風のささやき 俳句のblog

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客は泣く一人残らず雨叩く車窓、電車はレールの嗚咽【短歌】

2024年06月11日 | 短歌

その日は少し冷たい雨が降っていました

僕は駅で電車を待っていたのですが
通過する電車も雨に濡れて
手すりにつかまり立っている人たちの姿も
濡れた車窓の向こうに歪んで見えていました

笑って会話をしている人、俯いている人
スマホに熱中する人と
それぞれだったのですが

心の奥底には本当は
泣きたい気持ちを抱えていて
濡れた車窓の上にそれが
現れているようで

勝手な納得感を持って
通り過ぎる電車を眺めていました

速度を少し落とすために
ブレーキをかけた電車と
レールとが軋む音も
悲鳴のように聞こえていました



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