作雨作晴


日々の記憶..... 哲学研究者、赤尾秀一の日記。

 

グランドプリンスホテル京都

2018年06月17日 | 日記・紀行

 

2018年6月17日(日)晴れ


グランドプリンスホテル京都


久しぶりに、このホテルを訪れる。近くの国際会議場や宝ヶ池公園にはよく来ているし、その折にはこのホテルの前も何度も通り過ぎている。

ひさしぶりにというけれど、このホテルには縁があって1986年の開業当初からよく知っている。その頃は名称も「京都宝ヶ池プリンスホテル」といい、隣接する国際会議場に付属する宿泊施設として、当時の西武グループの総帥としてまだ健在だった堤義明氏の肝いりで建設されたものである。1980年代の後半だから日本の景気もバブル景気の直前で、日本社会もまだ活況を呈していた。

そうした時代を背景に建築家として名も知られていた村野藤吾氏によって、ヨーロッパの城館風の雰囲気をもったホテルとして建てられたものである。海外の学者や当時の首相、今はなき歌手の岸洋子なども宿泊していた。

開館したばかりのホテルはまだきれいで、各階のフロアーには、白い花びらを散らした淡い桃色の絨毯が敷きつめられ、ビバルディの四季がBGMとして流されていたことを覚えている。

部屋には大きな一面のガラス窓が張られて、そこから眺める外庭の景色は、秋の紅葉のときも、冬の雪の降りしきるときも絵を見るように美しかった。

その後三〇余年、東京、浜松、静岡などを放浪もしたけれど、今はふたたびこうして京都に戻ってきてこのホテルの六階から中庭を見下ろしている。

本当の反復は人生にありえないけれど、今もここにこのホテルは変わらず立っている。ただ、そこに時代の変遷を象徴するように、ホテルは改装され名前も「グランドプリンスホテル京都」と変わっている。時間の経過はどうすることもできない。昔のホテルで過ごした時間の面影はただ記憶の中に残されているだけだ。

 

 

 

 

 
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