Are Core Hire Hare ~アレコレヒレハレ~

自作のweb漫画、長編小説、音楽、随想、米ラジオ番組『Coast to Coast AM』の紹介など

となりのミュンヒハウゼン男爵

2014-04-24 23:01:15 | コラム

ニセ「医学博士」講演10年、ラジオ司会8年…神戸の55歳「肩書きで話すこと心地よかった」(産経新聞の記事より)

何の因果か今年は「嘘つき」の当たり年です。
いずれバレて自分もただではすまないのになお堂々としているのが、彼らのすごいところです。

この一連の騒動で、昔出会ったとある人のことを思い出しました。

まだ高校生のころ、ビル掃除のバイトをしていました。
出稼ぎ中国人がほとんどで、僕を置いて日本人といえば現場監督的な立場の50がらみのオジサンひとりでした。

そのオジサンがたまの休憩に身の上話をしてくれるのですが、それが今思えばすごいのです。
彼によれば、頭にタオルを巻いてポリッシャーを自在に操るその姿ははあくまで世を忍ぶ仮のものです。
普段は県内の私立女子高の世界史の先生です。
ミッション系なので休みの日曜にバイトをしています。
お金に困ることもなさそうですが、社長と古いつきあいでやめどきをなくして続けているそうです。

もとからちょっと世間知らずのところがある僕は、そんなこともあるのかとふんふんと黙って聞いていました。
それに気を良くしたのかオジサンの嘘はますます大きくなっていきます。

空を飛んでいるヘリコプターを眺めながら、「ヘリコプターの免許もとりたかったなあ…」とつぶやきます。
聞けばセスナはもちろん、自家用フェリーで近所の人を連れてハワイまで行ったことがあるというのです。
そんなわけですから、もともとの家が大金持ちです。
自分は神戸のある大学の理事の息子で、母方の実家は地元でも有名なお菓子屋さんとのこと。
それを「ひとつ」を「しとつ」というようなこてこての東京弁で言うのですから不思議でした。

他にも数えきれないほどそんな話を聞きましたが、当時は微塵も疑いませんでした。
今更確かめることもできませんが、もしかしたら全部本当だったのかもしれません。
とても堂々と誇らしげに僕に語ってくれてましたから。

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※web小説‐伝承軌道上の恋の歌‐初めから

コメント
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