むきー。でも、そのときもがまんしたの。もうすぐ来るじゃんか…と思って。

でも、次の日のお昼過ぎて、やっぱりがまんできなくなって、ブックオフに飛び込む。はあはあ…。買っちゃったよ。にどまりには「バカ…。」と言われつつ、はあはあ。

うみゅー、おもしろかった…。読めてよかったです。若い頃読んでも、よくわかんなかったかもと思ったので、適当に汚れた(苦笑)今、読めてよかった。登場人物のみんなに感情移入できました…。もちろんそれは、この小説の力なのかもしれないけど。

そして、古本を読み終わったころ、セブンアンドワイから連絡が来てな。無事、新刊を受け取りましたよ…。ハハハ…。(力なき笑い…)これが、平成十六年第百四十二刷かあ…。
あっ、でも表紙が替わってた。古い方は、海辺のヨットと椰子の木なんかの絵なんだけど(線が黒くて太い絵でち…)、新版は、青いストライプのカーテンのかかる部屋のベッドに物憂げに座っている女の人の写真だった…。でもこれ、セシルじゃないよね?セシルはすごい華奢な子みたいだから。バッタみたいだ…とか、見られるようになるためには、あと二、三キロ太らなくてはだめよ。バタつきパンを持っていらっしゃい、なんて描写があったから。(時が経ったあとのセシルかな?)

つーわけで、今あたしの手元には、「悲しみよこんにちは」が二冊あるのでした…。